Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

Wonderful Shinji Ono 9.Feb., 2013 Western Sydney Wanderers 2-1 Newcastle Jets

2013-02-23 | Aussie & Kiwi
Hyundai A-League が発足して8シーズン目。ついにというか、ようやくというか、日本でもオーストラリアのプロリーグが少し話題になってきた。

不景気の波が世界的に押し寄せる中、オーストラリアは失業率が5%を割るなど全体的にまずまずの好景気だ。
それは地下資源が爆発的に輸入されているからで、またそれに付随するサービス業や不動産業が好調な伸びを見せている。
それを象徴するかの様に今シーズン開幕前にイタリアの英雄 Alesandro Del=Pierro が Sydney FCと2シーズン契約を締結した。更に Newcastle Jets に Emile Heskey の入団が発表され、続いて今シーズンから A-League に参入した Western Sydney Wanderers がシーズン開幕直前に元ドイツ代表の Michael Ballack と交渉中というニュースが報じられた。 
そして日本人だったら更に驚かされたのが数日後に報道された小野伸二にも Wanderess は興味を示してるということだった。地元メディアは Ballack のことばかり報じていた。そして地元紙に Tony=Popovic 新監督は小野への関心が大きいことが報じられた。 それは Popovic 自身が J-League のサンフレッチェ広島でプレーし、その当時に実際に小野のプレーを見たことがあるからだ。 Ballack は欧州でも屈指のスーパースターであるが既に36歳。故障の回復も疑問視され、何より規律を重んじる Popovic 監督にとっては33歳でまだ“運動量”が期待できる小野の方に興味があったようだった。
それに年棒も Ballack 側がAS$150万ドル ( 約1億2千万円 昨年8月ごろのレート) でも契約締結に難色を示していたのに対して小野はその半額の AS$75万ドル ( 約6000 万円 ) でも契約に応じる姿勢を示したことから小野の入団が急速に実現を果たした。 地元紙でも Popovic 監督が小野獲得を非常に喜んでいることが報道された。

10月6日、 Wanderers の A-League デビュー戦は昨シーズン、A-League では首位だったCentral Coast Mariners 。
一昨シーズンにも Grand Finalist でここ数年は Grand Final 2連覇の Brisbane Roar と並んで A-League の強豪といえるチーム。今年の ACL では柏レイソルと同じ組でいまからその大戦を楽しみにしている。
小野は出番がなく試合は 0-0 の引き分けで合った。
続く第二戦の Adelaide United 戦で小野は先発出場を果たすも0-1 で敗れ、第3戦、地元 Parramatta Stadium でのシドニーダービーあの Del Pierroを擁する Sydney FC 戦は0-1 で敗れた。3試合無得点の Wanderers の第4戦の対戦相手は2連覇中の Brisbane Roar 。 Brisbane Suncorp Stadium に 12,663 人を集めたアウェーゲーム、19分小野のショートコーナーからイラク人FW Youssouf Hersi が入れたクロスに Mark Bridge が合わせて開幕以来の無得点時間を 288 分でストップしチーム史上初ゴールを決め、その虎の子の1点を守り切り歴史的初勝利をおさめた。

続く Melbourne Victory にも 2-1 で勝利をおさめ、その後4試合は1勝3敗であったが第10節の Brisbane Roar 戦で再び 1-0 で勝利を収めると第14節でも Melbourne Victory を再び2-1で破り引きわけ1つを挟んで3連勝、第15節で首位を走る Central Coast Mariners にホームで 0-2 で敗れたが以降19節まで4連勝を飾り順位も首位 Central Coast Mariners 勝点39, Melbourne Victory 勝点36 に次いで勝点35で3位に浮上してきた。 
同じシドニーの Sydney FC は19節終了時では10チーム中勝点21の8位であった。



シドニーの地元紙では週末になると Wanderers 躍進の立役者の一人である小野のパフォーマンスを称える記事が続いた。
そして小野の株は更に上昇を続けて、ついに地元誌 Four Four Two Australia 誌に4ページに亘りインタビュー記事が掲載されるようになった。 

