ダンポポの種

備忘録です

香り消しゴム

2008年03月15日 09時32分24秒 | 備忘録
西宮で過ごした小学生時代の思い出。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

当時、香り付きの消しゴムというのがあって、私が通ったT小学校でも、断続的にこれが流行した。

私が転校してきた直後の3年生のときに一時的な流行があって、その後、5年生から6年生にかけての時期に再び流行。高学年になっていたこともあってかブームが深度化し、香り消しゴムの一大流行期が築き上げられた。

私がいたクラスでは、主に女子の間で始まったブームだったけれど、ほどなく男子も追随し、気づけば教室内が香り消しゴムだらけになっていた。

カステラ、コーヒー牛乳、みかんジュース…など、子供たちが好きそうな甘い香りがいろいろあって、休み時間の教室内は、消しゴムの品評会場みたいな雰囲気になった。
お互いに香りを嗅ぎあって喜んでいるうちは可愛らしいものだったが、他人が持っていない〝珍しい香り〟の消しゴムを自慢する者が出始めると、状況は一気にエスカレートしていった。もう、止められない。

『クラスメートの注目を集める秘訣は、他人が持っていない香りにあり!』

とばかりに、ディープ・コレクターへの道を突き進んでしまう子が出現し、それは、日替りで大量の香り消しゴム(各種)を持ってくる〝女王〟を降臨させることになった。
「今日の香りは、たこやき…」とか言って。


言うまでもなく、こういうのは集め始めるときりがない。
典型的な、子供の無駄遣いでもある。
また、その取り扱いが、消しゴム本来の用途から逸脱していた点も問題化した。

〝珍しい香り〟を求めて校区外の文房具店へ買いに行っている奴がいるらしい…という噂が流れたり(→保護者の同伴無く児童だけで校区外へ出かけたらダメというお約束だった)、教室内での消しゴムの紛失事案も相次いだ(→盗難の疑いも拭えなかった)ため、最終的に、学校側からその旨を戒める指導が入って、ブームは一気に終息へ向かうことになった。

『消しゴムは文房具』という大義名分のもとに教室内への持ち込みが許されていた香り消しゴムの時代は、こうして幕切れを迎えたのである。



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