ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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「毎日新聞」の「日韓併合100年 忘れ得ぬ人々」から考える

2010-03-26 12:23:07 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ
 3月23日から「毎日新聞」で「日韓併合100年 第2部 忘れ得ぬ人々」として、「舞踊家 崔承喜」、「オペラ歌手 金永吉をとりあげています。(→崔承喜上)・(→金永吉上)

 戦前~戦中「半島の舞姫」として評判をよんだ崔承喜。
 新聞記事にもある川端康成のほかにも、ウィキによればピカソやジャン・コクトーにも支持された、とあります。
 しかし朝鮮独立運動家一方から批判されもし、また日本政府からは反体制派の一人と目されたりもしたとか・・・。
 戦後は夫とともに北朝鮮に移って舞踊研究所を設立し、多くの生徒を指導するが、のちに<ブルジョワおよび修正主義分子>として粛清され、1969年に亡くなった。しかし2003年に遺体が愛国烈士陵に葬られていることが公表され、名誉回復されたことが明らかとなったとのことです。
 ただ、現在、韓国の民間団体による「親日人名辞典」に名前が掲載されているとのことです。

 テノール歌手・金永吉(永田弦次郎)も戦前オペラ歌手として活躍しただけではなく、戦時歌謡も吹きこんだとか・・・。私ヌルボも「金鵄輝く日本の」歌い出しと「紀元は二千六百年」というラストだけは知っている「紀元二千六百年」の歌も、藤山一郎・霧島昇・東海林太郎等々総動員された歌手中に永田弦次郎の名前もあります。
 戦後、北朝鮮に渡った点も、その後批判されたことも、そして今再評価されつつあることも崔承喜と共通しています。

 この「日韓併合100年 忘れ得ぬ人々」という企画記事。第1部では、2月12日このブログの記事で紹介したように、済州島を蜜柑の大生産地とするなど、韓国の農業振興に携わった農学博士・禹長春でした。

 今回の第2部までにとりあげた3人の共通点をみると、およそ「毎日新聞」の立ち位置といったものが見えてきます。すなわち、
①農学者、舞踏家、オペラ歌手と、ともに政治やイデオロギーとは関係なさそうな分野で大きな足跡を遺した人物である。
②戦前~戦後という時代、日本と朝鮮・韓国という時代と国の間で翻弄された人生を歩まざるをえなかった人物である。

 ・・・ということで、今後さらに第3部があるものとして私ヌルボなりに人選を予測してみました。

 ①の観点でこれまでとダブらない分野はスポーツ関係。とくれば真っ先に思い浮かぶのが1936年マラソンで優勝した孫基禎選手。ただ、彼の胸の日の丸を消して新聞に掲載したのは「毎日新聞」が提携している「朝鮮日報」じゃなくて「朝日」と組んでる「東亜日報」なのがちょっと・・・。
 画家の金基昶(キム・ギチャン)。1万ウォン札の世宗大王の肖像画を描いた人。

 文学関係では尹東柱。あるいは岩波文庫の「朝鮮詩集」の著者金素雲。小説家の崔南善李光洙も歴史に翻弄された人たち。児童文学作家の方定煥(パン・ジョンファン)は昔すぎるし、ちょっと②には合致しないか。

 しかし、戦前日本で活躍著名な朝鮮人は、今の韓国のモノサシだとほとんど例外なく批判さるべき<親日派>にリストアップされてしまうんですねー。韓国の国歌を作曲者安益泰(アン・イクテ)も、同じ作曲家では「故郷の春」「鳳仙花」を作曲した洪蘭波(ホン・ナンパ)も・・・。あ、洪蘭波は戦後まで生きてないですね。

 いずれにしろ、上にあげた人たちはもっと今の日本でも知られていいと思います。