Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

Wonderful Wanderers and Shinji Ono 東京ヴェルディ 2-1 Western Sydney Wanderers 12.09.2013

2013-09-14 | Aussie & Kiwi

9月初旬、ニュージーランド在住の知り合いからメールを貰った。 9月12日。多摩陸上競技場で東京ベルディ、小野伸二のウェスタンシドニーワンダラーズと無料練習試合….

まず最初に愕然としてしまった。 オーストラリアサッカーを15年近くフォローし、 A-League 発足以来常に Watching を続けていた自分がこんな貴重な情報を知らなかったなんて….. この数日前、 Socceroos の Lukas Neil が大宮アルディージャにデビューした事も知らなかった。  Debut となった8月25日はまだ出張前日。 観戦に行くことも出来たのに….
仕事か忙しかったとは言え、自分が世間に向けてというよりも自分の“専門分野”への視野がこんなに狭くなっているのかと情けなくなった。

だけど愕然とばかりしていなかった。この情報を貰えた事に感謝した。その情報を提供してくれた人に感謝した。もしこの人が教えてくれなかったら……7年来の付き合いになるニュージーランドの知人に感謝した。持つべきはやはり親しくしてくれる知人だと再認識した。 本当に感謝だ….

9月12日。 この日は気温が高かった。 出張から帰っ来て気温が少し下がっていた。夜は空調無しで過ごせていた。だけどこの日は少し暑かった。 キックオフは午後3時。開場時間は午後2時。 だけど無料試合と小野伸二効果を考慮して少し早めに出た方がいいかなぁ….と思った。何人くらい入れてくれるのかなぁ…と思った。
競技場に到着したのは会場10分程前。既に数十人の人達が入口付近におられた。 J-League 発足時を知る者としてはこれも隔世の思いだ。 かつてはヴェルディが無料試合をするなんてあっただろうか? あったとしても何万人が押し寄せただろう? お金を出してもヴェルディの試合のチケットなんて手に入らなかったのに….. KAZU 、ラモス、武田、都並、柱谷,ビスマルク、菊池新吉、スーパースターが揃っていたのに。
J-League というよりも1978年に日本リーグの1部に昇格して以来80年代中ごろから日産自動車と共に丸の内御三家、古河電工、三菱重工、日立製作所に替わり日本サッカー界を牽引して来た伝統のクラブチームなのに、それだけにここ数年の“低迷”は残念でたまらない。

対戦相手の Western Sydney Wanderers だ。A-League 発足7年目の昨シーズン誕生した新チームだけどそのデビューイヤァーで見事リーグ優勝を果たした。 残念ながら Grand  Final は3度目の挑戦の Central Coast Mariners の後塵を拝したけどその快進撃ぶりは見事の一言に尽きる。チームの中心に小野伸二がいることが痛快でたまらない。 A-League の常識を変えたと言われるあの熱いサポーター達が小野を始めチームに送るあの声援は一度は生で観戦する価値はある。  
好対照のチームの対戦であるが、 Wanderers の試合が東京で観戦できるのは大変有難かった。

観客に開放されたのは直射日光のあたる座席のあるスタンドのみだった。陸上競技場なのでゴール裏はかなり見にくいだろうかなと容易に思えたけど。
個人的には陸上競技場は大好きだ。 きっとここで多くの中学生や高校生が青春の汗を流したんだろうなぁ、と自分の選手時代を思い出した。





だけど日差しがきつい、こりゃたまらんとばかりに日陰の掛かった端の方に移動した。するとそこには3人、 Wanderers 関係者がいた。 すると先に彼らの方が私が着ていた Wanderers の赤いTシャツを見つけて話しかけてきた。 Grand Final を観戦してけど Wanderers のユニフォームが売り切れていた事や結果が残念だったとかいろいろ話が出来た。 彼らの方から最近のヴェルディの事を尋ねられた。 かつて Sydney FC でプレーした KAZU がここで中心選手としてプレーしていた事や読売新聞がメインスポンサーから撤退してから成績が下降してきたことなんかを話したら興味深く聴いていた。

こちらから今年の new recruit はどうか?特にFW Dino Kresinger の穴埋めは、 MF Tarek  Elrich, FW  Joey Gibbs, Rocky Visconte  に替わる選手補強は…と突っ込んで聞いてみた。すかさず FW には Tomi Juric, 左SB に Dean Heffernan  を獲得できたと話した。 Heffernan が捕れたのか?と驚きの声を出してしまった。 Central Coast Mariners 、Perth Glory で中心選手だった彼の獲得は大きいと話したら、頷いていた。そしてこの二人がこの試合のスタメンに名を連ねた。

他のスタメンを見てみると Grand Final では出場停止で出られなかった Youssouf Hersi が2列目右に、 Jerome Polenzと組むボランチには Aaron Mooy に替わって Lacopo La Rocca が起用された。 小野はトップ下に配置された。

一方のヴェルディはMF 中島翔也以外は4日前の天皇杯2回戦、V長崎戦で起用された選手はいなかった。
9月1日の岐阜戦で登場した選手でこの試合スタメン起用されたのも森勇介と安田晃太の2人だけだった。ヴェルディの事は勉強不足なのでこの日のスタメンは若手中心だったのかなぁ?と思った。 ワントップに高原が起用されたのは練習試合とは言え小野伸二との試合だからか? しかし愛する京都サンガでかつてプレーした森勇介がスタメンだったのは嬉しかった….

