ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 週末の興行成績 [9月13日(金)~9月15日(日)]と、人気順位 ►浮島丸事件の韓国ドキュメンタリーのこと等

2019-09-17 23:20:45 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
<コリアン・シネマ・ウィーク 2019>は四谷三丁目の韓国文化院で10月29日(火)~11月2日(土)開催。「ゴールデンスランバー」「Be with you~いま、会いにゆきます」「ロマン」「また、春」の4作品が上映されます。ただし10月29日(火)は<プレミア先行上映会>ということでシネマート新宿で「完璧な他人」を上映。この作品だけは有料です。応募期間はすでに始まっていて、締め切りは10月21日(月)。作品の紹介や上映日程、応募方法等については→コチラ参照。

▸9月19日から韓国で「우키시마호(浮島号)」が公開されます。終戦後まもない1945年8月24日、大勢の朝鮮人を乗せて青森県大湊港から釜山に向かう海軍特設運送艦・浮島丸が舞鶴湾内で沈没した浮島丸事件を扱ったドキュメンタリー映画です。日本のウィキペディア(→コチラ)によると、乗組員255名と朝鮮人3,725名(4000名、あるいはもっと多いとも)を乗せて航海中アメリカ軍が敷設していた機雷に触雷して沈没し、乗組員25名と朝鮮人524名が死亡したとされています。ただ、この数字は事件後27年ぶりに明らかにされた名簿記載の人数で、正確な死亡者数は不明であり、また沈没の原因についても<浮島丸自沈説>といった風説・臆説も流布されてきました。それらの疑問に基づいて日本では「エイジアン・ブルー 浮島丸サコン」(1996)が作られ、北朝鮮では「살아있는 령혼들(生きている霊魂たち)」(2002)が作られました。そして今回の韓国映画「浮島号」の視点はというと、ポスター(下左)のキャッチコピーを見ればおよそわかります。(映画自体は観てないので「およそ」しかわかりませんが。)
     
 船を追うように海に沈んでゆく女性の絵が背景で、下段のタイトルよりも大きい上部の文字は「일본은 살인자다(日本は殺人者だ)」、その上には「われわれは忘れてはならない。わが民族8千余名を水葬虐殺した」とあります。なんという断定的で強烈な言葉、そして日本のウィキペディアの2倍の数字とは・・・。下のタイトルの上には「予定された爆沈」と記されています。これだけ断定的な言葉を並べるには、明らかな根拠があるのかどうか?
 右のティーザーポスターはさらに論議を呼びそうです。上から「独島は日本の地だ 慰安婦は補償した 強制徴用はなかった 生体実験は証拠がない そして 浮島号は事故だった!」と記され、「살인자 일본(殺人者 日本) 真実を隠蔽している!」と続き、その下に安倍首相の写真が・・・。
 ・・・というわけで、最近の政治的対立を念頭に置いた宣伝をしているようです。もし日本で韓国をターゲットに映画を製作して同じようなポスターで宣伝したらおそらくヘイト認定されるのではないでしょうか? ただ、公開前の現時点でネチズンの→カキコミや→レビューを見ると、韓国でも国民皆が一枚岩ではないことがわかります。評点はポイント10点と1点の両極に2分され、サンプルは約30ほどですがその比率は1:3で、否定的なものの方がずっと多いです。批判的な短評はたとえば次のようなもの。「この国の日本に対立する宣伝物は克服ではなく、嫌悪の性格が強い。私たちが批判する日本が過去ナチスドイツのアーリア人第一主義と変わらない。日帝残滓清算と言うが、民族主義から清算しなければならない」、「映画を作るのはいいとしても、このポスターの文言ははちょっとないんじゃないか? 友好の姿勢はなく、日本独自の絶対悪で片付けてしまっている」「また反日扇動映画か? 韓国が日本に植民地支配を受けたといっても、その間不合理なことがあったとか、一部の人たちが被害を受けたことははっきりしているが、すでに政府主導で何度か日本の謝罪と補償が莫大な規模で成されてきた。好悪はあろうが、日本は世界第3位の規模の重要な経済上安全保障上のパートナーだ。」。
 私ヌルボ、この映画自体は観ていないので批判はできませんが、ポスターを見るかぎり、過去の事件(事故)を見る視点のミゾの深さを痛感するとともに、日韓の歴史に関連する題材で映画を作ることはいいとしても、それを現在の政治的対立を助長するような文脈で宣伝することには大きな疑問を抱かざるをえません。
 ※この件についてのメディア報道(日本語)は→聯合ニュース、→中央日報の記事があります。
 ※誤解を避けるためあえて付記しておきますが、私ヌルボはいわゆる反日でも嫌韓でもありません。文在寅大統領に対してはかなり強い批判的見解を持っていますが、安倍首相支持者では「断じて」ありません。

▸李玉善(イ・オクソン)さん等、ナヌムの家で生活する元慰安婦の皆さんの日常生活を撮ったドキュメンタリー「回り道」(本ブログでは「遠回りの道」)の上映会が10月5日(土)川崎市のエポックなかはらで開催。(→コチラ参照。)
 韓国の国家保安法をテーマにしたドキュメンタリー「不安な外出」上映会は10月26日(土)東京・水道橋の在日本韓国YMCAで。(→コチラ参照。)

