自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★花の香り、肌の色

2019年01月25日 | ⇒トピック往来

   このころ金沢の庭に咲く季節の花といえば、スイセンとロウバイだ。晴れ間を見計らって裏庭に出て、2種の花を切ってきた。黄色い花のロウバイは「蝋梅」と漢字表記されるだけあって、ふくよかな香りがする。中国語ではラ -メイ(蝋梅)、英語ではWinter sweetと言い、人々はその香りを楽しんでいる。素人ながら、和室の床の間に活けてみた。今月3日付のブログでも紹介したが、花はこれほどまでに人の心を和ませてくれるものかと改めて想う。

   ネットでロウバイを調べてみると、これまた意味深い。昔から「雪中四友(せっちゅうしゆう)」と称され、雪の中で咲く4つの花の一つだそうだ。ちなみに、残りの3つの花はウメ、サザンカ、スイセンとなる。床の間に飾った花は雪中四友のうちの「ニ友」ということになるだろうか。

    話を肌の色に変える。 テニスの大坂なおみ選手とスポンサー契約を結ぶ日清食品のアニメーション動画の広告で、大阪選手の肌が実際より白く描かれているとの批判が起き、同社はアニメ動画を削除した(24日付ニュース)。誰が肌の色を問題視したのだろうかと気になっていた。というのも、実物写真を変色したのであれば、これは人権、捏造などから明らかに問題視される。しかし、アニメではそこまで問われるだろうか。大坂選手本人は全豪オープンに集中しているせいか、さほど気にしていないようだ。では、誰が問題視したのだろうか、と。

   たまたまCNNのWeb版(日本語)をチェックしていて関連記事があった。「日本の英字紙ジャパン・タイムズのコラムニストでアフリカ系米国人のバイエ・マクニール氏は、大坂選手のキャラクターが『白人化』されているのを見て『がっかりした』と書いている。」と。そこで、ジャパン・タイムズ紙のバイエ・マクニール氏のコラムを検索すると、今月19日付のコラム、「Someone lost their noodle making this new Nissin ad featuring Naomi Osaka」があった。

Sure, anime fans aren’t used to seeing women of color in the genre so … a few shades lighter on the skin here … a debroadening of the nose there … the de-exoticization of her hair … and, voila! The perfectly palatable girl next door. Not for this fan, though. Osaka’s de-blackening is as problematic to me as a Bobby Riggs tirade against female tennis players.

  コラムを自分なりに解釈すると。日清食品は日本の視聴者にターゲティングしてアニメ広告をつくった。日本のアニメファンは茶色の肌をした女性を見ることに慣れていないので、アニメでは肌の色を薄くして、完璧に美味しい女の子として表現した。しかし、大阪選手は自分の性格と能力が評価されることを望んでいる人間である。コマーシャルはYouTubeで流れており、その視聴者はグローバル、つまり潜在的な顧客は全世界である。昨年、全米オープン女子シングルスで初制覇したトップテニスプロは世界から注目されている。世界の人は大坂選手を白塗りにしたら奇異に感じるのではないだろうか。

   ぎこちない要約だが、バイエ・マクニール氏のコラムを読んでいると、アニメだからと言って、その個性を塗り変えてよいはずがない。個性や多様性を尊重することだ、と。とくに最後の一文が日本人に投げかけられた課題テーマのようで重い。You’re not “hungry to win,” but playing to lose.

⇒25日(金)朝・金沢の天気    はれ


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