デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

ミステリア・ブッフ

2015-11-22 05:40:02 | 観覧雑記帳
作品名 「ミステリア・ブッフ」
作 ウラジーミル・マヤコフスキー
出演 地点
演出 三浦基
音楽 空間現代
会場 にしすがも創造舎
観覧日 2015年11月20日(金)午後7時半から

マヤコフスキーはこの戯曲についてこの戯曲は革命への道である、時代にあわせて改変してくれと書いていたように思う。彼がこの地点と空間現代のこの芝居を見たら、どんな感想をもっただろう。あまりにも変わっていてびっくりしながらも拍手を送ったのではないだろうか。戯曲の流れに沿わずに、独自の視点から分節化していきながらまさに21世紀のいま、テロが広がろうとしているいまの「ミステリア・ブッフ」を提示してきた。前に加藤直演出の「ミステリア・ブッフ」を見たとき、感じたのはなぜこの芝居をいまやるのかという疑問であった。マヤコフスキーやメイエルホリドへのノスタルジアにはなっていたかもしれないが、マヤコフスキイが求めていたはずの「いま」が完全に欠如していた。その「いま」が今回の三浦演出のこの芝居にはあった。
最初の方のセリフで「階級闘争のような」というのがあったかに思う。マヤコフスキイが描いたブルジョワとプロレタリアという単純な構図をいまに置きかえてみると、階級闘争では抽出できない構図でいま世界は対立している。三浦が意図したのかどうかわからないが、こんな現代が見えてきた。終盤の約束の地を探す中で、「天国の先にある約束の地を掘り起こす」というセリフもあったが、まさにマヤコフスキイが夢見たはずの約束の地をいま現代は誰もイメージできないということに思い当たる。理想郷さえも描くことできない現代が浮かび上がった。
それにしてもこの劇団の俳優さんの実力はたいしたもんである。以前KATTで見たときは遠くからでよくわからなかったが、実に正確な動きをしていた。円形のサーカス場のような舞台空間がこの芝居にはとてもあっていたと思うが、この空間の中で存分に動き回り、濃密な演劇空間をつくりあげていた。
予想はしていたが、自分がイメージしていた「ミステリア・ブッフ」とはまったく違う「ミステリア・ブッフ」になっていた。やはりこのくらい裏切ってもらわないと、ととても満足している。


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