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ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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ソウル大や外国の有名大に多数合格! という韓国の新・名門校はこんな高校

2014-05-08 00:07:44 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 一昨年(2012年)3月に<ソウル大学校の高校別合格者数 = 今年も特目高(科学高&外国語高)・自私高が多数>という記事をアップしました。(→コチラ。)
 その前にも、2009年9月<韓国の進学成績最上位高校の現況 「特目高」・「自私高」が目立つ>という同じような記事を書いています。(→コチラ。)

 これらの記事にはけっこうアクセス数があり、とくに時期的に最近また多くなっているようなので、一応今年度のようすを見てみました。
 結論的には、過去記事の見出しがそのままで通用するということなんですけどね。

 とりあえず、2014年度のソウル大合格者数の上位17校をリストアップします。
 ※17校というハンパな数は、ネタ元(→コチラ)が17校だから、という単純な理由です。

  ※ピンク=科学英才学校
   橙=特目高(科学高)
   青=特目高(外国語高)
   緑=自私高
   
①大元外国語高95
②龍仁外国語高92
③ソウル科学高90
④京畿科学高74
⑤ソウル芸術高70
⑥ハナ高66
⑦世宗科学高56
⑧象山高54
⑨民族史観高51
⑩韓国科学英才学校37
⑪漢城科学高36
⑪明徳外国語高36
⑬韓英外国語高35
⑬大一外国語高35
⑬大邱科学高35
⑯仙和芸術高34
⑰現代青雲高32

 このように、2年前とほぼ同じような校名が並んでいます。ただ、前回はまだ残っていた茶=一般高は今回はゼロでした。これも時の流れです。

 過去記事でも書きましたが、特目高(특목고)とは、本来的には外国語・理科系・芸術系等の特定分野に重点を置いた高校で、自私高(자사고)(自立型私立高校の略)とは、政府の支援金を受けず、独自の財政・独自の教育課程で運営している私立学校です。つまり、今年度もほとんどがこうした種類の学校です。

 上記17校の中で、主だった高校について以下コメントを少々。

 ①大元(テウォン)外国語高は、近年新たな名門校として確固とした評価を確立した代表的な高校。昨年1月の主要各紙で「出身高校別法曹人数」で1位に大元外国語高校と京畿高校が460人で並んだことが伝えられました。(→コチラ。)
 ※弁護士を含む数。資料の典拠は「2013年度法曹人大鑑」。こういうのを数える人がいるんですねー。
 新旧の名門校が同じ数値で1位という点が象徴的ということでしょう。3位はこれも「旧」名門校の慶北高で315人、かなり差があります。
 もっとも、すでに現職判事の数では2009年に大元外国語高校出身者が58人で、京畿高校の38人を上回って1位になったことが伝えられています。(→「東亜日報」の記事。)
 このように法曹界への進出が目立ちますが、李健熙三星グループ前会長の長女でホテル新羅社長の李富眞(イ・プジン)氏や女子ゴルファーのチェ・ナヨンもここの出身ということは今知りました。

 ⑤ソウル芸術高は、同じ私立の⑯仙和芸術高や、国立国楽高校と並ぶ芸術系の名門高校で、梨花芸術高校として設立された当時(1953年)は避難地だった釜山で梨花女子高臨時校舎の横にテントを張って授業をしたそうです。

 ⑥ハナ高という学校は初めて見たなと思ったら、開校は2010年。一体どんな教育をしているのか今ひとつよくわかりませんが、月2回開いている「名士特講」というのがあって、鄭雲燦(チョン・ウンチャン)元総理・元ソウル大総長、ベストセラー「つらいから青春だ」の著者キム・ナンドソウル大教授、女性徒歩旅行家の「風の娘」ことハン・ビヤ氏等々の著名人を招いているとか・・・。講演料だけでも大変なもんでしょ。(このクラス、日本の公立高校ではコネでもないかぎり1人もよべないのでは?)

 ⑨民族史観高の「特異な」教育については、2009年の過去記事でも書きました。全寮制で制服は韓服授業もふだんの生活も英語が基本、東京ドーム27個分のキャンパス(!)等。書いてなかったのは、校内に「本校出身ノーベル賞受賞者の銅像」という台座が15個も並んでいること。(→コチラの写真参照。)

 ⑩韓国科学英才学校は釜山にあるKAIST付設の学校で、韓国最初の科学英才学校です。この学校にも「ノーベル公園」(→画像)という円形緑地があって、将来卒業生がノーベル賞を受賞したら銅像を建てるのだそうです。なんでも、「学校設立後20年以内に自然科学分野のノーベル賞受賞者を輩出する」と標榜しているとのことですが、それって2023年までってこと? ふーむ・・・。
 こうしたノーベル賞ネタ、いわゆる嫌韓サイト(だけじゃないか?)で揶揄されてるなー、やっぱり・・・。

 最近(今年3月21日)の「韓国経済」に、<大元外国語高の天下? 民族史観高・ソウル科学高「われわれが最高」>という見出しの記事がありました。(→コチラ.韓国語。)
 そこにあるように、学年の生徒数は大元外国語高420人に対し、民族史観高は150人、ソウル科学高は120人で、比率からいえば大元外国語高を上回っています。
 また、民族史観高と大元外国語高は以前から報じられているように、アメリカ等の名門大学にも多数進学しています。(毎年数十人ずつ。)
 開校年度は大元外国語高が1984年、ソウル科学高が1989年、民族史観高が1996年。40歳前後の卒業生も多くなってきました。
 これらの新・名門校が旧・名門校に代わって台頭し、注目されるようになったのも、この20年ほどの韓国社会の変貌を如実に示しているといっていいでしょう。

 一方で、今日(5月7日)の「亜州経済」に「国民の半数以上が自私高廃止に賛成」という記事(→コチラ)があるのが目にとまりました。
 「自私高が廃止され、高校平準化政策が継続維持されなければならないという主張にどう思うか」という問いに対して「賛成」が55.7%で、「反対」18.7%を3倍も上回ったというものです。また、進歩陣営から立候補・当選した教育監の管轄地域を中心に推進されている「革新学校」については62.9%が「もっと増やす必要がある」と答えた、・・・というのがその主な内容です。
 ただ、この調査は進歩系教員組織の全教組の依頼で実施されたもの、という点を念頭におくべきでしょう。
 「革新学校」とは、生徒数が25人以下の小規模なクラス編成で、学校運営や教育課程運営の自律性を持ち、教職員の安定的な勤務等をサポートするための予算が確保されている形態の学校のことです。
 これについては、<韓国・・・なんでも広場>というブログに関係記事(→コチラ.日本語)がありました。そこでは次のようなことが書かれています。
 韓国も、今、成績重視の教育意識、協力よりは競争中心の学校で学校暴力がやたらと問題になって、学校に警察が出入りしてたり・・・ 教育の根本が間違ってたということで、こういう形の学校が増えてきたそうです。だけど、賛否は両論のようで・・・・・ 勉強しないでおしゃべりばかりやって帰ってくる これで入試に勝てるか
 ・・・という感想は、ヌルボとしても「さもありなん」とうなずきつつ読みました。

 英才教育を是とするか? それとも平等(平準化)の推進があくまでも正しいか?
 いろんな子どもがいていろんな親がいて・・・。また国や産業界等の求めるものもとうぜんあって・・・。
 およそどんな教育政策をとっても、どこかから必ず批判は出てくるもので、なんていうのはほとんど何も言ってないに等しいですね。ここらへんのぬるい書き方が「ヌルボ」なんだよなー・・・、むずかしいもんです。(とお茶を濁しておしまい。)