自在コラム

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☆能登半島地震、人々の1年

2008年03月24日 | ⇒トピック往来

 能登半島地震からあす25日で1周年を迎える。震度6強の揺れで人生と生活をすっかり変えられてしまった人々も多い。そんな被災者の生の声をつづった「住民の生活ニーズと復興への課題」というリポートがある。金沢大学能登半島地震学術調査部会の第2回報告会(3月8日)で提出されたものだ。その中からいくつか拾ってみる。

  今回の地震で被害がもっとも大きいとされた石川県輪島市門前町は住民のうち65歳以上が47%を占める過疎、高齢化が進む地区だ。持ち家がほとんで、外出時でも鍵をかけない。間取りが大きいので、クーラーなどのエアコンもそう必要ではない。そのような土地柄である。

 <避難所について>
・畳一畳分のスペースは狭い。
・狭くて、よく眠れなかった。人にぶつかる。踏まれる。
・配られた毛布はかぶるに重く、暖かくなかった。
・避難所に行かなかったので行政からの情報が何もなかった。

 <仮設住宅での生活について>
・エアコンが嫌いだから暑くて困る。
・浴槽のまたぎの部分の高さが高く、高齢者には不便。風呂の湯船が深すぎる。風呂の床が滑りやすい。お湯と水の調整が難しい。タクシーで風呂に入りに行く人もいる。
・内側から鍵をかけてしまうと外から誰も入れなくなってしまう。一人暮らしの人など心配。
・買わなくちゃいけないから野菜不足。
・お花がつくれなくなった。

<被災者支援制度について>
・制度が難しくて分からない。非常に制度が複雑。お年寄りにはわからない。疎外されているように思う。
・住宅応急修理制度は、仮設住宅に入ると利用することができない。自分で賃貸住宅に入って倒壊した建物を建て直すケースでは利用できる。しかし、田舎にはアパートが無い。神戸のような都会では機能しても田舎の輪島市では機能しないのではないか。

<これからの生活・地域の将来について>
・もう田んぼでは食べていくことも無理だし、若い人はこないだろう。
・若い人に帰ってきてほしいが、働くところがないのでどうしようもない。
・震災が起きて、一時的に外に住んでいる人も皆自分が生まれ育った地元に戻って来たいと思っている。お年寄りにとって住むところを変えられるということは死に値する。
・家再建のめどがついた人、つかない人、立場がバラバラなので、これからの生活のことや、地域の将来についてまとまって話しにくい。
・お宮さんの復興が大変だ。

⇒24日(月)夜・金沢の天気  はれ


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