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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [12月5日(金)~12月7日(日)]

2014-12-09 22:23:43 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 先週の記事の冒頭で書いた日本統治期の朝鮮映画「授業料」について1つ前の記事でかなり細々と書きました。興味のある方はぜひ目を通してみてください。

 先週書き落としたのが今キネカ大森と関内の横浜ニューテアトルでセット上映中の「金日成のパレード」「北朝鮮・素顔の人々」。これはぜひ多くの人に観てほしいと思います。「金日成のパレード」は1988年の北朝鮮建国40周年記念パレードを中心に、金日成の生家がある万景台や主体思想塔などをポーランドの監督が撮影したドキュメンタリーですが、26年経った今でも北朝鮮の体制が基本的に変わっていないのが驚きでもあり、悲しく憤りを覚えることでもあります。「北朝鮮・素顔の人々」は、公開処刑・闇市・コッチェビ(浮浪児)等々、よくこのような映像を撮ったものだと思います。この2つの映画がセットになっていることは大きな意味があります。
 「北朝鮮・素顔の人々」でとくに印象に残っているのは、コッチェビの少年が物乞いで歌っていた歌。その歌詞が映画のチラシにも載っていたので紹介します。このような内容の歌を学校等で教えるわけはなく、おそらくこの少年か、同じような境遇の子供が作ったものと思われます。本当に胸に迫る歌です。

 先週は「朝鮮日報」の「封切映画 ぴったり10字評」はありませんでした。

           ★★★ Daumの人気順位(12月9日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①あなた、あの川を渡らないで(韓国)  9.5(193)
②いのち(韓国)  9.4(80)
③ボックストロール  9.3(24)
④60万回のトライ(日本・韓国)  9.3(95)
⑤ポンヌフの恋人たち  9.1(48)
⑥ちびっこ潜水艦オリー 2  9.1(22)
⑦ピアノ・レッスン  9.0(85)
⑧ハウルの動く城(日本)  9.0(848)
⑨アクト・オブ・キリング  9.0(30)
⑩アトリエの春(韓国)  9.0(97)

 今回の新登場は②⑤⑥⑦⑧の5作品です。
 ②「いのち」は今年の19回釜山国際映画祭でも上映された韓国のドキュメンタリー。人生の残り時間平均21日。そんなホスピスで最期を迎える人とその家族たちの姿を描いたものです。原題は「목숨」です。
 ⑤「ポンヌフの恋人たち」は、1991年作のよく知られたフランス映画の再上映。私ヌルボは観てない(!)ので名作かどうかはなんとも・・・。韓国題は「퐁네프의 연인들」。「ポンネフ」とPont-Neufの「e」をとっている点が「u」をとった日本と違うところ。フランス語のeuは韓国語では우より에に近く、日本語では「エ」より「ウ」に近いということか。
 ⑥「ちびっこ潜水艦オリー 2」はアメリカのアニメ。
特殊改訂研究所訓練生の潜水艦オリーとベスは探査型潜水艦。いつも一緒に海底の見張り役を担当して問題に対処しています。高速潜水艇スキッド、おしゃべりヤドカリのプラントと共に深海潜水資格証の取得、海洋生物の運搬等の危険な課程を無事こなし、卒業式を迎えます。ついにオリーとベスは世界最高の潜水艦‘D’が参席する中、卒業のための最後のテストを受けるのですが・・・。韓国題は「꼬마잠수함 올리2」。日本公開は未定。
 ⑦「ピアノ・レッスン」も1993年オーストラリアのカンピオン監督の名作の再上映。韓国題は原題(「THE PIANO」)に沿って「피아노(ピアノ)」だけです。
 ⑧「ハウルの動く城」は、10年前の公開作のデジタルリマスター版による再上映です。韓国題は「하울의 움직이는 성」です。

     【専門家による順位】

①6才のボクが、大人になるまで。  9.5(8)
②鉄の夢(韓国)  8.0(5)
③アクト・オブ・キリング  7.8(6)
④ゴーン・ガール  7.7(8)
⑤自由が丘で(韓国)  7.7(4)
⑥インターステラー  7.6(9)
⑦巨人(韓国)  7.1(7)
⑧渇き。(日本)  7.0(5)
⑨いのち(韓国)  7.0(4)
⑩帰来(カミング・ホーム)  7.0(3)
⑩ボックス・トロール  7.0(3)

 今回の新登場は⑧「渇き。」だけです。中島哲也監督は「下妻物語」以来のファンなんですけど、これは観てないんだよなー。韓国題は「갈증」です。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[12月5日(金)~12月7日(日)] ★★★

