自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★聞き捨てならないニュース

2022年02月17日 | ⇒ニュース走査

   聞き捨てならないニュースをいくつか。秋篠宮家の長男悠仁さまが書かれて受賞したという、「第12回子どもノンフィクション文学賞」(北九州市主催)の作品『小笠原諸島を訪ねて』がネットで掲載されているので読んだ。報道では、ガイドブック『世界遺産 小笠原』(JTBパブリッシング、2012年刊行)と一部文章が似ていて、コピーペーストではないのかと問題が指摘がされている。自身の手元にこのガイドブックがないので比較はできないが、悠仁さまの作品を読んだ感想を述べてみたい。

   この作文は悠仁さまが2017年、小学5年生のときに母の紀子妃と旅行された小笠原諸島の思い出を綴ったものと冒頭で記されている。執筆したのは中学2年のときで、「ノンフィクション文学賞」にふさわしく、事実関係がしっかりと描かれ、形容詞もほとんどない。なので、読み手の想像力を膨らませ、一気に読ませる。むしろ読んでいて、気になったのはこれが中学2年の文章表現と思うほど、大人っぽいのだ。

   たとえば、受賞作品集の77㌻にある、「あるものは海流に乗って運ばれ、あるものは風によって運ばれ、翼をもつものは自力で、あるいはそれに紛れて、三つのW、Wave(波)、Wind(風)、Wing(翼)によって、海を越えて小笠原の島々にたどり着き、環境に適応したものだけが生き残ることができました」という下り。海流、気象、生物に熟知したプロが表現するような文章との印象だ。さらに、「です」「ます」調なら少年らしいと読めるが、「でもあります」という表現も出てきて少々大人っぽい。文章表現だけでなく、ぜひご本人の言葉で小笠原諸島の旅の話を聞いてみたいものだ。

   総務省は放送制度について検討する有識者会議で、特定の事業者が多数の放送局に出資し、経営支配することを避ける「マスメディア集中排除原則」を緩和する方針を示した(16日付・共同通信Web版)。集中排除原則は表現の自由を確保することを目的に多くの企業に放送事業に参入する機会を与えるもので、ローカル局が別の局を経営することを原則として禁止している。地方局の経営環境が厳しさを増していることから、今後、東京キー局を中心とした持ち株会社が系列局を傘下に収めることになるだろう。

   そもそも、ローカル局には放送法で「県域」という原則があり、放送免許は基本的に県単位で1波、あるいは数県で1波が割り与えられている。1波とは、東京キー局の系列ローカル局のこと。現在は地方にいても、パソコンやスマホ、タブレットがあれば動画配信サービス「TⅤer」で東京キー局の番組を視聴できる。ローカル局は視聴されなくなるかもしれないという不安がローカル局にはある。テレビ業界における「ポツンと一軒家」化だ。マスメディア集中排除原則という理念そのものがすでに形骸化している。

⇒17日(木)夜・金沢の天気      あめ


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