ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国で一番歴史のある古書店・通文館のこと

2009-09-11 17:53:28 | 韓国の街ネタ、観光ポイント、店・施設等
    
 仁寺洞(インサドン)といえば、いうまでもなくソウルで外国人観光客に人気の街。伝統工芸品や土産物の店が並び、この頃は伝統茶店もずいぶん増えました。

 その中に古書店の通文館(통문관.トンムングァン)があります。仁寺洞を北西の方から入ったすぐ右側で、街がにぎわっている時も、入口を開放しているわけでもないので、ほとんどの人はただ通り過ぎるだけです。
 しかしこの店は、韓国で最も古くからある古書店で、新聞・雑誌等でもしばしば取り上げられる、文化的にも注目すべき店です。過日仁寺洞の見学ガイド本(小学生向き)を見たら、この店についても大きく取り上げられていました。
 今の主人の祖父李謙魯さん(2006年97歳で逝去)がこの店の前身の金港堂を開店したのが1934年とのことですから、もう75年になります。
 
 私ヌルボがこの店に最初に入ったのは5年ほど前。店構えもガラス越しに見える書籍類も格調高すぎる感じだし、戸を開けて入るのにちょっと抵抗感があったのですが、店内に入ってみると、あまり広くはないとはいえ、多くの本が分野別にきちんと並べられていて、神保町の古書店と同じような雰囲気でした。その時は、たまたま韓国の近代100年の歩みを写真中心に編集した事典を見つけ、かなりのボリュームだったのですが購入して持ち帰りました。
    
 昨夏行ったら店舗が改装されていました。
 私ヌルボが関心のある戦前の小説や、当時の朝鮮関係の書物等を探して、1970年代に出た申東漢「抗日民族詩集」(瑞文文庫)等、漢字まじりハングル表記の、高くはない本を数冊持ってレジに行くと、「どんな本をお探しですか?」(韓国語)と尋ねるので、「○×△※・・・」(下手な韓国語)というと、「日本語でいいですよ」ととても流暢な日本語に切り替えて下さる。その女性の方はしばしば日本にも仕事で来られるとか・・・。
    
 ヌルボの話を受けて出して下さったのが昭和19年5月京城府鍾路区壽松町の朝鮮図書出版社発行の「半島作家短篇集」。(上の画像) 鄭飛石や香山光郎(=<朝鮮近代文学の祖>といわれる李光洙の日本名)、兪鎮午(戦前~戦後の文学・政治の大物)等々8人の日本語による短編を収録した薄手の本です。それなりの値段なので少し考えましたが、法外でもないので購入しました。
 
 いただいた名刺に通文館のHPのアドレスがあったので、帰ってから見てみると、店の写真も載っているし、また通信販売もやっていて、本のリストを見ることができます。

 仁寺洞には、承文閣という古書店もあるということを後で知りました。写真で見るかぎり、版本が中心かなという感じですが・・・。

 ヌルボは、一昨年頃から「掘り出し物でもあれば・・・」と古書店を探して東大門市場や釜山市内を廻ったりしたのですが、本格的な古書店は全然見つからず。ほとんどは学参等をごく狭い店内に無造作に平積みしているだけでした。
 しかし以前映画(「菊花の香り」だったかな?)を観ていたら、大学生等が訪れるしっかりした古書店もあるようなので、これからまた探してみようと思っています。
 
 ネット古書店もそれなりにありますが、どうも外国人の顧客は想定していないようで、例の「住民登録番号の入力」という障壁は当方としては如何ともしがたいです。

 あるサイトによると、韓国の古本の本場は「何と言っても大邱」とあったが、ヌルボはまだ行ったことがない都市なのでなんとも・・・・。

※九州大学の朝鮮史学研究室のHP内に<韓国書店めぐり>という便利なページをみつけました。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« <アタル>って何なの? ト... | トップ | 「ネチズン」も「ヌリクン」... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

韓国の街ネタ、観光ポイント、店・施設等」カテゴリの最新記事