しかし、 Wanderers サポーター達に冷水を浴びせられるニュースも入って来た。2月7日の地元紙には中国超級のシンセンが1億円出すから、と小野に触手を伸ばしてきた。更に来シーズンに向けて A-League の2チームが小野の移籍の可能性を探っているとも記事に書かれていた。 新球団でまずは資金がそれほど潤沢でもない Wanderers の財務担当にとっては悪くない話だけど、 Popovic 監督も小野自身も Wanderers でのプレーを希望しているというコメントも載せられていた。

2月9日、私は商用でシドニーにいた。 この日はパースから移動してきて夕方には用事を片づけられていた。
小野が所属する Western Sydney Wanderers はこの日 Newcastle Jets との1戦が組まれていた。 しかしながら開催地は Sydney ではなく Campbell Town 。電車で1時間20分は掛かるところだ。日本だと1時間以内の鉄道距離だけど。さすがに最大都市シドニーでの鉄道事情をもってしてもこの違い。いかにオーストラリアが車社会かが再認識された。 
ホテル備え付けのテレビは51型の大型スクリーン。 シャワーを浴びて仕事の疲れを落としながらのテレビ観戦と決め込んだ。

ベッドに寝そべり大型スクリーンを眺める。 Campbell Town Sports Stadium は赤と黒のストライプのレプリカを来たサポーター達が犇めいておりキックオフ前から熱心に声援を送っている。 あぁもし1時間早く仕事が終わっておれば…と思う反面、あの電車で1時間半近くも乗っていられないしなぁ。それに帰りも電車があるかなぁ? と思いもした。だけどもし空港を経由する路線が整備のために運行されていればもっと早くいけたのに、整備の為に丸二日間も電車を止めるか?とも思った。 

第20節の対戦相手は Newcastle Jets は前節までで勝点23の5位。 上位6位までが進出可能なFinal Series 圏内にいるが4位 Adelaide United とは勝点で9差をつけられている。 6位 Brisbane Roar と7位 Melbourne Hearts そして8位 Sydney FCが勝点21 であることを考えれば何とか引き分け以上にはしたいところだ。 だけど Campbell Town は Sydney よりも Newcastle から近い、自動車で1時間程度のはずなのにサポーターの数はアウェーとはいえ少なすぎると思った。
前節 Sydney FC 戦は終了間際に Ryan Griffiths のこの日2点目となる起死回生の同点ゴールで勝点1をもぎ取った。

その Sydney 戦のスタメン3人を替えて Wanderers 戦に臨む Jets のワントップにはワールドカップ南アフリカ大会の England 代表メンバーで Liverpool でも中心選手だった Emile Heskey が。ボランチに Ruben Zadkovich, アンカーに Ryan Griffiths といったなじみのあり選手が。ただ Ryan Grifiths は本来ウィングの選手なんだけどなぁと思った。



一方前節 Adelaide United を 4-2 と粉砕した Wanderers は、Adelaide 戦に出場したかつて Sydney FC でプレーし、代表でも1試合出場経験のある Shannon Cole に替わって Jerme Polenz が右SBでスタメン起用された他は Adelaide 戦と同じ布陣。もちろん小野もスタメンだ。 他のメンバーを見るとかつて小野の他には Sydney FC で浦和レッズと戦った CB Nikolai Topor Stanley, 2007-08 Grand Final 王者 ( Newcastle Jets ) のメンバーだったMark Bridge, イラク人FW Youssouf Hersi 、 Adam D’Apuzzo そして Socceroos GKでもあった Ante Covic と結構タレントぞろいという印象を受けた。

Newcastle のキックオフで始まった試合、開始2分にはイラク人MF⑰ Hersi がJets 左SB⑬ Samuel Gallaway に倒されて右サイドでFKを得る。小野とボランチの⑩Aaron Mooy がボールに寄るが蹴ったのは小野。 Mooy がまたいで小野が逆サイドに出すとそこに長身CBの④ Topor Stanley が飛び込むがそのヘッドはジャストミートしなかった。



