Mr.コンティのRising JAPAN

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Adelaide 雪辱ならず。 Gamba が M.U. 戦へ

2008-12-30 | Football Asia

FIFA Club World Cup  Gamba Osaka 1-0 Adelaide United

1点のビハインドがなかなか届かない。後半は時間が経てば経つほど Adelaide はゴールの予感すら感じさせられなくなっていた。86分13秒、ガンバ DF 中澤のクリアーを拾った途中出場選手のAlemao が放ったシュートはクロスバーを越えた。これが後半初めてのシュートらしいシュートだった。88分、 FW の Robert Younis が MF Diegoに替って投入される。 Younis がピッチに入った直後に Adelaide の選手達は最後の力を振り絞る様にガンバゴール前に迫る。90分、ロスタイムが4分と記される。思わず西野監督がベンチ前に飛び出し、第4審判に二言三言。“どこにそんなロスタイムがあったんだ??”  90分33秒左サイドに侵入した Travis Dodd に加地がタックルに入るとボールが加地の身体の下に潜り込んでしまった。チリ人の Pablo Pozo 主審はAdelaide にFKを与える。 加地は両手を広げて抗議する。そのFKからチャンスはうまれなかったが92分2秒にAdelaide GK Eugene Galekovic のゴールキックを山口がヘッドでクリアーしたそのこぼれ球を拾った Younis が直接ミドルを放つがゴールポストのやや右に飛んで行く。しかし俄然 Adelaide が同点に追い付く兆しを見せ始めた。そして私は心に決めた。

“ Adelaide が勝ったら絶対に横浜に行こう。そこでは誰もが Manchester United を応援するに違いない。ならば俺は Adelaide の応援に行こう。”

93分23秒、右サイドを上がった Daniel Mullen が入れたクロスは山口と中澤の間に飛ぶ。そこにドンピシャのタイミングで走り込んだ Dodd が頭で合わせる。しかしボールはまたもポストの右側にわずかに外れて行った。GK藤ヶ谷がゆっくりボールをセットし、前に大きく蹴り出す。時計は94分9秒。主審のホイッスルが鳴り響いた。
あぁ、横浜に行く必要が無くなってもうたわぁぁ……..

  

Waitakere 戦を終わって、 Scott Jamieson ガンバ戦に闘志を燃やす…….
ACL決勝戦の結果は大変残念だったが次は新たなゲーム。我々は次のラウンド、準決勝に進出する自身は充分にある。ACLでは肝心なところでミスをしてしまったが、12月14日、日曜日には修正出来る。 Hungry で Desire な少年達はこの望んでいた試合(ガンバ戦)で我々が求めていた結果を喜んで見せるであろう。
Scott Jamieson はガンバ戦では勝利とゴールを目指す。 “ Waitakere United 戦では何度もチャンスがありながらゴールを決められなかったが気にはしていない。その分ガンバ戦に賭ける。“ もし Manchester Unitedとの試合が実現すればそれは素晴らしい達成だ。我々にとってもクラブにとっても。 しかしその為にはまずガンバ戦に集中せねばならない。” 

Scott Jamieson は 2005年ペルーで開催された FIFA U-17 にオーストラリア代表として出場。その後は Premiership の Bolton Wanderers と契約。 Reserve League 等の出場実績はあったがトップチームには上げられなかった。今シーズンから Adelaide United に入団。左サイドバックに定着し大会前まで13試合にスタメン出場を果たした。ACL の決勝戦でも2試合ともフル出場。 Waitakere United 戦でもスタメン出場を果たし4本のシュートを放ちながら無得点。ガンバ戦ではまさに勝利とゴールを目指す。

  

試合前日 REDS は前 ( ACL 決勝 ) よりも良い準備を以てガンバ戦に臨む….
ガンバ大阪にはスペースを与えてはいけない。彼らは大変早い動きを見せる。そしてそれが次の試合に向けた教訓となる。 準々決勝前日名古屋のホテルで Cristiano で語った。中盤での彼らの動きは早くフォーメーションが良く形成されFW陣を大変良くサポートする。であるから我々はよりパワフルに中盤を抑えねばならない。 夥しい数の地元(日本)メデイィアは既に Adelaide はガンバに勝てる見込みは無いと伝えており、“ACLの2試合を観た誰もがガンバは素晴らしいチームで勝つだろうと予想するが、Football は何が起こるかわからない。机上ではガンバは優っているだろう。しかし Football は11人対11人の戦いだ。我々も良いチーム。自信がある。次のゲームで見られる事が出来るだろう。ガンバ戦は難しい試合となるだろう、がしかし Club World Cup では全てのゲームが難しい。それは世界最高峰のクラブのトーナメントだからだ。ガンバ、Manchester United 、大変タフなゾーンだがもし栄冠を勝ち取るなら Big Club に「勝たねばならない。クラブにとっても我々にとっても Manchester United と戦う事は素晴らしい事でクラブの歴史にも残る事だ。”

