ロシア人の35%が「太陽が地球のまわりを回っている」と信じている。朝日新聞Web版(8月2日付)は、ロシア政府系の「全ロシア世論調査センター」が発表した調査結果を報道した。国民の科学に対する理解度を測る調査。この天動説を信じる国民の割合は増えていて、この15年間で7ポイント上昇しているという。「初期の人類は恐竜と同時代に生きていた」との回答も21%という。調査は7月9日に電話で行われ、18歳以上の1600人が回答している。
この記事を読んで、日本では中学の理科で地動説を習うのが、ロシアではこうした宇宙を学ぶ理科教育はないのかと不思議に感じた。何しろ、ロシアはアメリカと組んで国際宇宙ステーション(ISS)を建設するなど、「宇宙大国」のイメージがある。その国の3人に1人が天動説を信じている、とは。
ただ、ロシアのプーチン大統領によるウクライナ侵攻を見ていると、ロシアを中心に世界は回っている、国境なんてない、という発想のようにも読める。プーチン氏も「天動説」派なのかと憶測したりする。「北海道の権利はロシアにある」と発言したセルゲイ・ミロノフ下院副議長もこの仲間か。
中国の習近平国家主席も「天動説」派ではないだろうか。南シナ海はオレのものとばかりに島々に軍事基地を造るなどして実効支配。さらに「中国は一つ」なので台湾はオレのものとばかりに、軍事演習として称して台湾周辺や日本のEEZ内に弾道ミサイル11発を放った(今月4日)。そして、「尖閣諸島はオレのもの」と領海侵犯を重ねている。中国の大国意識には、中華は天下(世界)の中心という中華思想がある。脈々と受け継がれるこの思想には「国境」という発想がない。そのうち、沖縄もオレのものと言い出すチャンスを狙っているかもしれない。
もう一人、北朝鮮の金正恩主席も「天動説」派かもしれない。日本海はオレのもとばかりに、今年に入って前例のないペースでミサイル発射を繰り返していて、3月24日には2017年以来となる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試射も行った。そして、アメリカとの軍事衝突が起これば、北朝鮮は核抑止力を「動員する万全の態勢が整っている」と表明した(7月28日付・ロイター通信Web版日本語)。
天動説を信じる人たちに、「地動説の科学をコペルニクスやガリレオから学んでください」と進言しても、おそらくもっともらしい反論がかえってくる。「エセ科学を吹聴する人は自分の知識が不十分だと認識する必要がある。あなたこそ学び直しなさい」と逆に説教されそう。
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