Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

Brisbane から.......イラク戦は予定通りに

2008-05-31 | 夏季五輪

5月29日、 Socceroos ファンそしてオーストラリアサッカー協会 FFA に安堵の空気が流れた。 Sydney で行われていた FIFA Congress に出席していたブラッター会長から示唆されていたイラク代表の国際試合停止処分が発効されないことが確認され予定されていた6月1日のワールドカップ予選のイラク戦は予定通りに開催されることとなった。イラクチームは既に現地入りしており、チケットもほぼ完売状態。スポンサー料も含めるともしこの試合が行わなければ FFA は AS$300万ドル(約3億円)の損害を被るところであった。この試合については FIFA からフル代表を含めた U-20 等のいかなるイラク代表チームの対外試合を禁止するとブラッターFIFA会長から発表されて以来オーストラリアのサッカーファンの間では大変な関心事になっていた。それはオーストラリアに移民してきた多くのイラク系住人についても同じ事であった。
しかし 5月28日Sydney のブラッター会長の元へイラク政府より先日発せられたイラクサッカー協会 I.F.A. への解散命令を取り消す旨の公式文書が手渡され対外試合禁止が無事に解かれる事となった。
“これは素晴らしいニュースだ” と語ったのは FFA の Ben Buckley Chief Executive。 “我々は本当にイラク政府がイラクサッカー協会と FIFA との間にあった問題を解決し Socceroos が日曜日にイラクと試合が出来る様になった事を非常に喜んでいる。これまでの準備はここで試合をする為であったので、試合が中止にならない事はずっと望んでいた事だったのだ。”とコメントを発した。
しかしその一方で FIFA は " まだイラクは困難を逃れていない、この問題に就いて更なる説明を求められるだろう。そしてそれが不十分なものであればまた対外試合禁止を言い渡されるかもしれない" とコメントしている。
“この書簡は前向きなステップとなる。しかしまだイラク政府がサッカー協会ならびに五輪委員会を支配下に置こうとしているかどうかに就いては完全な回答となっていない。”と述べている。
FIFA側は近々 AFC とイラクサッカー協会そして政府の代表を本部のある Zurich に招いて今後について説明を求める意向も述べた。まぁ兎に角予定通りにイラク戦が行われることとなった。

この組はオーストラリア、イラクの他にカタール、中国がいるいわゆる“死の国”どこが出て来てもおかしくないが最終予選の組み分けを考えると日本が絶対的な自信をもっている中国に勝ちあがって欲しい所。他の3カ国は特にアウェーゲームを考えればあまり歓迎し出来ない。ただ欧州組が中心となるであろうオーストラリアが案外アウェーゲームで最も戦い易い相手かも知れない。

5月28日 イラクチーム現地入り。
Brisbane 空港は国内線と国際線とターミナルが少し離れて建てられている。その国際線ターミナルには多くのイラクからの移民が集った。彼らの英雄アジア王者のイラク代表チームを迎える為だった。この時点ではまだ6月1日のオーストラリア戦が行われるかは決まっていた無かったが、イラク選手団そしてサポーター達はその事の重大さをどれほど測り知っていた事だろう。
この日の地元のニュース報道では何度も空港に到着した選手団と出迎えに来たイラク系の住民達が映し出されていた。そしてイラクサッカー協会会長の Hussein Saeed 氏は同日シドニーに直行した。それは FIFA Congress の行われているシドニーにいる FIFA の Sepp Blatter 会長に書簡を手渡し事情を説明する為だ。そして何より4日後にBrisbane で予定されているワールドカップ予選の試合が予定通りに行える様に、更にイラク国民が望んでいる再来年のワールドカップ出場の可能性が潰えない様に……

    

昨年7月、アジア大会ではオーストラリアを1次予選で破り、ヴェトナム、韓国を破り決勝に進出。そして決勝戦では Younes Khalef のゴールでサウジアラビアを降し、
1984年大会以来6大会続いたサウジアラビアと日本のアジアタイトル独占にピリオドを打った。しかしその翌月から始まった北京五輪予選では同組の Group A にオーストラリアがおり勝点1及ばず出場権を逃すことに。オーストラリアが1勝1分けだったレバノンにはホーム、アウェー共に勝利を収めたが直接対決で1分(ホーム:ドーハ 0-0 )1敗(アウェー:Gosford 0-2 ) と負け越したのが痛かった。そしてホームゲームを全てカタールのドーハで行わねばならない不運もあった。オーストラリア対イラク、両国間の様々な思いがシンクロナイズドしながらここに両者が激突すべく試合がこの時点ではまだ実現するか確実では無かった。
それでもチーム関係者は“我々は試合が行われるものと信じ始めている”と地元紙のインタビューに答えている。5月26日、イラク代表はバンコックの Rajamangala Stadium でタイ代表と練習試合を行い 1-2 で敗れている。 Rajamangala Stadium と言えば昨年アジアかカップでイラクが1次リーグ2試合そして準々決勝のヴェトナム戦を戦ったところだ。イラク代表はこれでシリア戦に続いて2連敗となったが、試合はあくまで調整試合の意味合いが強かったらしく試合結果は両チームともあまり重要視していない模様。タイはTeerathep Winothai とTeerasil Dangda そしてイラクはNashat Akram がゴールを決めた。タイは次のバーレーン戦を見越してのイラクとの練習試合であったが、果たして日本の準備はどうなのだろう??キリンカップでコートジボアール、パラグアイと試合を行ったがレギュラークラスが皆無の相手にどれだけ成果が上がるのだろう?オマーンに類似した中東諸国または西アジアのチームと試合を組めなかったものか??

Socceroos の Pim Verbeek 監督は“我々はイラク戦が行われると100%信じて準備を進めている。全てを日曜日のゲームに向けて集中させている。そして選手達はプレーする事に準備を進めている。”と試合慣行に向けて集中を切らさなぬ様に躍起になっている様子。しかしこの試合が行われないと影響の大きいのは断然イラクの方だ。昨年アジアカップで優勝しながら、国内ではイスラム教シーア派、スンニ派そしてクルド系住民を含めてイラクのシンボルとなっている代表チームがワールドカップ予選から除外されてしまった時の事を考えるとこの対外試合禁止は是非避けられるべきである。 FIFA の言うところの“政府が協会に直接介入するべからず。”と言う規則には最近ギリシア、スペインが抵触しそうになった。その前にはイランが“警告”を受けた。今回はイラク五輪委員会が政府から解散を命ぜられ、サッカー協会はその五輪委員会の傘下にある事から FIFA がそれを政府の介入ととらえ対外試合禁止を発そうとしたのだ。 
これに就いては同国の Jasem Mohammed Jaafar スポーツ相が IFA 、イラクサッカー協会に“前の決定はあいまいで誤解を招いたもの。”という内容の確認書を送ったと5月27日のロイター通信に語っている。 Blatter 会長は 政治介入には断固として戦うというFIFA のスタンスを何度も繰り返す。
“我々FIFAは決して国際法を犯してはいない。しかしもし国際試合に参加したければサッカーの自治権を守るという FIFA のスタンスがあるのだ。試合は行われるのかと尋ねられた Blatter 会長は“私は賭け家ではない、しかし予言者になろうとしている。そしてイラクはプレーする、彼らはプレーする、試合は行わればならない” と地元紙に答えている。

例えイラクがこのワールドカップ予選で失格となり勝点6が保証されてもオーストラリア側からすればゲームは行いたいところだった。
Blackburn Rovers でプレーする Brett Emerton は“我々はイラク戦は行いたい。数多く試合をこなす事が重要だ。今我々代表は移行期にある。若い選手が多い、監督の Pim も監督に就任してまだ時間が経っていないので6月のワールドカップ予選4試合をこなし3~4週間選手と共に過ごすのはお互いを理解し合う上で重要だ。確かに何もしないで勝点を貰えるのは魅力的だ、しかし我々は任務を遂行するために自らの能力に自信を感じねばならない。”
もしイラクが失格していたら既にイラクと対戦していたカタール ( 2-0 でカタールの勝)、中国 ( 1-1 の引分)の星勘定はどうなったのだろう?一番喜んだのはイラクと引き分けた中国だっただろう。
Brisbane でワールドカップ予選が開催されるのは1992年以来16年振りらしい。会場となる Suncorp Stadium は A-League の Queesnland Roar の本拠地だ。この時の相手はタヒチかソロモン諸島か?アメリカ大会のオセアニア地区の予選であったがその試合に前 Socceroos 監督の アーノルド、そして先日引退したトニー=ビドマーらは出場したのだろうか…….
現在 Roar を指揮する元 Socceroos の Frank Farina 監督はこの試合が行われない事は“妨げ”以外の何者でない事を指摘、それは FFA の支配下には無い事だがもし試合が行われなかったら他のプランがあるはずだ・・・・・・。“ 
このコメントを受けて様々な憶測が乱れ飛んだ。6月1日には替わりに Queesnland Roar との練習試合が行われる、または5月30日に Melbourne Victory との親善試合の為にメルボルンに遠征している Juventus Turin が特別に Socceroos とゲームを行うとか………..

