ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [12月4日(金)~12月6日(日)]

2015-12-08 23:01:37 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 昨夜は桜木町のブルク13で「技術者たち」鑑賞。129の座席数で観客は10人くらいか。しかし、4日の「毎日新聞(夕)」の好意的な評の通り、娯楽作として観て損のない作品だと思います。東京だとシネマート新宿のあの小さなスクリーン2だけの上映とか。これは横浜在住でトクしました。

 一昨日6日はフィルムセンターで韓模(ハン・ヒョンモ)監督「青春双曲線」と、申相玉(シン・サンオク)監督「ある女子大生の告白」を観てきました。梁仁實(ヤン・インシル)岩手大准教授のトークによると、韓模監督作品は①新しいスタイルの映画 と②観客にうける興行的映画 に大別されるとのことで、「青春双曲線」や「自由夫人」「女社長」は後者。そして前者の例は探偵ものの「魔人」(1957)と女性の同性愛をテーマにした「嫉妬」(1966)・・・というのを聞いて、私ヌルボ「そうだったのか!」と思ったのは、半年ほど前その「魔人」の原作の金来成(キム・ネソン)の探偵小説(右画像)をおもしろく読んだからです。また今読んでいる途中の安素玲「詩人/東柱」という尹東柱の伝記(韓国語)中に、1938年中国・龍井の実家に帰省した尹東柱が弟・一柱に買い与えた雑誌「少年」に連載中の金来成「白仮面」を一柱が夢中になって読んだということも書かれていました。(この件についての記事を1つ前に書くつもりだったのが間に合いませんでした。)
 ※「青春双曲線」と「ある女子大生の告白」はYouTubeで観ることができます。(韓国語) 「青春双曲線」は→コチラ、朝鮮戦争直後の釜山のようすもわかる、なかなか楽しい作品です。「ある女子大生の告白」は→コチラです。

 今日の「日刊スポーツ」をみたら<日刊スポーツ映画大賞>が発表されていました。(→コチラ。)作品賞は「ソロモンの偽証」。私ヌルボも観た映画で、受賞に異存はありませんが、製作委員会に朝日新聞社が名前を連ねていましたね。監督賞等の「日本のいちばん長い日」はテレビ朝日か。(※「日刊スポーツ」は朝日新聞社系列。) まあ主演女優賞(綾瀬はるか)等の「海街diary」はフジテレビだし、今や大多数の日本映画の製作に大手メディアが関わっているわけで、いちいち目くじらを立てるようなことでもないでしょうけど・・・。

 一方、韓国では「権威ある」大鐘賞映画祭権威を振りかざしたために自ら権威を失墜させる失態を演じてしまいました。(→コチラ参照。) 1週間後の青龍映画賞は雰囲気が対照的だったそうです。(→コチラ参照。)

「朝鮮日報」12月4日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)

 「ボーダーライン」

   撮影の手際をご覧あれ ★★★☆


 「白鯨と闘う」

   「モビーディック」に感謝 ★★★☆


 「フランス組曲」

   戦争が乱した人の本性 ★★★


 「サウスポー」

   リング外の世界が怖い ★★★


 今回の4作品についてはすべて下の記事中で紹介しています。

           ★★★ Daumの人気順位(12月8日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①危路工団(韓国)  9.3(32)
②ミューン:月の守護者  9.1(34)
③悪い国(韓国)  9.0(46)
④ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ  9.0(44)
⑤JSA(韓国)  8.9(362)
⑥エターナル・サンシャイン  8.8(507)
⑦あなたをずっとあいしてる(日・韓)  8.8(87)
⑧スウォーズマン 剣士列伝  8.7(35)
⑨ぼくのエリ 200歳の少女  8.5(555)
⑩ブリッジ・オブ・スパイ  8.5(139)

 新登場は③⑧⑨の3作品です。旧作は計4作品になりました。
 ③「悪い国」は韓国のドキュメンタリー。セウォル号関連としては「ダイビングベル」に続く2作目の一般公開作品です 「ダイビングベル」が事故発生後の現場で行われた救助作業の問題点を指摘したのに対し、コチラは真相究明を求める家族の闘争史に重点がおかれています。セウォル号特別法制定のための市民の署名を受けてハンスト闘争を続け、国会、光化門、大統領府等に向かう家族がいる一方では、珍島の港を立ち去ることができず帰らぬ子供を待っている人々もいます。映画は珍島、安山、ソウルを行き来して親たちの心に耳を傾けます。原題は「나쁜 나라」。
 ⑧「スウォーズマン 剣士列伝」は1990年の香港の武侠映画。原題は笑傲江湖で、金庸の同名小説が原作。徳間文庫で刊行されていて、すごくおもしろかった!です。映画の方は原作から「遠く離れている」そうですが・・・。日本では一般公開はなくDVDのみ。韓国題は原題のまま「소오강호」です。
 ⑨「ぼくのエリ 200歳の少女」は2008年のスウェーデン作品の再上映。日本でもそれなりに話題になりました。韓国題は「렛 미 인(レット・ミー・イン)です。

