ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画の興行成績 [8月12日(金)~8月14日(日)]と人気順位 ►近日公開の「NOPE/ノープ」が楽しみ! ►韓国産の大ヒット学習漫画サバイバルシリーズの劇場版は日本製で韓国公開中

2022-08-19 06:17:29 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶今回の記事でまず注目の映画はアメリカ映画の「NOPE/ノープ」です。日本でも8月26日公開で当然→公式サイトももちろん用意されています。あの「ゲット・アウト」「アス」のジョーダン・ピール監督の最新作、というのが私ヌルボが惹かれる理由その1。そしてその2は、まあ→予告編を観てみて下さい! 何やらわけのわからないゾクゾク感です。もう少しだけ詳しい(?)ストーリーは下の記事参照。

▶個人的に注目の韓国映画は「曲がり角[모퉁이]という独立系映画。大学の映画科の同窓だった男性3人が約10年後学生時代の行きつけの店で酒を飲みながら映画談義をして・・・という内容で、ほぼ3人の話を中心に英題の「No surprise」のような雰囲気で進行する作品のようです。シン・ソン監督は本作が初の長編ですが、これまでホン・サンス監督の「自由が丘で」では現場支援を担当、「夜の浜辺でひとり」では俳優(映画の演出役)として出演しているということで、彼の影響もあるのかもしれません。私ヌルボが惹かれれたのは、若い監督が観客に媚びることなく人間関係や世の中と誠実に向かい合っていることが感じられるから。今の日本映画界はどうなんでしょうね??

▶日本製の劇場版アニメが韓国でも上映が始まったということで韓国原作の大人気学習漫画サバイバルシリーズに(個人的には)6年ぶりに注目! 大人が読んでもおもしろくためになります。<サバイバルシリーズ>で動画検索すると本の紹介も兼ねて短いYouTube動画がたくさんヒットします。→「ペーパーウォッチのつくりかた」
なんてよくこんなアイディアが出てくるものだなー(尊敬の眼差し!)。
     
【 原作は韓国の学習漫画「人体のサバイバル」(左)と、日本製劇場版アニメ「人体のサバイバル」のポスター。文字とは逆! 】

    ★★★ NAVERの人気順位(8月17日(水)現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
 ※[記者・評論家による順位]とも①等の右の( )は前週の順位。評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
  「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(1) トップガン マーヴェリック  9.77(38,805)
②(2) 名探偵コナン ハロウィンの花嫁(日本)  9.48(1,537)
③(3) しなやかに(韓国)  9.47(17)
④(4) アナタの顔(韓国)  9.41(152)
⑤(新) 劇場版サバイバルシリーズ
       : 人体のサバイバル!/深海のサバイバル!(日本)  9.39(36)
⑥(6) 詩人の歌、チョン・テチュン(韓国)  9.35(146)
⑦(5) 犯罪都市2(韓国)  9.34(27,147)
⑧(新) 曲がり角(韓国)  9.33(12)
⑨(7) 劇場版 呪術廻戦 0(日本)  9.24(1,611)
⑩(8) モア(韓国)  9.22(148)

 ⑤⑧の2作品はが新登場です。
 ⑤「劇場版サバイバルシリーズ: 人体のサバイバル!/深海のサバイバル!」は日本のアニメ。この<サバイバルシリーズ>とは、元はと言えば韓国で大人気の学習漫画シリーズ(→ウィキペディア)で、「無人島のサバイバル」(2001)を皮切りにこれまで計37シリーズ・59巻を刊行してきました。そして国内で1千万部以上の販売を記録し、さらに日本・台湾・米国等世界7ヵ国にも輸出され、累積販売部数3千万部以上を記録しているそうです。で、私ヌルボも2016年に「干潟のサバイバル1&2」を(ユムシに重点を置いて)読んで記事を書きました。(→コチラ。)
 ・・・ということで本作ですが、2020年に日本で映画版の第1作として東映アニメーションが制作した「人体のサバイバル!」と翌年の第2作「深海のサバイバル!」。日本ではそれぞれ別のアニメと抱き合わせで上映されましたが、韓国ではこの2作がセットで上映されています。韓国題は「극장판 살아남기 시리즈: 인체에서 살아남기」です。内容は略しましたが、Eテレでも放映されているし配信でも観られるようです。※予告編→「人体のサバイバル!」、→「深海のサバイバル!」
 ⑧「曲がり角」は韓国のドラマ。<第47回ソウル独立映画祭(2021)>で<新しい選択賞>受賞、また<第26回釜山国際映画祭(2021)>の<韓国映画の今日のビジョン>部門選定作です。
 大学で映画科の同窓だった3人の仲間が当時よく行った食堂で久しぶりに会うことにします。ソンウォン(イ・テックン)とジュンスン(ハ・ソングク)は約束した場所に来ますが、もう1人は来ません。ところが店に向かう途中、道の曲がり角で同じく同期の学生だったビョンス(パク・ボンジュン)と偶然出くわします。そして3人は酒の席を共にし、10年の空白を埋める映画談義を交わしますが、彼らの話は予想もしなかった方向に流れ始め、ぎこちない空気が漂います。実はソンウォンとビョンスは10年ぶりに会ったにもかかわらず互いに受けた傷をまだ忘れていないのです。ソンウォンは長い間映画を作っていませんが、過去ビョンスが自分の話を勝手に盗んで映画にしたことに許せない感情を持ち続けています。そしてこの偶然の飲み会の後・・・。実はその後ビョンスは自ら命を絶ってしまいます。ソンウォンは彼の自殺が自分のためでではないかと思います・・・。韓国題は「모퉁이」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 別れる決心(韓国)  8.71(14)
②(2) トップガン マーヴェリック  8.44(9)
③(3) 偶然と想像(日本)  8.29(7)
④(新) NOPE/ノープ    8.00(5)
⑤(4) 小説家の映画(韓国)  8.00(3)
⑥(5) アフター・ヤン  7.80(5)
⑦(6) GUNDA/グンダ  7.50(4)
⑧(7) モア(韓国)  7.38(8)
⑨(9) ベルイマン島にて  7.30(7)
⑩(-) オマージュ(韓国)  7.25(4)
⑩(新) 牛  7.25(4)