5分16秒には中盤から右に動いた小野がHersi の足元にぴたりとロングパスを通すとアナウンサーは思わず Brilliant と叫ぶ。まぁ小野の実力ならこれくらいは朝飯前、とこちらも勝手に思う。 
8分59秒、今度は ⑰Hersi が⑬ Gallaway を倒しでFKを与える。前線に⑨ Heskey あ入るがここはGK① Ante Covic が直接キャッチ。 その直後には⑬ Gallaway が⑰ Hersi を再び倒す。この試合は序盤からこの二人は何度もがちがちやりあっていた。



ここで得たFKは再び小野が入れて④ Topor Stanley が飛び込むが今度はとらえられなかった。 Wanderersは小野もさることながら⑩ Mooy もよくボールに絡み中盤を支配。15分を過ぎてのボール支配率は Wanderers 67, Jets 33 だった。
18分20秒、⑬ Gallaway が左サイドを上がり Wanderers 右SB ⑥ Jerme Polenz をかわして中の Hesley に送りシュートに持ち込むがここは④ Topor Stanley がきっちりクリアー。 しかし SB⑬ Gallaway の攻撃参加がこの試合目立っていた。
この Heskey のシュート以降再び Wanderers が攻勢を続ける。 25分には左に流れた小野が中に入れ走り込んだ⑩Mooyに渡り⑧ Ruben Zadkovic をかわして送った縦パスが⑰ Hersi に通りそこからシュートを撃つが GK⑳ Mark Birighitti の正面に。30分にはカウンターから⑰ Hersi が右サイドを上がり中央に送ったライナーのクロスを⑲ Mark Bridge がボレーで狙うがこれは大きくゴールを外れた。 34分には⑩ Mooy のシュートのこぼれ球を拾った小野が右に送り⑰ Hersi が放ったショットは相手DFにあたりCKに。37分 ⑧ Poljak がミドルを放つがこれがこの試合 Wanderers が放った8本目のシュートだった。



更に37分35秒、右サイドを突破した⑰ Hersi が中央の小野に戻す。右から FW⑨ Dino Kreisinger ⑲ Bridge がゴール前に走り込むが小野のふわりとしたロビングは更に左サイドに走り込んだ⑩ Mooy の足元にぴたりとおさまる。 フリーのMooy が狙い澄ましたショットはGK ⑳ Brighitti の正面に飛んでしまった。 テレビは何度も小野のこのピンポイントロングパスを写しだし、解説、アナウンサーは Wonderful ! を連発。 
攻勢を続ける Wanderers は45分、⑨ Krisinger が ⑨ Heskey に倒されFK を得る。今度は⑩ Mooy が直接狙うがGK ⑳ Brighitti がパンチで防ぐ。 
攻勢なうちに何とか先制ゴールをと思うが時間はロスタイムにはいる。⑰ Hersi が46分元五輪候補チームメンバーだった Jets 右SB② Scot Neville に倒され左サイドで FKを得る。 小野が中に入れるが 184cm CB④ Josh Mitchell がヘッドでクリアーするがこぼれ球をダイレクトで⑰ Hersi がシュートを放つ。GK ⑳ Brighitti の足に当たってJets ゴールに向かって大きく弾んだボールを④ Topor Stanley が Jets DF 陣がクリアーに入るのを巨体でブロックし“ゴールイン”をアシスト。そのまま Jets ゴールネットを揺さぶった。 
大声援を送りながらなかなかゴールが奪えずフラストレーションがたまっていたであろう Wanderers サポーター達が喜びを爆発させる。そして前半終了のホイッスルが鳴った。 Wanderers にとっては最高の時間帯に決まった先制ゴールであった。



