石川県の地元企業である石川製作所(白山市、東証1部)の株価をたまにチェックしている。このところ、同社の株価が再び上昇に転じている。ことし最後、きょう大引けの日経平均は123円安の2万7444円と3日ぶりの反落にもかかわらず、同社の終値は1955円と40円(+2.09%)の上げだった。この「上げ」の背景を憶測してみる。
石川製作所は北朝鮮の動きと連動する株価で知られる。段ボール印刷機、繊維機械を生産しているが、追尾型の機雷も製造する防衛産業でもあり、朝鮮半島でキナ臭さが漂うと同社の株価に注目が集まる。2017年9月、アメリカのトランプ大統領が国連総会の演説で金正恩党委員長を「ロケットマン」と呼び、双方の言葉の応酬が過熱した。トランプ氏が北に対して斬首作戦を決行するのではないかと憶測され、それまで1000円に満たなかった株価は急上昇し、10月には4435円の最高値をつけた。
この一年の北の動きを振り返っても株価が敏感に反応していることが分かる。金氏がことし4月12日の最高人民会議を欠席し、祖父・金日成主席の誕生日である同月15日に安置所がある太陽宮殿への参拝がなかったことが報道されると株価は上昇に転じ、CNNの危篤説の報道(21日付)で1584円に。その後元山(ウォンサン)の別荘に停車している特別列車の衛星画像の公開され、死亡説まで取り沙汰されると4月28日は1710円に。ところが、金氏が姿を見せると、5月7日には152円安の1553円に。南北首脳会談の「板門店宣言」で建設された北南連絡事務所が6月16日に北によって爆破されると、翌日17日には1914円に上昇した。
このところ再び1900円台での上昇が続いている。これをどう読むか。国連安保理が履行を求める国際社会による経済制裁、それに台風と洪水など自然災害の食糧危機などが重なって政治情勢が危ぶまれる。それに、党委員長である金氏の動静が伝わってこない不気味さだろうか。NHKニュースWeb版(12月27日付)によると、北朝鮮国営の朝鮮中央通信や朝鮮中央テレビなどがことし1月1日から今月27日までに伝えた金氏の情報は53件で、これは昨年の113件の半分以下。新型コロナウイルス対策で公の場での活動を控えた可能性がある、と伝えている。
北朝鮮では年明けの1月上旬に最高指導機関と位置づける党大会が開催される予定(NHKニュースWeb版・同)で、ここで金氏が演説する姿を見せるかどうか。もし、不在ならば同社株価の乱高下は来年も続く。
きょうの東証の大納会の模様がネット動画で配信されていた=写真=。年末終値としては史上最高値を付けた1989年(3万8915円)以来、31年ぶりの高値水準となった。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大によって、ことし3月に1万6552円まで下げている。コロナ禍のステージは、強烈な感染力をもつ異変種化へと進んでいる。はたしてワクチン接種で収まるのか。来年をどう読むか。
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