 ④と⑩「牛」の2作品が新登場です。
 ④「NOPE/ノープ」はアメリカのミステリー&ホラー。なおタイトルの英語<nope>は<no>の俗語です。
 舞台は南カリフォルニア、ロサンゼルス近郊にある牧場。OJ(ダニエル・カルーヤ)は半年前事故で死亡した父親オーティス(キッツ・デビッド)からこの牧場を受け継ぎます。その父の死は飛行機の部品の落下によるものとされていますが、そんな<最悪の奇跡>が起こり得るのでしょうか? 何よりOJ自身この事故の際に一瞬謎の飛行物体を目にしています。父死亡の知らせを聞いて妹エメラルド(キキ・パーマー)も牧場に戻って来ますが彼女はその飛行物体を撮影しバズり動画を作ろうと考えたりします。かつてはハリウッドの子役スターで今はジュピターパークを運営するリッキー(スティーブン・ヤン)も含めて、彼らは各々<それ>に対して恐怖心を感じながらもその正体を追っていきます・・・。韓国題は「놉」。日本公開は8月26日です。
 ⑩「牛」はイギリスのドキュメンタリー。アンドレア・アーノルド監督が4年の歳月をかけて1頭の乳牛の一生を撮った作品です。イギリスのケント地方にあるパーク農場。映画はルマと名付けられた乳牛の出産から始まります。広大な農場で、ルマは人間のために搾乳され、6匹の子牛を次々と産み続けます。そんな乳牛の一生を、カメラは淡々追っていきます・・・。これも今韓国で公開中で私ヌルボも観た、農場の母豚に焦点を絞って撮った「GUNDA/グンダ」に似ていそうだなと思いましたが、あるレビューには「「グンダ」とは正反対のアプローチ」とありました。よくわかりませんが、コチラは乳牛の視点から撮っているからかな? 韓国題は「카우(cow)」です。日本では<第34回東京国際映画祭(2021)>のユース部門で上映されましたが、一般劇場公開はありません。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績8月12日(金)~8月14日(日) ★★★
            人気俳優イ・ジョンジェの初監督作「ハント」が1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(10)・・ハント(韓国)・・・・・・・・・・・8/10・・・・1,110,524・・・・・1,511,604 ・・・・・15,649・・・・1,625
2(1)・・閑山:龍の出現(韓国)・・・・7/27・・・・・・727,494・・・・・5,866,998 ・・・・・60,022・・・・1,433
3(2)・・非常宣言(韓国)・・・・・・・・・・8/03・・・・・・201,062・・・・・1,884,005 ・・・・・18,940・・・・・・865
4(3)・・トップガン マーヴェリック・・6/22・・・127,101・・・・・7,667,872 ・・・・・81,878・・・・・・575
5(新)・・DC がんばれ!スーパーペット・・8/10・・83,346 ・・・・・・124,816・・・・・・・1,172・・・・・・585
6(4)・・ミニオンズ フィーバー・・・7/20 ・・・・・・・70,704・・・・・2,112,608・・・・・20,479・・・・・・540
7(32)・・オクトノーツの探検船大作戦・・8/11・・27,869 ・・・・・・132,293・・・・・・・・・305・・・・・・240
8(5)・・ポロロ 劇場版・・・・・・・・・・・7/28 ・・・・・・・20,612 ・・・・・・407,110・・・・・・・3,805・・・・・・258
       :ドラゴンキャッスル大冒険(韓国)
9(6)・・別れる決心(韓国) ・・・・・・・・6/29・・・・・・・19,648・・・・・1,817,935 ・・・・・18,847・・・・・・185
10(7)・・宇宙+人 1部(韓国)・・・・・7/20・・・・・・・11,260・・・・・1,521,723 ・・・・・15,859・・・・・・153
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 5・7位の2作品が新登場です。
 5位「DC がんばれ!スーパーペット」はアメリカのアクション&冒険3Dアニメ。ある日宇宙の果てからオレンジ色に光る謎の物体が落ちてきて留守番中のペットたちにスーパーパワーが宿ります。スーパーマンの愛犬で空を飛べるクリプト、体の大きさを自在に変えられるブタのPB、超高速で移動するカメのマートン等々。そんな彼らが世界征服を企む最強の子猫ウィスカーズとモルモット軍団に立ち向かいます・・・。(ってやっぱり猫は悪役で犬は権力側?) 韓国題は「DC 리그 오브 슈퍼-펫」。日本公開は8月26日です。
 7位「オクトノーツの探検船大作戦」(仮)はイギリスのアニメシリーズの新作です。が、同シリーズで日本のNetflixでこれまで配信されている「オクトノーツと水中のどうくつ」(韓国では今年2月公開)等4作品以降は新作はなく、また内容も<神秘に包まれたクジラ><オクトノーツと幽霊船><大西洋マグロ>等の5短編が約1時間でセット上映されているようです。韓国題は「바다 탐험대 옥토넛 : 탐험선 대작전」です。