しかしながらそれも杞憂に終わった。イラク戦は予定通りに行われる。
そうなると今度は別の問題が Verbeek の頭の中を覆いだす。2006年のワールドカップの FW Mark Viduka, John Aloisi, Josh Kennedy そしてArchie Thompsonの4人が外れている。そこでマレーシアのトーナメントから帰国間もない五輪チームのCentral Coast Mariners でプレーするMatt Simonを合宿に招集した。そして五輪チームからMark Bridge, Bruce Djite そしてNikita Rukavytsya も呼んだ。 Verbeek はワントップが好みだがクラブレベルでもワントップの経験のあるFWは現在アビスパ福岡に所属する Joel Griffiths くらい。こうなるとブンデスリーがでプレーする Josh Kennedy がコンディション不良で招集出来なかったのが痛い。Sydney FC と契約した Josh Aloisi はもう代表には興味を示していない。 ここは Celtic の Aussie Striker、Scot McDonald に期待か....... 

 

Jade North がふくらはぎ、 Jacob Burns が膝の怪我、 Mile Sterjovski が夫人の出産の為に Brisbnae 入りを断念。 Kewell のコンディションが万全でなく Tim Cahill が怪我で離脱となれば屈強なイラクDF陣をどうやってこじ開けるのだろう…….   

予想されるスタメンは下記の通り

GK Mark Schwarzer;

DF
Brett Emerton, Jade North, Michael Beauchamp, David Carney

MF
Vince Grella, Jason Culina Luke Wilkshire, Harry Kewell,
     Mark Bresciano;

FW
Scott McDonald

</BOD>FWの人材不足は日本だけではなさそうだ…….. だがイラクにも不利な状況が、ここ数日 Brisbane は天気が悪く雨天が続いている。ここでは珍しい事だ。雨の中の、しかも南半球は今秋から冬に向かっている。この季節の雨は氷雨だ。これはイラク選手達は殆ど経験した事がないのではないか??  

明日のキックオフ時間には雨が降らない事を祈るよ……… 

 


Socceroos ガーナ戦に勝利。 だけどイラク戦は…..

2008-05-25 | 夏季五輪
日本ではキリンカップが開幕し6月からの大事なワールドカップ予選に臨む。
それは日本だけでなくアジアの40カ国も同様でどの国も“準備試合”等を開催したり予選に向けて余念がない。
最終予選(に進出出来れば)第1シード国と決まったオーストラリア代表も同様である。23日にシドニーにガーナ代表を迎えて親善試合を行った Socceroos 達と言うよりも協会 F.F.A. にはある深刻な問題を抱えざるを得なくなった。

イラク戦は行われるのか……..
2004年イラク五輪チームをメキシコ五輪の日本以来のアジアで2カ国目のベスト4に導き、同年AFCの最優秀監督に選ばれた Adnan Hamed 監督は現在タイのバンコックで調整合宿を行うイラク選手団にはとにかく“平常心”を取り戻させるのに腐心している。前節はカタールに敗れ、6月1日のオーストラリア戦では最低でも勝点を確保する必要がある。そのオーストラリア戦に向けてイラク代表チームはヨルダンの首都アンマンに選手が集合し1次合宿を終え5月23日から5日間の日程でバンコックでの2次合宿に入っている。イラク代表にとってバンコックは昨年 Asian Cup の1次リーグと準々決勝までを戦い6月1日に対戦するオーストラリアを 3-1 で降した縁起の良い街だ。そればかりか中心選手の一人 Asian Cup の英雄でアテネ五輪メンバーでもあったBassim Abbas が選手生命の危ぶまれていた背中の負傷が奇跡的な回復を遂げ遠征メンバーに名を連ねる事に。さらにコンディションが不安視されていたレバノンの Al-Ansar 所属のMF Salih Sadar も出場の目処がつき遠征に参加している。 UAE の Dhafra でプレーするJassim Mohammed Ghulaum カタールリーグ Al – Khor でプレーするHawar Taherらが怪我でそしてKarrar Muhamedが累積警告でオーストラリア戦には出場出来ないが、Bassim Abbas の回復はチームに与える影響は大きい。オーストラリア戦に向けての遠征メンバーは下記の通りとなっている。

Goalkeepers: Nour Sabri, Mohammed Kassid, Wisam Kassid

Defenders: Ali Husain Ruhaima, Haider Abdul Ameer, Saad Atiah, Assim Abbas, Samal Saeed, Mohammed Ali Kareem, Salam Shaker, Yaser Raad

Midfielders: Qusay Munir, Nashat Akram, Mahdi Kareem, Ahmed Abd Ali, Hawar Mulla Mohammed, Haitham Kadhum, Salah Sadeer

Strikers: Younis Mahmoud, Mustafa Kareem, Ali Salah, Alaa Abdul Zahra, Emad Mohammed.

アテネ五輪メンバーが10人含まれており、昨年のアジアカップメンバーを含めて今のイラク代表がアテネ世代の中心となっていると言える。 しかしながらイラク代表チームがオーストラリアとの予選が出来なくなる可能性が出て来た。 イラクサッカー協会 IFA は5月20日付でイラク政府から解散を命ぜられている。なぜ解散を命ぜられたかというのは解らないが今は FIFA が仲介役になり政府に5月27日までにこの解散命令を撤回する様にイラク政府に求めており、もし撤回がなされない時は全ての年代においてのイラク代表チームの対外試合を禁ずると警告している。そうなればこのワールドカップ予選も失格となってしまう。
F.F.A. としてもこのイラク戦に向けてガーナ戦を組むなど約AS$300万(約3億円)の費用を投資した。さらに6月1日の試合のチケットもほぼ売り切れ状態なに……….. 昨年、イラン政府が直接イランサッカー協会に関与しているとしてFIFA から処分を受けそうになった。しかしサウジアラビア、UAE, カタール等の中近東諸国の中で政府から“直接関与”を受けていない協会はあるのかな…….
今のイラクは前述の中東諸国とは事情が大きく異なるが政情不安の続くイラクの国情がここにも影響しているのか…… そんな中で昨年見事にアジア王者に輝いたイラクがこんな事で失格になってしまうのは残念でならない。6月1日にオーストラリア戦が無事に行われることを祈るよ……… 

  

Kewell , Griffiths スタメン出場
5月23日 Sydney Football Stadium で行われたガーナ戦は England の Derby County でプレーする Mile Sterjovski のゴールで1-0 の勝利を納めた。この試合には Harry Kewell がゲームキャプテンとしてスタメン出場を果たし Mark Bridge と交替するまで74分間プレーをした。また A-League 組では Mile Jedinak (Central Coast Mariners)  Jade North (Newcastle Jets),  Adam Griffiths (Newcastle Jets) の3人がスタメン出場を果たし Mark Bridge (Sydney FC), Nikolai Topor-Stanley (Perth Glory), James Holland (Newcastle Jets) の3選手が途中出場であった。 

   

Australian line-up: Mark Schwarzer (c); Michael Beauchamp, Jade North,
Jacob Burns (James Holland 79’), Mile Jedinak, Joel Griffiths, Harry Kewell (c) (Mark Bridge 74’), David Carney (Nikolai Topor-Stanley 79’), Adam Griffiths
(Matt Spiranovic 65’), James Troisi (Danny Allsopp 65’), Mile Sterjovski

Subs not used: Leigh Broxham, Michael Petkovic (gk), Rodrigo Vargas, Chris Coyne

この日のガーナは二日前にモスクワでChelsea の一員として UEFA Champions League に出場したMichael Essien と Portsmouth でプレーする Sulley Muntariは不在であった。
Ghana line-up : William Amamoo, John Panstil, John Mensah, Anthony Annan, Laryea Kingston, Manuel Agogo, Prince Buabeng, Eric Addo, Badu Agyemang, Afful Harrison, Draman Haminu.

John Panstil, John Mensah, Eric Addo, の3人が2006年のワールドカップメンバーであった。 ワールドカップでは高い身体能力に組織的な戦術が加わりチェコを一蹴しベスト16に進出。

http://blog.goo.ne.jp/conty1ban/e/96747f87f1634dca94d1b8c803babe94

決勝トーナメント1回戦のブラジル戦では 0-3 と完敗したが Essian が累積警告で出場停止でなければもう少し健闘しただろう。 

   

Socceroos Verbek 監督としては Kewell が70分以上プレーをした事が最大の収穫であっただろう。昨年のアジアカップでのイラク戦に出場した選手が Schwarzer と Kewell の二人だけ。 Beachamp, David Carney, Mile Sterjovski はベンチにいて出場機会がなかった。ここにガーナ戦には合流しなかった “欧州組” が入って来るのであろうが、Lukas Neil, Josh Kennedy, Jacob Burnsそして Mile Sterjovski の4人は奥方が6月に出産の予定があり4試合あるワールドカップ予選のどれかを欠場せざるを得なくなるかも….とも懸念もあるらしい….

しかしまずは6月1日にイラク戦が行われる事を..........

 

Socceroos 23人エントリーメンバー決定 ガーナ戦にそしてイラク戦に向けて

2008-05-18 | 夏季五輪
異例の低温が続いた日本列島。シンガポール、マレーシアそしてタイの蒸し暑さが恋しく感じられなかなか日頃の業務に集中出来ない。でも時は確実に進みもうすぐ6月になろうとしている。今年の6月はスイス、オーストリアでは欧州選手権。そしてアジア各地域ではワールドカップ予選とサッカーファンにとっては異例の忙しさとなるだろう。 日本の梅雨を尻目に東洋と西洋を飛び回り現地からのレポートを……….
なんて夢は今年中学生に進級した息子の将来に託そう………..

