自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆ビジョンなき駆け引き、政治は「お花畑」か

2020年08月12日 | ⇒メディア時評

   今月10日のブログで取り上げた読売新聞の世論調査(8月7-9日調査)でもう一つ気になるのが政党支持率だ。自民33%(前回32%)、立憲民主5%(同5%)、国民民主1%(同1%)、公明2%(同4%)、共産3%(同2%)、日本維新3%(同4%)となっている。いまこの立憲民主と国民民主の合流の流れが時折ニュースとなっている。   

   国民民主の玉木代表は11日、記者会見し「合流すべきだという人と、合流すべきでないという人がいたので、分党するしかないという結論に至った」と述べ、党をわける「分党」を行い、みずからは合流には参加しない意向を示した(8月12日付・NHKニュースWeb版)。立憲民主党からは、「無理に一緒になっても、混乱のもとになるだけで、一番いい結果だ」と歓迎する声が出ている(同)。

   首をかしげる、「これは政治のニュースだろうか」と。確かに衆院解散と総選挙はもうそろそろと読めば、野党の合流は与党との対決姿勢を鮮明にすることで、有権者の支持獲得の流れをつくることにもなる。それには、次なる時代を感じさせるビジョンとリーダーシップを執る「顔」が必要だろう。ところが、このニュースで知る限りでビジョンも顔も見えない。

   そもそも国民民主の「分党」って何だ。立憲民主と合流することに「好き」「嫌い」があり、それを基準に分党して、好きな人はどうぞ立憲民主へ、嫌いな人は国民民主に残るとうスタンスなのか。そうではないだろう。政治家一人ひとりが自らの立場を表明し、合流に参加する議員としない議員が徹底的に公開討論会をやるべきだろう。そこで合流する理由とできない理由がはっきりすれば、有権者は納得する。このままでは、「好き」「嫌い」で政治の流れがつくられているとしか思えない。まるで、お花畑の政治のようだ。

   立憲民主と国民民主がいまの政治の流れを変えたいのであれば、香港で国家安全維持法に違反したとして民主活動家や新聞創業者らが逮捕、その後に保釈された事件に対して、「香港の民主主義を守れ。政治弾圧を許すな」とその立場を表明すべきだろう。いまの日本に蔓延する政治的な空気は、「香港で起きている事態を黙って見過ごすことが、隣国でもある民主主義国家の有り様なのだろうか」という、ある種の苛立ちや閉塞感ではないだろうか。

   支持率33%の自民でできないことを本筋でやる、それが次の政権に期待感を抱かせる野党の有り様ではないだろうか。今回の香港での逮捕事件をめぐっては、アメリカなど欧米各国の政治家がSNS上で中国政府を強く非難する声を上げている。枝野も玉木も党首としてこの事件に徹底して関わる姿勢を見せれば、政治家としての株は上がる。

(※写真は、香港の民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏の逮捕を伝える12日付・CNNニュースWeb版。家族と国を救うために戦った伝説の中国のヒロインが登場するディズニー映画『Mulan(ムーラン)』と重なり、最近彼女はそう呼ばれている)

⇒12日(水)夜・金沢の天気    あめ


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