きょうの朝刊一面は「自民全敗」の見出しが躍っている。菅政権になって初めての国政選挙となった衆院北海道2区、参院長野、同広島できのう25日投開票が行われた。与野党対決となった長野と広島で自民候補が敗れ、北海道は候補者擁立を見送った、いわゆる自民の不戦敗だった。北海道は贈収賄事件、広島は公職選挙法違反事件の「政治スキャンダル」があり、野党有利の風が吹いた。長野は新型コロナウイルス感染による現職急逝の「弔い合戦」だった。衆参の3つの選挙は、それらしい結果だろう。
むしろ選挙の醍醐味を感じるのは名古屋市長選だ。愛知県知事のリコール運動をめぐり大量の署名偽造が発覚するスキャンダルがあり、そのリコール運動の推進役だった現職の河村たかし氏が、出直し選を含め5回目の当選を果たした。自らは無所属だが、相手は自民、立憲民主、公明、国民民主が推薦する「相乗り候補」だった。選挙で問われる年齢は河村氏が72歳、相乗り候補は59歳。さらに、名古屋市長として初の4期目を賭けた選挙だった。本来ならば逆風となる「スキャンダル、支持政党なし、高齢・多選批判」を見事に乗り越えた「選挙モンスター」だ。
名古屋の有権者は河村氏のどこに共感したのか。本人のツイッターをチェックしてみる=写真=。当選後の日付のものはないが、4月23日付でツイートしている。「ナゴヤ市長選挙。市民(河村たかし)対 超高給職業議員(自民・民主・公明・共産)生活協同組合。とんでもにゃあ。 日本1ナゴヤコロナ対策『感染防止』『くらし・経済』両立。保健所の地を這う調査 しっかり続けて 感染拡大抑え込みます。 動画是非見てちょうよ。」
名古屋市長選は「市民(河村たかし)対 超高給職業議員(自民・民主・公明・共産)生活協同組合」そのものだと表現している。つまり、河村氏は主要政党と全面対決という実に分かりやすい選挙の構図を描いた。その上で、「日本で1番給料の安い市長(人口比圧倒的、年収800万円)」や「日本でただ1つの減税都市ナゴヤ市長になってから10年で1,000億円減税」(同ツイッター)と具体的な数字で訴えた。
ただ、知事リコール運動をめぐるスキャンダル問題は選挙戦でかなり響いた。今回、河村氏は39万票を獲得し得票率は51%、相乗り候補は35万票で同45%だった。前回2017年選挙では河村氏は45万票で得票率67%だった。単純な計算だが、「河村離れ」が6万票、16ポイント、それぞれ減という数字で表れた。
それにしても河村氏のキャラは超絶だ。選挙運動の最終日の演説を終えてのツイッター(24日付)が面白い。「河村たかし72才 政治目指し28年付き合ってくれた古女房自転車とさゅあご(最後)speech。よう不肖河村たかし 皆さん応援してちょうた。サンキューベリマッチ。ほんなら風呂ひゃあて寝るは ばいばい」
気取らずモノを言うこのキャラは日常空間に人を引き込んで飽きさせない。選挙モンスターたるゆえんかもしれない。
⇒26日(月)午前・金沢の天気 はれ