投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年12月23日(月)21時28分46秒
アクセスが一時的に少し増えているので、初めてここを見た人のために念のために書いておくと、私も別に『中世的世界の形成』に感激した人が何か凝り固まった思想の持ち主だと思っている訳ではありません。
むしろ逆で、いかにも慶応出身らしいスマートな発想をする人なのに、たまたま研究者を志したきっかけを聞いたら石母田正の名前が出てきたので、意外だなと妙に記憶に残っているだけです。
ネットで活発に書いている歴史研究者だと、例えば保立道久氏あたりの全共闘世代の人までは思想と学説が密接に結びついている感じがしますが、四十・五十代には多少微妙な人がいるものの、三十代より下の世代だったら、思想と学説は全く切り離して受容しているような感じがします。
以前、外部の人のブログにこの掲示板の投稿が引用されたのをきっかけに、黒田俊雄氏の権門体制論についてほんの少し検討したことがありますが、一貫して強固なマルクス主義的信念を持っていた黒田氏自身にとっては自己の思想と権門体制論は密接に結びついていたでしょうけど、現在、学説として権門体制論を支持している若手研究者の大半は、思想は関係ないと思っているんだろうなと書きました。
石母田氏についても同じような状況だろうと考えています。
「黒田農園のチューリップ」
>筆綾丸さん
ご紹介の本、後で確認してみます。
『国家の罠』を書いていたころの佐藤氏はそれなりにすごいなという雰囲気が漂っていましたが、今は単著はとても読む気がしないですね。
※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。
遅れて来た老人 2013/12/23(月) 12:37:18
小太郎さん
東島氏ほどの俊才になると、一部の東大教授に対しても、なんて寝惚けた奴なんだ、てなことになるのでしょうね。
『中世的世界の形成』は、歴史に何の知識もない二十代の或る冬、お茶を飲みながら炬燵で読み耽りましたが、物凄くよく出来た『小説』のように思われたものです。いま読み返せば違うはずですが、再読することはもうないでしょうね。
あるノーベル賞作家に「遅れて来た青年」という小説がありますが、丸島氏にはそこはかとなくそんな面影が漂っていて、失礼な言い方ながら、どうにも古臭いタイプんですね。べつにモダンである必要はないけれども。
http://www.shinchosha.co.jp/book/610551/
手嶋龍一/佐藤優『知の武装ー救国のインテリジェンス』を読むと、第二次世界大戦時のイギリス国内のファシズム運動に触れた箇所がありますが(186頁)、イギリスもかなり危ない綱渡りをしていたようですね。
佐藤 最近、史料を調べていて驚いたのですが、第二次世界大戦が始まると、祖国イギリスを裏切ってドイツのスパイになる怖れがあるというので、英仏海峡に浮かぶマン島に潜在的なスパイとされる人々を強制移住させたんですね。そうした疑わしい連中は「第五列」と呼ばれたのですが、対象になったファシスト党員は一体どのくらいいたと思いますか。
手嶋 ざっと、数千人くらいでしょうか。
佐藤 なんと九万人ですよ。労働党のかなり上質な部分がファシストになると考え、その社会的影響力を怖れて隔離したというわけです。
手嶋 いやあ、それほどの人々が「第五列」として扱われたんですか。意外だなあ。
佐藤 イギリスの強制移住の話、ほとんど知られていませんね。「第五列」という意味では、アメリカでも、日系アメリカ市民の強制収容キャンプ送りがありましたが、イギリスは、ファシズムにつながる危険性があるとして、ごく一般のイギリス市民を強制移住させた事実があるんです。イギリス人というのは、そんな乱暴な部分も含めて検討に値しますね。(後略)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E5%B3%B6
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%BA%94%E5%88%97
マン島は独特な歴史を有する島のようですが、「英仏海峡」ではなく「アイリッシュ海」に浮かぶ島ですね。
俄然、マン島に行ってみたくなりました。
小太郎さん
東島氏ほどの俊才になると、一部の東大教授に対しても、なんて寝惚けた奴なんだ、てなことになるのでしょうね。
『中世的世界の形成』は、歴史に何の知識もない二十代の或る冬、お茶を飲みながら炬燵で読み耽りましたが、物凄くよく出来た『小説』のように思われたものです。いま読み返せば違うはずですが、再読することはもうないでしょうね。
あるノーベル賞作家に「遅れて来た青年」という小説がありますが、丸島氏にはそこはかとなくそんな面影が漂っていて、失礼な言い方ながら、どうにも古臭いタイプんですね。べつにモダンである必要はないけれども。
http://www.shinchosha.co.jp/book/610551/
手嶋龍一/佐藤優『知の武装ー救国のインテリジェンス』を読むと、第二次世界大戦時のイギリス国内のファシズム運動に触れた箇所がありますが(186頁)、イギリスもかなり危ない綱渡りをしていたようですね。
佐藤 最近、史料を調べていて驚いたのですが、第二次世界大戦が始まると、祖国イギリスを裏切ってドイツのスパイになる怖れがあるというので、英仏海峡に浮かぶマン島に潜在的なスパイとされる人々を強制移住させたんですね。そうした疑わしい連中は「第五列」と呼ばれたのですが、対象になったファシスト党員は一体どのくらいいたと思いますか。
手嶋 ざっと、数千人くらいでしょうか。
佐藤 なんと九万人ですよ。労働党のかなり上質な部分がファシストになると考え、その社会的影響力を怖れて隔離したというわけです。
手嶋 いやあ、それほどの人々が「第五列」として扱われたんですか。意外だなあ。
佐藤 イギリスの強制移住の話、ほとんど知られていませんね。「第五列」という意味では、アメリカでも、日系アメリカ市民の強制収容キャンプ送りがありましたが、イギリスは、ファシズムにつながる危険性があるとして、ごく一般のイギリス市民を強制移住させた事実があるんです。イギリス人というのは、そんな乱暴な部分も含めて検討に値しますね。(後略)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E5%B3%B6
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%BA%94%E5%88%97
マン島は独特な歴史を有する島のようですが、「英仏海峡」ではなく「アイリッシュ海」に浮かぶ島ですね。
俄然、マン島に行ってみたくなりました。
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