ワールドカップアジア地区予選では最も厳しいと言われている Group 1は6月1日 Brisbane の Suncorp Stadium でSocceroos がイラクを迎える。F.F.A. はその“準備試合”として5月23日ガーナ代表との試合を Sydney Football Stadium で組んだ。
そのメンバー24人が5月13日に発表となった。

国外組 Daniel Allsopp (Melbourne Victory), Michael Beauchamp (Nuremburg Germany), Jacob Burns (Unirea Valahorum, Romania), Nick Carle (Bristol City, England), David Carney (Sheffield United, England), , Jason Culina (PSV Eindhoven, Netherlands) Adam Federici (Reading, England), Joel Griffiths (Avispa Fukuoka, Japan), Harry Kewell (Liverpool, England), Michael Petkovic (Sivasspor, Turkey), Mark Schwarzer (Middlesbrough, England), Matthew Spiranovic (Nuremburg, Germany), Mile Sterjovski (Derby County, England), James Troisi (Newcastle United, England), Carl Valeri (Grosseto, Italy),

A-League 組 Mark Bridge (Sydney FC), , Ante Covic (Newcastle Jets), Adam Griffiths (Newcastle Jets), Nikolai Topor-Stanley (Perth Glory), Rodrigo Vargas (Melbourne Victory)  James Holland (Newcastle Jets), Mile Jedinak (Central Coast Mariners)  Jade North (Newcastle Jets),.

Joel Griffiths 今度こそ.......

現在アビスパ福岡でプレーする昨年度の A-League 得点王そして年間最優秀選手賞を受賞した Joel Griffiths が選出された。2月6日のカタール戦 ( Melbourne ) では A-League でのパフォーマンスの余勢をかってスタメン出場か?とも思われたが代表合宿中に怪我。最終メンバーに選ばれなかった。何とかA-League の Grand Final に間に合ったのが幸いか? A-League 終了後はリトバルスキーに乞われて??アビスパに移ったが怪我などで出場試合数が8で3得点と充分な活躍は出来ていない様だ。3月26日昆明で行われた中国戦にもベンチ入りは果たせなかった。 今回の選出はArchie Thompson ( Melbourne Victory ) Bruce Djite ( Adelaide United ) の怪我によるところが大きいらしいが Pim Verbeek 監督は Griffiths のガーナ戦でのスタメン起用を示唆しているらしい。しかしそれには Griffiths の怪我の回復ぶりにも影響されると思うのだが…..

 

また5月16日から20日まで五輪代表の Olyroos がマレーシアでの大会に参加する為に今回はその遠征メンバーがここには入って。それも寄与したか??しかしその遠征メンバーに選ばれなかった五輪候補選手のAdam Federici、 Roddy Vargas そしてMatthew Spiranovic らもスタメン起用示唆をする発言も Verbeek からは聞かれる。しかしもっと危惧するべきはガーナ代表の遠征メンバー。日本にやってくるアフリカ代表はほぼレギュラークラスはやって来ない。コートダジュール(象牙海岸)の様に遠征そのものをキャンセルしてくる代表もあった。 Claude le Roy 監督は Sydney での試合の翌週にはワールドカップ予選があるのでこの試合をそのスパーリンクとして重要視しているとのコメントを残し、Stephen Appiah ( Fenerbache ) , Sulley Muntari ( Portsmas ) Asamoah Gyan ( Udinese ) , Junior Agogo ( Nottingham Forest ) そしてAnthony Annan ( Stabaek Norway ) の選出を示唆している。そしてこの試合の2日目にモスクワで開催される UEFA Champions League にChelsea のメンバーとして出場するであろう MF のMichael Essienも出場する予定だとか。

Kewell そして欧州組は….
Harry Kewellの Liverpool での選手生活は静かに終わろうとしている。 2003年 Leeds United から Liverpool に移籍が決まった時、同クラブ史上でも伝説の選手の一人とされているCraig Johnston はシーズン開幕前に “ Kenny Dalglish が1977年に入団した時以来の大切な契約”と比喩したとか。
Craig Johnston とオーストラリア人の両親の元に南アフリカで生まれ、サッカーの才能を伸ばす為に“母国”オーストラリアに帰りサッカーを続けているところを Middleborough のスカウの目に止まり渡英。その後に Liverpool に移籍し8シーズン在籍した経歴を持つ選手。 England でも Australia でも代表歴はないが 1981年東京国立競技場での TOYOTA Cup に出場。(相手は ZICO 率いる Flamengo ) 優勝を果たした1983-4年の Europe Champions Cup そして翌年度の同大会にも決勝に進出し(あのヘイゼルの悲劇となった Juventus 戦 ) 出場を果たしたキャリアーを誇る選手だ。 “同郷”と言う訳ではないがやはり Kewell には期待するところがあったのだろう。
Kewell はデビューイヤーこそ11ゴールを決めて以降のシーズンに更なる活躍が期待されたが Benitez 監督が就任した 2004-05 シーズンから怪我に悩まされ 2005年の UEFA Champions League 決勝戦 (あの伝説となっている AC Milan との死闘) では前半30分足らずで怪我の為に交替を余儀なくされるなど不本意なシーズンが続いた。それでも Benitez 監督は Kewell には期待を抱き続け 2006-07 シーズンの UEFA Champions League 決勝戦ではそのシーズンに怪我の為に46分しかプレーしていないKewell をベンチに入れ途中出場させている。 
またその年出場したAsian Cup では大したパファーマンスを披露出来ず Australia もベスト8で (日本に) 敗退。多くのサポーターを失望させた。今シーズンも怪我で出遅れ、まさかの敗退となった今年2月16日のFA Cup Barnsley 戦で以来出場が無い。現地紙によると“ Harry Kewell のLiverpool での5シーズンでの成績は出場試合数139。16得点。移籍金を含めると1試合の出場料は約£160,000 ( 約3,200万円)。最後の2シーズンは18試合にしか出場を果たしておらず、それも殆どが途中出場。それでも Benitez 監督は Kewell に来シーズンもチームに留まる事を説得したらしいが、 Kewell 自身(それとも代理人が)”減俸“が避けられないのではクラブに残れ無い”として移籍を決断する事に。 Fulham そして Juventus が Kewell に興味を示しているらしいが、あれだけ試合に出ていないのに所属チームは留意を示し、本人は減俸を受け入れられずその上獲得の意思を示す他球団があるとは….. 日本じゃ考えられないなぁ……… しかし Kewell の状態を今最も気にしているのは Socceroos の Verbeek 監督に違いない。

  


Kewell は3月26日の昆明での中国とのワールドカップ予選の試合も結局ベンチ入り出来なかった。そして6月1日のイラク戦。既に Tim Cahill, Patrick Kisnorbo, Scott Chipperfield そして Mark Viduka らが怪我等により招集出来ない事となっているだけに Kewell の合流は不可欠かも知れない。しかしこの期に及んでまだ Viduka を頼っていたのかな……….. 昨年の Asia Cup ではグループリーグで Australia は イラクに 1-3 で敗れている。その時の Kewell は気候と故障上がりのせいで全く動けていなかった。よくアーノルド監督が90分も使ったな……と思った。 Kewell, Griffiths 共にシーズンは異なるが Leeds United でプレーをした経験のある選手達だ。6月1日はこの二人が同時にピッチに立つだろうか??  

イラクもメンバーが組めない??……
状況はイラクも変わらない、と言うかより深刻かもしれない。 昨年7月に母国を Asian Champion に導いた英雄 Bassim Abbas (その時の登録名は Gatea Basem ) の出場がほぼ不可能。と言うよりも選手生命を脅かす深刻な怪我を所属先のカタール Umm-Salal の練習中に負ってしまったのだ。Abbas には来シーズントルコリーグの Fenerbahce への移籍がほぼ決まっていたとの事で本人もこの負傷が無念でたまらないであろう。また同じくDFの Jassim Ghalom も怪我の為に出場は出来ないらしく、 MF のSalih Sadir, FW Hawar Taher も怪我で出場が危ぶまれている。そして MF Karrar Muhamed が累積警告で出場出来ない。 Asia 王者のイラクであるがこのワールドカップ予選では前節カタールに敗れて1分1敗。最終予選進出の為にもこのオーストラリア戦は最低でも勝点1は必要だ。開幕戦のホーム(言っても開催地はカタールのドーハ)での中国戦を 1-1 で引き分けノルウェー人のGil Olsen 監督が更迭され現在は Adnan Hamad コーチが監督に昇格している。 Hamad 氏はアテネ五輪ではイラク五輪チームを率いてチームをベスト4に導いた。これはメキシコ五輪の日本以来の快挙だ。
だが今の国情が大きく影響し隣国ヨルダンの首都アンマンで始めた合宿には主将の Younis Mahmoud と Nashat Akram は所属先のカタールリーグ Al-Gharafa がEmir’s Cup 決勝戦となる Umm-Salal 戦を控えているので合流でき無いなど招集を掛けた23選手中15選手しか集まらなかった。イラク代表は5月17日にダマスカスに入りシリア代表と練習試合を行い5月25日にはバンコックでタイ代表とも試合を行い5月27日に現地入りする。オーストラリア戦直前に予定していたニュージーランド代表との調整試合は中止となる模様との事だ。

昨年6月13日、両国はタイの Rajamangala Stadium で対戦している。その時はイラクが 3-1 でオーストラリアを一蹴したがスタンドで観戦した私はオーストラリアの選手達の切れの悪さはもとより大挙してオーストラリアからやって来たサポーター達の“シンジラレナイ”と言った表情、それから試合が狂喜乱舞するイラクサポーターの様子が非常に印象的だった。

http://blog.goo.ne.jp/conty1ban/e/27fccbfc2ab4e2e27135352334476943

あれから約1年。6月1日の試合が最終予選進出を左右するかもしれない試合になりそうだ。この試合に Kewell が出場し1年前のリベンジを果たすのだろうか……… しかし他国、他のグループの心配をしている場合では無い。日本はオマーンを果たして破る事が出来るのだろうか……??