【独立・芸術映画】
順位 ・・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(44)・・幸運を祈ります、レオ・グランデ・・8/11・・・・・2,417 ・・・・・・・・4,773・・・・・・・・・・47 ・・・・・・・41
2(新)・・すばらしき世界(日本) ・・・・・・8/11・・・・・・・・・1,632 ・・・・・・・・2,597・・・・・・・・・・25 ・・・・・・・42
3(新)・・バンクシーと ・・・・・・・・・・・・・・8/11・・・・・・・・・1,406 ・・・・・・・・2,673・・・・・・・・・・22 ・・・・・・・34
       アウトロー・アートの台頭
4(1)・・サマーフィルムにのって(日本)・・7/20・・・・・・・1,382 ・・・・・・・28,298 ・・・・・・・・271 ・・・・・・・33
5(2)・・ボイリング・ポイント/沸騰・・8/04 ・・・・・・・・・・・518 ・・・・・・・・3,573・・・・・・・・・・36 ・・・・・・・24

 1・2・3位の3作品が新登場です。
 1位「幸運を祈ります、レオ・グランデ」はイギリスの艶笑コメディ。人生6*年の女性ナンシー(エマ・トンプソン)はこれまでただ1度もセックスに満足したことはありません。夫と子供たちが去り、引退後ただ1人残った彼女は最初で最後に自分が死ぬまでに実行したいバケットリストを作成することにしました。
 「言われる通り、みんな忘れてあなたのことだけ考えます」。見知らぬホテルで、すべてが自信のないナンシーの前に若くて魅力的なセックスワーカーの男性リオ・グランデ(ダリル・マコーマック)が現れ、初めて経験するパーソナルサービスはナンシーに予期せぬ解放感をプレゼントするのですが・・・。韓国題は「굿 럭 투 유, 리오 그랜드」。日本公開は未定、なのかな?
 2位「すばらしき世界」は昨年私ヌルボも観た西川美和監督作品。西川監督の映画はほとんどハズレなしで本作も世評は高かったですが、ヌルボ個人としては今ひとつ・・・というのは役所広司のキャラクター設定(と社会の変化の捉え方等)にちょっと違和感を覚えたからです。韓国の評論家・記者6人の平均評点は6.83でかなりの高レベル。ネチズンのレビュー中に「長澤まさみが3分も出演してないのに主演とは欺瞞だ!」という記述がありました(笑)。韓国題は「멋진 세계」です。
 3位「バンクシーとアウトロー・アートの台頭」はイギリスのドキュメンタリー。<バンクシー>といえばもちろんあの正体不明の路上アーティスト。イギリスではミケランジェロを抜いて彼が愛されるアーティストの1位になったとか。本作は匿名の陰に隠れて強いメッセージが込められた数々の不法グラフィティを制作して美術界を一気にひっくり返してきたバンクシーのこれまでの業績をじっくりと振り返ります。韓国題単に「뱅크시(バンクシー)」ですが原題「Banksy and the Rise of Outlaw Art」を訳して仮題としました。日本では劇場公開はなく、DVDか海外版配信のようです。→コチラ参照。