Mr.コンティのRising JAPAN

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120分の死闘制して元旦に !! 京都サンガFC 4-2 横浜マリノス 29th Dec. 2011

2012-01-01 | 京都サンガ J-League
仕事納めの翌日。冬晴れの29日。東京千駄ヶ谷の国立競技場に脚を運ぶ幸福を存分に味わいながらその目的地に向かった。サッカーだけでは無い、数々のスポーツドラマが演じられた国立競技場は私が学生の時も自身のあこがれの地であった。そこのトラックで公式大会に出場出来た事は私の人生の大きな財産となっている。
天皇杯の準決勝戦を観戦するのは4度目だ。残念ながらまだ長居競技場での観戦は無い。 
最初に見たのは1990年12月末に行われた日産自動車対古河電工戦であった。誰が決勝ゴールを決めたが忘れてしまったが 1-0 で日産自動車が勝利を収めた。
その2年後Jリーグ開幕を5カ月後に控えた1992年12月末に行われた川崎ヴェルディ対浦和レッズの試合は激戦の末PK戦にまでもつれ込みヴェルディが勝利を収めた。同点ゴールを決めた KAZU のカズダンスを見る事が出来た。 
そして何よりもたった2年しか違わないのに観客数、試合の迫力がこんなに違うものかと感じた。プロリーグの開幕が本当に楽しみに思えた。
そして2002年。ワールドカップが開催された年の末、自宅近くのさいたまスタジアムで開催された準決勝戦、愛する京都がサンガがフレッチェ広島を 2-1 で破った試合を観戦した。随分と観客が少なく、ワールドカップとはえらい違いだなぁ..と思った。
そしてサンガは天皇杯のタイトルを勝ち取り、あれからもう9年が経ったのだ……
9年振り決勝進出を掛けて準決勝戦の対戦相手は横浜Fマリノス。今シーズンはJ1で5位に終わった。マリノスの天皇杯決勝進出は何と第72回大会、19年前までさかのぼらねばならない、と言うよりもJ-League が開幕してからまだ1度も決勝に残った事が無いのだ。
日本リーグ時代、私のお気に入りは日産自動車だった。木村和司、金田、水沼、長谷川健太、松永、レナト、ロペス… 魅力的な選手達が溢れていた。そして71,72回大会の決勝戦では連続して読売クラブと対戦したが日産対読売こそ当時非常に稀であった日本で見られる金を出しても見たい試合であった。
恐らく多くのマリノスサポーター達は19年振りの天皇杯決勝戦進出を信じて疑わなかっただろう。私も半ば“今度は厳しいかなぁ….”と思っていた。



競技場に着くとキックオフ半時間前だと言うのに既に入口付近のゴール裏席に陣取るマリノスサポーター達の歓声が聞こえて来た。あぁ、約2時間後、俺はどういう心境でいるのだろう…とだんだん不安になって来ていた…



サンガ側のサポーター席に着くと準々決勝戦よりは多く紫のレプリカを纏った人達が着ていた。しかし向こう正面には更に多くのマリノスサポーター達が…関東地区で行われる試合だから仕方ないか…



サンガは累積警告で出場停止のボランチ、チョンウリョンに替って加藤弘堅が同じ位置に起用された。マリノスは森谷が名古屋戦で警告を受けこの京都戦は出場停止。しかし兵藤が出場停止から明けたので2列目左に入る。 警戒すべきはFW小野裕二と渡邉千真の2トップ。小野はスピードがあり渡邊は身長もある。渡邉千真はかつてサンガでプレーした渡邊大剛の弟だ。前にマリノス戦を見た時は兄弟対決だったなぁ…試合結果は弟に軍配が上がったけど…
そして何といっても2列目右に入る中村俊輔。欧州でプレーする時は彼の活躍が伝えられると嬉しく思い、代表では頼れるMFだったけど、ここはあまり活躍して欲しくないなぁ…が本音だった。



