報道によると、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会(6月解散)の高橋治之・元理事が大会スポンサー契約をめぐり、受託収賄容疑できのう(17日)逮捕された。賄賂を贈ったとされる紳士服会社「AOKIホールディングス」の前会長、副会長、専務の3人も贈賄容疑で逮捕された。高橋容疑者はAOKI側にスポンサー選定などで便宜を図ることの見返りに、5100万円の賄賂を受け取ったとされる。逮捕者はこの4人で済むのだろうか。何しろ、東京地検特捜部が動いている事案だ。
電通の元専務の高橋容疑者は東京オリ・パラそのものを誘致するロビイストだった。ロイター通信Web版(2020年3月31日付)は、ロイター通信が五輪招致をめぐり高橋容疑者が招致委員会から820万㌦(8億9000万円)の資金を受け、IOC委員にロビー活動を行っていたと報じている。ロビー活動については、国際的にも問題が指摘されている。この疑惑では、フランス司法当局の捜査対象となったJOCの当時の竹田恒和会長が2019年6月に退任している。推測だが、東京地検はフランス司法当局から竹田元会長や高橋容疑者の動向について相当量の情報を得ているはずだ。次は誰か。
高橋容疑者逮捕で、札幌市が目指す2030年冬季五輪の誘致に誤算が生じたのではないか。札幌市が市民に対して行った五輪開催についての意向調査(郵送、3月2-14日)では、「賛成」「どちらかといえば賛成」が52%、「反対」「どちらかといえば反対」は39%だった(札幌市役所公式サイト)。これだけ五輪誘致の裏舞台があからさまになって、誘致反対の市民の勢いが増す。そもそも、日本を代表するロビイストの逮捕で、札幌冬季五輪の招致活動は無理だろう。
波紋はさらに広がる。銃殺された安倍元総理の国葬が9月27日に日本武道館で営まれる予定だが、電通がその運営に関わると報道されている。多くの国の外交団の国葬参列が見込まれ、セレモニーイベントは電通でしか仕切れないというのが実情のようだ。東京オリ・パラの開会式や閉会式の担当も電通だった。国葬をめぐる賛否両論にはいっそう拍車がかかる。
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