デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

私家版・ユダヤ文化論

2008-01-11 15:34:46 | 買った本・読んだ本
書名 「私家版・ユダヤ文化論」
著者 内田樹 出版社 文藝春秋(文春新書) 出版年 2006年 定価 750円

ユダヤ人の問題にそれほど興味はないのだが、半ば押しつけられるように渡されてしまい、読まなくてはいけないハメに。ということで読みたくて読んだ本ではなかったのだが、結構面白く読めた。著者は、奥さんが絶賛していた「寝ながら学べる構造主義」でも知られる学者さん。なかなか巧みな語り口で、ユダヤ人とは一体何者なのかという難問に、迫っていく。ユダヤ人という民族も宗教も存在しない、ユダヤ人とは、非ユダヤ人が、規定した概念であったという、最初の問題提起から、何故ユダヤ人は迫害されなくてはなからなっかたに絞って説き起こす語り口は、非常に明快でわかりやすい。織り込まれているエピソードも知らなかったことばかりで、興味を惹かれることがいくつかあった。特にシベリア出兵のときに、日本人が初めて知ることになる「シオン賢者の議定書」の存在と内容、のちのナチのユダヤ人虐殺の前触れといってもいい、19世紀末の大ベストセラー書でユダヤ人を一方的に揶揄したドリュモンの「ユダヤ的フランス」について、さらにはこの本の最後の予言に従うかのように現れるモレス侯爵についての記述は非常に面白く読めた。
満足度 ★★★



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