書名 「嘉永五年東北 吉田松陰『東北遊日記』抄」
著者 織田久 出版社 無明舎出版 出版年 2001
朝日新聞土曜Beの道紀行で吉田松陰が歩いた東北という記事を読んで、この本のことを知り読むことになった。興味を持ったのは、松陰が東北を旅していたことである。あまり東北に縁はなさそうなのだが、何のために東北を旅したのか気になった。彼は江戸で学んでいたときに、脱藩までして旅に出たのは、いま自分が何をすべきかを、書を読むだけでなく、実際に行動することから知りたいと思ったからだ。それが旅だった。何かを見聞するというよりは、旅にでも出ないといてもたってもいられない、そんな青春の思いからのようだ。行程がなかなか面白い。水戸の方に出てから会津若松、それから新潟に出て、佐渡に渡り、秋田を経て青森の津軽、下北、それから盛岡を経て石巻、仙台と渡っている。地図でもついていればその足跡を追えるのだが、このコースはなかなか魅惑的である。イザドラ・バードは福島に出て、そこから山形に入り、秋田、青森と回っていた。江戸から川づたいで水戸に出るというコースが、なかなか面白い。いつになるかわからないが、東北一周徒歩の旅をするという夢を持っているが、街道筋を歩くだけでなく、川を使うというルートはちょっとためしたい気になってきた。それにしても何故松陰は東北を旅しなければならなかったのか、この本を読む限り、なにか行動を起こさないという思いに駆られてということになってしまいそうだが、それだけではない、なにか他に理由があったのではないかという気がした。それを知るためには、『東北遊日記』を読まないといけないようだ。