自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★「能登さくら駅」の列車と桜トンネル、海を彩る華やかさ

2024年04月15日 | ⇒ドキュメント回廊

   兼六園のソメイヨシノの見頃は過ぎたものの、かなりの観光客でにぎわっている。きょうその兼六園の桜を横目で見て、能登へと車を走らせた。能登半島地震の影響で主要地方道「のと里山海道」は途中から一方通行になっていて、混雑していた。2時間半ほどかかって目的地に到着した。半島の奥、穴水町にある「のと鉄道」の能登鹿島駅。桜の観光名所で知られ、「能登さくら駅」の愛称で親しまれている。

  無人駅のホームに入ると、線路を囲むようにヨメイヨシノが咲いている。アマチュアカメラマンや見学に来た人たちが200人ほどいただろうか。昭和7年(1932)に鉄道の開通を祝って桜が植えられた。それ以降も鉄道会社や地域の人たちが少しずつ植え、いまでは100本余りのソメイヨシノやシダレ桜が構内を彩っている。

  午後0時19分発の穴水駅行きの列車と、午後0時20分発の七尾駅行きの列車が能登鹿島駅で止まった=写真・上=。アマチュアカメラマンたちがわっと押し寄せ、撮影が始まった。満開の桜のトンネルと列車がじつに絵になり、心が和むアングルだ。

  のと鉄道は今回の地震で線路が歪むなど大きな被害に見舞われた。今月6日、およそ3ヵ月ぶりに全線での運転再開にこぎつけた。震災直後のガタガタとなった線路を実際に見ている能登の現地の人々にとっては、満開の桜のトンネルと列車の様子を見てようやく日常への一歩と実感しているかもしれない。

  列車が去り、駅を出ると、まったく別の光景が目に入って来た。桜の並木の向こうに見える穴水湾の海がなんとも幻想的な光景を醸し出している=写真・下=。何と表現したらよいのだろうか、青い海を彩る華やかな桜、青空とコバルトブルーの海を染めるみやびな桜、なのだ。絶景を何度か振り返りながら能登鹿島駅を後にした。

⇒15日(月)夜・金沢の天気    くもり

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする