ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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タプコル公園の独立宣言書の新しい石板の誤字(?)をめぐって・・・・

2011-03-09 23:51:58 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 3月1日は1919年三・一独立運動が始まった日ということで、韓国では<三一節>という祝日になっています。
 この日のTVやラジオ、新聞等では、それに関わる番組や記事をいろいろ流すのですが、先週3月1日の「朝鮮日報」では「11곳 이상 원문과 다르고 오•탈자… 통곡할 독립선언서」と題する記事が1面トップと12面に載っていました。訳すと11ヵ所以上原文と違い、誤字・脱字・・・痛哭する独立宣言書というものです。
 ※本文記事の日本語訳は→コチラで見ることができます。

 記事の主旨は次の通りです。

 鍾路区庁は昨年1月、「三一独立宣言現場のタプコル公園にある大型独立宣言書の石板に書道体で書かれた文字の多くが、原文と違う」とのある市民の異議を受けて、独立記念館への諮問と鍾路区の文化財諮問委員会の審議を経て2000万ウォンをかけて新しい石板を造り、今年2月9日に過去の石板の上に取り付けた。 
 ところが、新しい石板の文字はコンピュータ活字体で、誤字脱字が11ヵ所以上で、原文とは異なった誤った字が刻まれている。
 また、以前の石板は、1967年に、20世紀韓国の最高の書家である如初・金膺顯(여초・김응현.1927~2007)の書を刻んだもので、書道界の関係者たちによれば、彼が異体字を用いたのは均衡を合わせるためで書道では許され、今回の石板の交替は「文化的無知の結果だ」として復元を要求している。


   
    【如初が書いたこれまでの石板(左)と、活字体の新しい石板(右)。
 
 さて、私ヌルボが「あれ~?」と首をかしげたのは、新聞に載せられていた新旧石板の文字の拡大図(下)。

   
    【旧石板の「正しい字」(左)と、新石板の「誤字」(右)。

 ちょっと見ただけでは気づきにくいほどのわずかな違いではないですか。の画数を問われたら、日本人はほとんど6画と答えるでしょう。本来は7画が正しいといわれても困ってしまいます。の字の場合、範囲指定をしてフォントをPMingLiU(繁体字中国語用)にすると第4画が「一」から「ノ」に変わることに気づきました。これはいわゆる旧字体ですね。朴正煕のもビミョー。一番上の字は元々ヌルボの知らない字です。
 よくこんな細かな違いを見つけ出したものです。しかし、これらが本当に誤字といえるのかどうか? ヌルボにはわかりません。また誤字だとしても、「朝鮮日報」が三一節の日のトップ記事にするほどのものかどうか? 戦後長く漢字を低く扱ってきた韓国では、日本の中高生でもすぐわかるようなレベルの誤字が目につきます。こんな重箱の隅をつっつくより前にやるべきことがあるのではないか、とも思います。(この新聞記事にしてからが、「誤字」とされいる活字体の「害」や「誠」の字を使っているわけだし、矛盾していますねー・・・。)

 石板交替の経緯をみると、異議を申し立てた市民とそれを受けた鍾路区関係者、そして書家たちや新聞社等々の間に、独立宣言書の原文の神聖性(?)や、漢字についての認識にズレがあるように思われます。

 ヌルボ個人としては、誤字云々と関係なく、如初・金膺顯先生の格調高い書の方がずっといいと思いますけどね。
コメント
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