自在コラム

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★北陸新幹線、5年目に

2019年03月15日 | ⇒メディア時評

    きょう15日朝のニュースでは、イギリス議会下院がEUからの離脱の延期をEUに求める動議を賛成多数で可決したと報じている。20日までにイギリスとEUでまとめた離脱案をイギリス議会が承認した場合に、3月31日の離脱期限を6月30日まで延期する。ただ、延期の明確な理由が必要と主張するEUとの協議が難航する可能性があるようだ。確かにイギリスの一方的な決議に対して、EUは果たして応じるだろうか。EUはもう面倒を見切れない勝手にやって、つまり「合意なき離脱をどうぞ」という状況ではないだろうか。

  同じ15日、北陸新幹線が金沢と東京を結ぶようになり5年目に入った(開業2015年3月14日)。JR西日本金沢支社が発表した数字では、4年目の利用者840万人で、開業初年度に比べ6%減っているものの、開業効果を勘案しても高水準が続いている。開業前の在来線特急の利用者と比べると2.8倍となる。

  新幹線が北陸地域に与えた影響は、金沢に住む者にとっても想定以上と実感する。それはJR金沢駅周辺に行けば一目瞭然で理解できる。ホテルの建設ラッシュなのだ。現在11ものホテルが開業を予定している。金沢市のまとめでは、2018年末の市内の客室は9800室だが、これが2020年には1万2000室に増える。すべてシングルユースとして換算すると1日当たり1万2千人の宿泊が可能となり、これまでの金沢では開催が難しいとされてきた1万人規模の学術学会の開催が可能となる。たとえば、1万人規模の学会が多数ある医学系学会のニーズは高まるだろう。

  もう一つ新幹線効果で一目瞭然なのはインバウンド観光の増加だ。国の名勝、兼六園に入ると四方から中国語や英語などの会話が聞こえてくる。兼六園管理事務所が発表した2018年の外国人観光客数は42万8500人で、初めて40万台に乗った。全体の入園者数は279万9600人(2017年度)なので15%がインバウンド客になる。これがなぜ新幹線効果かというと、北陸を訪れたインバウンド客のうち28%が東京とセットで、25%が京都とセットで旅行をしている(日本政策投資銀行金沢支店2018年度リポート)。在来線での東京と金沢は上越新幹線・越後湯沢駅での乗り換えだった。それが北陸新幹線で初めて直行便になり、インバウンド観光も東京とセットになったのではないだろうか。新幹線を利用すると、カップルや家族連れのインバウンド客をよく目にする。

  北陸新幹線の金沢以西は、2023年に福井県敦賀までの開業を予定している。クルーズ客船とのセット観光が楽しめるかもしれない。

⇒15日(金)夜・珠洲市の天気      あめ


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