自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★香港のめげない民主主義

2019年11月25日 | ⇒ニュース走査

   香港の民主主義は生きている。実施さえも危ぶまれていた香港の区議会議員選挙がきのう(24日)予定通り行われ、香港メディアは政府に批判的な立場の民主派が議席の3分の2にあたる300議席を超えると報じている。この様子を、「Hong Kong elections: Pro-democracy group makes big gains.」とイギリスBBC(25日付・Web版)は伝えている。あの騒乱の中で投票率が70%を超えて過去最高となり世界の注目を集めていた。冒頭で述べた言葉は「香港のめげない民主主義」と言い換えてよいかもしれない。

   注目したのは投票率だった。4年に1度行われる香港の区議会議員選挙(18区議会で452議席)は有権者(18歳以上)による直接投票のため民意を反映する選挙と言える。抗議活動が激しさを増しす騒乱状態の中、安全で公正に行えるのかという懸念の声が市民からも上がり、600余ある投票所すべてに重装備の警察官が配置されるなど厳重な警備態勢がとられたようだ。その状況下で、投票率は71.2%と、4年前を24ポイント上回った。香港の有権者は相当の覚悟を持って投票場に足を運んだに違いない。

        もう一つ注目していたのは開票の在り方だ。諸外国で見られる、票のすり替えによる権力側の不正などは香港ではできないシステムのようだ。と言うのも、開票作業はメディアや有権者への公開で行われていて、開票作業の様子を画像で掲載しているメディアもある(25日付・朝日新聞Web版)。余談だが、日本でも開業作業は公開されていて、その様子を双眼鏡でのぞくことも許可されている。日本のメディアは「開披台(かいひだい)調査」と呼び、候補者の得票を先読みする際に使う手法だ。開票作業の公開は民主主義を担保している。

    民主派の躍進で今後、中国政府はどのような手を打ってくるのか。香港の民意がはっきりしたことで、中国政府のあせりは相当であることは想像に難くない。むしろ、これを機会に中国政府が香港の一国二制度を担保し、人民解放軍を引き上げると宣言すれば、中国の国際評価はかなり上がると思うのだが。

⇒25日(月)朝・金沢の天気     あめ


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