自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★WHOの今さらマスク

2020年06月06日 | ⇒ニュース走査

           WHOの公式ホームページによると、新型コロナウイルスの感染が確認された人は世界全体で653万6354人で、亡くなった人は38万7155人となっている(6月5日現在)。きょうのニュースでも、死亡者がもっとも多いのはアメリカの10万9143人、イギリス(4万344人)、ブラジル(3万4021人)と続く。パンデミックの勢いは時間がたっても衰える気配がない。このような数字を見るたびに、WHOはいったい何をやっているのか、素人ながらに気にかかる。

   WHOが5日に行った記者会見でのテドロス事務局長の発言内容が掲載されていた。意外な内容だった。「In light of evolving evidence, WHO advises that governments should encourage the general public to wear masks where there is widespread transmission and physical distancing is difficult, such as on public transport, in shops or in other confined or crowded environments. 」(意訳:エビデンスの進展に照らして、WHOは、公共交通機関や店舗、あるいは他の閉ざされた、あるいは混雑した環境など、感染が広範囲に及び、物理的な距離が困難な場所では、各国政府は一般市民にマスクを着用するよう奨励すべきであると勧告している)

   今さら何をか言わんや、である。そもそも、WHOはこれまで、マスク着用に関して、健康な人が着けても感染を予防できる根拠はないとしていたのである。それを今回、エビデンスが得られたとして、大幅に修正して、感染が広がっている地域で人との距離をとることが難しい場合はマスクを着けるよう、各国政府が勧めるべきだという方針を示したというのだ。

   WHOの機能不全を感じたのは1月23日だった。中国の春節の大移動でフランスやオーストラリアでは感染者が出ていたにもかかわらず、この日のWHO会合は時期尚早と「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言を見送った。同月30日になってようやく緊急事態宣言を出したが、渡航制限勧告は見送った。このとき、日本をはじめアメリカ、フランスなど各国政府はすでに武漢から自国民をチャーター機で帰国させていた。

   WHOは保健衛生の制度が比較的貧弱な国々に感染が広がることを懸念しているのは間違いない。1月30日の緊急事態宣言とのときも、テドロス氏は「宣言する主な理由は、中国での発生ではなく、他の国々で発生していることだ」と述べた(1月31日付・BBCニュースWeb版日本語)。途上国にパンデミックが広がるまで待つという、「タイムラグ」感が逆にパンデミックを増長させてきたのではないだろうか。あるいは、中国への「配慮」に途上国を使ったのか。

⇒6日(土)夜・金沢の天気    はれ

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