     【専門家による順位】

①ぼくのエリ 200歳の少女  9.0(10)
②タクシー  8.5(6)
③シチズン・フォー  8.2(5)
④今は正しいがその時は間違いだ(韓国)  8.2(4)
⑤ブリッジ・オブ・スパイ  8.1(8)
⑥危路工団(韓国)  8.0(7)
⑦エヴァの告白  8.0(5)
⑧オデッセイ  7.8(6)
⑧ボーダーライン  7.8(6)
⑩ザ・ロブスター  7.6(6)

 ①と⑧「ボーダーライン」が新登場です。
 ①「ぼくのエリ 200歳の少女」については上述しました。
 ⑧ 「ボーダーライン」については後述します。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[12月4日(金)~12月6日(日)] ★★★

         「内部者たち」が3週連続トップ

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・内部者たち(韓国)・・・・・・・・11/19 ・・・・・・・・・・・799,876・・・・・・・・4,950,866 ・・・・・・・・・39,719・・・・・・・1,022
2(新)・・白鯨との闘い ・・・・・・・・・・12/03 ・・・・・・・・・・・292,584・・・・・・・・・・338,960・・・・・・・・・・2,992・・・・・・・・・524
3(2)・・黒い司祭たち(韓国) ・・・・・11/05 ・・・・・・・・・・・156,721 ・・・・・・・・5,172,749・・・・・・・・・40,385・・・・・・・・・443
4(41)・・劇的な一夜(韓国) ・・・・・・12/03 ・・・・・・・・・・・143,628・・・・・・・・・・180,130・・・・・・・・・・1,492・・・・・・・・・434
5(3)・・情熱みたいなこと・・・・・・・・11/25 ・・・・・・・・・・・・83,754・・・・・・・・・・547,502・・・・・・・・・・4,017・・・・・・・・・407
       言ってるね(韓国)
6(新)・・ボーダーライン・・・・・・・・・・12/03・・・・・・・・・・・・41,535・・・・・・・・・・・52,082 ・・・・・・・・・・・422・・・・・・・・・227
7(新)・・サウスポー・・・・・・・・・・・・・12/03 ・・・・・・・・・・・・40,342・・・・・・・・・・・64,836 ・・・・・・・・・・・506・・・・・・・・・324
8(5)・・ハンガー・ゲーム FINAL:・・11/18 ・・・・・・・・・・・38,256・・・・・・・・・・766,630・・・・・・・・・・5,774・・・・・・・・・186
       レボリューション
9(6)・・バケモノの子(日本)・・・・・・・11/25・・・・・・・・・・・・34,205・・・・・・・・・・173,321・・・・・・・・・・1,290・・・・・・・・・197
10(7)・・烈車戦隊トッキュウジャー・・11/26・・・・・・・・・・30,607・・・・・・・・・・・85,376 ・・・・・・・・・・・629・・・・・・・・・266
       VSキョウリュウジャー THE MOVIE(日本)
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「内部者たち」が今回も独走。今日(8日)500万人を突破しました。新作はどれもパッとせず。スジ主演のパンソリ映画「桃李花歌」もわずか1週でベスト10圏外へ。
 今回の新登場は2・4・6・7位の4作品です。
 2位「白鯨との闘い」は、1819年捕鯨船エセックス号が巨大な白鯨に襲われたの実話を「アポロ13」等のロン・ハワード監督が映画化した作品。白鯨との死闘の末、船を沈められた乗組員たちはボートで脱出するのですが・・・。韓国題は「하트 오브 더 씨」。日本公開は1月16日です。
 4位「劇的な一夜」は、韓国のラブコメ。チョンフン(ユン・ゲサン)とシフ(ハン・イェリ)は、それぞれの昔の恋人の結婚式で出会いますが、失恋の痛手から酒をしこたま飲んだ勢いで2人は「劇的な一夜」を共にしてしまいます。それで終わらせるにはもったいない(!?)と思った2人は、シフの提案でコーヒークーポンに10個のスタンプが集まるまで<モムチン(몸친.カラダ友だち)としてつき合ってバイバイしようということに・・・。ところがクーポンのスタンプが1つずつ増えていくうちに2人の気持ちは微妙になって行きます。スタンプ10個が集まった時、約束通りクールにバイバイできるのか・・・。つまりは<몸친>で始まった関係を続けるうちに<맘정(心の情)>が出てきて、<맘친(心の友)>になるという話かな? 原題は「극적인 하룻밤」です。
 6位「ボーダーライン」はFBIと麻薬組織の攻防を描いたアメリカ映画。国防総省の特別部隊にリクルートされたエリートFBI捜査官ケイト(エミリー・ブラント)に課せられた極秘任務は巨悪化するメキシコ麻薬組織ソノラカルテルの殲滅。仲間の動きさえも把握できない状況の中で、ケイトは善と悪の境界が揺らぎ始めます。悪を征する合法的な手段はあるのか? 麻薬戦争の裏側にある真実とは? 韓国題は「시카리오:암살자의 도시」。日本公開は来年4月9日です。
 7位「サウスポー」は、アメリカのスポーツ<根性>物(?)。野球じゃなくてボクシングです。世界ライトヘビー級チャンピオンのビリー(ジェイク・ギレンフォーク)は、防衛戦で目を負傷します。その後若いボクサーの言葉にキレたビリーは闘騒ぎを起こし、妻モーリーン(レイチェル・マクアダムス)も巻き込まれて家庭はとんでもないことに・・・。絶望して自暴自棄になったビリーは出場停止処分とされた上、飲酒運転による事故を起こしてしまいます。このどん底から人生のやり直しを決意したビリーは再びチャンピオンを目指して立ち上がります・・・。韓国題は「사우스포」。日本公開は2016年、かな?

