伊藤唯「愛すべき未来のために我が道を」
阿部一彦「伊藤唯さんと女川1000年後のいのちを守る会」
小野智美「言葉を杖に立ち上がる「女川一中生の句 あの日から」十四歳の九年後」
大島かや子「『言葉』でつなぐ3・11 国語教育と震災」
「女川一中生の句 あの日から」という本を手にしたのは、千駄木で一箱古本市があったときでした。出版した羽鳥書店で開催された小野智美さんが撮影した女川の写真の展示会でこの本が売られていました。それから数ヶ月後石巻に行ったときに、石巻まちの本棚でたまたま小野智美さんのトークショーがあり、ここで初めて小野さんと出会い、そしてそこで女川一中で俳句を詠んでいた高校に入学したばかりの木村君と知り合いました。木村君はここで中学の卒業式で読んだ答辞を朗読してくれたのですが、これにどれだけ胸を打たれたことか。涙がとまらなくなりました。被災し、家族や友人たちを亡くしながら、その痛みを家族や仲間たちとわかちあいながら懸命に生きている姿が見事に伝えていました。どうしてもこれを多くの人たちに読んでもらいたく、「石巻学」創刊号にこの答辞を掲載、小野さんにも原稿を書いてもらいました。今回は伊藤唯さんにその時詠んだ俳句について、九年後のいまから見てどう思うかを書いてもらいながら、あの時のこと、そして九年後のいまについての思いを自分の言葉で書いてもらいました。そして小野さんには七人の中学生たちのいまをレポートしてもらいました。小野さんの原稿を校正などのため五回以上は読むことになったのですが、毎回涙しながら読んでいました。いまも一生懸命に生きている女川の若者たちの姿にぜひ触れて欲しいと思います。
千駄木の羽鳥書店で小野さんの本を、高校で国語の教師をしている長女にプレゼントしました。彼女にとってはたいへんな刺激になったようで、自分が教えている学校で、小野さんや俳句の授業をしていた佐藤敏郎先生の講演会を企画し、さらにはあの時女川の子供たちが詠んだ俳句を授業にとりいれたりしています。その授業についてレポートしてもらっています。(大島幹雄記)