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民衆芸術家・金鳳駿の個人展 明日から = 韓国80年代民主化運動と版画の親和性 =(4)

2011-11-17 20:37:15 | 韓国の芸術
         
 10月15日の記事<精力的な創作活動を続ける民衆芸術家 洪性譚=韓国80年代民主化運動と版画の親和性=(3)>へのコメント(11月6日)で、一粒のたねさんが金鳳駿展についての情報を知らせてくださいました。
 私ヌルボ、「近日中に記事します」と書いたのに実行しないまま、もう直前になってしまいました。どうもすみません。
 ・・・ということで、先の記事では「一応最終回です」と書きましたが、その続編とします。(そんな予感がして「一応」としておいたのですヨ。)

 金鳳駿(キム・ボンジュン)さんは1954年ソウル生まれ。先の記事で紹介した洪性譚さんと同じ世代の先駆的な民衆芸術家です。美術系大学として知られる弘益大を卒業。→コチラの記事によると、70年代の大学サークル運動の中では詩人・金芝河からも薫陶を受け、プンムル(民俗踊り)やタルチュム(仮面劇)のサークルを組織し、初めて労働者演劇を手がけたとのことです。
 また80年代はソウルで“トゥロン(畦)”というグループを立ち上げ、農村や労働の現場で活躍、以後現在に至るまで意欲的な創作活動を続けています。
※これまでの記事で紹介した「韓国民衆版画集」(1987年)にも、「首枷をはめた先祖」「四月のうた」「故郷の父母兄弟」等、7作品が収載されています。

※2005年の<OhmyNews>の記事「東洋のケーテ・コルヴィッツ、金鳳駿の生」によると、彼は大学3年の時、タワー建造物の屋上から「独裁政権打倒」という印刷物をまき、タルチュムを踊ることさえ黒白の論理で裁断されていたそのころに、丸ごとプンムルとタルチュムに夢中になっていて、東一(トンイル)紡織の解雇女工たちとともに<東一紡織問題を解決しろ>という演劇をやり、まさにデモのリーダーと見られて東大門警察署にしょっぴかれて情け容赦なく殴られたりしたそうです。
東一紡織については、2010年11月KAJAの学習会(?)での報告があったそうですね。

 今回の金鳳駿展に関連して、いくつものイベントが予定されています。
 あわせて紹介します。

○11月18日(金)~12月3日(土) 
 金鳳駿(キム・ボンジュン/Kim Bong Jun)展「希望の種―古くて新しい未来へ向けて」
  場所:GALLERY MAKI(日比谷線・東西線 茅場町駅 3番出口下車、隅田川方向へ徒歩7分)
  開廊:12時~19時  休廊:日・月・祝日 入館無料
  ※オープニングパーティー 11月18日17:30~

○11月19日(土) 14:00~17:00
 KAJA講座「韓国の民主化運動と民衆美術運動の現場、そして今」
  講師:金鳳駿(自らの体験をもとにスライドで作品をみせながら語ります)
  テーマ:「韓国の民主化運動と民衆美術運動の現場、そして今」
  コメンテーター:李泳采(イ・ヨンチェ)恵泉女学園大学教員
  資料代:500円
  場所:大阪経済法科大学麻布台セミナーハウス 4F 中会議室(定員40名)
   〒106-0041 東京都港区麻布台1-11-5 東京麻布台セミナーハウス
   (地下鉄日比谷線神谷町駅1番出口を出て左へ、吉野家・オランダヒルズ森タワーを過ぎて約5分)
  申込み先:→コチラ
  主催:KAJA((Korea And Japan Alternative learning group)
  ※詳細はKAJAのサイト中の記事参照→コチラ

○11月20日(日) 15:00~19:30
 一粒のたねカフェ 金鳳駿と共にプッ・クリム(筆絵)
  会場:ヨガ・カフェ・スペース一粒のたね (JR駒込駅東口アザレア通り側へ徒歩6分、南北線駒込駅徒歩10分)
  共催:一粒のたね+古川美佳 
  詳細は →コチラのサイトで。(チラシをクリックしてください。)
  内容は以下の通りです。
   ~筆で絵をかき、詩をつづり、そして韓国ごはん! 金鳳駿さんが最近作などについて説明後、参加者の顔と会話を書き入れた似顔絵や、参加者の要望にあわせた絵と言葉を盛り込んだ詩書画などを筆により即興で完成させて各々にプレゼント。すぐ持ち帰り、お部屋に飾れます!また金鳳駿さんの指導のもと、希望者は筆で韓紙に自由に描けます。その後、ユッケジャンやチヂミ、マッコリなど韓国料理と共に歓談タイム!韓国の伝統芸術と現代が融合し、食と人が出あうひと時をお楽しみください!
申込み:Tel/Fax03-3620-4106 info@tanecafe.com
お話しと食事:3000円/ドリンク別 (先着20名)