Wanderers のスタメンはほぼベストメンバーだった…..

                              GK 32 ポープウィリアムズ

   19 森勇介          ブエノ            23 吉野恭平      21 高木大輔 

                    8 中後雅喜                       37 三度州舞人

    10 安田晃太                                           7中島翔哉

                      44 高原直弘                    38 カイオ

 

                                        9 Tomi Juric

 

     19 Mark Bridge                21 小野伸二               17 Youssouf 
                                                                             Hersi 

                   8 Mateo                            18 La Rocca
                      Polijak

22 Dean           4 Nikolai             5 Michael           6 Jerome Polenz
     Heffernan       Topr-Stanley      Beachamp         Polenz 

                                             GK 1 Ante Covic

 

午後3時、ホイッスルが鳴り高原からカイオにボールが渡り試合が始まった。
開始早々、高原から右サイドを上がった森に渡るがシュートに至らない。試合序盤は森がサイドを上がるシーンが目についた。4分45秒、今度は小野が上げたCKのこぼれ球を拾って Beachampがシュートを撃つがGKウィリアムズがナイスセーブで防ぐ。6分にも小野のCKから再び Beachamp がヘッドで狙うがこれはゴール枠を外れた。10分頃を過ぎると今度は右サイドの Hersi の突破からチャンスが生まれるようになった。 彼のプレーを見ると Grand Final の出場停止が再び悔やまれる。
11分には Hersi のクロスに逆サイドの Mark Bridge がボレーで試みるがヒットしなかった。
シュートを放った左サイドの Mark Bridge はなかなかサイドを上がれなかった。対峙する安田、森の上がりに押し込まれた感じだった。 Grand Final で見た時の様に小野は結構前線に上がってきて Juric と2トップ気味になったけど、この日は37番の三度州のマークに手を焼き気味。 試合開始時はCBか?と思うくらいの位置でよく見たけどそれは小野のマークの為だった。




ただCBと言えばWanderers のCBは強烈だった。元 Socceroos の Beachamp と北京五輪にも出場した Nikolai Topor-Stanley 。 Topor-Stanley はかつて Sydney FC のメンバーとして浦和レッズと対戦。あのワシントンを抑え込んだ。さすがに空中戦を挑むことは稀だった。




そして先制ゴールを挙げたのはヴェルディだった。12分森がゴール前に走り込んでCKを得ると中後が入れた低いCKに CB の吉野が合わせて蹴り込んだシュートがいったんはクリアーされたが主審がゴールインのホイッスルを吹いた。
メンバーを考えればこの方が面白い試合展開と思えたけど、あっさりと決められたなぁという印象だった。
19分にはヴェルディが追加点を挙げる。 Heffernan のバックパスを拾った安田がシュートを放つ。これは元 Socceroos のGK Ante Covic がストップしたけどこぼれ球をカイオから中島に繋いでシュートに持ち込みDFに当たってこぼれたところを詰めていた高原が押し込んだ。 

連続失点に隣のWanderers 関係者も首を振っていた。 遠征の疲れですか?と尋ねると少し頷いた。

ヴェルディは高原がサイドに寄ったり安田、中島が前線に上がったりとバイタルエリアに人数を掛けたり、三度州が上がってきたりと何人もの選手が上がってくるのだけど、Wanderers は選手にボールが入ってもフォローが遅くてすぐにヴェルディの選手に囲まれてしまう。 26分には Bridge が森、安田をかわしてシュートに持ち込みCKを得る。その小野が入れたCKに La Rocca がヘッドを放つがGK ウィリアムズの正面に。 個人プレー頼りというよりもWanderers の前半のチャンスはセットプレーというよりもCKからばかりというのが印象だった。Popovic監督はどういう心境で試合を見ていたのだろう…




39分に初めてパス交換からの突破が見られたけど最後に渡った Juric のポジションはオフサイドだった。 
そして練習試合らしくロスタイムなしで前半が終わった。この日の暑さは遠征疲れのあるWanderers 選手には堪えたと思う。
そして期待の小野は前半を終わってベンチに下がってしまった。

ハーフタイムの間にWanderers の控えの選手達がピッチ上で練習をしている。中に黒髪もアジア系の小柄な選手がいた。彼は何人?日本人か?と隣のWanderers 関係者に聞くと名前は Matrin Lo というおそらく Chines だろ。との事。 Australian Chines かな?と尋ねると Probably と答えた。 そしてまだ16歳だと教えてくれた….

