ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [3月7日(金)~3月9日(日)]

2014-03-11 22:16:28 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 スペイン映画「ブランカニエベス」は、タイトルも意味不明だし、ポスターも(白黒映画で)暗い感じで最初から度外視している映画ファンがけっこういるのでは? 一昨日シネマジャックで観たら、期待通りで大正解。白雪姫のとても巧みな翻案。タイトルはスペイン語で白雪姫。スペイン人がなぜあんなに闘牛に熱狂するか、以前から全然わかりませんでしたが、10%くらいわかるようになりました。って、「わかる」と言えるレベルじゃないですね(笑)。

 続いて昨日はユーロスペースで「北朝鮮強制収容所に生まれて」を観てきました。さっそく感想を書き始めたのですが、いろいろ手間取って未完成。たぶん明日アップします。
 そしてもう1つ。同じ渋谷で「シネマパラダイス★ピョンヤン」をハシゴ鑑賞。前者は宇都宮健児さんのトークもあったためか100人を超える入りだったのに対し、後者はその約40分の1(!)の3人。対照的といえば、それよりもまず内容なんですけどね。北朝鮮社会の最上層と最下層、どちらもフツーの北朝鮮住民にはあまりなじみのない映像ではないかと思うのですが、そのフツーの北朝鮮住民を映し出した映画が非常に少ないのがはがゆいところ。以前の「家族の問題」シリーズのようなのを観てみたいのですが・・・。

 明日はシネマート六本木で上映中の「おもちゃ~虐げられる女たち~」を観に行くかな? これもなんだかなーという内容で、全然期待感・昂揚感がないんだけど・・・。えっ、10:40~の1回だけ!?

 3月21~30日の<新大久保ドラマ&映画祭>の申し込みは、作品にもよりますがまだわりと残っています。→コチラを参照されたし。私ヌルボの鑑賞予定は、映画3作品かな? たぶん。

           ★★★ Daumの人気順位(3月11日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①もうひとつの約束(韓国)  9.7(2114)
②弁護人(韓国)  9.5(30343)
③アーネストとセレスティーヌ  9.3(44)
④ダラス・バイヤーズクラブ  9.2(69)
⑤リバー・ランズ・スルー・イット  9.2(114)
⑥遭難者たち(韓国)  9.1(43)
⑦貪欲の帝国  9.1(30)
⑧イングリッシュ、ヴィングリッシュ  9.1(79)
⑨あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  9.1(112)
⑩怪しい彼女(韓国)  9.0(2604)

 今回の新登場は④⑤⑥⑦の4作品です。
 ④位「ダラス・バイヤーズクラブ」は日本でも2月22日から公開されています。3月6日公開の韓国よりも2週間も早いとは画期的! 韓国題は「달라스 바이어스 클럽」です。
 ⑤位「リバー・ランズ・スルー・イット」はもちろん1992年制作のアメリカ映画。名作の再上映はブームというよりもふつうのことになってきてる? 韓国題は「흐르는 강물처럼(流れる川のように)」なので、一見しただけではわかりませんでした。
 ⑥位「遭難者たち」は昨年ハワイ国際映画祭で大賞を受賞した韓国のスリラー。「昼間から呑む(昼酒)」のノ・ヨンソク監督の第2昨です。1人で江原道の深い山の持ち主のいないペンションを訪ねてきたシナリオ作家サンジン(チョン・ソクホ)は、そこで町の青年ハクス(オ・テギョン)に出会い、助けを受けます。しかしハクスが出所したばかりの前科者であることを明かすと、過度に親切な彼が負担に。その上、周辺をうろつく猟師や一晩だけ泊まらせてほしいという人もやってきて、不安と怖れが募る中、客の1人の流血死体が発見される。大雪に閉ざされたペンションという1つの密室での事件。誰が犯人なのか分からない中、さらに信用できない警察まで登場して、事件は予想もできない結末へ・・・。韓国題は「조난자들」です。
 ⑦位「貪欲の帝国」は韓国のドキュメンタリー。サムソン電子の従業員で白血病で亡くなったファン・ユミさんの父親ファン・サンギさんのサムソンとの闘争過程を描いた映画「もう一つの約束」が多くの観客を集めさまざまな話題をよびましたが、このドキュメンタリーもサムソンのために病気にかかった人々や、命を奪われた人たちのことと、彼らを無視する韓国社会を描いたものです。脳腫瘍、うつ病、乳ガン等々を発症して今も苦しんでいる人たちが大勢いるそうで、<レイバーネット>の記事によれば、労働災害の情報を提供したサムスンの労働者は合計180人で、そのうち66人はすでに亡くなっている、とありました。この映画の原題は「탐욕의 제국」です。
 ※サムソンという会社は、「これほど国民の反感を買っている企業は世界でも珍しい」といわれる一方、韓国人が最も働きたい企業で、2013年10月に実施されたサムスングループの新卒者採用試験には、採用枠5500人に対し約10万人が応募したそうです。・・・というような内容の<サムスン告発映画が韓国でヒットする“理由”>と題した記事(2月26日付)が産経新聞のサイト中にありました。(→コチラ。)

