それにしても不思議だ。映画『劇場版 鬼滅の刃』の大ヒットで興行収入が歴代2位などとメディア各社が報じているが、これと新型コロナウイルスの関連性を取り上げているメディアを見たことがない。20代の感染がまん延しているのに、「上映を禁止すべき」といった論調が見当たらないのはなぜだろう。素朴な疑問だ。
このブログで何度も中国漁船による日本海のEEZ(排他的経済水域)の大和堆での違法操業によるスルメイカの乱獲問題を取り上げてきた。その数量は、国立研究開発法人水産研究・教育機構によると、中国漁船が15万㌧を漁獲していると推計している。これは、日本漁船による昨年度の漁獲量の10倍以上に当たる(10月15日付・日刊水産経済新聞Web版)。中国側の漁船団は、漁業権は北朝鮮から購入したもので、その中には大和堆も含まれていると北朝鮮の主張をタテに取り、違法操業を続けるだろう。これが中国による、スルメイカの「略奪」の方程式ではないだろうか。
中国に「略奪」される資源はこれだけではない。大手繊維メーカー「東レ」の子会社が中国に輸出していた炭素繊維が、長年にわたって許可なく中国国内のほかの企業に流出していたことがわかり、経済産業省は外国為替法に基づいて警告し、再発防止と輸出管理の徹底を求めた。炭素繊維は鉄よりも軽くて丈夫で、航空機や自動車などに幅広く使われていて、高性能な製品は軍事転用も可能なため輸出の際には国の許可を取り輸出先や使いみちを厳しく管理する必要がある。経済産業省は、東レの子会社に対して行政指導の中で最も重い警告を行い、再発防止と輸出管理の徹底を求めた(12月22日付・NHKニュースWeb版)。
そして、日本の領土も「略奪」のターゲットだ。11月24日、来日した中国の王毅外相、茂木敏充外務大臣の共同記者会見=写真、外務省公式ホームページ=で、茂木氏は「尖閣周辺の日本の立場を説明し、中国側の前向きな行動を強く求めた」と話したのに対し、王氏は「ここで一つの事実を紹介したい。真相が分かっていない一部の日本の漁船が絶え間なく釣魚島の水域に入っている。中国側としてはやむを得ず非常的な反応をしなければならない。敏感な水域における事態を複雑化させる行動は避けるべき」と。つまり、尖閣周辺の主権を侵害しているのは日本側だと堂々と会見で述べたのだ。
中国は南シナ海の南沙諸島で「九段線」と称して広大な海域の領有権を主張し、人工島の建設を進めその主張を既成事実化しようとしている。王氏の発言は、同じ論法を今度は尖閣諸島で展開する布石だろう。日米安保条約第5条(アメリカの対日防衛義務)の尖閣諸島への適用をにらんで、「漁業基地化」するというのが中国側のシナリオではないだろうか。
日本の首都・東京で堂々と尖閣の領有権を主張したのだから、中国側としては粛々と次なる一手を打つだけだ。日本は新型コロナウイルスと東京オリ・パラの対応に追われている。今が先手を打つチャンスと読んでいるのだろう。
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