Cristiano はオランダ ( NAC, Roda JC, Willem Ⅱ ) スイス ( FC Basel ) でプレーしたブラジル人。 Basel 時代は UEFA Cup にも出場。中田浩二、 Chipperfield, Sterjovsky と言った日豪のワールドクラスの選手達と共にプレーもした。今シーズンより Adelaide United と契約。大会前まで14試合に出場し7ゴールを挙げたFW。ガンバDF陣には完封されているだけに FIFA CWC のガンバ戦では何とかしたいところであった。大会開始前から日本のマスコミは既にガンバが Manchester United と戦う様な報道が氾濫していたがその様相はAdelaide United にも当然伝わっていた様だ。これを知った選手達は闘志を燃やさないはずはなかった。

 

それは西野監督も気が付いていたのだろう。 “大会が始まる前、大阪ではあたかもガンバの初戦は Manchester United と言う雰囲気が漂っているが大切な事は Adelaide 戦に良い準備を以て臨む事だ。我々は結果を出す自信はあるがAdelaide はイージーな相手では無い。”  一方の Adelaide United ビドマー監督は “ ガンバは素晴らしいチーム。彼らお機動力は隅々まで配備されそえはどのチームにあるものでは無い。我々が対抗するためには全員が平均以上のパフォーマンスを見せねばならない。 ビドマー監督としては Sasa Ognenovski, Cassio がインフルエンザから回復するも、GK Galekovic がインフルエンザにかかり MF Diego の怪我が心配になるところであった。
そして Adelaide United は地元 A-League では赤色のユニフォーム, REDS の愛称で親しまれている。日本ではREDS と言えば浦和 RED 。今シーズンガンバは REDS に滅法強かった。オーストラリアの REDS も青色のガンバにまたも征伐されるのか.....

 

12月14日、豊田スタジアムに登場した Adelaide United のスタメンはGK Galekovich 、インフルエンザが完治したらしい。 DF は CB が Robert Cornthwaite とSasa Ognenovski 。左サイドが Scott Jamieson 。ベテラン Angelo Constanzo はスタメンを外れた。右サイドがDaniel Mullen 。 Ognenovski は Waitakere 戦はインフルエンザで欠場。 他の3選手は Waitakere 戦に続いての出場であったが Mullen はガンバ戦初出場だった。ボランチには ACLガンバ戦では出番の無かった Fabian Barbiero と Paul Reid 。 Cristiano の1トップの後ろには右から Travis Dodd, Diego そして Cassio の3人が並んだ。中盤のCassio Diego がインフルエンザから回復し起用され Reid がボランチの位置に下がった。そして Kristian Sarkies と Jason Spagunolo の2人がベンチスタートとなったが今年代表合宿にも参加した Spagunolo先の Waitakere United 戦では途中からベンチに退いたが来シーズン A-League加盟が決まった North Queensland Fury 入りが濃厚となっている。
一方のガンバ大阪は GK 藤ヶ谷、DFは右から加地、中澤、山口、安田。ボランチには橋本と明神。2列目には右が佐々木、左に二川。そして真ん中は遠藤。FWは1トップのルーカス。 ACL 決勝戦2試合と全く同じスタメン。12月5日の Jリーグ最終節新潟戦で起用されたDF下平とMF 寺田に替って加地、二川が起用された。その前の11月29日の浦和戦ではルーカスと山崎の2トップでMF二川はベンチだった。

開始早々主導権を握ったのは“アウェー”の Adelaide United 。早い出足でガンバイレブンに充分な態勢でボールを持たさない。9分38秒にはFKからJamieson が左から上げたクロスに、11分48秒には Barbiero が右から上げたクロスにゴールネットは揺らせなかったがそれぞれ Cristiano が飛び込みACLの2試合とは違うぞと言うところを見せる。13分33秒には安田に左サイドを破られ Mullen が振り切られ中のルーカスにクロスが渡るがここはCB のCornthwaite がシュートを撃たさない。1トップのルーカスにはACLの鹿島戦でマルキーニョスを完封した二人CBの Cornthwaite と Ognenovski の2人がきっちりとマーク。ゲームメーカーの Reid がやや引き気味のポジションでテクニックに優るガンバに対して数的優位を作る。

  

