Mr.コンティのRising JAPAN

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近藤貞雄さん追悼 1982 ナゴヤ決戦

2006-02-04 | プロ野球
今年の年明けに非常に惜しまれつつもご逝去された数々の名言と名采配を残してくれた名将近藤貞雄元監督。中日投手コーチとしてジャイアンツのV10阻止や同じく中日監督時代のリーグ優勝。そしてシーズンオフに行われたメジャーリーグ選抜との Exhibition Series での指揮。他にもスーパーカートリオを命名した横浜大洋監督時代そして日本ハム監督時代と話題は豊富であった。しかし、私個人は何と言っても昭和57年のジャイアンツとの死闘が忘れられない。 今回は近藤氏のその追悼とすべく、ジャイアンツとの天王山3連戦を紹介しよう。1982年9月28日、首位を行くジャイアンツは2位中日に2.5ゲーム差をつけていた。ここまでの直接対決では9勝9敗5分の全くの五分。しかし試合日程消化の早い巨人はこの3連戦にエース江川そして西本をぶつける事が出来た。そして残り試合も少なく私は巨人の優位は動かずと考えていた。

第24回戦 9月28日 ナゴヤ球場 中日10勝9敗5分
巨 人3010011000=6 江川 18勝11敗
中 日0001001041x=7 小松  2勝 3敗 8S
本塁打:原29号(三沢)モッカ21号(江川)中畑25号( 郭 )淡口13号 ( 郭 )
大島15号( 江川 )
巨人:江川、角
中日:三沢、藤沢、牛島、郭、安木、小松

当時私は夜間大学に通学していた。この天王山の時は前期試験中であった。関東の人には理解し難いと思うが関西の幾つかの大学は夏期休暇が開けてから前期試験が行われる大学があった。試験さえなければ講義などサボってこの試合のテレビ中継を観ていただろう。アルバイトを終えて下宿に帰りラジオのスイッチを入れプレイボールを聴いた。中日先発の三沢は簡単に二死を取ったが3番篠塚がヒットで出塁、4番ホワイトが四球を選び5番、2年目の原辰徳が29号ホームランを放ちジャイアンツが3点を先取した。中日はこれまで江川から1試合奪った得点は勝ち試合でも2点が最高だった。そしてその回の攻撃を終えたところで勇躍前期試験に向かった。試験官を務めた教授に“原の29号3ランで巨人先制”と伝えると“それはいい情報だ”と返して来たのを憶えている。そして試験を終えて下宿に戻りテレビを点けた時は 6-2 で巨人がリードしていた。そうしてもう最終回の中日の攻撃だった。先頭打者の代打豊田がヒットで出塁したのを最後に中継が終わった。試験の間、3回にホワイトの適時打で先発三沢をKO。4回に江川にはあまり相性が良く無かったモッカの21号で中日が1点を返されるも、4番手郭から6回には中畑、7回には淡口がソロ本塁打を浴びせ完全に主導権を握っていた。7回裏に大島のソロホーマーで江川は2点目を喫したが、4回まで毎回の7三振を奪う快投で8回を終えていた。テレビ中継の終了を以って今度はラジオ放送に耳を傾けた。ラジオではこの大一番に3回途中に4失点で降板した三沢をこのシーズンのオフに引退をした星野仙一が肩を抱くように球場からタクシーに乗せて送り出した事を伝えた。だがここから何十年に一度のドラマが始まる。モッカ、谷沢が連打で続き無死満塁。大島が外野犠牲フライで江川から今季初めて3点目を取ると宇野がカウント 2-0 から左翼へはじき返し4点目、しかも守備固めに入った中司がもたつき宇野は2塁まで進塁(記録は2塁打)二、三塁とし一打同点と好機を広げる。そして中尾が右翼にたたみかけてあっという間に4点をもぎ取り同点としてしまった。もうラジオ中継のアナウンスもよく聞えない、ナゴヤ球場はお祭り騒ぎ。二日前の阪神戦も劇的な逆転であったが、そんなのは比べ物にならない騒動であった。続く田野倉は併殺打に倒れこの回のサヨナラはならなかったが、10回裏、先頭の代打木俣の打球を三塁手原がはじいて先頭打者を出すと江川はマウンドを角に譲ることに。打順は上位に廻ったが、9回の攻撃でモッカ、谷沢に代走を送った事から中日に取って巡りあわせは悪かった。角は田尾に送りバントを決められ豊田を敬遠で歩かせ、続く金山を三振に討ち取るが谷沢の代走に起用されそのまま守備に入った尾上が粘って四球を選び満塁とした。
コントロールの悪い、そしてこの年は決定力の落ちていた角が心配だった。そしてそれが現実になった。大島は詰まりながらもセンターにはじき返し、中日は大逆転で天王山初戦をものにした。
これで中日に、まだ首位巨人と 1.5ゲーム差がありながらマジック12が点灯した。
本当に信じられなかった。前年20勝を挙げてリーグ優勝、日本シリーズ優勝に貢献し前々年も16勝を上げて最多勝利投手となった江川がこれだけ連打を浴びたのを初めて見た。連打を浴びた9回はカーブを連打され、直球で押しても球威が格段に落ちて中日打線の餌食となった。そして前年には絶対的なストッパー振りを見せた角がこの年は今ひとつ。昇竜の勢いを止められなかった。
この火の点いた様なドラゴンズには勢いを明日は西本が止められるか、もう試験どころでは無くなって来ていた........続く


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1 コメント

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正に優勝の象徴でした (森ちゃん)
2020-08-12 22:57:50
正に優勝の象徴だったと思います。私もこの年高校陸上競技部で校内大会第一位も受賞しました。
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