  

  

S League 中国の黒い影

2008-05-11 | Football Asia
東南アジア出張から帰国し1週間。連日の曇天と今日の様な雨天で“寒さ”が堪えて来る。それに会社に行けば机の上は書類の山。更に書類作成と事務処理の毎日。それも大切な仕事なのは判っているが、引き合い顧客と直接対面し仕事の話をして夜は S League の試合を追いかけていた毎日が懐かしい……

あの蒸し暑さが懐かしい今日この頃。 すっかりシンガポールかぶれしてしまった私?だが、アルビレックスや大連そして韓国人で編成した Super Reds と言った“純外国チーム”の参加を認めてリーグの活性化をはかったり国際色豊かなシンガポールならではのS League ではあるが良い話ばかりでは無い。 1996年に発足以来様々な理由で9チームが廃部、統合となって消えて行った。
2006年に1シーズンだけで消えて行った Sporting Afrique と言うチームがあった。シンガポール人選手が1人いたが他はナイジェリア、カメルーン、ガーナそしてサッカーでは珍しいケニア人選手で構成された文字通りアフリカ連合のチームだった。その年にシンガポール訪問した時にアルビレックスとの試合を観戦する事が出来た。現地に在留するアフリカ人らしきサポーター達が熱心にそしてリズミカルに太鼓などの楽器を叩いて応援をしていたが試合はアルビレックスが快勝。想像していたフィジカルの強さが少しは観られたがあまりに個人プレーに頼り過ぎるサッカーで少し失望したのを覚えている。

http://blog.goo.ne.jp/conty1ban/e/84c73bf1bd67c962d5c3fe3e12bf3974

シーズンの成績もぱっとせず5勝9分け16敗11チーム中9位に終わりそしてこの年で解散してしまったい、チーム事情が実に悲惨なものであったと言う事を最近知った。2004年ナイジェリア生まれの Agu Casmir そして Itimi Dickson がシンガポールに帰化し Tiger Cup や SEA Games に代表選手として出場していたのでシンガポール協会はこう言ったチームを S League 入りさせ、アフリカ人選手を誘致して帰化させシンガポール代表に入れる為の一環とみられていた。しかしこのチームは立ち上がりから躓いていた様だった。選手達には月収 SG$1,600 ( 約12万円) が約束されていたらしいが実際にはそこから食費SG$700 ( 約52,500円)そして宿泊費SG$800 ( 約6万円)が天引きされ手取りはたったの SG$100 ( 約7,500円)しか残らなかったと言う事がシーズン中に明るみになった。
食事の内容も粗末な鶏肉とライス、そしてあてがわれた住居も5人から6人が一つの部屋で同居させられていたらしい。アルビレックス発足前から S League には日本人選手がおり、その待遇は“日本人駐在員並”との事だったので月収だけでも Afrique の選手達の3倍から4倍はあったと思う。これでは選手達がかわいそう。いくらシンガポールとは言え1か月7,500円でどんな生活が出来るのだろう…….. シーズン中に選手の一人が英国BBCに現状を“訴え”その事実が明るみになり何とか手取りが SG$300 ( 21,500円 ) そして勝利給などのインセンティブが付く様に待遇が改善された。
http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/football/africa/5079434.stm

チームの代表である元テレビ俳優の Collin Chee は“我々は今資金が無い。選手達にはパフォーマンスを上げて Big Club からオファーが来る。それが選手達の動機付け、野心となる。”と言ったそうだが, 協会そして最後は大使館にまで S.O.S. を発信するまで選手達を追い込んだ Chee は責任を感じないのか…………

    


こうして Sproting Afrique は翌年のリーグ加盟が認められないと言う悲しい結末を迎えてしまった。

更に昨年1年限りで S League から消えて行ったチームがある。中国超級リーグにも所属する遼寧FCのサテライトチーム Liaoning Guangyuan Football Club ( 遼寧広原 ) である。2007年のシーズンは12チーム中10位に終わり、2008年は S League 加盟が認められなかったがその理由が中国らしいと言えば中国そのものかもしれない。今でも1995年以来述べ15人の選手役員が処罰されたが S League 最悪のスキャンダルと言われているチーム上げての八百長問題だ。
当初は Zhao Zhipeng が摘発されたが現在は GK Dong Lei 26歳をはじめ、 DF Li Xuebai 30歳Wang Lin 20歳, FW Li Zheng, 26歳Zhao Zhipeng, 26歳, Tong Di 26歳,そしてMF Peng Zhiyi, 22 歳ら7人が八百長に関与したとの事。Wang Lin が4カ月、その他の選手が5カ月の実刑判決が下り、現在もシンガポールで抑留中だ。自らの敗退行為により総額SG$27,950 ( 約210万円)を受け取ったとされている。この判決は1995年当時シンガポールのエースストライカーであった K.Kannan の18か月の実刑判決以来の重い刑らしい。 
そしてこの八百長を選手達に”指示”した Wang Xin 元監督は中国に逃げてしまっておりシンガポールにはもういない。 選手達は監督の指示に従わなければどんな目にあったか…..と語っているらしいが……

   
 

サッカーが賭けの対象になる(日本もそうだけど)東南アジアでは八百長疑惑が絶えないので S League ではそれを監視する委員会 C.P.I.B. ( Corrupt Practices Investigation Bureau : 不正監視局とでもいうのかな?) がある。 C.P.I.B では昨年11月シーズン終了後に疑いのある11選手に尋問をし4選手は疑い無しとされ帰国が認められたが上記の7選手は容疑が晴れない為に拘束が続き年の明けた1月7日のこの八百長を指揮したとされる Wang Xin 前監督が逮捕された。 Wang は2007年のシーズン Tampines rovers ( 0-3) Gombak United ( 1-5, 0-5 ) S.A.F.F.C. ( 1-4 ) そして Geylang United ( 0-3 ) 戦で3点差以上で負ける様に選手達に指示した疑いが浮き彫りになったらしい。そしてアルビレックス戦 ( 0-2 ) も八百長を指示したとの事。  1月22日より Wang Xin は抑留されるも SG$80,000 ( 約600万円 ) の保釈金を払い帰国をしてしまっている。
Wang Xin はシーズン中に9人の選手を ” 不十分なパフォーマンス ” が理由で帰国をさせているが彼らは Wang Xin の”指示”に従わなかったか八百長が知られる事を恐れた為に帰国をさせられたとみられている。シンガポール協会では更なる事実究明の為に Wang Xin が再びシンガポールに来る事と FIFA に今回の7人の選手と Wang Xin を世界的にプレーを禁ずる事を求めて行く方針との事である。シーズン終了後から今もシンガポールに抑留されている7人の選手達は既にシーズン中の蓄えもそこを尽き、判決が決まるまでの11月から3ヶ月間はLiaoning Guangyuan FC の Vice President である Steven Lee 氏から毎週 SG$150 を貰って何とは食いつないでいたらしい。実刑判決が下って衣食が保証されるとは皮肉な話。 

それにしても選手達を残して帰国した Wang Xin は責任を感じているのだろうか?? 中国の国内リーグ Super League でも八百長事件が発覚しかなり人気を落としたらしいがそれを他国にやって来てまでもと言うのがいかにも中国らしい。シンガポールぐらいならと思っていたのだろう……
東南アジアの選手達のサラリーは一般人の平均給与よりは高いだろうがスポーツ選手の現役期間は限りがある。将来に不安を感じて八百長協力に走る選手、役員が後を絶たないらしい。それが代表レベルが上がらないことに寄与しているとも思うが、この Liaoning Guangyuan FC の様によその国に来てまでとは……….

いまや環境問題を含め世界の迷惑国家となった中国だけど、迷惑はそれだけではないらしい。 GNP に対する中国の購買力はついに日本を追い抜いたらしいが、アジア蔑視もどうやら追い抜いたらしい。
今年から S League に参加している大連実徳はこれまで12試合を終えて3勝2分7敗で12チーム中10位。 これまでの戦績は”実力”通りなのか....

