ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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アートとしてのハングル 書家・韓泰相の試み

2010-07-31 23:59:43 | 韓国の芸術
 月刊誌「pen」7月号の特集<書のチカラ>中に、「世界を席巻する、日・中・韓の現代書家」という記事があることを教えられ、目を通してみました。
 日本の柿沼康二には<自分の魂と戦う、書の格闘家>とあり、中国の李強には<勇壮で典雅な、中国書壇の風雲児>、そして韓国の韓泰相(한태상.ハン・テサン)には<"書"を超えた、ハングルの造形美>と、各々見出しが付けられています。
 このブログの主旨に沿って、韓泰相氏の書に絞って見てみます。

 韓国では書道のことを書芸(서예)といいます。
 仁寺洞などに行くと、墨・硯・筆・紙の<文房四宝>を売っている店があったり、書芸の作品を展示・販売している店もあることは知っていましたが、私ヌルボ、これまで購入はもとより、じっくり作品を鑑賞するということはありませんでした。
※あるサイトでは、「筆や硯は、中国で見つけた方が面白いし、墨は日本のものの方が上質…。結局、お薦めは韓紙かな、と思います」と記されてましたが・・・。
 ただ、漢字だけでなく、ハングルについても、主に伝統を感じさせる書法で書いたものは伝統茶の店や食堂等に貼ってあるもの、包み紙等々でしばしば目にしてきました。
 ところが、「pen」に載っている韓泰相の5作品は、伝統的な書とは別の現代アートといった趣き。(柿沼、李強の作品も同様。) ソウル教育大学校美術科教授という彼の肩書きにも関係するのでしょうか?
 この雑誌掲載の作品はネット上を探してもないようなので、韓国サイト等で拾ったものを下に掲げます。

    
       【韓泰相「문자이야기 08-Ⅲ」

 また「週刊韓国」のサイトに、「韓泰相ソウル教育大学校美術科教授"ハングル書芸の絵画化実験"」という記事が見つかりました。作品を背後に彼自身が写っている写真が付いています。

       
  【韓泰相は、このようなふつうの(?)作品も書いています。

 さらに2008年6月の「女性新聞」の記事で<ハングルカリグラフィTシャツ>というTシャツが発売され好評を博しているというものがありました。発売元ティウムのサイトは→コチラ。ハングルをデザイン化したいろんな商品があります。

 韓泰相と、趙盛周(조성주)余泰明(여태명)の3人の書家の字をあしらったもので、とくに趙盛周が書いた「山有花(산유화.金素月の詩)Tシャツ」はTVドラマで俳優が着たりして話題になっている、と記されています。
 趙盛周や余泰明の書も、いくつか見てみました。たしかに、元来幾何図形的なハングルは、より美術との親近性が強いと言えるかもしれません。

    
    【趙盛周の書による「山有花Tシャツ」

  
  【趙盛周「흙에서 자란 내 마음(土で育った私の心)」

      
  【余泰明「梅の花よりもっと美しいあなた」】

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2012-11-26 12:41:07
最近、書道家という職業がテレビに安っぽく飛び交っている。
媚びたような口調でチャラチャラした金髪のちょんまげが、知ったように如何にも書道たるや深いのだとニヤニヤ言っている。

「…本当に日本人か?」

まったく日本の心の欠片も、何の説得力も感じない。
日本人の魂が、伝統が、雑誌の切り抜きのように安っぽく、ばら蒔かれているようで心苦しい。
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日本文化の世界化 (ヌルボ)
2012-11-26 14:21:50
書道文化の本家本元は中国なんでしょうが、日本文化の、たとえば柔道とか寿司とか俳句とかが世界に広がると、一方で日本人としてはどうしても認めがたい要素がどこかで否応なく入ってくるものではないでしょうか?
柔道もずいぶん妥協を重ねて今に至ってるわけで・・・。
寿司も日本ではありえないネタが海外では寿司として出回ったりしていて、私としては「仕方がない」という感じですかねー。

書道について、どのような事例について仰っているのかわかりませんが、毎日書道展の外国人作品を新聞で見たことがありますが、それは私としてはむしろ感心しました。
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