ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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往年の韓国映画ファンによる「韓国映画ベスト12」と、懐かしの「アジア映画劇場」(NHK教育TV)

2011-06-19 17:57:33 | 韓国映画(&その他の映画)
 今月8日の記事で、熱海に向かう車中飲み仲間のH島先輩(ソンベ)ニムからメモを渡されたことを記しました。
 そのメモこそ、往年の韓国映画ファンである先輩ニム選定の「韓国映画ベスト12」のリストだったのです。
 その内容は次の通りです。

①あの島へ行きたい(1993)  監督:朴光洙(パク・クァンス)
②風の丘を越えて 西便制(1993)   監督:林権澤(イム・グォンテク)
③八月のクリスマス(1998)  監督:許秦豪(ホ・ジノ)
④神様こんにちは(1987)  裵昶浩(ペ・チャンホ)
⑤灼熱の屋上(1995)  監督:李珉鎔(イ・ミニョン)
⑥祝祭(1996)  監督:林権澤(イム・グォンテク)
⑦鯨とり(1984)  監督:裵昶浩
⑧太白山脈(1994)  監督:林権澤
⑨追われし者の挽歌(1990)  監督:朴光洙
⑩春の日は過ぎゆく(2001)  監督 許秦豪
⑪大統領の理髪師(2004) 林讃賞(?)(イム・チャンサン)
⑫男と女の青空市場

 案の定、韓国映画が続々と公開される契機となった「シュリ」(2000年日本公開)以前の作品がズラ~っと並んでいます。

 さて、本ブログでも以前<ヌルボの韓国映画の思い出&★韓国映画ベスト12★>と、その改訂版の<150本の中から選んだ・・・★韓国映画ベスト20★>を載せましたが、私ヌルボと上記H島先輩ニムのリストで共通する作品が②③④⑤の4つで、半分も重なってませんが、気持ちはわかる、って感じですねー。つまり一昔二昔前のまだ伝統(というか因襲というか)が息づいていた頃の、人情の厚い愛すべき韓国人の世界ですよ。
 そういえば、以前<浪花の歌う巨人 パギやん>こと趙博さんが<歌うキネマ>(←これはオススメ!)で「神様こんにちは」をやった時聞きに行ったのですが、バギやん自身の感動作=推薦作としてあげていたのがたしか「神様こんにちは」「風の丘を越えて」「灼熱の屋上」の3つだったですね。

 「灼熱の屋上」は、タイトル通りすごく暑苦しく、かつ韓国のオバサンたちのパワーも熱い映画です。ヌルボはTVの録画ビデオで見ましたが、DVDが中古雑誌の付録として出てます。アマゾンだと今2000円前後のようですね。

 さて、H島先輩ニムのベスト12の中で、ヌルボが観てないのが①⑨⑫の3つ。①⑨はおなじみの韓国映画関係サイトでおおよそ内容等はわかりますが、以前からお手上げ状態なのが⑫の男と女の青空市場。ググって唯一ヒットした<allcinema>によると、「劇場未公開・NHK教育で放映 監督:イ・ヨンスク 出演:イ・チョンナム 出演:キム・ヒラ」とあるので、キム・ヒラの過去の出演作103本(!)を確かめてみましたが(!!)、それらしいものもなし。監督のイ・ヨンスク(女性?)やイ・チョンナム??も不明。うーむ。どうしようもない、困ったなー。誰か「男と女の青空市場」について知ってる人、教えてください!

