デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

オオカミだ!

2023-09-11 05:16:59 | 観覧雑記帳
ジャンル 演劇
出演 ケッチ  演出 中野敦之
会場 ザ・スズナリ  観覧日 2023年9月9日午後2時(終演3時5分)

がーまるちょばで人気ものになったケッチが、がーまるをやめてソロ活動を始めたということを聞いて、なにをやろうとしているのか気にはなっていた。その彼がKATTでクラウンパレードをできないかと相談した中野氏の演出で、作品をつくったというので、これは見ないといけないなと思って、でかけた。
前二列には家族連れが陣取って、この子どもたちが実に生き生きとちょっかいを出してくれて、60分あまり楽しい一時をすごすことになった。
なにより客とのやりとりの中で、ケッチが堂々と子どもたちのツッコミをさばいていったのに感心した。おそらくつくる側はこの子どもたちのつっこみを計算にいれていたと思う。ただどんなツッコミが入るかはその日の客次第、それをどうするかは、ケッチのクラウンとしての実力のみせどころになるが、実に見事だった。相当自信があったかと思う。つっこみを受けるだけでなく、流し、決して本筋から逸脱させずに、客たちにも不満を与えず、冷静に対応していた。いままで踏んできた場数で鍛えたものなのだろう。
「三匹の子ブタ」という誰でも知っている話を、紙芝居を見せながら、その紙芝居の内容をオオカミに扮したケッチが言葉を使わずに、進行させていく。面白かったのはマイムの特性をうまくつかっていたなということ。マイムで一番わかりやすい、壁やロープを随所にはさみ、ムーンウォークなどもつかいながら、これはマイムだよと見せつけたこと、これだけを見せられると鼻白むところだが、挟み方がうまかった。マイム劇ではないということがはっきりとしていた。
昔「ジェスチャー」という番組があって、柳家金五郎や水之江タキコがキャプテンとなり、与えられたお題をマイムで演じ、そのお題を当てさせるというゲームがあった。マイムを演じるケッチに、これはなにをしているのか一生懸命客席で子どもが説明するのをみて、このジェスチャーを思い出した。マイムで気をつけないといけないのは、動きが状況を説明するようになること、それをこれは逆手にとっているかもと思ったりした。
黒子の役をしていた女性の動きがとても良かった。この作品はどんどん進化していくと思うが、この黒子さんが今後どのようになっていくか楽しみだ。いいなあと思ったのは、黒子さんが素顔を現すとき、赤鼻をしていたこと。
構成としては、紙芝居の世界を紙芝居から抜け出して、見せていくということになっているのだろうが、入りのところで、この抜け出すというのが、いまひとつわからなかった。ラストで紙芝居の世界に戻るというところで紙芝居でおわりというところでエンディングなのだが、この戻るというのがとても印象的だったので、紙芝居から抜け出すというところをしっかり見せた(おそらくそういう仕掛けを見せていたのではないかと思うが、はっきりとわからなかったので)方がいいかと思う。
わら、木製、そしてレンガの家ということになるわけだが、風で吹き飛ばし、マッチで火をつけて燃やす、そのあとのレンガの家をどう克服するかかというのが、見せ所になっている。ここにどうやって入るかというなかで、鍵や番号コード、顔認証などという流れで見せていき、入ってトイレに閉じ込められるという場面は、面白かった。あれもふくらませていけるような気がした。
マイム劇でもない、クラウン芝居でもない、なにか新しい作品が生まれていくそんな予感をもたせてくれた劇だった。
ゆっくり時間をかけて、いい作品にしてもらいたい。
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