デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

北の大衆芸

2010-09-30 23:57:58 | お仕事日誌
書名 「聞きがたり 北の大衆芸」
著者 川嶋康男    出版社 みやま書房  出版年 1980


この本が出されたのは1980年の暮れ。このくらいまでがいわゆる大衆芸能と呼ばれていた芸能が、しぶとく生き残れた最後だったのかもしれない。
本書で取り上げられている大黒舞、福人形師、獅子舞といった門付けの芸、さらには北海道内で活躍する大衆劇団、さらには田舎歌舞伎、浪曲で農村を廻る芸人たちなど、いまでは消滅してしまったその芸能の豊さに驚く。しかも北の果て、ここから先はないところに流れ着いてきた芸人さんたちなのである。
いまでも伊勢大神楽は西日本を中心に廻っているものの、それ以外に門付けのようなものはほとんどなくなってしまったと言っていいだろう。それを書き留めた本書の意義は大きい。いくぶん感情過多になっているところに臭さは感じるところもあったが、北を彷徨う芸人さんたちへ注がれるまなざしは優しい。特に印象深かったのは、桜前線と共に、花見客を相手に流す放浪演歌歌手の手記。岡崎からはじまり、北の果てまで旅して歌うことで日銭をかせぎながらその北上する姿に、なんともいえない共感を感じてしまう。
流れることが生きることなのだ。北海道というほんとうにどん詰まりのところに根をはったり、または流れ込んできたりという芸人さんの群像を描くことで、流離いの芸人たちの相貌が立ち現れてきたといえるかもしれない。

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