京都のキックオフで始まった試合は開始早々は京都がマリノス陣深くに侵入し工藤がクロスを上げる。これはボランチの小椋がクリアーする。2分53秒にはドゥトラがドリブルで切れ込む。ドゥトラは2010年のシーズンでマリノスからゴールを決めている。立ち上がりの攻勢にやや勇気付けられる。しかしすぐに主導権をマリノスに握られる。小野が下がってボールを受けると兵藤が上がり千真と共にサンガゴールに迫る。6分38秒には谷口からパスを受けた千真が弘堅がマークに入る前に放ったシュートがサンガゴールネットを揺するがこれはオフサイドだった。このチャンスは元々俊輔の素晴らしいワンタッチパスが谷口に入って生まれたものだった。9分には充孝が小野を倒してゴール前嫌な位置でFKを与える。栗原、中澤の長身CBが上がって来てファーサイドに立つ。このFKから栗原がヘッドを放つがここは決まらなかった。しかし秋本との競り合いでも頭一つ抜け出た高さに残り80分以上の事を考えると気が重くなった。その上中澤もいるし…。
サンガの中盤は俊輔を中心としたマリノス攻撃陣のマークに後手を踏み最終ラインで何とか身体を張って止めている。FW宮吉までセットプレー時には守備に腐心する。それもファールで止めざるを得ない時もあり与えてはいけないFKを俊輔に“与えてしまう”。



18分16秒には安藤が俊輔をファールで止めFKを与える。これも嫌な位置。そしてCB栗原、中澤がまたもファーサイドに入りまたも栗原が今度は森下と競りながらヘッドを放ちサイドネットに直撃する。
前半はマリノスがこちらに攻めて来るので俊輔がボールをセットするだけで得点になりそうな気がする。
29分52秒、ドゥトラが右サイドをドリブル突破を図り入れたクロスに中山博貴が飛び込む。僅かに合わなかったが個のプレーを境に京都が徐々にペースを握りだす。守勢に回っても中盤が、特に博貴がタフに守りPA付近に近寄らせない。
攻撃に転じても30分10秒に充孝の中央からミドルを放ち栗原に当たり跳ね返ったこぼれ球に詰めた宮吉がシュートを撃つがGK飯倉がストップ。31分30秒にはドゥトラのシュートが中澤にクリアーされたがこのシュートは中盤からショートパスを繋ぎ相手DF陣を崩してシュートに持ち込んだもの。
そして39分20秒、我々サンガサポーターが大きな歓声と溜息を洩らすシーンが。
小椋からのパスをカットした安藤が入れたクロスは中澤にヘッドでクリアーされるがこぼれ球を拾った充孝がそのまま放ったミドルは強烈にクロスバーを叩く。更にそのこぼれ球を弘堅が撃つが今度は左ポストを直撃する。
“ポストの当てる方が難しいンとちゃうんかいな~~…” と私は天を仰ぐ。
その直後、安藤の右からのクロスにドンピシャのタイミングで飛び込んだドゥトラのヘッドが炸裂するがGK飯倉が信じられない反射神経を見せて防がれてしまった。
我らがサンガやるではないか…と喜ぶ半面、これでも得点にならないとは嫌な予感もした。




そしてその予感が当たってしまった。 41分18秒、水谷のゴールキックを栗原がヘッドで戻したところを受けた俊輔が福村のマークを振り切り前線にスルーパスを送るとフリーの千真に渡りそのまま抜け出される。そしてゴール正面でGK水谷を落ち着いて外して追いすがる秋本がマークに入る前に落ち着いてサンガゴールにシュートを流し込みマリノスの先制ゴールが生まれた。
あぁ~やっぱり甘くは無かったなぁ~…。向こう正面から聞こえてくるマリノスサポーター達の歓声を聞きながら落胆した。
それにしても局面を変える一発のパスを出す俊輔はさすがだなぁ…と感心してしまった。



そして準々決勝の前半終盤と全くの反対の試合展開で1点をリードされて前半が終わった。
後半は何とか前半見せた様な猛攻をもう一度見せて今度はゴールを決めてくれよ…と期待も抱いた。

ハーフタイム中にこの日行われた U-15大会 の決勝戦で我が京都サンガFC U-15 が優勝した事が伝えられた。こちらのサポーター席から歓声が上がる。するとマリノスサポーター達からも拍手が沸き上がった。試合開始前のスタメン発表時にはいきなりブーイングを浴びせてくれた彼らだったけどここのみな有難く思った…

マリノスキックオフで始まった後半。 攻勢に出るのはマリノス。最初の一歩が早くサンガの選手はなかなか前を向いてボールをコントロール出来ない。49分にはドゥトラが主審に何か言ったせいかイエローが出される。ドゥトラへのマークも次第にきつくなる、それよりボールが出る頻度が減っているのか…



こりゃ、ちょっとすぐには同点には追いつけないかなぁ…と思っていると中盤でドリブルで上がった工藤がそのままミドルを放つとその弾道はGK飯倉を破ってマリノスゴールに突き刺さった。 谷口から小椋に送られた縦パスを工藤がカットしそのままドリブルで前線に上がるとその前を宮吉が左から右にクロスしながら上がりマリノスDFの注意を引いた隙に放ったミドルが決まり同点ゴールが生まれた。 工藤は今シーズンジェフユナイテッドから移籍して来た選手だったがシーズン前に膝の十字靱帯を損傷しシーズン中盤迄棒に振った選手。しかし彼が復帰してから京都の連勝街道が始まった。 そしてこの試合の同点ゴールは後半開始5分内のこの時間に同点に追い付いた事で試合の流れを大きく替える貴重なゴールだった。