後半に入り、劣勢だった Jets が今度は攻勢に出てくる。 ボランチの ③Zenon Caravella, ⑧ Zadkovic そしてアンカーの 23 Ryan Griffiths が前に出てくるようになり孤立していた前線をサポート出来るようになった。 54分には⑨ Heskey がさすが England 代表と思わせるドリブルシュートを、57分にも Griffiths がドリブルからシュートを放つが連続して元代表GK ① Ante Covic がストップ。 59分にも2列目右の⑰ James Virgili が粘ってシュートに持ち込むがこれは大きくゴールを外れた。
61分、 Jets ベンチは⑰ Virgili に替えて19歳の 183cm のFW Adam Taggart を投入し⑨ Heskey と2トップを組ませる。そして Griffiths の位置を2列目右に上げてきた。63分 Griffiths は右サイドから中に入れるがここは Heskey には届かず、64分30秒、中央でボールを受けるとそのまま反転してシュートを放つがこれはゴールを外れた。
後半に入りやや押され気味の Wanderers は68分小野をベンチに下げて黒人選手の ⑭ Kwabena Appiah-Kubi を投入する。 観客も Standing Ovation で小野を送りだす。アナウンサーは“ドーモアリガトウ”と日本語を発した。小野としてはもう少しやりたかったか…. この交替で Wanderers のフォーメーションは⑨ Kreisinger, ⑲ Bridge の2トップとなり2列目左に ⑭ Appiah-Kubi が入った。 そしてその直後に⑲ Bridge はシュートを放つがここは⑳ Birghitti がストップ。 
Wanderers ベンチは78分にも⑰ Hersi を下げて前節でスタメンだった ② Shannon Cole を投入する。そして左SB に入り ⑥ Polenz をボランチに、⑧ Poljak を2列目にそれぞれ上げた。 すると Jets ベンチも右SBの② Scot Neville を下げて ⑫Joshua Brilliante 、2列目右の⑮ Craig Goodwin を下げて 25 Mitch Cooper を入れ攻撃を強化する。
しかし次のゴールを決めたのは Wanderers 。 83分後方からのロングパスを中盤で拾い一気にドリブルで上がると③ Caravella を振り切り④ Mitchell を背負いながら放ったドリブルシュートがJets ゴールに突き刺さり待望の追加点が生まれた。この試合何度かチャンスをものに出来ずにようやくゴールを上げた Mark Bridge は2007-08 Grand Final で優勝した Newcastle Jets の中心選手でその試合の決勝ゴールを決めた選手だった。 



85分にこれまでのボール支配率が Wanderers 65, Jets 35 と表示される。そんなに Jets はボールに触れていなかったかと思う。
その直後 ⑨ Heskey が右に流れて入れたクロスに合わせたAdam Taggart がシュートを放つが惜しくもゴールをそれる。
2点リードの Wanderers ベンチは89分殊勲の追加点を決めた Mark Bridge を下げて Jason Triffiro を投入する。 これで小野、 Hersi そして Bridge と攻撃的な中心選手を全てベンチに下げたことに。 2点リード、そして高温のオーストラリアなら当然か?と思う。 そしてロスタイムが3分と表示される。 
91分入ったばかりの Triffiro が Cooper を倒してFK を与える。 左サイドから入れられたFKはゴール前フリーの Ruben Zadkovich に亘りそのままグラウンダーで放たれたシュートが Wanderers ゴールに決まってしまった。 Zadkovich は全くノーマークだった。  Heskey と Griffiths がボールを取りにゴールになだれ込むがいちはやく拾い上げた Covic がそれを抱えて渡さない。 そして小競り合いになる。 このプレーにイエローカードが出された。 



試合はまだ2分残っている。キックオフ、試合再開後、 Jets イレブンが一気呵成に出てくるが次にシュートを放ったのは Polenz のドリブルシュート。 そして93分3秒、主審のホイッスルが鳴り響き Wanderers の5連勝が決まった。 
前の日に2位だった Melbourne Victory が Adelaide United に敗れたので Wanderers が2位に浮上してきた。 
このまま進撃を続け来年の ACL で小野が凱旋帰国を果たすことを願うが、試合終了後にかつて Aston Villa, Manchester United, Chelsea でプレーした元オーストラリア代表GKでこの試合の解説を務めた Mark Bosnich が Popovic 監督に Shinji Ono の契約に就いて尋ねていた。
Popovic 監督は翌週小野の代理人が来日し話し合うことになっているとしながらも本人はここに留まりたがっていると強調していた。 
連日地元紙に称賛される小野が本当に凱旋帰国が実現することを願った。その時は是非浦和レッズと対戦してほしんだけどなぁあ~….. 

