自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆「二度あることは三度ある」 金沢の被災地にリスクを読む

2024年04月18日 | ⇒ドキュメント回廊

  きのうの深夜午後11時14分、九州の大分県と四国の愛媛県に挟まれた豊後水道を震源とする地震があった。気象庁によると、マグニチュード6.6、震源の深さは39㌔、愛媛県愛南町と高知県宿毛市で震度6弱、九州や四国、中国、関西など西日本全体で揺れが観測された。(※地震図は、18日付・NHKニュースWeb版)

  NHKの地震速報で、「南海トラフが来たか」と誰もが一瞬思ったのではないだろうか。今回の地震は、南海トラフ巨大地震の想定震源域内で起きているからだ。NHKの解説によると、想定震源域内でM6.8以上の地震が発生した場合、気象庁は「南海トラフ地震臨時情報」を発表するが、今回はM6.6で基準未満だった。また、南海トラフ地震は、フィリピン海プレートと陸側のプレートの境界部分が震源となるが、今回は深さ39㌔のフィリピン海プレートの内部で発生したと推定され、地震のメカニズムが異なり、南海トラフ地震の可能性が高まっているわけではないというのが気象庁の見解のようだ。

  しかし、地震は予期せずして起きるものだ。去年5月5日に能登半島で震度6強、ことし元日に震度7の強烈な揺れが起きた。「災害は忘れたころにやってくる」(寺田寅彦)という教訓は実感だった。

  話は変わる。元日の地震で震度5強を観測した金沢市田上新町ではがけ崩れが起き、民家4軒が道路ごと崩れ落ちた=写真・上、1月2日撮影=。場所は金沢大学角間キャンパス隣地の山手の住宅街だ。きのう現地に行くと、崩れ落ちた4軒の民家は解体・撤去されていた=写真・下、4月17日撮影=。現場を眺めながら考えたこと、それは「事はこれで終わったのだろうか」という思いだった。2月13日に現場を訪れたときに、この近くに40年余り住んでいるというシニアの女性から聞いた話だ。「このあたりで30年前にも大雨で土砂崩れがあって、2度目なんですよ」と。

  土砂災害を研究している東京農工大学のチームが現地調査に訪れている(1月3日)。1600平方㍍の斜面が崩壊し、全壊した4棟のうち3棟が10㍍から20㍍西へ移動していた。地盤を調べたところ、大きさがほぼ均一の細かい砂地でできていて、斜面に設置された排水管からは地下水が流れ続けていた。このため、地下水を含んだ砂地に地震の揺れが加わったことで地盤が液体状になる液状化現象が起き、崩落したとみられる(1月6日付・NHKニュースWeb版)。液状化現象というリスクは山沿いでも起きるのだと初めて理解した。

  そして、30年前のがけ崩れが教訓として活かされていなかったのだろうかと改めて考えた。「二度あることは三度ある」。このリスクをどう見極めればよいのか。

⇒18日(木)夜・金沢の天気     くもり

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