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変なおじさん

2008-10-17 | 高岸輝『室町絵巻の魔力』
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2008年10月17日(金)00時39分22秒

中沢新一氏に『僕の叔父さん 網野善彦』(集英社新書)という、古いフランス映画をもじった洒落たタイトルの本があります。
中沢のような胡散臭い人間はだいっきらいだ、という人にとっても、奇矯なレトリックはなく、淡々と網野氏との交流を描いている本なので読みやすいですし、何より網野善彦氏の思想形成過程の一端が窺われて面白いので、けっこうオススメですね。
ところで、私は梅原猛氏の本はかなり読んでいるのですが、中沢氏の著書のタイトルを又借りして私にとっての梅原氏を一言で表現すると、「変なおじさん 梅原猛」となりますね。
頭はものすごく良いのだろうけど、いつも訳のわかんないことを言っている愛すべき奇人、てな感じです。
「九条の会」の発起人になるなど、今ではすっかり朝日文化人と化した梅原氏にも、危険な国粋主義者ではないかと疑いの目で見られていた時代があり、例えば『日本史研究』のバックナンバーを見ると、梅原氏が主導して設立された国際日本文化研究センターへの猛烈な批判や、同センター設立記念講演会に、危険思想が吹聴されているのではないかと偵察に行ったスパイもどきの方の報告が載っていたりして、時の流れを感じさせますね。
『梅原猛「神と仏」対論集第四巻 神仏のしづめ』で久しぶりに梅原猛氏の語り口に接してみたら、朝日文化人となった今でも梅原氏自身は単なる「変なおじさん」だった頃から殆ど変化していなくて、面白く読めました。

『梅原猛「神と仏」対論集第四巻 神仏のしづめ』
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=200604000161

映画「ぼくの伯父さん」
http://homepage2.nifty.com/e-tedukuri/ojisan.htm
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