 

後半に入り Wanderers は4人の選手を入れ替えた。 GK に Jerrard Tyson が入り、Juric と小野が下がって Brendon Satalab と Aaron Mooy の2トップになった。そして右SBの Heffernan が下がりかつて Newcastle Jets でプレーした Adam D’Apuzzo が右SBに入った。 

ヴェルディは何人替わったのか。二人くらいだったと思うけど高原と森はそのままでこの二人は90分間プレーした。

開始早々、中後が La Rocca に脚をすくわれて倒れて動けない。 普通ならイエローが最低でも出てくるのだろうけど。練習試合は出ないのか?中後は結局ベンチに下がったのかな?怪我がたいしたことなければいいんだけど。

後半は小野が下がったWanderers が優勢に試合を進める。フレッシュな選手が多いからか?それとも2トップにしたからか?
Brendon と Mooy によくボールが入ってヴェルディのDF、中盤を押し込んでいた。 Mooy は Grand Final ではボランチで起用されていた選手だった。 53分には Bredan, Mooy で中央を突破し左サイドを上がった Poljak に送り フリーで抜け出たHeri に送られるが最初のトラップが大きくシュートに持ち込めない。 57分には Poljakから右サイドの Hersi に渡り、中央の Berndon に折り返される。 Berndon の放ったシュートはポストを叩いてしまった。 

だが3分後の60分、左サイドの Bridge からのセンタリングに Mooy が合わ、そのこぼれたところを Berndon が押し込みWanderers が1点を還した。後半に入りボールが回り出し、ベルディの選手の疲れがあったのかこぼれ球は殆どWanderers 選手が拾うようになった。

65分にはWanderers ベンチは7人の選手を一気に入れ替える。そこにはオーストラリア代表にも選ばれた Shanon Cole も含まれていた。

これで運動量に差が出たかWanderers の波状攻撃が続く。 更に涼しい風が吹いて来て天候もWanderers に味方した様だった。 78分には左サイド からのクロスを上手く Mooy がスルーして63分から投入された右から走り込んだ Kwabena Appiah が放ったショットはベル出来 GK ウィリアムスがファインセーブでストップ。 80分にも Bredon のシュートをウィリアムスがナイスセーブで防ぐ。 同点は時間の問題と思ったけどGKウィリアムスが美技を連発し、Wanderers の選手もシュートを撃つタイミングが半歩遅い様に見えた。

87分 Bredon が高木大輔を倒すが明らかに故意的なファールだった。このプレーに怒ったベルディの選手達が数人 Bredon に詰め寄ろうとする。間に入った高原が何やら Bredon に話しかけるとそれに促されたのか高木の方に足を向ける。 高木の怪我の具合はどうかな…



90分フリーの Appiah にボールが渡るがトラップをミス。隣のWanderers の関係者が大声で Jeesus !! と叫ぶ、そしてその直後に試合終了のホイッスルが鳴った。




A-League 王者がJ2リーグの2軍チームに敗れたという事か….と思った。

すると隣のチーム関係者が私に“ちょっとついて来てくれ。それから彼らも….” とWanderers のレプリカを着た数人の人達を指さした。 あるWanderers のレプリカを着たご夫婦はこの方と知り合いらしく親しく話していた。 尋ねると3月末までシドニーで駐在されていたらしい。ご在住されていた地域にはよく知る日本レストランやマクドナルドがあったのでその話題で少し盛り上がってしまった。 そのチーム関係者は我々を競技場の玄関に連れて来て”選手達を連れて来るから少し待っていてくれ。“と言って階下に降りて行った。 10分程度したら Popovich 監督を始め選手が次々に上がって来た。 私は持っていた Grand Final のプログラムにサインを貰った。 そして小野伸二も上がって来た。 Grand Final は残念でしたね、今シーズンこそ Grand Final 王者になって下さいと声を掛けると、丁寧に頷いてくれた。 そして一緒に写真まで撮ってくれた。

Wanderers の選手達は丁寧に外で待っていた人達にもサインをしたり一緒に写真を撮っていた。 A-League の選手達は試合が終わってもスタンドまで行ってサポーター達に丁寧にサインをする。何とかサッカー人気をラグビーユニオンやリーグそして AFL に近づけたいという気持ちが伝わる。 そして小野も外に出て一人ずつ丁寧にサインを始めた。 数十人はいたかなぁ…みんなに丁寧にサインをしていた….

一緒に“観戦した”チーム関係者には “最後にこんな Great な機会をくれてありがとう。みんな良い思い出になりました。” 心から礼を言って固い握手をした。 そして彼とも写真を撮った。 

そして皆で彼にも小野と同じことを言った。“ 次はACL で会いましょう。”更に付け加えた。

“出来ればさいたまスタジアムで浦和レッズとやりたいですね。”