         「インターステラー」が早くも800万人を超える

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(37)・・エクソダス:神と王・・・・・・・・・12/03 ・・・・・・・・・・・579,344 ・・・・・・・・773,705・・・・・・・・・6,649・・・・・・・・865
2(1)・・インターステラー・・・・・・・・・・・・11/06 ・・・・・・・・・・・481,129・・・・・・・9,101,618・・・・・・・・72,755・・・・・・・・721
3(2)・・ビッグ・マッチ(韓国)・・・・・・・・・11/27 ・・・・・・・・・・・187,785 ・・・・・・・・946,135・・・・・・・・・7,242・・・・・・・・457
4(3)・・フューリー・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/20・・・・・・・・・・・121,257 ・・・・・・・1,254,931 ・・・・・・・・9,580・・・・・・・・372
5(6)・・あなた、あの川を渡らないで(韓国)・・11/27 ・・・・・120,491・・・・・・・・・240,885・・・・・・・・・1,913・・・・・・・・287
6(36)・・徳修里[トクスリ]5兄弟(韓国)・・12/04・・・・・・・・・100,339・・・・・・・・・124,731 ・・・・・・・・・・966・・・・・・・・346
7(64)・・ハウルの動く城(日本)・・・・・・12/23 ・・・・・・・・・・・・64,308・・・・・・・2,506,454 ・・・・・・・15,702・・・・・・・・331
8(4)・・ハンガー・ゲーム ・・・・・・・・・・・11/20 ・・・・・・・・・・・・23,562・・・・・・・・・835,945 ・・・・・・・・6,265・・・・・・・・199
         :モッキングジェイPart1
9(新)・・ちびっこ潜水艦オリー 2・・・・12/04 ・・・・・・・・・・・・16,709 ・・・・・・・・・19,778・・・・・・・・・・・139・・・・・・・・186
10(5)・・ジム・キャリーはMr ダマー 2 ・・11/27・・・・・・・・・・16,417・・・・・・・・・181,147 ・・・・・・・・1,358・・・・・・・・152
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「インターステラー」はここにきて勢いが鈍り2位落ち。1000万人になんとか達するくらい、かな?
 替わって1位が「エクソダス:神と王」。このところアメリカの大作の強さが目立っています。いや、韓国映画でこれというのがないのかも。その中でミニシアター系のドキュメンタリー「あなた、あの川を渡らないで」がここまで上がってきたのには注目!です。
 今回の新登場は1・6・7・9位の4作品です。
 1位「エクソダス:神と王」は、リドリー・スコット監督が旧約聖書を基に描いたアドベンチャー大作。エジプトで王家の養子として育てられたモーゼ(クリスチャン・ベール)は、ヘブライの民を救うため、兄弟同然に育ったエジプト王ラムセス(ジョエル・エドガートン)に反旗を翻し、40万のヘブライ人を率い新天地を求めて旅に出るのですが・・・。というと、「十戒」を思い出します。あの「♪海が割れるのよ~」もあるんでしょうね。→公式サイトで予告編を見ると、そこらへんはやっぱり上手く作ってます。韓国題は「엑소더스: 신들과 왕들」、日本公開は来年1月30日です。
 6位「徳修里(トクスリ)5兄弟」は韓国のスリラー・コメディ。顔を合わせればケンカをしているような5兄弟が両親の呼びかけで集まります。場所は忠清南道泰安郡梨園面の徳修里。(あ、梨園面までは実在の地名です。) ところが両親は突然家からいなくなってしまいます。行方不明となった親を探すため派出所に申告をするものの手のかがかりはナシ。静かな村だと思っていた徳修里の村全体が怪しくなり始めますが、ここで5兄弟ははたしてどうするのか・・・? 原題は「덕수리 5형제」です。一瞬독수리(ワシ)を想起してしまいましたよ(笑)。
 7位「ハウルの動く城」、9位「ちびっこ潜水艦オリー 2」については上述しました。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・あなた、あの川を渡らないで(韓国)・・11/27・・・・・・・・・・・120,491・・・・・・・・・・・・・240,885 ・・・・・1,913・・・・・・・・・287
2(20)・・ハウルの動く城(日本)・・・・・2004/12/23・・・・・・・・・・・・・64,308・・・・・・・・・・・2,506,454 ・・・・15,702・・・・・・・・・331
3(2)・・幸福はどこにある・・・・・・・・・・・・・・・・11/27・・・・・・・・・・・・・13,651・・・・・・・・・・・・・・89,773 ・・・・・・・666・・・・・・・・・・78
4(新)・・ピアノ・レッスン・・・・・・・・・・・1993/09/25 ・・・・・・・・・・・・・・1,816・・・・・・・・・・・・・・・2,670 ・・・・・・・・14・・・・・・・・・・32
5(6)・・ダイビングベル(韓国) ・・・・・・・・・・・・10/23・・・・・・・・・・・・・・・・845・・・・・・・・・・・・・・44,888 ・・・・・・・311 ・・・・・・・・・13