         ★★★ NAVERの人気順位(9月17日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(1) 痛いほど愛する(韓国)  9.66(151)
②(2) 愛の贈り物(韓国)  9.65(289)
③(4) 主戦場  9.54(939)
④(-) 星の庭園(韓国)  9.54(187)
⑤(3) 僕のワンダフル・ジャーニー  9.48(404)
⑥(5) アラジン  9.39(26,395)
⑦(6) 明かりの下で(韓国)  9.35(17)
⑧(8) レッドシューズ(韓国)  9.26(3,740)
⑨(7) 教会のお兄さん(韓国)  9.26(1,536)
⑩(-) 劇場版 パンジーの秘密日記(韓国)  9.21(67)

 ⑩「劇場版 パンジーの秘密日記」が新登場ですが、この作品については後述します。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 寄生虫[パラサイト](韓国)  9.06(16)
②(2) 幸福なラザロ  8.40(5)
③(3) ハチドリ(韓国)  8.38(13)
④(4) トイ・ストーリー4  8.09(11)
⑤(5) キム君(韓国)  7.57(7)
⑥(6) 主戦場  7.33(6)
⑦(7) EXIT(韓国)  7.23(13)
⑧(8) 動物、園(韓国)  7.20(5)
⑨(9) ユヨルの音楽アルバム(韓国)  7.13(8)
⑩(-) 私の家(韓国)  6.90(10)

 今回新登場の作品はありません。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績9月13日(金)~9月15日(日) ★★★
           「悪い奴ら:ザ・ムービー」以下5位まで韓国映画が独占

