五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

雪がふるふる雪女

2013年01月15日 | 第2章 五感と体感
旅の僧が降ってきた雪に途方に暮れて、暫く休んでいると、どこからともなく美しい女性が忽然と姿を現します。

場所は摂津。

女「誰とはいかで白雪の。ただおのづから現れたり」

僧「我とは知らぬ白雪とは。おことは雪の精か?」

女「いやさればこそ我が姿。知らぬ迷いを晴らしたまえ」

源氏物語の浮舟を思わせますが、ともかくこの女性は、自分が誰なのか、どこに居るのか、どこに向かおうとしているのか、訳が解らない様子です。

これは能楽「雪」の一節です。

昨日は、一気に雪が降り出し、あっという間にどんどん積もってしまいました。
風も強いので、吹雪くと視界も鎖されます。

一面の外の白さに、「雪」の謡曲を口ずさみ、雪かきをする以外は家の中で過ごしました。

地謡「姿もさすが白雪の。峰の横雲」

女「立ち昇る東雲も」

地謡「明けなば恥ずかし暇申して。帰る山路の梢にかかるや雪の花。雪の花はまた消え消えとぞ。なりにける♪」

東雲(夜明け)とともに、「我は迷わじ」と消えてゆく女の姿は、聖書でいえばサマリアの女とも重なります。

荒涼とした砂漠の地。人気(ひとけ)の無い時間を見計らって井戸の水を汲む女性。キリストに出会い何かに気付きます。
雪の中忽然と現れる美しい女性。僧に出会い何かに気付きます。

「迷える人の現れ方は古今東西違いあれど迷いは同じ」と思いに暮れ、私の一日は久しぶりに雪に鎖された静けさを楽しませてもらいました。雪国の方々のご苦労も充分感じつつ…。

今日は三連休明けです。滑らないように気を付けて歩きたいものです。

告知:
「江戸表具を愛する会」本日から地下鉄銀座線「銀座駅」近くの地下通路で開催中。

銀座三越の地下から東銀座にかけての地下通路のショーウィンドーです。
作家の常駐はありません。作品のみの展示です。

期間:2013年1月13日から2月9日まで、銀座プロムナードギャラリー(銀座三越下~東銀座までの地下通路・歌舞伎座の手前)


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