 2位「ハウルの動く城」と4位「ピアノ・レッスン」の2作品が新登場ですが、いずれも上述しました。

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3 コメント

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ポン・ネフ (ソウル一市民)
2014-12-10 20:51:50
 いつもどうでも良いような細かい話題に食いついてしまい申し訳ございません。

 「Pont-Neuf」=「ポン・ネプ」、確かに日本語的感覚からすると違和感がありますね。この「eu」は韓国語であればもうひとつの「ウ」(横棒一本の方。文字化けしますが「으」)に近いのではないかと思いますが、韓国人の耳にはそうは聞えないのでしょうかね?
 と思ったら、韓国語ウィキペディアではポンヌフ自体は「ポンノェプ(퐁뇌프)」になっていますね(http://ko.wikipedia.org/wiki/%ED%90%81%EB%87%8C%ED%94%84)。こちらの方が「eu」に近いような気もしますが、「ポンヌフの恋人たち」が公開されて以降も、日本語起源の外来語表記のように、少しずつ「本来あるべき表記」に「純化」していっているのでしょうかね(苦笑)。

 「f」音のパ行表記や英語の「th」音(motherのth, thirdのth)は措いておくとして、私が外国語の韓国語表記で違和感を覚えるものに、英語の「sh」、仏語の「u」などの、日本語であれば拗音「ュ」で表記される音があります。
 ご存じの通り韓国語では、「fresh」=「プレシ(프레시)」(プレシィ(프레쉬)という表記もあるようですが)や元大統領の「Bush」=「ブシ(부시)」など英語では「イ」となり、仏作家の「Camus」=「カムィ(카뮈)」や「デビュー(debut)」=「デブィ(데뷔)」など仏語では「ウィ」音で表記されます。
 韓国語には「ユ」(유)という音があるのに、これも韓国語ネイティヴには「ュ」とは聞こえないのですかね? 初めて耳にした時にはもともとの言葉に全く結びつかず困惑したものです。
 もちろん反対に韓国人も日本語の外国語表記には疑問を覚えることが多いでしょうし、ある言語を別の言語の文字で表記するには自ずと限界がありますが。
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日韓のshの表記等について (ヌルボ)
2014-12-11 01:24:50
 カタカナ語のハングル表記については、以前6回連続で記事にまとめたことがありました。 →
http://blog.goo.ne.jp/dalpaengi/e/55152e51ab0f386e7f65ac5ac840aa62

 その時思ったのは、日本も韓国も「どっちもどっち」ということです。

 shがシかシュかという点について、韓国人側からみれば、次のような意見があるかもしれません。

 日本ではふつうge→ジ、ch→チと表記しているばかりか、kの場合さえもcake、steak、deckをケーキ、ステーキ、デッキと発音・表記している。なぜshだけシでなくシュと聞こえるのか?

 また、それよりも、t→ト、d→ドと発音・表記する方がずっと不自然ではないか? 韓国ではトゥ、ドゥと、より英語に近い発音にしている。

 theの発音など、ザにしようが(韓国風に)ドにしようが、たぶんどっちもヘンなんでしょうね。
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外国語表記 (ソウル一市民)
2014-12-11 20:24:06
 過去に詳細に取り上げられていたのですね。通読して大変勉強になりました。

 churchやmuchのchと、freshやbushのshは全く違う音なので、表記が別でも良いと思うのですが、やはり韓国語では聞え方が違うんでしょうかね。今回読ませていただいた過去記事でも書かれていらっしゃるように、韓国語でも「sh」が語頭に来ると「シュ(슈)」になるというのは、発音だけから見ると整合性がとれていないんですね。

 日本語の「ケーキ」や「ステーキ」などは韓国だったらとうの昔に「純化」(?)されて「ケイク」、「ステイク」などになっているのかも知れませんが(今の我々にはこういう風に聞えている訳ではありませんし)、昔ながらの表記で「日本語」として定着しているものをあえて変える必要もないと個人的には思います(韓国でも「パーマ」とか「ニュース」など、すっかり定着しているものはそのままになっています)。

 ヌルボさんのおっしゃるように結局は「どっちもどっち」なのだと私も思いますし、こうしたことでどちらの言語がより正確に他言語を表記できるなどといった偏狭なナショナリズムに向うことなく、同じ言葉でも聞く人によって全く違って聞えるんだなあというように単純に楽しめればいいかと思っています(ですので、お読みになられたかと思いますが、朝鮮日報にしばらく前に載った以下のような記事を読んでしまうと、嘆息を通り越して失笑を禁じえません)。

「あらゆる発音が表記可能なハングル、国際音声記号に」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/10/09/2014100900929.html
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