これでサンガの選手に前半終盤の動きが戻って来た。 ショートパス一辺倒からミドルパスを加える様になりサイドチェンジが見られるようになってきた。1対1でも対等以上にやれていた。
マリノスも俊輔を中心に攻撃に転じる。しかし俊輔にボールが入っても2人、3人と寄って来て囲い込む。時折ファールで止める事もあるがシュートシーンは殆どセットプレーからとなって来た。それでも俊輔は落ち着いてボールをさばいていた。
70分工藤が谷口にファールで止められ早いリスタートから前線に送ると今度は小椋がドゥトラをファールで止め、マリノスゴール前の良い位置でFKを得る。倒されたドゥトラは蹴る気満々だ。



そのドゥトラが左脚を振り抜くと壁の右側から曲がり落ちた弾道は再びマリノスゴールネットに突き刺さり遂に京都がリードを奪った。 後方から見ていいて惚れ惚れする弾道だった。
思わずピッチに向かって、“俊輔。FKはこうやって蹴らなきゃ入らへんどぉぉ~ !! “ とヤジを飛ばした。だけど本当に入る様に蹴られた方が困るんだけど…



リードを許した直後にマリノスベンチはFW小野を下げてMF松本を投入し兵藤をFWに上げて千真と2トップを組ませる。
そして松本は2列目左に入った。小野は後半に入って目立ったシーンは作れていなかった。そして松本が結構スピードを生かしてサイドを抉るシーンが見られた。 そして80分には右SBの金井が下がり青山が入り、81分には谷口が下がってFW大黒が入った。84分には松本が快足を生かしてサイドを突破し大黒にクロスを入れるがヘッドを撃てない。
そして85分を過ぎると栗原が前線に上がり3トップを形成しフォーメーションを 4-3-3 とした。サンガも88分に秋本を下げて内野を入れる。 秋本はイエローカードを貰っており決勝戦には出場出来なくなっていた。 
気になったのはピッチの暗さだ。照明が不十分でハイボールを入れられたらGKはミスをするのではないか?と懸念した。



サンガは攻められながらもゴール前をきっちりケアーしているのでこのまま押し切ってくれるかと期待した。ロスタイムが4分と表示される。そんなにあったのかよ…と思うがGK水谷、DF陣はマリノスの攻撃を跳ね返す。



92分21秒。 内野がバックパスGK水谷に戻した時にマリノスサポーター達から大ブーイングが起こる。バックパスくらいで…と思うと何人かのマリノスの選手が主審に詰め寄る。後で知ったのだけど内野が胸でトラップした後にボールが右腕に当たっていたのだった。
 そして93分になった。内野のクリアーボールを左サイドで拾った俊輔が逆サイドに大きくボールを降ると栗原が森下と競りながら折り返す。そこに走り込んだ中澤が正面から渾身のシュートを放つ。そのシュートは跳ね返される。出せ出せ、外に蹴り出せ、と叫ぶがその直後にマリノスサポーター達の大歓声が沸き上がり同点ゴールが決まった事が解った。
中澤の内野、森下、安藤の間を抜けてゴール前に飛んだ弾道は一旦はGK水谷がブロックするがこぼれたところに充孝のマークに入る前に飛び込んだ大黒と中澤が一緒に撃ったシュートがサンガゴールに入ってしまった。 
中澤が最初にシュートを撃った時が丁度94分だった。 ゴールインの前に何かホイッスルは無かったか…と向こう側のサンガゴールを目を凝らして見るがゴールインの判定は当然変わらず同点にされてしまい、そのまま後半が終わった。

あぁあ10秒だったのになぁ…
私はすぐにトイレに向かった。結構長蛇の列だった。 隣の女子トイレを並ぶ御婦人達の会話が聞こえる。
でもお姉さんPK戦に入るとやばい。J1は強いわよ。
いや、水本が止めてくれます。いや水谷でした。
私は後ろで待つ男性に“そうですね。水本はもう他のチームの選手ですから。”と言った。 水本怪我は大丈夫かな…
追い付かれたけどマリノスベンチは交替カードを全て使いきっている。それにDFの選手を下げている。だからサンガの得点機がまた有るはずだ。と自分に言い聞かせた。




