少し胸が苦しいような気がしてはいたが、まあ日常的に左程の支障がないという感じなので、家内にも黙っていた。ところが、布団の上げ下ろしに、しんどさがあり、ついに問い詰められて、しんどいような気がする、と言わされた。
前歴のある身でもあり、早速、病院に電話することとなり、翌日、診察を受けた。医師は、当日の諸検査の結果をみて、カテーテル検査を勧めた。前回の手術から、もう7年も経つ。
そう言えば、前回のカテーテル治療の結果は、万全の合格ではなく、いわばスレスレの合格であったことを、思い出す。
今回、自転車漕ぎなどでも、あまり異常を感じなかったので、検査は合格だろうと思っていたが、さにあらず、やはり異常はあったらしい。
7年も経つと、治療のやり方など変化していて、僅か2泊3日で退院となった。
腕からのカテーテル検査の結果ほとんど心臓の冠動脈が2本つまりかけているという。これから治療に移ります、となった。術中は、かなり胸が苦しく、手術は、ほぼ2時間を要した。これはかつて経験しないことだった。
技術の進歩もあるのだろう、医師は全部通りました、と明確に、いい、さらに明日、退院です、の声を、直後の手術台のベッドのうえで聞いた。
安定剤を飲んでいるし、先ほどの痛みの余韻もあって、さらには腕には大層なガードががっちり巻かれていて、これで明日退院できるのかいな、とぼんやり思っていた。
だが、時間が経過するうちに、胸の痛みは徐々にひき、点滴の管が外され、ウデのガードも外されると、退院の実感ができてきた。
7年前はこうはいかなかった。まず、検査のカテーテルをやって、対策が決まってから、治療に移る。一度に検査と治療はしていなかったから、日程的にも負担だった。
手術後、体感は相当変わった。今まで、しんどかったことが実感できる。新しい命をもらった感じである。それにしても、徐々に体調を崩していたことをまったくと言っていいほど、気付いていなかったことに驚く。
いつも手術前には、「五蘊皆空」を思い、それなりに覚悟を決めているのだが、ウクライナの人々のことを思うと、命を大事にされていることの有難さを感じるとともに、プーチンの「価値観」の所為で、多くの人々の命が、実に粗略に扱われ、その扱いの残虐さに、あらためて怒りを禁じえない。