     【専門家による順位】

①インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌  8.8(7)
②ゼロ・グラビティ  8.2(5)
③ミヒャエル・コールハース  8.0(4)
④萬神(韓国)  8.0(3)
⑤アデル、ブルーは熱い色  7.8(6)
⑥風景(韓国)  7.7(4)
⑦そして父になる(日本)  7.6(6)
⑧アメリカン・ハッスル  7.6(5)
⑨それでも夜は明ける  7.3(6)
⑩あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  7.3(3)

 新登場は④「萬神」だけです。昨年坡州(パジュ)で開かれた<第5回DMZ国際ドキュメンタリー映画祭>で開幕作として招待されたパク・チャンギョン監督(パク・チャヌク監督の弟)の作品。韓国の人間国宝キム・クムファ(金錦花)さんは1931年生まれの偉大なムーダン(巫堂.巫女)で、クッ(祈祷舞踊)の天才とされるそうです。そんな彼女のドラマチックな生涯を、黄海道の海辺で孤独に育った幼児期はキム・セロン、17歳で神が降りてきた後はリュ・ヒョンギョン、1970年代セマウル運動下のの苦難の時代はムン・ソリと、3女優がファンタジーに満ちた再演ドラマとして演じています。原題の「만신(マンシン)」は固有語で「巫女の尊敬語」なのだそうですが、同じ音の「萬神」という漢字語も用いられるそうです。ソン・ガンホやチェ・ミンシクも「必ず観てください!」と言ってることだし、そうでなくても期待度大ですよ、この作品。ということで、予告編の動画を載せておきます。

    