   

もう一つのアジアクラブ選手権 AFC CUP 2008

2008-05-06 | Football Asia

Home United vs South China  30th April

昨年浦和 REDS がAsia Champions Leagueのタイトルを勝ち取ったおかげで日本国内でもよやくアジアのクラブ選手権にスポットが当たる様になった。 これまでアジアのクラブチーム間の国際公式戦は「アジアクラブ選手権」(各国リーグ戦優勝チームによる大会)「アジアカップウィナーズカップ」(各国主要カップ戦優勝チームによる大会)と、この2大会の優勝チームが更にアジアナンバーワンの座をかけて争った「アジアスーパーカップ」の3大会があったが、これを統合して2002-03 年シーズンに「AFCチャンピオンズリーグ」として再スタートした。しかし、その第1回大会は実力差の開きや発展途上国の代表チームが出場を辞退するケースも多く、大会の質の低下を懸念する声もあったため、AFCではチャンピオンズリーグの出場枠をAFCクラブチームランキングの上位14カ国に絞り、同ランク15位~28位の国・地域のリーグ戦・カップ戦の優勝28チームにこのAFCカップの出場権を与えることとした。
現在は10カ国から20チームを西3組、東2組(4チームが3組、3チームが2組)の5つのグループに分けて2回総当り・ホーム・アンド・アウェーで対戦し、各組1位の5チームと第2位のチームの中で上位3チームを含めた8チームが決勝トーナメント進出。 決勝トーナメント 8チームによるホーム・アンド・アウェー戦で覇者を決める。現在西地区がバーレーン、レバノン、インド、オマーンヨルダン、イエメンの6カ国12チームが東地区がシンガポール、マレーシア、香港そしてモルディブ共和国の4カ国8チームがこの大会に出場権が与えられている。そしてここシンガポールからは Home United と SAFFC の2チームが参加している。

4月30日。マレーシアからシンガポールに戻る。再び赤道に近いシンガポールの暑さと湿度に閉口しながら何とか仕事を終えてAFC Cup 観戦に向かう。この日は S- League で2位につけている Home United が香港の South China を迎えた。これまでHome United は4戦全勝。この試合に勝ってベスト8進出に大きく前進したいところだった。一方の香港 South China はモルディブの Victory SC に引分た以外はマレーシアの Kedah D.A.F.A. に連敗そして3月にホームで行われたHome United 戦でも敗れこの時点で既に予選落ちが決まっていた。しかし意地は見せてくれると “期待して” 会場に向かった……

会場となったJalan Besar Stadium はYoung Lions の本拠地。先週観戦した Gombak vs SAFFC戦でも使われた競技場。その時には気付かなかったが、ピッチは人口芝だった。どうも奇麗に絨毯の様に整備されていると思った….. この AFC Cup では Home United , SAFFC 共にホームゲームは本来のホームグラウンドでなく全てこの Jalan Besar Stadium が使われた。ここの競技場は市内の中心部に近く比較的にアクセスが良いが理由かもしれないが対戦相手を慣れない人工芝の上で迎え撃つと言う方策か?? ただ香港の2チーム、 South China もKitchee もホームゲームは Mogkok Stadium。これもアクセスの良さ等を考慮してか?シンガポールも香港も国土が狭いのでどのチームがどこでやってもホームゲームか?

4日前、瀬戸春樹率いるBalestier Khalsa にシーズン初勝利を献上した Home United 。その時のスタメンから3人の選手が入れ替わっている。Balestier Khalsa 戦ではベンチから外れたレギュラー選手DF Rosman SulaimanはFW のIndra Sahdan, カメルーン人DF Valery Hiek の3人は揃ってスタメン入り。Balestier Khalsa 戦で先発出場を果たした若い Ar-Araromsowa は登録を外れていた。

両者は3月11日に香港の Mongkok Stadium で対戦しその時はアウェーのHome United が 3-2 で激戦を制した。この時2ゴールを挙げたのがブラジル人MF Oliveira 。しかし Oliveira もこの試合の登録から外れていた。近くに座る御夫婦に尋ねると御主人が “ Oliveira は累積警告で出場停止”と丁寧に教えてくれた。またタイ人 MF Komprom Jaroonpong が1度もこの AFC Cup ではベンチ登録すらされていない。外国人枠の問題か……..??
その3月の試合のスタメンを調べると主将のDF Shunmugham Subramani こそこのホームゲームのスタメンに名を連ねているが、シンガポール代表GK Lionel Lewis をはじめ5人の選手が入れ替わっている。

一方のSouth China。 7人の選手が3月のHome United 戦のスタメンから入れ替わった。そして3日前の Hong Kong First Division League の Convoy Sun Hei戦で 4-1と快勝したがその時のスタメンでこの試合のスタメンで起用されたのは二人だけだった。それは既に決勝トーナメント進出の可能性が無くなっている事が寄与しているか? GKは中国人の Chan Chun Yu でなく香港人の Chung Ho Yin。 4バックのDF陣は左サイドが中国人DF のDeng Jing Huang, CB はブラジル人の CRIS Alves Pereira と Can Wai Ho。ブラジル人の CRIS は前の Home United 戦でも先週の Chung Ho Yin 戦でもスタメン出場。この選手が守備の要か??右サイドバックが Lai Man Fei. 両サイドバックは3月の Home United 戦では途中出場だった。ボランチは主将の Yeung Ching Kwong と 中国人MF のFan Wei jun 。この二人は2列目の右に Chung Ho Yin 戦でスタメン出場した Chan Wai Ho, 左が Yip Chi Ho 。 Yip は3月の試合ではフル出場。そして2トップが Cheng Siu Wai とブラジル人のSchutz Tales 。Cheng Siu Wai は3月の試合では途中出場ながら2ゴールを決めている。
Schutz Tales は2006年のシーズンからそれまでしばし続いていた South China の “純中華主義“の禁を破って契約された選手でかつてはブラジルのボタフォゴ、アトレティコミネイロ、グレミオでもプレーをした経歴がある。 Chung Ho Yin 戦では途中出場ながら2得点。それが認められてかこの試合ではスタメンに抜擢された。他の Chung Ho Yin 戦にスタメン出場したブラジル人選手 Itaparica, Maxwell そして Detinho の3人はこの遠征に参加していなかった。 

    

試合は立ち上がりからアウェーの South China が積極的に前に出て来る。2分には FW S.W. Cheng が左から中に切れ込んでドリブルシュート。6分にはオーバーラップで上がった左サイドの J.H. Deng に W.H. Chan のスルーパスが通りチャンスとなるがシュートには至らない。South China は S.W. Cheng がやや下がって C. H. Chan とC.H. Yio の3人が1トップ気味となった Schutz の後ろに並ぶ。 そして右サイドをサイドバックのJ.H.Deng と MF のC.H. Chan が突破して行く。特にMFの C.H.Chanはドリブルに自信を持っている様だ。17分にはこの C.H.Chan のドリブル突破から入れたクロスに S.W.Cheng が走り込んで撃ったシュートは惜しくもポストの左に外れた。立ち上がりロングパスとカウンター攻撃に終始していた Home United は20分過ぎからようやくボールを繋ぎだす。 Hiek Valery が右サイドに回って来て C.H.Chan のドリブルをストップし前線の Ludovick に送りそのままタッチライン沿いを疾走する。 Ludovik は右に走っている Hiek にボールを送りそのまま Hiek はネアーサイドを狙ってミドルを放つが地を這うようなライナーは僅かにポストの右に外れる。 自陣左サイドのケアーにカメルーン人MFの Hiek が右から回ってきたか?? 
そして30分、FW Indra Daud が左サイドから入れたライナーのクロスを South China DF W.H. Chan の前に出て来てボールを受けた Shahril Ishak がワントラップしてゴールに蹴り込み Home United に先制ゴールが生まれた。Indra の素早いゴール前での動きであった。

    

先制ゴールを境に South China の脚が止まって来た。中盤を支配され頼みの C.H.Chan のドリブルも相手MF,DFの網に引っ掛かる様になって来た。 やはりシンガポールの天候が影響したか。何しろ前の週にここで会った香港在住の顧客が“シンガポールは暑い…” と言っていたから…..それが狙いで Home United は序盤スローペースだったのか?37分にはHiek Valery がS.W. Cheng に倒されてFKを得る。 Hiek が直接FKを狙うがここはGK H.Y.Chung がナイスセーブし追加点はならなかった。40分には Indra Daud がゴール前で頑張りCKを貰うと Shi Jia Yi が上げたCKに Indra が飛び込むがそのヘッドは僅かにバーを越えた。
South China はたまらずMF左のC.H.Chan と MF右の C.H.Yipのポジションを入れ替えた。それでも展開は変わらない。Home United は左サイドでは MF Ishak Shahrilと FW の Indra Daud がそして右サイドは Shi Jiayi の動き良い。 South China はW.J.Fan, C.K. Yeung のボランチの二人がもっと攻撃に絡みたいところだが…..
そして前半終了のホイッスルが鳴った。 拍手で迎えられる Home United そして South China イレブンには地元のサポーター達からは “ He~y Liverpool !! “ と野次が飛ぶ。彼らのユニフォームは Liverpool のデザインを基調にしているのか?? 香港、シンガポール共に最も人気のあるリーグは English Premiership だ。この時点では UEFA Champions League ではまだ Liverpool は残っていたが、South Chinaは….. 