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(45)・・悪い奴ら:ザ・ムービー(韓国)・・9/11・・・・・・1,968,975 ・・・・・・2,681,106・・・・・・・・23,851・・・・・・1,511
2(15)・・タチャ:ワン・アイド・ジャック(韓国)・・9/11・・981,573・・・・・1,684,381・・・・・・・・15,135・・・・・・1,415
3(16)・・がんばって、ミスター・リー(韓国)・・9/11 ・・・・886,040・・・・・・・・886,040・・・・・・・・・7,666 ・・・・・・・990
4(2)・・劇場版 ハローカーボット・・・・9/04・・・・・・・・・119,569・・・・・・・・503,266・・・・・・・・・3,903 ・・・・・・・595
       :月世界を助けて!(韓国)
5(4)・・EXIT(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/31 ・・・・・・・・・95,933 ・・・・・・9,387,113・・・・・・・・78,940 ・・・・・・・404
6(1)・・IT/イット THE END ・・・・・・・・・9/04 ・・・・・・・・・51,389・・・・・・・・557,014・・・・・・・・・4,819 ・・・・・・・284
       “それ”が見えたら、終わり。
7(49)・・劇場版 パンジの秘密日記(韓国)・・9/15 ・・・・・・・37,746・・・・・・・・・56,177 ・・・・・・・・・・457 ・・・・・・・422
8(3)・・ユ・ヨルの音楽アルバム(韓国)・・8/28・・・・・・・・・・29,280 ・・・・・・1,225,563・・・・・・・・10,069 ・・・・・・・263
9(10)・・ハチドリ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・8/29・・・・・・・・・・14,534・・・・・・・・・73,205 ・・・・・・・・・・608 ・・・・・・・・68
10(新)・・イエスタディ ・・・・・・・・・・・・・・9/18・・・・・・・・・・13,014・・・・・・・・・15,636 ・・・・・・・・・・147 ・・・・・・・・57
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 9月12日(木)〜15日(日)‎、韓国は秋夕(チュソク.日本のお盆休みに相当)の大型連休で、それに合わせて自信作を投入したためか、韓国映画が多くの観客を集めました。その結果新登場3作がベスト3を占め、ベスト10中8作品が韓国映画という盛況ぶり。今夏パッとしなかったのがウソみたいです。
 今回の新登場は1・2・3・7・10位の5作品です。
 1位「悪い奴ら:ザ・ムービー」は、韓国の犯罪&アクション。刑務所の護送車が転覆し、乗っていた極悪犯人たちが逃亡するという事件が起きます。警察はこれに対し<特殊犯罪捜査課>を特設します。それは収監中の犯罪者たちで結成したチームで凶悪犯を捕まえるという極秘プロジェクトでした。「狂犬をまた放しましょう!」 オ・グタク(キム・サンジュン)班長は、過去共に活躍した伝説の拳パク・ウンチョル(マ・ドンソク)を訪ねて<感性詐欺師>クァク・ノスン(キム・アジュン)と元刑事コ・ユソン(チャン・ギヨン)を迎え入れて新しいチームを構成します。新しいメンバーが合流してさらに強力で緻密になった悪い奴らは、この事件を暴くにつれ背後に巨大な犯罪組織があることを直感して、もっと悪い奴らを掃討するために動き始めます・・・。原題は「나쁜 녀석들: 더 무비」です。
 2位「タチャ:ワン・アイド・ジャック」は、韓国の犯罪&ドラマ。伝説のイカサマ師チャックィの息子で就職浪人中のイルチュル(パク・ジョンミン)は、勉強には興味はありませんがポーカーには抜きんでた実力があります。ある日、ポーカーの場で偶然知り合ったマドンナ(チェ・ユファ)の妙な魅力に魅かれたイルチュルは、彼女の連れのイ常務(ユン・ジェムン)にだまされてポーカーで苦渋をなめ、金もプライドも失うはめに。そんな崖っぷちに追いつめられたイルチュルの前に現れたのは、正体不明のイカサマ師エク(リュ・スンボム)でした。巨額の賭けられた大きな賭場を準備したエクは全国のイカサマ師たちを呼び集めます。そこでイルチュルはそれぞれに巧みなワザを持ったイカサマ師たちと<ワン・アイド・ジャック>チームを組んで人生を変える新しい勝負に臨むのですが…。原題は「타짜: 원 아이드 잭」です。
 3位「がんばって、ミスター・リー」は、韓国のコメディ&ドラマ。チョルス(チャ・スンウォン)は道行く人が立ち止まるほどの完璧な美男子ですが、顔とは違って子供よりも子供っぽい青年。ある日彼の前に大人よりもっと大人っぽいしっかり者の少女セピョル(オム・チェヨン)が現れます。彼女はなんとチョルスの娘だと名乗ります。「今日初めて会ったのに、僕の娘だって?? 誰なの、君は?!」。青天の霹靂のように「娘」と出会ったチョルスのミステリーな正体が明らかになっていきますが・・・。原題は「힘을 내요, 미스터 리」です。
 7位「劇場版 バンジの秘密日記」は、2017年1月からKBS1テレビで放映されているアニメの劇場版。最近、雨が降る日に鈴の音と共に友だちが1人2人と消える事件が起り始めました。ところがある日、パンジのお父さんも消えたとは!ㅠ_ㅠ パンジは、親友のウンシムとニャムニャムと一緒にお父さんを探しますが、その時、謎のパン屋が現れ、あっという間に怪しいお菓子の世界に引き込まれました。アイスクリームの丘とチョコレートの洞窟、シュークリームの大魔王にバゲットの兵士たちが守る甘く不思議なそこは一体どこなの・・・!? 原題は「극장판 반지의 비밀일기」です。
 10位「イエスタディ」は、あのビートルズの大ヒット曲をモチーフにした2019年のイギリスのファンタジー・コメディ。
ミュージシャンといってもジャック(ヒメーシュ・パテル)は無名の存在で日々かろうじて音楽をしている状態でした。そしてついにすべてをあきらめしよう瞬間、全世界が同時に停電が起こります! その時ジャックは交通事故に遭って昏睡状態に陥ってしまいます。やがて目を覚ますと、世界からザ・ビートルズとその音楽が存在しないことになっていて、彼らの名曲を覚えているのは世界でジャックだけになっていました。ジャックはそれを利用して、ビートルズの曲を歌って成り上がろうとしますが・・・。韓国題は「예스터데이」。日本公開は10月11日です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・ハチドリ(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・8/29・・・・・・・・14,534・・・・・・・・・73,205 ・・・・・・・・・608 ・・・・・・・・・・68
2(27)・・100日で100の物事 ・・・・・・・・・・・・9/12 ・・・・・・・・・6,449・・・・・・・・・・9,785 ・・・・・・・・・・79 ・・・・・・・・・・37
3(3)・・私の家(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・8/22・・・・・・・・・・2641 ・・・・・・・・47,924 ・・・・・・・・・387 ・・・・・・・・・・56
4(12)・・シェルブールの雨傘 ・・・・・・1992/9/26 ・・・・・・・・・1,385 ・・・・・・・・15,025 ・・・・・・・・・110 ・・・・・・・・・・11
5(14)・・解き放たれて/Unleashed ・・・・・・3/27 ・・・・・・・・・1,146 ・・・・・・・・18,603 ・・・・・・・・・・98 ・・・・・・・・・・・3

 2位「100日で100の物事」(仮)が今回の新登場。ドイツのコメディです。小さい頃から一緒に育ち、IT会社も共同運営、住む家も上と下の隣同士のポール(フロリアン・ダーヴィト・フィッツ)とトニー(マティアス・シュヴァイクホッファー)は、かけがえのない腐れ縁(?)友だち。スマホとアマゾンがないと生きられない消費王のポールと自信と毛生え薬がなければ生きられないトニーが1,400万ユーロというビッグディール成立後の祝賀パーティーでひどく酔って、神経戦を繰り広げた末、腹立ちまぎれに荒唐無稽な賭けをしてしまいます。すべてを捨て去った後、1日に1つのものを返してもらって100日を堪えなければならないという<100日チャレンジ>です。親友同士の奇想天外な100日チャレンジの展開ははたして・・・。韓国題は「100일 동안 100가지로 100퍼센트 행복찾기(100日間100個で100%しあわせ探し)」ですが英題は「100 Things」とシンプル。間を取って課題としました。日本ではNetFlixで配信のようです。


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