13分53秒、Adelaide は決定機を迎える。ガンバの侵入を凌ぎ Barbiero のクリアーを自陣奥深くに戻ったFW Cristiano がそのままオーバーへッドで再び大きくクリアーするとボールは大きく弾む。そのバウンドを利用して Dodd が山口、中澤のCBの二人をうまくかわしてそのままフリーでドリブルシュートを放つが惜しくもゴールポストのわずか左にボールは通過。惜しい先制のチャンスだった。 

この攻撃を機にガンバの橋本、明神の両ボランチは前線に上がる事を“自粛”しはじめ、安田の右サイドのからの上がり時の守備のフォローに腐心する様になった。そのせいか Adelaide の攻勢が一気に途絶えた。17分20秒、ガンバの佐々木が開始3分に Mulen から受けたチャージで痛めた足を再び痛めたようで立ち上がれない。結局ベンチに下がりFW播戸が投入され、ルーカスと2トップに。そしてMFは遠藤が左に入り二川が右に。ボランチの橋本、明神が状況によってはどちらかが、また二人とも前にせり出すようになった。遠藤は逆サイドに現れる事も。これはACL決勝戦では見られなかった布陣。これが Adelaide に混乱をもたらした事は大きかった。今のオーストラリア A-League ではこのように試合の最中にフォーメーションを自在に変更できるチームはない。故にそれに対応できるチームも無いと言う事だ。 
そんな中ガンバが先制ゴールを決める。遠藤が中盤で明神に渡すと明神は前の二川に縦パスを送る。二川は Reid がマークに入る前に浮かしたパスをゴール前やや右側に送ると播戸が Cornthwaite と競りながらも中央に落とすとそこに走り込んだ遠藤がGK Galekovic の股間を抜くゴロのシュートを放ち Adelaide ゴールネットを揺らした。 ガンバのフォーメーションを替えた直後の失点が Adelaide イレブンに与えた影響は大きかっただろう。それにしても ここで決めた遠藤はさすがACL 最優秀選手だと思った。

  

25分にテレビに映し出されたボール支配率はガンバ62 に対して Adelaide は38 であった。 39分にはルーカスが Jamieson をかわしてフリーでシュートを放とうとするが足を取られて撃てなかった。これを撃たれていれば完全に試合は決められていただろう。それでも Adelaide は41分19秒にはJamieson の上げたクロスに明神と競りながら Dodd が放ったヘッドが惜しくもクロスバーを越えるなど同点に追い付く気配は感じさせた。

  

後半開始早々の46分3秒にはガンバゴール前で Cristiano から Diego がボールを受けるがガンバDF陣のマークの前にシュートが撃てなかった。そして以降 Adelaide はガンバのペナルティーエリアに侵入できなくなってしまた。左サイドの Cassio は対峙する加地、二川に抑え込まれ、Adelaide 自慢の Diego, Cristiano のブラジル人コンビもなかなかボールがコントロールできない。 後半だけでガンバに10本のシュートを浴びたがGK Galekovic が何度も必死のセーブを見せ追加点を阻む。 

 


71分には Cassio を下げて Alemao を、77分には Cristiano を下げて Osama Malik と言った ACL 決勝戦では登場しなかった選手がピッチに送られる。 Alemao はかつてブラジルの Cruzeilo に所属し 2004年には Copa Libertadores にも出場した。 Malik はユースチームの選手。インフルエンザで遠征に参加出来なかった Paul Agostino に替って抜擢された選手。 ガンバも81分に播戸に替えてFW山崎、84分に二川に替えてMF武井が投入され守勢に布陣を変える訳でもないので試合展開は変わらない。 Adelaide のビドマー監督は88分ついに最後の交代選手 Younis の投入を決めた。 3試合続けてガンバに完封されるのだろうか………..

“ACLの2試合から我々は多くを学んだ。ACLよりもずっと良い試合内容だったと思う。我々はたった1度ミスを犯した。それをガンバは見逃さなかった。我々は恐らく技術と思考をあと少し進歩させるべきだっただろう。しかし私は選手達を誇りに思う。私はこの夜に得た事よりも多くの事を得られただろうと思う。選手達は Happy だっただろう。“  試合後のビドマー監督のコメントだ。  

三度目の挑戦でもガンバゴールは破れなかった。彼らが次にガンバ大阪、またはJリーグに挑戦出来るのは再来年以降だ。来年のACLは既に2007-08 王者の Newcastle Jets と Central Cost Mariners の出場が決まっている。 

だが日本のファンにA-League の存在は見せられたと思う。そしておそらく試合翌日には次の対戦相手 Al Ahly 戦に向けて切り替えていたことだろう。

  



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