デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

フェリーニのローマ

2008-01-20 16:45:32 | 観覧雑記帳
作品名 「フェリーニのローマ」
監督:フェデリコ・フェリーニ
製作:トゥーリ・ヴァジーレ
脚本:フェデリコ・フェリーニ、ベルナルディーノ・ザッポーニ
撮影:ジョゼッベ・ロトゥンノ
音楽:ニーノ・ロータ
美術:ダニロ・ドナティ
出演:ピーター・ゴンザレス、フィオナ・フローレンス、ピア・デ・ドーゼス
上映時間:119分
1972年 ウルトラフィルム(伊)レ・ザルスタ・アソシェ(仏)

何年ぶりでこの映画を見たのだろう。フェリーリの映画の中で一番好きな作品は『アマルコルド』なのだが、この映画もアマルコルドの延長にある映画といっていいだろう。最初見たときの一番の衝撃は、地下鉄工事の時に空洞部分にぶちあたり、工事を中断し、この空洞の壁の一部を壊して中を見ると、この世のものとは思えない奇蹟としかいえない古代ローマの壁画が彫刻が現れる。工事の模様を撮影していたグループと工事スタッフが中に足を踏み入れ、その2000年前の素晴らしい美術作品にうっとりしていると、突然触れた外気によって、その壁画の色が消えていくというシーンだった。今回見てもやはりこのシーンはすごかった。フェリーニの映画の底にいっかんして流れる儚さを見事に映像化している。
このシーンが強烈すぎて、正直いってこのシーンしか覚えていなかったのだが、いまあらためて見ると、他にもいろいろ面白いシーンがたくさんある。
この映画は、世界の若者たちが体制に対して、政治的だけでなく、文化的なもの、社会的なものにノンを表現していた時代に制作されているわけだが、その当時のローマの現在と、第二次世界大戦下のローマの人々の生活が交錯しながら描いていくのだが、戦争下のミュージックホール、そして売春宿の場面が、抜群に面白かった。あのミュージックホールで演じている芸人さん群像もそうだが、あの猥雑な観客群像の描き方は、アマルコルドに出てくる庶民と重なりあう。
やはりフェリーニである。少しも色あせていない。
満足度 ★★★★

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« AT編集会議 | トップ | しばしのお別れ »

コメントを投稿

観覧雑記帳」カテゴリの最新記事

カレンダー

2024年8月
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

バックナンバー