そして翌週のアウェーでの Melbourne Victory 戦。 小野の決勝ゴールはチームを6連勝に導いた。 いよいよ小野の凱旋帰国が…と思った。


全国高校サッカー またも京都代表は…. 宮崎鵬翔 2 ( PK5-3 ) 2 京都橘

2013-02-20 | 五輪 U-20, U-17
鵬翔5人目のキッカーはGKの浅田君。 準決勝の星稜戦ではPK失敗したのではなかったかな~と思うも彼の蹴った弾道は見事にゴールネットを揺らした。 喜びを爆発させる鵬翔イレブン達。 あぁ~京都代表はまたも優勝に届かなかったか…. 一昨年の久御山、1992年度大会、石塚啓次を擁した山城高校。そして高校野球では2005年、わが母校京都西高校、それから1981年大会の京都商業….
まぁ高校サッカーでは大阪代表は北陽が優勝して以来、藤枝東の呪いが解けずに39年間決勝に残ったことはないけど….



今年の高校サッカー決勝戦は宮崎鵬翔高校と京都橘の顔合わせ。どちらが勝っても初優勝ということだった。昨年は市立船橋対四日市中高工業という優勝常連の大戦であったがその前6年間は初優勝校が
続いた。おそらくクラブチームやユースチームが主流になりつつあり、そちらの方に良い選手が流れる傾向にあり高校選手権は同年代最高の大会では無くなりつつあるという事象に拍車がかかっているのだろう。
大会序盤のサプライズはなんといっても昨年度準優勝の四日市中央工の初戦敗退。2トップの浅野君 ( 広島入り内定 ), 田村翔君 ( 湘南内定 ) らを含む昨年度の選手権決勝戦スタメンメンバー8人が残りながら桐光学園に 2-4 で敗退した。 大会前は優勝候補最右翼と思ったんだけど。

関東勢は昨年こそ市立船橋が優勝したけどここ最近は“地の利”を生かして上位を独占するということも少なくなった。今大会、準々決勝に残ったのは桐光学園(神奈川)だけだった。
関西勢では大阪の東海大仰星と京都橘の2校が準々決勝に進出した。 東海大仰星は残念ながら星稜にPK戦で敗れたが橘は帝京長岡(新潟)を 2-1 。そして桐光をなんと3-0で降して決勝戦に進出した。 私が高校時代はまだ橘高校は女子校だった。そして2000年に男女共学校となりサッカーではインターハイに2007年、選手権には2008年と今大会と2度京都代表になっている。 わが母校のサッカー部はいつになったら全国に進出するのだろう…. 指導者も悪くなく、部員も多いらしいんだけどなぁ…..
対する宮崎鵬翔高校はかつて宮崎中央高校という学校名だった。 私が現役時代、後輩の一人に陸上でインターハイに出場したことがある宮崎中央高校の卒業生がいたのでなじみが少しあった。 その後宮崎県ではサッカー有名校となっていったけど松崎博美先生は、後輩が在学中の26年前から同校で式を執っているらしい。

1月12日、決勝戦が予定されていた日は朝から雨が降っていた。 決勝戦はなるべく良い天候でやらせてあげたいなぁと思っていたら昼前に急に雨が雪に変わり家の周りもあっという間に銀世界になってしまった。 そしてキックオフの時間にテレビを点けると中止が発表されていた。 応援団やこの日にしか競技場に来られない人にとっては残念な天候だと思うけど選手の立場からするとこれでよかったんじゃないかな…と思った。翌週19日はセンター試験日だった。幸い受験者はいなかった。昔高校ラグビーの決勝戦がセンター試験と重なり大分舞鶴高校の生徒が決勝戦に出られないという報道がなされたがその生徒の受験校だった鹿屋体育大がその生徒の為に特別に“個人試験”を決めたことを思いだした。 