      

香港のサッカーと言えば思い出すのがワールドカップアルゼンチン大会予選。シンガポールで開催された1次予選では地元シンガポールを決勝で降し最終予選に進出した。しかしイラン、韓国、クウェート、オーストラリア相手に8戦全敗で日程を終えた。次のスペインワールドカップ予選では地元開催の1次予選で中国、北朝鮮、日本と同じ組に入り最終予選には進めめなかったが4年後のメキシコ大会予選では郭家明監督が指揮する香港代表は健闘を見せて1次予選の工人体育場で行われた中国との最終戦ではアウェーながら中国を2-1 で破る番狂わせを起こし東地区準決勝にまで進出した。決勝ゴールを決めた顧錦輝は帰国時に啓徳空港でもみくちゃにされていたところを専門誌で見た。この中国戦の勝利が最後の快挙だったのかも知れない。準決勝では森ジャパンに敗れている。次のイタリアワールドカップ予選では4年前と同じ郭家明氏が指揮を取り、前のワールドカップ予選メンバーを顧錦輝を含め6人擁して臨んだが日本、インドネシアと共に北朝鮮の軍門に降り1次予選で姿を消したが、この香港戦で2分けに終わった横山ジャパンは北朝鮮の後塵を拝する事となった。以降最終予選にまで進出出来ず、今行われているワールドカップ予選も既に姿を消している。しかしプロ化は日本よりもずっと早く、1970年代には South China そしてSeiko SA と言うクラブチームが既にプロ化されており1979年には当時韓国のエースストライカーであった金在漢が Seiko に入団した。そして70年代には後に“たけしのスポーツ大将”や芸能人サッカーチームに助っ人として出場していた元読売クラブのカルロスが香港でもプレーしていた。昔の香港を少し知るだけに“もう少し頑張れ無いかなぁ….” と思うのだが

後半に入ると South China は前線を少し変えて来た。 MF の C.H.Yip を上げて Schutz と2トップを組ませ、2列目を左から C.H.Chan, C.K.Yeng そしてS.W.Cheng を並べる。DFラインを左サイドバックの J.H.Deng を中盤に上げて3バックにする。 攻撃の枚数が増えたせいか South China の攻勢が続いた。開始早々 C.H.Yip がシュートを放ち GK Lionel Lewis がブロックするとそのリバウンドを C.K.Yeng が撃つがこれはLewis の正面に。48分には C.H.Yip が Jantan Juma をかわしてシュートを放つがこれもGK正面。49分にスローインを受けたC.H.Chan が中に切れ込んで撃ったシュートはサイドネット。 62分には Cris Alves Pereira を下げてWong Chin Hung が投入される。 South China は攻める時間が長くはなったがFW  Schutz へのラストパスが足下へ行くパスばかりなので相手DF陣に読まれてしまう。70分にはドリブルに切れが無くなって来た C.H.Chan を下げて Lee Chi Ho を入れる。そしてC.H.Wong をDFラインに戻し再びDFラインを4バックに戻す。サイド攻撃をもう一度強化してと言う思惑だったのだろうが74分に Home United が追加点を挙げる。 Ishak Shahril が Lee Cho Ho をかわして右サイドから入れたクロスを Indra Daud が決めた。 この失点は South China には堪えたと思った。
しかしここから試合が動き出す。77分に J.H.Deng を下げ P.T.Man を入れ、DFラインを P.T.Man, M.F.Lai そしてW.H.Chan の3バックに戻し中盤を厚くする。そして79分 C.K.Yeng , Schutz と繋いで C.H.Lee が放ったシュートはCKに。そのCK から Schutz がキープし中に走り込んだ C.K.Yeung が Home United ゴールに蹴り込み1点を返した。初めてこの試合 Tales Schutz が仕事をした瞬間だった。あと10分以上残っている。C.H.Wong が左からC.K.Yeung が右から切れ込んでくる。82分 Lee Chi Ho が左サイドからドリブルで切れ込み Jantan Juma をかわして放ったシュートはGK正面を突いた。South China は同点を目指し動きが速くなる。
しかし試合を決めたのは Home United カメルーン人FWの Kengne Ludovick 。力強いドリブルから87分には途中出場の Mohamed Farook, 88分には Sharil Ishak の連続ゴールを演出。チームの AFC Cup ベスト8進出を決定づけた。 最後は助っ人外人の力の差が出たか?これはJリーグでも欧州でも同じ事だろう。でも South China はアジアの伝統クラブとしてもう少し頑張ってほしかったし、これからも巻き返してほしいんだけどなぁ……..

同日行われた他の AFC Cup 戦で S.A.F.F.C. が香港の Kitchee をアウェーで1-0 で降し、こちらもほぼベスト8進出を決めた。 この試合には深澤、新井と言った日本人選手も出場している。AFC Cup では開設から4大会西アジア勢が決勝戦のカードを独占し続けている。今年は新井や深澤を決勝戦で観られるだろうか.......
もう一つのアジアのクラブ選手権 AFC Cup にも日本人選手がいる。 そしてここにもサッカーはある。

翌朝私はバンコックに旅立った……………….
気温が少しでも下がっている事を祈って………. 

   


あぁ憧れのマレーシアサッカー 

2008-05-05 | Football Asia

マレーシアの首都 Kuala Lumpur の郊外にある巨大な立派な空港。 KLIA からタクシーで約1時間の所にAsian Football Confederation アジアサッカー連盟の本部事務所がある。

アジアサッカーの発展はマレーシア建国の父と言われる Tunku Abdul Rahman 初代マレーシア首相の尽力によるものが大きい。マレーシアは19世紀半ば英国の植民地とされ宗主国からの移住者が多くなるにつれてサッカーも普及し1933年には当地にサッカー協会( FAM ) が設立され、その発足から約20年後の1951年にRahaman 氏がマレーシア人として初めてFAMの会長に就任。そして1954年のアジアサッカー連盟 AFC の創設にも貢献。その為にAFC の本部はマレーシアの首都 Kuala Lumpur にある。
1957年にマレーシアが英国から独立を勝ち取りその記念としてアジアの代表チームを集めて開催した大会が Merdeka Tournament 。 Merdeka とはマレー語で独立と言う意味で、マレーシア及びアジア諸国が独立を果たした事を記念しての開催と聞いた事がある。1959年親日家でもあった Rahman 会長はこ Merdeka 大会に当時アジアではレベルの低かった日本を招待する。当時の日本のレベルそしてアジアでのこの大会の位置づけを考えれば Merdeka 大会への招待は本当に貴重な経験であった。以降も日本の招待は続けて貰い1976年大会では奥寺らの活躍で2位に入る。
しかし1980年代に入り日本、韓国を始めアジアの列強は Merdeka 大会への参加に消極的になる。1990年に日本は Merdeka大会への参加を久々に決めていたが当時湾岸戦争が勃発。テロ行為を恐れ日本サッカー協会は選手の派遣を見送る事に。以降 Merdeka 大会への日本代表参加の話は聞いた事がない。

1970年代マレーシアはアジアでも列強の一つ。ミュンヘン五輪そしてモスクワ五輪では日本、韓国を抑えて出場権を獲得している。特にモスクワ五輪予選では地元Kuala Lumpur での集中開催と言うアドヴァンテージはあったが大本命の韓国を 3-0 で破り、日本とは引き分け決勝に進出。そこで再び対戦した韓国を終了3分前にジェームス=ウォンのゴールで韓国を破り見事にモスクワ五輪出場を決めた。しかし当時ソ連軍がアフガニスタンに侵攻、当時のJカーターアメリカ大統領のモスクワ五輪ボイコット案に、西ドイツ、日本の西側陣営が同調。マレーシアもそれに従い幻のアジア代表に終わる。それがマレーシアの最後の栄光だった。
日本は4年後のロス五輪予選でもマレーシアに 1-2 で敗れ、1986年のMerdeka 大会でも準決勝にマレーシアに 1-2 敗けを喫しているがこの時のマレーシア代表ヘッドコーチがジェフ市原でヨゼフ=ベングローシュ。日本がマレーシアに追い付くにはJリーグが発足するまで待たねばならなかった。

マレーシアサッカーの地盤沈下は一向に改善されず、昨年開催された Asian Cup でも1次リーグ3連敗で敗退。(中国 1-5, ウズベキスタン 0-5, イラン 0-3 ) ホスト国で唯一勝点さえ挙げられなかった。
大会後も 「マレーシアサッカー協会は代表チーム選手を選抜する過程で人種差別的な基準を設けていたのではないか」 という疑惑が巻き起こる。マレーシアはマレー系60%、中国系23%、インド系7%などからなる多民族国家。だが、今回のアジア杯最終登録選手23人のうち、20人がマレー系選手、インド人は2人だけ。華人はゼロだったため騒動となった。これについてマレーシアサッカー協会のシェイク・アフマド副会長は、「協会はこれまで1度もマレー人だけからなる代表チームを作ろうと試みたことはない。宗教や人種は選抜基準ではない」と話している。またU-12の選手セレクションに誰も参加しないなど、今日のインド人や華人があまりサッカーに関心をもっていないことに遠因があるとした上で、現時点では今の布陣がベストだと主張した

あの強かったマレーシアは一体どうしてしまったのだろう。ソー・チン・アン、モクタル・ダハリ、ジェームス・ウォン、アブドーラ・アリ。アジアでも屈指の選手達を輩出した国なのに………

