五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

禅僧白隠

2013年01月14日 | 第2章 五感と体感
昨日の観世宗家展に続き、今日は禅僧白隠の展覧会を鑑賞してきました。

言葉で他者が語ることが難しい白隠の画と書は、まず「この展覧会を観るべし」としか言いようがありませんが、私なりの白隠展の所感を書いてみることとします。

「禅」を蓑にし、簡素を解きながら一品の贅沢を求める禅僧を嗜め、自己の内と自己の外を自由に出入りしているように感じる白隠の表現に、伸びやかでありながら、禅僧としての修行のストイックさ、繊細さ、気遣い、つまり、森羅万象に含まれる人の業を、自らが全て含くんでいることを実践しているような、そのような感覚を得ました。

技を磨く長谷川派、狩野派の画は、森羅万象を写すことから始まりました。森羅万象を写すことから内面へと深く入り込むことができる絵師もいれば、そうでない絵師も勿論います。

禅僧白隠の画・書は、描きたいもの、書きたいものの真髄から入っていくと表現するのが相応しいかもしれません。
真髄が見えることによって、表現しているものよりもよりより深いものが今でも呼吸しているように感じるのです。

禅僧の掛け軸尽くしで、これだけの空気の通り道を感じたのは初めてかもしれません。

彼は、紙に向かっているのではなく、仏に向かっているというのではなく、自らに向かっているのです。

そして、この展覧会は表装も見応えがあります。
白隠展のために修復されたもの、掛け軸を打ち直したものもあったようですが、軸装拝見することによって、所蔵者、所有者の心模様も投影されており、二倍楽しみました。

更になんといっても展覧会の観覧者の姿勢が何とも良く、白隠の教えを直に得ているかのように、皆様が白隠と共に瞑想しているかのようでした。人気の展覧会で、多くの方が会場に居ましたが、人の気に白隠の気が通り、円相となっているような澄み深い交わりの空気を体感しました。

「人は、何がよいか。何がわるいか。私は何を選択すべきか。どこに向かうのか。」
誰しも既に心のどこかにスケールを持ち備えていることに人の存在理由もあるのだ、と、しみじみ感じた展覧会でした。

つまり、私も掛け軸と向き合い、禅問答へと誘導された、というわけです。

答えは私自身の内にあります。

白隠の掛け軸の前に佇み、禅問答できたことに感謝です。

「自分が答えを与えるのではなく、人々が自ら問答できる機会の場を整えることに配慮することが、聖職者や人を育てる立場に居る人の最も大切な務めであることを忘れてはならぬ。」ということも、強く白隠に言われたように思いました。

ガンジスの一粒の砂粒の自分を感じつつ。

百聞は一見にしかず。

白隠展、お薦めです。

渋谷東急本店横、Bunkamuraザ・ミュージアム、2月23日まで


告知:
「江戸表具を愛する会」本日から地下鉄銀座線「銀座駅」近くの地下通路で開催中。

銀座三越の地下から東銀座にかけての地下通路のショーウィンドーです。
作家の常駐はありません。作品のみの展示です。

期間:2013年1月13日から2月9日まで、銀座プロムナードギャラリー(銀座三越下~東銀座までの地下通路・歌舞伎座の手前)


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