そして1月19日。この日の天候は昨年の様に快晴だった。 この1週間、鵬翔は一旦宮崎に帰省し、橘はそのまま関東に残ったらしい。その辺がこの試合にどう影響したか… また膝の調子が今一の鵬翔のエース中濱君、そして体調不良の橘の主将高林君達にとっては“恵みの雪”になると思ったけど、二人ともベンチスタートだった。 星稜戦で警告を受けて累積警告で出場停止の鵬翔右SB柏田君に替わって3年生の松永君が起用された他は準決勝と同じスタメンだった。
準決勝戦で桐光を 3-0 で破った橘が有利かと思っていた。
それにしても橘は今大会、選手権で初勝利をおさめたがその後はあれよ、あれよの快進撃での決勝進出だった。 初戦の正智深谷(埼玉)を“アウェー。さいたまスタジアム”にてPK戦で破ったことで勢いが付いたのだと思う。

立ち上がりは鵬翔が攻め込む。69秒には右からクロスが上がり、2分16秒には左から、1年生FW北村君にわずかに合わなかった。2分34秒には澤中君がミドルを狙う。 橘は今大会どころか京都大会から全ての試合で先制をしている。鵬翔は準決勝戦で2度リードされても追いつくという粘りを見せている。 どちらが先制した方が面白くなるのだろうと考えだしたころから次第に橘が中盤でボールをつなぐようになってきた。 9分には愛するサンガのエース宮吉の弟君である宮吉悠太君(2年)、2列目左の中野君(1年)が連続シュートを放つ。13分21秒にはカウンター攻撃から小屋松君(3年)のドリブルから右サイドに流れた仙頭君(3年)がシュートに持ち込む。2列目右の伊藤君(3年)がうまく右サイドラインに流れてスペースを作った。 こうして橘が主導権を握るかと思ったときに突然にコマーシャルが入ってきた。コマーシャル明けに仙頭君がドリブルシュートを放ったけどその時は29分になっていた。…… 後で知ったことだけど、試合が延期されたので従来の放送枠を変更せざるを得なくなり、放映開始時間もキックオフ時間より遅く試合経過を編集しながら放映していたらしい。
あぁこの10数分間の間にどういう流れになっていたのかなぁ~… と思っていた。試合は鵬翔陣内ですすむ時間が多い。
そして41分、橘2列目左の1年生中野君がシュートを放つと一旦は鵬翔CB原田君がヘッドでクリアーするがこぼれ球を拾った1年生CB林君がそのまま放ったグラウンダーのミドルが鵬翔ゴールネットを揺らした。 



これで橘は京都府予選、選手権を通じて10試合連続先制ゴールを決めたことになる。 今大会は準決勝戦まで5試合続けての先制ゴールはすべて仙頭君が決めたが決勝戦は林君が決めた。 それにしてもこのゴールには1年生が二人も“絡んで”いたのか、と思った。
先制を許した鵬翔はその後、目が醒めたのか猛攻を繰り返す。 再開直後には縦パスを受けた北村君がシュートを放つがオフサイド。 43分には右から左に動いてSB日高君がミドルを放つとポストのわずか右に外れていく。 45分25秒には澤中君がシュートに持ち込む。中盤から縦パスがズバズバ通り続けた。  しかし終了間際、先制後初めて相手PA内に迫った橘がCKのチャンスをつかむ。 そして伊藤君が放ったヘッドは惜しくもポストの右に外れていく。 このシュートが結局試合を大きく左右することとなった。

後半、鵬翔ベンチはエース中濱君を澤中君に替わって投入する。スタメンで起用されなかったのはまだ故障が完治していなかったからだろうがもし先制されていなかったらもう少し温存されていたかもしれない。
その中濱君は投入されて早速ドリブル突破からCKのチャンスを導き存在を示す。 そのCKから2年生CB芳川君が橋本君のマークの前でヘッドで合わし試合を振り出しに戻した。 準決勝までの5試合で8ゴールを上げているがうち5得点がセットプレーから。セットプレーの強さを発揮したといえるが、それを創った中濱君のドリブルが目立った。

