自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★「ブラックスワン」の悪夢は尽きぬ

2020年06月29日 | ⇒ニュース走査

   「ブラックスワン(black swan)」という言葉が金融業界の用語にある。確率論や従来の知識や経験からは予測できない極端な事象が発生し、それが人々に多大な影響を与えることを指す(SMBC日興証券公式ホ-ムページ)。この言葉を最近知って、日常生活や日本にとってブラックスワンとは何かと考えるようになった。

   日本海側に住んでいるとどうしても考えてしまうのが、北朝鮮をめぐる情勢だ。南北首脳会談の「板門店宣言」で建設された北南連絡事務所が今月16日に爆破され、世界に衝撃が走った。アメリカと北朝鮮の首脳会談もこれまで3回開かれたが、成果は得られなかった。こうなると、トランプ大統領が2017年の9月の国連総会の演説で金正恩党委員長を「ロケットマン」と呼んだあのころに戻るのではないか、との危惧する。

   そうなると北朝鮮への斬首作戦が現実味を帯びる。斬首作戦は金委員長へのピンポイント攻撃のこと。アメリカによる斬首作戦で知られるのがオバマ政権下で実行された、オサマ・ビン・ラディンに対して行った2011年5月2日のバキスタンでの攻撃だ。もし斬首作戦が現実になれば、大量の北朝鮮の難民が船に乗ってやってくるだろう。ガソリンが切れたり、エンジンが止まった船の一部はリマン海流に乗って能登半島などに漂着する。無事漂着したとして大量の難民をどう受け入れるのか、武装難民だっているだろう。まさにブラックスワンだ。

   ブラックスワンを招くのは異常気象かもしれない。6月に入ってから、日本各地で集中豪雨による洪水が発生している。中国でも長江上流で大規模な水害が発生し、中流域の湖北省宜昌市にある世界最大の水力発電ダム「三峡ダム」が決壊する恐れが出ている、と指摘する専門家もいる(6月29日付・ニューズウイーク日本語版)。想像を絶する被害だろう。

   現実となったブラックスワンは新型コロナウイルスの災禍だろう。アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のコロナ・ダッシュボード(一覧表)の29日の最新版によると、感染者は1017万人、死者は50万人を超えた。ことし1月に全世界でいちはやく感染者情報を公開した同大学だが、これほどのパンデミックになると予想していただろうか。日本でも先月25日に緊急事態宣言が全面解除されたにもかかわらず、きょう東京都では58人の感染が確認され、これで4日連続で50人超えだ。コロナ二波が始まっているのではないか。

   新型コロナウイルスによる感染も怖いが、最近、日本列島の各地で頻発している地震も、大地震の予兆ではないかと不安心理に陥る。今月25日にも千葉県北東部で震度5弱であったほか、九州や中部、関東、東北、北海道で震度3から4の揺れが続いている(気象庁公式ホームページ「地震速報」)。身の回りでも3月13日に能登半島の輪島で震度5強、金沢で震度3の揺れがあった。神経が少々過敏になっているのかもしれない。

⇒29日(月)夜・金沢の天気     くもり

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