 ・・・いやいや、その前に、考えてみればこの12の作品の多くは以前NHK教育テレビで佐藤忠男先生の解説付きで放映されていたアジア映画劇場でやっていたものなんですね。

 <NHKアーカイブズ>「衛星映画劇場」のウィキによると1988年10月22日中国映画「渡河」から始まったとありますが、NHKのサイトの別記事を見ると、アジア映画劇場は1991~2000年となっています。

 ネット検索すると、この<アジア映画劇場>の影響力は非常に大きかったことがわかります。
 ペ・チャンホ監督の「ディープ・ブルー・ナイト」で「アジア映画に目覚めた」という人、カンボジア映画「戦争の後の美しい夕べ」が最も面白かったという人、「風の丘を越えて 西便制」でパンソリを初めて知ったという人、台湾映画「魯冰花(ルービンファ)」は涙なしでは観れない名作、という人、貴重なラオス映画という「レッドロータス」のことを記している人、「鯨とり・コレサニャン」が初めて観た韓国映画という人、「北京好日」はしばらく心にズーンと残る名作、という人等々、実に多くの人が今もそれらの映画の印象を記し、あるいはDVDを探したりしています。

 ヌルボ個人として印象に残っているのは、インドネシア映画の「青空がぼくの家」。韓国映画では「我らの歪んだ英雄」「チルスとマンス」も録画しました。

 幸い近くに図書館があるので、いつどんな映画が放映されていたか調べてみました。すると1988年から2002年3月までにNHK総合(1988~90.土曜14:00頃~)・NHK教育(1991~2003.日曜15:00頃~)で放映された作品数は約130。(若干不正確) 佐藤忠男先生がいつからいつまで解説を担当していたかは不明です。
 その中で、韓国映画だけ拾うと次の表の通り。ヌルボが(TV以外で観たものも含めて)見たのは16作品中11です。

放映年.月.日 「作品名」(製作年) 監督
1989.2.4 「離婚旅行(KBSドラマ)
1991.10.13「旅人は休まない」(1987)李長鎬(イ・ジャンホ)
1992.4.19 「追われし者の挽歌」(1990)朴光洙(パク・クァンス)
1993.1.24 「チルスとマンス」(1987)朴光洙(パク・クァンス)
1993.7.18 「鯨とり コレサニャン」(1984)裴昶浩(ペ・チャンホ)
1994.3.13 「神様こんにちは」(1987)裴昶浩(ペ・チャンホ)
1995.1.22 「われらの歪んだ英雄」(1992)朴鐘元(パク・ジョンウォン)
1995.3.12 「キル・ソドム」(1985)林権澤(イム・クォンテク)
1995.8.13 「風の丘を越えて 西便制」(1993)林権澤(イム・クォンテク)
1996.9.8 「あの島へ行きたい」(1994)朴光洙(パク・クァンス)
1997.7.20 「ディープ・ブルー・ナイト」(1985)裴昶浩(ペ・チャンホ)
1998.3.1 「離れの客とお母さん」(1961)申相玉(シン・サンオク)
1998.9.20 「灼熱の屋上」(1995)李珉鎔(イ・ミニョン)
1999.2.7 「祝祭」(1993)林権澤(イム・グォンテク)
1999.10.10「接続・ザ・コンタクト」(1997)張允鉉(チャン・イニョン)
2000.9.24 「八月のクリスマス」(1998)許秦豪(ホ・ジノ)

 ・・・で、懸案の「男と女の青空市場」はこれでも見つからず。見落としたのかな?
 ・・・で、昨日サークル仲間と飲みに行った時(H島先輩ニムはいない)、同じく昔の韓国映画ファンのお酒の好きなTヒョン(兄)に尋ねると、TVを録画したビデオを持っているとのこと。そればかりか、内容まで具体的に話してくれました。車で雑貨の行商をしているボンゴという男が、人寄せのための女(芸人? 娼婦?)を身請けしたが、あるインテリ男が彼女に接近、一緒に逃げようと誘い、彼女もその気になりかけるが、最後には結局・・・という物語だそうで、約20年も前というのにTヒョンの何という記憶力! ただの酒飲みではないです。記憶力のいい酒飲みです。・・・ということで、この作品についてのデータは実際に録画を観てから、ですね。


[「アジア映画劇場」放映作品全リスト]