○11月22日(火) 13時~16時
 金鳳駿さんを迎えて 「ハムケ歌う会」
  ~地域で暮らす日本人と在日朝鮮人が共に(ハムケ)朝鮮の民謡を読み、オリジナルの歌をうたい、かたりあう、手づくり交流会にどなたでも!~
  会場:玉川上水・ステッチ(西武拝島線・多摩モノレール線 玉川上水駅徒歩10分 TEL042-535-9881
  主催:ハムケうたう会 猪俣090-7949-6594 李hanulpo1124@yahoo.co.jp
  参加費1000円

○11月22日(火) 18:30~20:30
 ギャラリートーク「東アジアの伝統と挑戦」
  ~「3・11」以後、「苦」の原因をみつめ、伝統の創造的解釈を未来へ~
  金鳳駿(キム・ボンジュン/美術家)×阿満利麿(あまとしまろ/宗教学者)
  会場:GALLERY MAKI 個展会場
  主催:GALLERY MAKI  参加費無料

 金鳳駿関係の情報をネットで探してみると、<김봉준미술(金鳳駿美術)>というタイトルの金鳳駿さんのブログ(当然韓国語)がありました。
 その11月17日に「일본 동경 <희망의 종> 마키갤러리전시 기념 강좌2(日本・東京 <希望の鐘> マキギャラリー展示 記念講座2)」という記事。というよりタイトルだけかと思ったら、「한국의 민중미술과 민중의 현장..docx(韓国民衆美術と民衆の現場)」というWord文書がダウンロードできるようになっています。
 おそらく19日の講座のための原稿と思われますが、これはお薦め! 韓国語がわからない方でも、金鳳駿さんの作品をいくつも見ることができます。
 また、1970年代から2000年代まで10年ごとに、4つの時期の時代状況と民衆美術の特色をわかりやすくまとめてくださっています。
 また同ブログの10月24日にも「나의 예술,동아시아의 젼통과 도전(私の芸術、東アジアの伝統と挑戦)」と題した長文の記事がありました。慶応大学で招請特講を行った時の原稿の概略とのことで、興味深く読みました。

[参考記事(韓国語)]
・2011年11月10日「ハンギョレ」 「동아시아 신명서 찾은 ‘희망의 미학’(東アジア 神明から探した‘希望の美学’)」・・・今回の個人展の紹介記事。
南楊州(ナムヤンジュ)ニュースより・・・金鳳駿作品オンライン鑑賞。
・2009年8月26日「Pressian」の記事「김봉준의 '한국미술 다시 중심잡기'(金鳳駿の'韓国美術再び中心をつかむ')」(上)(下)・・・自我、隣人、社会、民衆、自然、歴史、生活、平和、宇宙と、さまざまな観点から平和や芸術について語っています。
・2010年1月29日「Pressian」の記事「신화에 꽂힌 원주 문막 취병리의 김봉준 화백(神話に花を咲かせる原州市文幕邑翠屛里の金鳳駿画伯)」・・・金鳳駿さんの本拠地・江原道原州(ウォンジュ)の神話美術館を訪ねて。
 日本の<walk9>という組織の人たちがこの神話美術館を訪れた記録がありました。日本語です。→コチラ

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4 コメント

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ゲバ文字? (ユタ)
2011-11-23 04:01:55
わー面白い、と思ってつくづく眺めていると、円盤の外側に書かれた文字がゲバ文字に見える!と考えてしまう私、どうかしてます。スミマセン!ゲバ文字って、多分ご存知でしょうが、立て看板やビラに筆跡を残さないように書くための訓練された特殊体です。
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いわれてみれば・・・ (ヌルボ)
2011-11-23 10:54:50
ゲバ文字とは、ずいぶん懐かしいですね。といっても書いた経験はありませんが・・・。

「筆跡を残さないように・・・」とかウィキにも説明されていましたが、「闘う意志」を持った人たちは自然に(?)そんな書体になるような気もします。

韓国の立て看やビラの書体にも、ゲバ文字のようなものがあるかも・・・。今後見てみます。

金鳳駿さんの字は、本来の自分の字+韓国の伝統民画の字(+ケバ文字?)なのかなー、とも考えてみましたが、現段階では全くの憶測にすぎません。
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Unknown (サンリ)
2011-11-25 23:22:40
ゲバ字!ああ懐かしいですねえ。
ちなみに私のいたW大学では「トロ字」と呼んでいました。分かりますか?トロツキストのトロです。しかし、トロツキストもいまや死語に近いですねえ・・・
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たしかに・・・ (ヌルボ)
2011-11-26 00:32:59
「トロ字」という言葉は初めて知りました。言われてみれば、日共系のタテ看の書体は「トロ」=反日共系の書体とは少し違っていたようです。
書体以前に、文字の色が違っていたので一目瞭然でしたが・・・。

懐かしいといえば、ビラの印刷に使われた原紙・鉄筆・謄写版。これに適した書体と聞いたこともあるような・・・。「はね」も強く書く等。
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