自在コラム

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★天皇が参列するイギリスの国葬、しない日本の国葬

2022年09月10日 | ⇒ニュース走査

   前回のブログの続き。イギリスの君主として歴代最長となる70年にわたって在位してきたエリザベス女王が96歳で亡くなった。女王の国葬は2週間以内にウェストミンスター寺院で執り行われる予定(9日付・BBCニュースWeb版)。

   NHKニュースWeb版(10日付)によると、エリザベス女王の国葬には天皇陛下が参列される方向で政府と宮内庁の間で調整が進められている。皇室とイギリスの王室は、昭和28年(1953年)に上皇がエリザベス女王の戴冠式に昭和天皇の名代として出席するなど、古くから親密な関係にある。天皇陛下は2019年5月に即位後、2020年にエリザベス女王からイギリスに招待されていたが、新型コロナウイルスの影響で延期となっていた。こうした経緯など踏まえてイギリスでの国葬に参列する調整が進められている、という。

   エリザベス女王の国葬には、天皇陛下が参列する。そして、安倍元総理の国葬(今月27日)には、秋篠宮夫妻ら皇族の参列を宮内庁が調整していると報じられている(8月29日付・毎日新聞Web版)。葬儀委員長を務める岸田総理から宮内庁に「皇族各殿下」の国葬への参列依頼が文書で出されていた。「皇族各殿下」には天皇、皇后両陛下と上皇ご夫妻は含まれない。両陛下と上皇ご夫妻は使者を派遣するとみられる。1967年の吉田元総理の国葬には、当時は皇太子夫妻だった上皇ご夫妻が参列し、昭和天皇ご夫妻は使者を派遣した。2020年の中曽根元総理の内閣・自民党合同葬には秋篠宮夫妻が参列し、両陛下と上皇ご夫妻は使者を派遣している(同)。

   上記の記事を読んでの印象だが、日本の国葬には天皇、皇后両陛下はこれからも参列しないだろう。国葬に関して取り決めた法律がない、また、国葬に値する人物の基準もないので当然と言えば、当然だろう。議論を呼ぶような国葬にあえて両陛下が参列するはずもない。岸田総理は国会の閉会中審査(今月8日)で「憲政史上最長(通算8年8ヵ月)の政権を担った」「暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示す」などと国葬を実施する理由を繰り返し述べていたが、政権の単なる理屈にすぎない。

   国葬は国民がこぞって賛同するような価値基準がない限り難しい。内閣府設置法という法律の枠組みの中で「国の儀式」が出来るから国葬を行うというのでは、今後さらに有権者の反発を招くのではないか。

(※写真は、2020年10月17日に都内のホテルで営まれた中曽根元総理の「内閣・自民党合同葬」=総理官邸公式サイトより)

⇒10日(土)夜・金沢の天気   はれ


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