    

中濱君は52分にもドリブルから日高君のシュートを導く。  
中濱君の能力が目立つ後半立ち上がりであったがしかしそれに刺激されたか64分中野君からボールを受けた小屋松君が左サイドを上がり中に折り返したところを仙頭君が芳川君の直前でワンタッチでひっかけたショットが鵬翔ゴールネットを揺らし再びリードを奪った。 これで仙頭君は大会5得点目。小屋松君に並んだ。 そしてこれで橘が大きく一歩優勝に前進したとおもったけど。
73分、鵬翔ベンチは二人目の交代選手 2年生FW 宇田津君が右SB松永君に替わって投入される。ボランチの矢野君をSBに下げるのかなと思った。そして橘ベンチは主将の高林君をまだ投入しないのか….
残り時間が10分を切った。 ボール支配はリードされている鵬翔がやや上回っているようだった。 そして82分サイド攻撃の起点になっていた左SBの日高君がドルブル突破を図り倉本君をかわし更に橘ゴールに迫るところを林君がマークに入り倒される。 すると主審はペナルティースポットを指した。 これを矢野君が決めて再び鵬翔が追いついた。 日高君のドリブルのマークに着いた倉本君、林君は1年生。このシーンがこれからも生きるだろう…..
同点に追いついた鵬翔は後半から入った中濱君を中心に更に攻撃のテンポを上げる。92分に橘の倉本君が北村君を倒してFKを与える。セットプレーから得点を量産する鵬翔攻撃陣に対抗すべく橘の全選手がPA内に入り守備を固める。ここはGK永井君がキャッチする。そしてその後に中濱君がドリブルシュートを放つがゴールには至らずホイッスルが鳴った。 
これで2年連続で決勝戦は延長戦に突入することに。昨年は追いついた市立船橋が優勝を勝ち取った。そう考えれば……



延長に入っても優勢に試合を進めるのは鵬翔だった。 95分には中濱君が吉中君に倒されFKを得る。日高君が直接狙ったFKはわずかにクロスバーを越える。 橘自慢の2トップはボールを受けても鵬翔MF,DFの早い寄せそして厳しいマークにあい自由にボールをコントロールできない。 それでも103分には仙頭君がミドルを放つ。 104分、1年生FW北村君がベンチに下がり高妻君が投入される。高妻君は3年生。卒業前に決勝戦のピッチに立てて良かったと思う。108分、今度は橘ベンチが中野君を下げて2年生MF赤松君を投入する。 その直後、赤松君からボールを受けた仙頭君が放ったシュートはGK正面に。そして111分9秒、主審のホイッスルが鳴り120分が終わった。あぁ~高林君の投入はなかったか~と思った。

PK戦は今大会橘が1回、鵬翔が2回経験している。 だから鵬翔が有利かなぁ、と思ったら橘の1人目仙頭君のショットが右下ポストの内側にあたってゴールの外に弾き出されてしまった。 
鵬翔はみな着実に決めてくる。ただ全員が左側に蹴り込んでいる。 
1点リードで鵬翔5人目は誰が蹴るのだろう、と思ったらGK浅田君がスポットに歩み寄って来た…..



選手権が終わって1カ月近くが経った。 3年生は今どうしているだろう? そして昨年大会を沸かせた選手たちは?
いまは高校サッカー部を通じてJリーグ入りできる選手が年々減少しているらしい。 だけど私は思う。 Jリーグに行くのも良いけどまずは将来を考えろよ。大学に行ってからでもJリーグは入れるんだ。 大学を経由するとJリーグに入れないといわれる選手は初めからJリーグに目指さない方が良い。プロで通用する選手は大学を経由してもプロ入りできる。 
もし大学に進学してプロ選手以外の道を見つけたらそれはそれで良いことだと思う。 
君たちが日本のサッカーを背負う義務など無い。もちろんそうなれればこの上なく素晴らしいことだけど。

それが種目は違うけど大学も実業団も経験し,挫折した元アスリートのアドバイスだ。