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[3月7日(金)~9日(日)] ★★★

         どこまで伸びる?「怪しい彼女」 3位と依然健闘

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・300<スリーハンドレッド>・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・661,903 ・・・・・・・・・782,900・・・・・・・・6,809・・・・・・・・720
             ~帝国の進撃~
2(1)・・ノン・ストップ ・・・・・・・・・・・・・・・・・2/27・・・・・・・・・・・・395,827 ・・・・・・・1,464,419・・・・・・・11,377・・・・・・・・508
3(3)・・怪しい彼女(韓国) ・・・・・・・・・・・・1/22・・・・・・・・・・・・145,176 ・・・・・・・8,432,073・・・・・・・61,088・・・・・・・・345
4(6)・・それでも夜は明ける・・・・・・・・・・2/27 ・・・・・・・・・・・・108,198・・・・・・・・・299,550・・・・・・・・2,263・・・・・・・・316
5(2)・・ポンペイ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/20 ・・・・・・・・・・・・・97,098 ・・・・・・・1,310,412・・・・・・・・9,849・・・・・・・・383
6(5)・・アナと雪の女王・・・・・・・・・・・・・・1/16 ・・・・・・・・・・・・・96,096・・・・・・10,198,462・・・・・・・81,706・・・・・・・・421
7(4)・・チラシ:危険な噂(韓国) ・・・・・・・2/20 ・・・・・・・・・・・・・78,626・・・・・・・1,181,334・・・・・・・・8,820・・・・・・・・333
8(44)・・ダイアナ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/06・・・・・・・・・・・・・・27,081・・・・・・・・・・39,326・・・・・・・・・・286・・・・・・・・266
9(34)・・ダラス・バイヤーズクラブ・・・・・3/06・・・・・・・・・・・・・・25,410・・・・・・・・・・34,004・・・・・・・・・・278・・・・・・・・136
10(9)・・神が送った人(韓国)・・・・・・・・・2/13 ・・・・・・・・・・・・・18,471・・・・・・・・・393,695 ・・・・・・・・2,865・・・・・・・・154
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 先週の1位「ノン・ストップ」も1週天下に終わり、今度は「300<スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~」が新登場でとって代わりました。徐々に数字は減ってきているものの、「怪しい彼女」が3位と粘っています。
 今回の新登場は1・8・9位の3作品です。
 1位「300<スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~」は古代ギリシャのスパルタ軍とペルシャ軍の激戦を再現した歴史アクション「300<スリーハンドレッド> (2007)」の続編。ギリシアの市民たちがペルシア王クセルクセスとアルテミシアを相手に大海原で壮絶な戦いを繰り広げます。韓国題は「300: 제국의 부활(300:帝国の復活)」。日本公開は今年6月です。
 8位「ダイアナ」は、日本では昨年公開。韓国ではなんで遅れたのかな? 韓国題は「다이애나」。
 9位「ダラス・バイヤーズクラブ」は上述のように日本ではもう公開されています。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(10)・・ダラス・バイヤーズクラブ・・・・・・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・25,410・・・・・・・・・・・・・・34,004・・・・・・・・・・278・・・・・・・・136
2(23)・・フィッシュ&チップス 劇場版 ・・・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・・9,505・・・・・・・・・・・・・・10,380・・・・・・・・・・・72・・・・・・・・158
3(17)・・萬神(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・・7,470・・・・・・・・・・・・・・13,063・・・・・・・・・・・99 ・・・・・・・・・87
4(15)・・遭難者たち(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・・4,637・・・・・・・・・・・・・・・7,762 ・・・・・・・・・・・60・・・・・・・・・46
5(2)・・アーネストとセレスティーヌ ・・・・・・・・・2/20 ・・・・・・・・・・・・・2,321・・・・・・・・・・・・・・46,735・・・・・・・・・・314・・・・・・・・・44

 前回とがらっと替わって1~4位が新登場。
 1位「ダラス・バイヤーズクラブ」については前述しました。
 2位「フィッシュ&チップス 劇場版」は、韓国ではおなじみ(?)の日米以外のアニメ。これはカナダです。フィッシュは魚だとして、チップスというのは何者かと思って予告編を見たら子ネコなんですね。で、そのチップスがフィッシュがかけているご先祖様の骨製の首飾りを奪おうとして・・・ということのようなんですが・・・。韓国題は「피쉬와 칩스 극장판」。フィッシュは韓国語ではピシ。
 3位「萬神」、4位「遭難者たち」については上述しました。
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『植民地時代の古本屋たち』-昭和前期の朝鮮・台湾・樺太・満洲等- こういう本、よく作ったものです

2014-03-11 16:13:44 | 韓国・朝鮮に関係のある本
 川崎に映画を観に行った時など、たいてい立ち寄るのが古書店・近代書房
 昨日行った時目にとまったのが『植民地時代の古本屋たち』という本。中をみると、樺太・朝鮮・台湾・満洲・中華民国の往時の日本古書店のことが実にくわしく書かれているではないですか。
 さっそく購入し、帰宅後あらためて読むと、著者の沖田信悦さんは船橋で鷹山堂という古書店を経営している方。それにしても、よくこういう本を出したものだと思います。