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・エターナル・サンシャイン・・・・2005/11/10・・・・・・・・・・・・13,838 ・・・・・・・・・・440,362・・・・・・・・・・・3,326 ・・・・・・・・・61
2(59)・・フランス組曲・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/03 ・・・・・・・・・・・・・5,836・・・・・・・・・・・・12,061 ・・・・・・・・・・・・・90 ・・・・・・・・・92
3(新)・・ぼくのエリ 200歳の少女・・・2008/11/13 ・・・・・・・・・・・・・4,323・・・・・・・・・・・・95,677 ・・・・・・・・・・・・645 ・・・・・・・・・58
4(2)・・THE IDOLM@STER MOVIE ・・・・・・11/19・・・・・・・・・・・・・・2,277・・・・・・・・・・・・22,477 ・・・・・・・・・・・・163 ・・・・・・・・・27
       輝きの向こう側へ!(日本)
5(22)・・悪い国 (韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/03 ・・・・・・・・・・・・・2,110・・・・・・・・・・・・・3,354・・・・・・・・・・・・・・23 ・・・・・・・・・17

 2・3・5位の3作品が新登場です。
 2位「フランス組曲」は英・仏・ベルギー合作のロマンス。
舞台は1940年、ドイツの占領下のヴィシー。戦地に行った夫の帰りを待つフランス人女性リュシル(ミシェル・ウィリアムズ)は、厳格な義母と大きな屋敷で暮らしていました。そこでリュシールが毎晩聞いたピアノの演奏者とは、その家に滞在していたドイツ人将校ブルーノ(マティアス・スーナールツ)。長く続く戦争の中、ピアノだけが彼の慰めになっていました。ただ一人自分を自由にしてくれる彼に、リュシルは心を開いていきます。終わるとも思えない戦争のように、2人の間の秘められた愛は徐々に激しくなっていきます・・・。韓国題は「스윗 프랑세즈」。日本公開は1月8日です。
 3位「ぼくのエリ 200歳の少女」と、5位「悪い国」については上述しました。

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2 コメント

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申相玉監督の名前を久しぶりに見ました! (カイカイ反応通信愛読者)
2015-12-09 07:54:59
崔銀姫さんと共著で北朝鮮の実態を描いた「闇からの谺」の監督というイメージがあるので映画監督というよりも小説家みたいな印象ですね。
「闇からの谺」やジェンキンスさんの「告白」を読むと、韓国映画「クロッシング」で描かれていたほどには北朝鮮の実態はヒドくないと思いました。
おそらく「クロッシング」はハリウッド映画「5デイズ」などと同様、敵国を悪く世界に宣伝するプロパガンダ映画の側面もあるのでしょう。
でも、「クロッシング」も「5デイズ」も文句なく面白い映画でした。
事実をねじ曲げた作品にも、人間は感動します。文芸と政治、感動と倫理は別物なんですね。
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どういう視点から見るか? (ヌルボ)
2015-12-09 09:56:23
 北朝鮮当局にとっては、申相玉監督もジェンキンスさんも「大切な客人」ですから待遇が悪かろうはずはありません。
 彼らの見方もひとつの真実だし、たとえば2万人を超える脱北者たちにもそれぞれの(人数分の)真実があります。

 映画や小説等のフィクションは政治的な宣伝や思い込み等もあるでしょうが、私が北朝鮮に厳しい見解をもっているのは、これまで2ケタではきかない無名の脱北者の手記・証言を見たり、直接北朝鮮で相当期間滞在した人の本を読んだりしてきたからです。このブログのこれまで60本を超える北朝鮮関係の記事もほとんど北朝鮮に対して厳しい内容のものがほとんどです。
 北朝鮮には○○の自由がありません。この○○にあてはまる言葉は即座に10以上あげられます。私は政治宣伝や国に立脚した考え方とは関係なく、そこに住む住民の立場で判断することを旨としています。当然ですが、北朝鮮を批判することは日本やアメリカの政治を擁護することとは無関係です。
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