シンガポールをあとにし次の訪問地 Kuala Lumpur に到着した。シンガポールよりは気温も湿度も低く少しは過ごし易かったが今年は雨が多いらしい。滞在中は曇天が目立った。それでも東南アジア独特の湿った空気は避けられなかった。 マレーシアの国内リーグは2003年までは通称 : Mリーグとして、大会1部リーグ(プレミア1)にはマレーシア14州を代表するクラブチーム(実質的には州選抜チーム)と警察、軍隊などの国家機関のサッカー部4チームを加えた18チームの総当り2回制でリーグ戦を行い、1部リーグ戦上位12チームと2部リーグ(プレミア2)の上位4チームの16チームが日本の天皇杯に相当するトーナメント戦・「マレーシアカップ」に進出した。また1部17,18位と2部1,2位が翌年度入れ替わった。これを2004年から再編してより密度の濃い試合を提供することになった。これにより1部(スーパーリーグ)8チーム、2部(プレミアリーグ)18チームとし、1部リーグ所属全チームは成績無関係でもれなくマレーシアカップの出場権を得るようになった。2部はA,Bの2グループ制(各9チームずつ)となった。また1部の7,8位チームと2部の各組1位チームが翌年度の自動入れ替えとなっていた。
しかし今は1部リーグに当たる TM Super League に13そして2部リーグにあたる TM Premier League に13ずつチームがあり Super League の下位2チームとPremier League の上位2チームが自動入れ替えとなっているらしい。その他入れ替え戦を行っているかは解らなかった。
現在 TM Super League では昨年度 League, Malaysia FA Cup, Malaysia Cup 3冠王の Kedah FA が独走。はやくも優勝を決めている。 TM Super League の Kedah FA の試合はシンガポールでもテレビ観戦した。(シンガポールでもマレーシアのテレビは見る事が出来る。)結構観客が入っていた。 私の滞在中は Super League の試合は無かったが Premier League の試合があった。あまりマレーシアの地理には詳しくないので何とか近所の競技場を探すと昨年のアジアカップで使われた Bkit Jail Stadium と Stadium Boalasepak で試合がある事が解ったがここは昇格に関係する試合カードを選ぶことに。
Premier League では昇格争いが激しく第24週を終わって首位 Kuala Muda NAZA が22試合で勝点55、KL Plus が22試合で勝点54で2位。続いて Kelatan が勝点53で続いていたが Kelatan は消化試合数が上位の2チームよりも1試合多くこの週は試合がなかった。各チーム試合数は24試合。従ってこの日上位2チームは勝つと昇格が決まる。その上位2チームの一つ KL Plus FC の試合が Boalasepak Stadium で行われた。対戦に相手は同じ Kuala Lumpur をホームにする Kuala Lumpur FC 。いわばK.L.ダービーか?しかし Kuala Lumpur FCは13チーム中12位と低迷している。

仕事を終えてタクシーで 競技場に向かおうとするも誰もこの競技場が解らない。3台目のタクシー運転手がようやくここを知っていて目的地に向かう。競技場に着くと試合が始まったばかりであった。チケットを買って中に入ろうとすると歓声が聞こえた。着席して電光掲示板を見ると Kuala Lumpur FC が先制していた。
  
   

この試合に向けて“予習”を全くしていなかったのでどのチームのユニフォームの色すらわからない。だが試合は徹頭徹尾青と白の横縞のユニフォームが赤のユニフォームを攻め立てている。この横縞のユニフォーム側が KL Plus とすぐに解った。
その2トップ Andian Dario Trinidad はアルゼンチンからの助っ人で Alex Agbo はナイジェリア人選手。この二人にボールが入ると Kuala Lumpur DF 陣は一人では対応できず2人3人と集まらざるを得ない。
   
    

そして右の MF Subramanian, 左の Abu Hassan が両サイドを上がって来る。それでも Kuala Lumpur FC は22分カウンターからチャンスを掴み掛けたところを KL Plus DF に倒され右のサイドでFKを得る。それを Azidan Sarudin が上げ FW Zamri Hassan がヘッドを放つがクロスバーを僅かに越える。ここでもう1点入っておれば試合はもっと面白くなったかもしれない。後は KL Plus の攻勢が続く。 FW Dario Torinidad が中盤に下がりMFの Subramanian, Hassan が最前線に出て来る事も。28分には Torinidad が左サイドを上がった Subaramaniam にスルーを送り中に折り返し攻撃参加したDFの Nizam Hanif がGK Amri Zaini を外してシュートを放つが Kuala Lumpur FC の DF Hasnol Hamzah が戻ってクリアー。 KL Plus のサポーター達からは落胆の溜息が。しかし3分後彼らの歓声が沸き上がる。MF Khairulanuar Jamil が左に流れて低いライナイーのクロスを入れるとそれを Alex Agbo がワントラップしてそのままシュート。ボールはゴールネットを揺らしこの試合で昇格を目指す KL Plus が試合を振り出しに戻した。
KL Plus は更に35分 Abu Hassan の右からのクロスに Alex Agbo がヘッドを放つがこれはバーを越える。38分には左サイドでFKを得て Subramaniam がゴール前に入れるがコーナーに逃れられる。その直後に もAlex Agbo がミドルを放つがGKAmri Zaini がパンチングでコーナーに。前半は猛攻を見せた KL Plus だが逆転にまでは至らなかった。

ハーフタイム中に隣に座っていた御婦人が “ You speak English ?” と声を掛けて来た。なんと御主人が Kuala Lumpur FC のコーチをされているとの事。自分は現地の在留邦人でなく日本から来てこの試合があることを知ってタクシーを飛ばして観に来たと言うと驚いていた。地元の華僑系のサッカー好きだと思っていたが顔つきが華僑っぽくないので….とも言っていた。
このご婦人としばしサッカー談議を。70年代のマレーシアは本当に強くて今でもその印象が消えない。昨年のアジアカップでもここに来たが本当にマレーシアはどうしてしまったのだろう…..ってな話題を降った。彼女が言うにはとにかく協会に長期的なヴィジョンが無くその上最近では England の Premiership の方に一般国民の興味が傾いており 選手達のモチベーションも上がらない。その上、ギャンブルが横行しておりそれから派生する八百長疑惑が後を絶たない、今のこの現状を打開しないと強くならない、しかし政治家達の人気取りの為にサッカー協会が使われている限り改善は無いと言っていた。

後半 KL Plus はアルゼンチン人FW Trinidad を下げて Samsuddn を投入し2トップを Agbo と組ませる。 Trinidad 怪我でもしたのか…… しかし KL Plus が昇格を目指して攻め続ける。50分にはその Samsuddn が右サイドバックのReeshafiq Alwi からボールを受けてシュートを放つが僅かに外れる。47分には Alex Agbo がプレー中に足を痛めるがベンチにさがらずそのままピッチに残り、4分後にフリーで抜け出てシュートを放つがここは DF Kamarulzaman がブロック。53分にはトップ下の M.K. Jamil を下げて Mohd Nor を入れて右サイドに張らせて3トップの様な形に。そして64分CKを得た KL Plus は攻撃参加したCBのNazrul Erwan Makmur 主将がヘディングシュートを叩き込み逆転ゴールを決めた。Makmur は試合中にも随所にヘディングの強さを見せていた。大喜びの KL Plus サポーター達。しかし試合はまだ25分残っている。 Kuala Lumpur FC も意地は見せてくれるだろう…..と期待したのだが。

     

こからKuala Lumpur ベンチは選手交替を立て続けに行う。 右の MF Karunanithi に替えて29番の選手が投入されたがこの選手は試合前に貰ったメンバーリストに載っていなかったので名前が解らなかった。71分には GKが替わり背番号1番の Saiful Amar Sudar が投入される。かつてここには Abdul Rashid Hassan と言うGKがおりマレーシア代表にも選出され1984年のロス五輪予選の日本戦に出場している。
隣の御婦人が教えてくれたがこの試合にはGK を含めた5人の選手がユースチーム所属との事であった。またガーナとアルゼンチンから助っ人選手がいるのだがこの試合にはベンチ入りをしていなかった。もう帰国したのかな ?? 
73分には守備的MFの位置にいた Mohd Sabri に替わり Raja Yahya が入るが Mohd Sabri は Raja Yahya とタッチも交わさずベンチに下がってしまった…….

それでもKuala Lumpur はボランチ以降の押し上げが足らず前線との間が開いてしまい相手ゴール前までボールを運べない。そんななか唯一良い動きを見せたのが背番号8番の Azidan Sarudin 。ボールキープも出来てパスセンスも良くそこから幾度となく攻撃展開が始まった。選手交代後徐々に Kuala Lumpur が盛り返す。FW のZamri Hassan が75分、79分と連続し惜しいヘディングシュートを放つ。Ibrahim Duad, Kamarulzaman と言った左右のサイドバックがサイド攻撃にからみ Azidan Sarudin が中盤で左右に動きゲームを作る。一方のKL Plus はFW の Alex Agbo 以外はすべて自陣内に下がって守備を固めようとするがちょっとボランチのポジションが低過ぎ無いか???  89分には FW Agbo が下がり完全に守備固めに入る。同点ゴールを目指して Kuala Lumpur は最前線に4人を張らせるが、そのままタイムアップ。 昇格を決めた KL Plus の選手、コーチ陣そしてサポーター達は大喜び。この気持ちよく解るなぁ…….愛する京都サンガの入れ替え戦を思い出した。

隣の御婦人は勝者に拍手を送り私と握手を交わしスタンドを後にして行った。試合中何度かデジカメを回して試合の様子を動画撮影していた。御主人に見せるのかな………
試合が終わってもしばらく KL Plus と選手とサポーター達の歓喜は続いた。その歓喜いつまでもつづく事を願って私も競技場の外に……
やっと捕まえたタクシーの中で運転手がこの試合の結果をラジオで聴いたと教えてくれた。彼も日本のサッカーが好きだと言っていた。そしてマレーシアの事も……. 

“昔は日本もサッカーが強かったんだけどなぁ…..ナカタ、ナカムラ…..いい選手いたんだよ…….”