             
          【表紙は樺太の豊原市街(高野書店提供とあります)】

 驚いたのは、記事本文でそれぞれの地の代表的な古書店や売れ筋等の状況を当時の資料を用いて記述しているばかりでなく、各地の古書店のリストや地図まで載せていること。

   
    【朝鮮各地の古書店リストの一部。京城には60以上もの古書店があった。】

        
      【京城の古書店所在図。『全國主要都市古本店分布圖集』(1939年版)より。】

        
             【釜山の古書店所在図。】

 朝鮮では、他に平壌・新義州・大邱の地図が掲載されています。
 著者の沖田さんは、昭和前期の『全國書籍商組合員名簿』『東京古書籍商組合月報』『日本古書通信』等々、業界関係の資料を丹念に当たっているばかりか、満洲の章を見ると、当時新京(現・長春)にあった満洲巌松堂で働いていた大野幸雄さんの聞き書き等もしています。
 このようなテーマでこのような本を構想し、実際にまとめあげるとは、ホントにオドロキ。また70~80年も前に細かな資料をまとめ、それが今までちゃんと残っているのは先人の功績ですね。
 また、次のような写真も、よくあったものです。
     
     【京城の本町(現・忠武路)にあった一誠堂。】

 当時の京城で最も古書店が多かったのが本町(現・忠武路)でした。ただ、ここは他の店も多い繁華街で、神保町のような古書店街といった趣きの街ではなかったそうです。その点では寛勲町方面(現・寛勲洞~仁寺洞洞)の方が古書店が軒を並べている街だったとか。今の仁寺洞通りにも、通文館のような歴史のある古書店がありますね。(参考→通文館についての過去記事。)
 その他、明治町(現・明洞)、黄金町(現・乙支路)、鍾路などにも古書店がありました。

 ただ、ここのあげられている古書店はすべて日本人経営の店で、本町・明治町・黄金町等もいわゆる日本人街でした。
 それに対し、「鍾路通りには、朝鮮史?の堂々たる商店が数多く出店していた」とのことです。
 それら現地人の古本屋のことが本書では抜けている点については、総集編冒頭で沖田さん自身書かれていることですが、「(「全古書連ニュース」での)連載時のタイトル(「外地に渡った古本屋たち」)に違和感をいだきながら筆を進めてきたことを白状しなければならない」と記しています。
 しかし、それはどこまで調査が可能なのでしょうか?

 この本については、<岩戸の中>や<電子書肆 さえ房>の記事、<大阪商業大学>のサイト中の記事でも詳しくとりあげられています。

 上記リンク先の記事と重ならない部分で、私ヌルボがとくに朝鮮の古書店についての本書の記事中「なるほど」と思って読んだのは、1939年頃の状況を一古書店主が記した文の次の2ヵ所です。
・京城のる本店は本格的商売としては考へ物で遅々たる発展を示し、今でも古本屋と云へば学術書と研究資料よりも中古教科書を想い・・・・  
・兎角学生のお客は僅少、一般の人は部門が限られて居り、又趣味として小説類や常識を豊かにする實際書だけで体験の修養書は歓迎される傾向がある。


 今も東大門市場近くの清渓川沿いに並ぶ古本店街(→関係過去記事)には学参や教科書が多く積まれ、またベストセラー本の内訳を見ると日本に比べて人生哲学や生活実用書が多いのですが、70年前もそうだったとみてよさそうだと思いました。

 なお、満洲・朝鮮・台湾に進出していた古書店は、敗戦を迎えて店舗は例外なく当局に接収され、引揚げに際してももちろん他の引揚げ者同様苦労を味わうこととなりました。
 本書の総集編ではそれらのことも記されています。朝鮮に関する部分を1ヵ所紹介します。

 たとえば、京城では、朝鮮人が経営する古本屋たちは接収されなかった。逆にかれらは、引き揚げ者の境遇に落とされたあまたの日本人コレクターから、あふれるほどの処分図書を捨て値同然で買い取り、急ごしらえの倉庫をいくつも持ったという。(『図書館雑誌』第五九巻第八号所収、桜井義之著「終戦前の朝鮮の図書館事情」より)。

 私ヌルボ、この本を定価より少し安く購入したのですが、今ネット通販を見ると、中古本だと送料込で1000円以下で出ています。ま、定価に十分以上相当する本だからいいですけど。
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