 → <アジア映画は名作・秀作の宝庫  付録:NHKアジア映画劇場 放映作品リスト(1)>

 → <90年代、ブーム以前の珠玉の韓国映画がいっぱい!  付録:NHKアジア映画劇場 放映作品リスト(2)>

 → <[アジア映画]知られざる名作がこんなにも!  付録:NHKアジア映画劇場 放映作品リスト(3)>

[2019年9月4日の追記]長い間よくわからなかった「男と女の青空市場」のことがおおよそ判明しました。KBSの<TV文学館>というドラマシリーズ中の1作で1987年2月7日放映された「外村場紀行」というドラマです。元はといえば、金周榮(キム・ジュヨン)という作家の同名の短編小説が原作です。その探索の過程や、その小説の内容、実際読んだ感想等は→コチラに始まる3本の記事をご参照下さい。


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7 コメント

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今日、佐藤先生のお話しを拝聴してました… (SARU)
2011-06-19 20:24:34
12選と、アジア映画劇場の上映作で観たことないのは「男と女の青空市場」と「離婚旅行」ですね。後者はドラマで映画ではない?前者、どんなんだろう、観てみたいですねぇ。今日は「風吹く良き日」を観てたのでキム・ヒラ氏にもスクリーンでお会いしておりましたが。
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韓国でDVDが (SARU)
2011-06-19 20:31:55
「追われし者の挽歌」、これは邦題ですから・・・。韓国でDVDが出てますね。
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またもや(笑) (ヌルボ)
2011-06-19 22:27:32
昨日はブリリアに15:00~の回だけ行き、また終わってすぐ出てきました。SARUさんもどこかにいらっしゃったんですね。

さっそく探ってみましたら、「그들도 우리처럼(追われし者の挽歌)」のDVDは日本語字幕ありでREGION ALL、それで4400ウォンだそうで、いいことずくめですね。今度韓国に行った時に買おうかな、という気になりました。
お酒が好きなTヒョンは(私が話す前に)「離婚旅行」のことも何やら語っていました。

佐藤先生といえば、ずいぶん前に府中のどこかで韓国映画の上映会があった時に講師として話をされていました、が、あれは何の映画だったのか・・・?
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はじめまして (呉二)
2011-06-24 21:04:05
ヌルボさま、
こんばんは、はじめまして。
アクセスをたどってまいりましたが、とても興味深い記事がたくさんあって感激です。
韓国については齧り始めたばかりなので、コチラで勉強させていただきたいと思います。
拙ブログのURLを貼っていただいていますが、下記『鯨とり』の記事のURLにしていただけたら幸いかと…お恥ずかしい記事で恐縮なのですが(汗)
http://takaosanxia.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/02/post_988f.html
よろしくお願い致します。
またお邪魔させて下さいませ。
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こちらこそ、よろしく・・・ (ヌルボ)
2011-06-25 10:53:01
呉二さま。
URLは直しておきました。

タイ映画の『タイムリセット(運命からの逃走)』はアジア映画劇場では1999年6月20日放映。私は観ていませんがDVDは出ているのですね。ネット内の「無料映画動画視聴館」にもあるとか・・・。

呉二さんは香港関係にもお詳しいようですね。
私は1992年初めて行った釜山で周潤發の映画を英語字幕で観たことがありますが、字幕も音声もほとんどわかりませんでした(笑)。
最近の香港映画ては(やっぱり)「葉問 序章」、良かったです。

これからもよろしく。
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ありがとうございます (呉二)
2011-06-26 00:35:11
ヌルボさま、
お手数をおかけしまして…恐縮です(汗)
釜山で周潤發!作品は何だったのでしょう?とっても気になります…(笑)
韓国に興味を持ってまだ日は浅いのですが、近い将来に釜山を訪れてみたいと思っています。
まずはハングルが読めるようにと勉強を始めましたが…なかなか難しいですねぇ(嘆)がんばります!


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周潤發の映画 (ヌルボ)
2011-06-26 12:22:39
釜山で観た周潤發の映画はたしか「縦横四海」で、当時は彼の映画にあまり詳しくなく、日本では公開されていない作品と思っていました。「狼たちの絆」という邦題で前年(1991年)に公開されていたということを知ったのは何年も後です。
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