将来そう言われない事を願いながら翌日の仕事の事も頭に浮かべた………………


Haruki Seto !!!!!! シンガポールSリーグ観戦記

2008-05-03 | Football Asia
Home United vs Balestier Khalsa FC  26th April

展示会を終えてその日のうちに後片付けを終えられたので翌日土曜日は完全にオフとなった。この日は溜まりに溜まった e-mail の返事やら出張精算を行ったり身の周りの整備を行う。出発して2週間も経つとこう言う日は貴重だ。 ホテルに缶詰めになってこう言う事をしていると時間も経ちあっと言う間に夕方。最後の S-League 観戦に出かける。 
この日の対戦は首位争いをするHome United と今季まだ未勝利のBalestier Khalsa 。Home United は首位の Super Reds が前々日 Tampines Rovers を 5-0 で降しておりまた、同じく首位争いをする昨年の覇者 S.A.F.F.C. が前日 Gombak と引き分けているだけにこのホームゲームはRedsに離されない為にも、S.A.F.F.C. に差をつける為にも勝利が欲しかった試合だった。
Balestier Khalsa にはかつて横浜フリューゲルスを筆頭に6チーム、J1,J2合わせてリーグ戦通算147試合出場した実績を持つ日本人DF瀬戸春樹がいる。彼がどういうプレーを見せるのかも楽しみに一つだった。
この試合はキックオフの前に競技場入り出来た。ここもなかなか立派なスタンド。
陸上競技用のトラックもある。中4日の Home United は前節引き分けた S.A.F.F.C. 戦のスタメンからFW のIndra Sahdan, カメルーン人DF Valery Hiek の二人が登録から外れ DF Rosman Sulaiman がベンチスタート。これは累積警告で7日後の次節 Tampine Rovers 戦で出場停止になるのを避けたのと4日後の AFC Cup のSouth China 戦を見越しての事か?
一方8日前に現在首位を行く韓国人チーム Super Reds と引き分けたBalestier Khalsa は同じスタメン。首位チームと引き分け2位の Home United からも同じ布陣。調子の時はメンバーをいじるなと言う考えか。
試合は開始早々から首位争いをする Home United がボールを支配するが決定機は作らさない。それは瀬戸の巧みなラインコントロールとここぞと言う時のマーク。
ある時はラストパスが通った相手の2トップ, この日スタメンに起用された20歳のNaruphol Ar-Romsowa そしてカメルーン人の Ludovick らがシュート態勢に入ろうとした時にマークに入り。そしてある時は 2列目の両サイド特に左の Mushadad, そしてブラジル人の Oliveira をマークし前線へのパス供給を塞ぐ。
Balestier Khalsa は Bekombo がワントップ気味 だが攻撃時には2列目左の Roshan Rai と 右のナイジェリア人MF Onyekachi がサイドをサポートし、トップ下の Yiguang がこぼれ球を拾う。そして左サイドのカメルーン人 MF Giscard, 右サイドの Poh Yi Feng がタッチライン沿いを前後に走る。この二人はどちらかと言えばデフェンシブハーフか? そうしている間に6分には MF Roshan Rai と カメルーン人FW の Paul Bekombo がパス交換からシュートに持ち込み、11分には今度は左サイドにながれた Bekombo がエリア内に切れ込み後ろに戻して走り込んだ Rosham Rai がシュートを放つ。いずれもカウンターからの攻撃だがその時には瀬戸もゴール前に現れたり、DFラインを効果的に押し上げたり観ていてさすがと思わされる。20分には Giscard のドリブル突破から Bekombo とのワンツーでシュートを放つが惜しくもサイドネットを直撃。やはりアジアの中ではアフリカ人のスピードは違う。それは Home United にも当てはまり22分ゴール正面だがやや遠めかと思われた位置から放った Ludovick のFKがポストを直撃する。そして25分にもゴール正面で Home United がFKを得ると今度はブラジル人MF Oliveira が直接狙うがこれは右に外れて行った。 Home United は25分を過ぎるとボールキープの出来る Oliveira が積極的に前に出て来る。そして右サイドバックのシンガポール代表の Shahril Ishak が前線に張り出して来て攻撃時には2トップの Ludvick, Ar-Romsowa に加えてIshak, Oliveira の4トップ状態になり、左中盤の Mushadad, シンガポール代表の Shi Jiayi が2列目に残りボールが跳ね返されてもそこでこぼれ球を拾われBalestier Khalsa は防戦につづく。38分にはBalestier Khalsa のGK Ong Sy Kae Daniel が不可解なオーバーステップを取られて間接FKを与えてしまう。そのFKを Oliveira が Mushadad に繋ぎ近距離からシュートを放つがDFに当たってCKへ逃れた。
そんな中先制点を挙げたのは劣勢の続く Balestier Khalsa 。42分 Onyekachi が右サイドから上げたクロスに Yi Feng が頭で合わせシンガポール代表GK Lionel Lewis の守りゴールを破った。実にシンプルながら鮮やかなゴールだった。 Onyekachi は本来右の2列目だがここは左サイドに現れてナイスクロスを上げた。これで試合は俄然面白くなって来た。 

後半に入ってもリードされている Home United の攻勢が続く。46分には右サイドから Ishak の上げたクロスに Ludovick がヘッドで狙うがポストの右に外れて行く。40分には波状攻撃でBalestier Khalsa ゴール前に迫るが最後のエリア外から撃った Shi Jiayi のシュートは大きく外れる。この時も瀬戸が良い位置に居て決定的なシュートを撃たせなかった。57分にはShi Jiayi のパスを受けた Ludovick が Jufri Taha を背負いながら強引にショートを放つがこれはGK正面。63分にも同じように Ludovick は Taha を背負いながらもシュートに持ち込むがこれは瀬戸がシュートコースを切っておりゴールを許さない。 
64分に Balestier Khalsa ベンチは得点者の Yi Feng を下げて Yusri Waris を投入する。その直後FKを得たHome United は Oliveira が直接狙うがこれは左ポストを叩く。今日の Home United はどうもゴールポストに嫌われ気味だ。71分に Home United ベンチは Mushadad を下げて Omar Ashibile を入れ, 77分にはDF Juntanを下げて MF のFarhan Farook を入れるその前にもタイ人MF Jaroonpong が投入され攻撃力をアップし同点ゴールを狙う。 

 

Balestier Khalsa DF陣は瀬戸を中心に攻撃を食い止めて来たが82分Ar-Romsawa が上げた右からのCKをGK Ong Sy Kae がファンブルしキャッチできない。その落とした所を詰めていた Ludovick が押し込んで試合は振り出しに戻された。ここまで耐えいたBalestier Khalsa であったが遂に同点ゴールを許してしまった。しかし次の得点、勝ち越しゴールを狙う必要があったのはむしろ Home United の方であった。従って守りを固める事が出来なかった。それがBalestier Khalsa には幸運だったのかもしれない。
85分左サイドでFKのチャンスを得るとBalestier Khalsa フィールド選手では最も長身の瀬戸がゆっくりと上がって来る。そして Giscard が上げたFKに瀬戸が渾身のジャンプで放ったヘッドがポストを叩く。私を含め多くのBalestier Khalsa サポーターが悲鳴を上げる。この日のゴールポストは両チームに平等だったのか.....しかしそのこぼれ球をいち早く拾った交替出場の Farhan Musbah が Home United ゴールに蹴り込みBalestier Khalsa にリードをもたらした。
大喜びのBalestier Khalsa サポーター達。その歓声がスタンドに響く。Musbah がベンチ前に駆け寄り控えの選手達と歓喜の輪を作る他の選手達もその輪に加わる。

 

だが1人だけゴール前に倒れている選手が。高い打点からヘッドを放った瀬戸だった。どうやら着地の時に足がつったらしい。ピッチの外に運び出されるが既に交代枠は使い切っている。 Bekombo がわざとセンターサークル内に入ってキックオフ時間を遅らそうとするが瀬戸が立ち上がれずBalestier Khalsa が一人少ない状態で試合が再開された。残り時間、リードしているとはいえ瀬戸抜きでリードを守るのは至難の業だ。後方の在留邦人の方達から“蹴れ、蹴れ、大きく蹴りだせ。時間を稼げ。”と言う声が飛ぶ。 Oliveira のシュートはGKの正面に。そしてGK Ong Sy Kae はすぐにはボールを蹴らず時間をかける。そしてようやく瀬戸が拍手に送られてピッチに戻って来る。逆転ゴールを挙げた Musbah が瀬戸に抱きつく。
Home Unitedは再び同点ゴールを目指して前線に人数を掛ける。89分にエリア内右サイドにドリブル突破して来たAr-Romsawa が入れたクロスは瀬戸が落ち着いてクリアーする。その後も波状攻撃を見せるがシュートまで至らない。逆にBalestier Khalsa はカウンター攻撃からの右クロスに Bekombo がフリーでシュートを放つがこれはGK Lionel Lewis の正面に。そしてロスタイムが表示される。その時間は6分。Home United のサポーター達から歓声が起こる。 おいおいどこにそんな時間があったんだろう?  
しかしそのロスタイムを使っても Home United は得点を挙げる事が出来ずタイムアップ。主力選手を温存した事が裏目に出た。そして痛い黒星となった。4日後の AFC Cup に引きずらねば良いが……. と思った。
大喜びのBalestier Khalsa ベンチそしてチアーガールを含めたサポーター達。強豪から今季の初勝利を挙げた。瀬戸をはじめBalestier Khalsa が丁寧に観客席に手を上げる。何人かの在留邦人の方達も瀬戸に声援を送る。足は大丈夫か……. 

 

毎日試合がある S-League の日程のおかげで連日試合を見る事が出来た。その最後の試合観戦で瀬戸春樹の素晴らしい活躍を見る事が出来た。ここシンガポールではアルビレックスだけでなくここで活躍する日本人選手を何人も観られた。彼ら一人一人が日本を代表していると思えた。欧州だけがサッカーでない。それは世界中にある。ここでの日本人選手からエネルギーを貰えた。 

そして翌日私はマレーシアに発った……….