サンガのキックオフで始まった延長前半。開始から攻勢に出るのはマリノス。 大黒と千真の2トップはそのままだが2列目に右から小椋、兵藤、俊輔と並べ、更に右サイドに小林、左サイドに松本をディフェンシブハーフバックに入れ、最終ラインは栗原、中澤、青山の3バックにした。その為に中盤の選手が増え、サンガの選手はボールを持てなくなり、持てても直ぐに取り囲まれて前に繋げなくなった。
94分21秒には俊輔のワンタッチパスから兵藤がシュートを放つが水谷がファインセーブで防ぐ。大黒の動きでDFが釣られてスペースを開けてしまった。俊輔が右サイドに回られた時の方が左サイドは松本が上がるのでちょっと嫌だった。
両者無得点に終わった延長前半が終わりマリノスのキックオフで延長後半が始まると今度はマリノスはしきりにハイクロスを入れて来る。高さだとマリノスが優位に立つ。
108分、110分と連続して松本がクロスを入れて来る。そして110分48秒には俊輔が博貴のマークを受けながら千真が出したパスをゴール右で受け弘堅のマークをかわしてシュートを放つ。そのショットはポストの右に外れて行ったがさすがのテクニックだった。 更に113分には駒井からボールを奪った俊輔が左サイドからクロスを入れると大黒がフリーでヘッドを放つ。あぁやられた、と一瞬思ったけどシュートはクロスバーを叩いてくれた。 中澤がファーサイドに逃げてマークを引っ張り大黒のスペースを作っていた。 
延長戦に入りシュートらしいシュートを撃てなくて劣勢続きだったサンガであったが115 分、中盤をドリブルで上がった工藤がそのまま前方にスルーパスを送ると栗原と青山の間を抜けて103分にドゥトラと替って投入された17歳の久保裕二に渡る。久保はそのまま我々の方にドリブルで中央から上がって来て松本がマークに入る前に放ったシュートがマリノスゴールに決まり再びサンガがリードを奪う。 狂喜乱舞する我々だけど、私は必死に“まだ早いです。まだあと5分あります。”と叫んだ。



そして119分、俊輔のネアーサイドを狙ったCKはクリアーされこぼれ球を拾った松本が再びクロスを入れるが栗原のヘッドは大きくクリアーされ左サイドの久保に渡る。久保は小林のマークを受けながらも前線にドリブルで上がる。
“キープだ!キープ!!。ボールを離すな。!!”私は必死で叫んだ。あと1分キープしてくれ…と。
しかし小林のマークを受けながらもゴールラインまでボールを運んだ久保は最後はマイナスのパスを出しそこには何と駒井がフリーで走り込んで来ておりそのままマリノスゴールに流し込み試合を決定付ける4点目が決まった。
スクリーンに大きく天を仰ぐ木村監督の姿が映し出された。



もう大丈夫だ。これで元旦だ。我々は心おきなく歓喜に沸いた。キックオフ後マリノスはサンガゴール前に迫ったがシュートは決まらず最後は水谷がGKを蹴った瞬間に試合終了のホイッスルが鳴り響き激闘にそして劇戦に終止符が打たれた。
我々の歓喜はいつまでもいつまでも続いた。まだ天皇杯は終わらない。我々の天皇杯は終わらない……
弘堅、もう1試合まだサンガのユニフォームを着られるぞ…..

試合後,横断幕を片づけるのを手伝った。そして皆口々に決勝戦のチケットの入手方法を話していた。
公式にはもう売り切れらしい。 マリノスサポーター席の後方で彼らから買い取れる…てな話をしていたので千駄ヶ谷門側に行こうとしたらそちらの方にはもう回れなかった。
だから外から回って正門の方に行くとサンガサポーターとマリノスサポーター達が混じって話をしていた。チケットの話だった。
あと数枚買い手を探していたらしいので自分の分を売って貰った。  そしてマリノスサポーター達数人が“お疲れさまでした。決勝戦、ガンバってください。”と言って去って行った。あぁこういう交流は最高だなぁ….

翌日。木村監督の解任のニュースが流れた。 我々の世代は彼は神様の様な選手だったけど、監督としてのマリノスサポーターの評価はどうだったのだろう…京都戦に負ければ解任すると告げられていたらしいけど…..

さぁ本当に決勝戦に進出したのだ。相手はFC東京。今シーズンは2連敗しているけど…

その前に元日に贔屓チームを応援できると言う幸福感を味わおう…



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2 コメント

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緊張してきました (^-^)/ (KAZE)
2012-01-01 08:40:39
今新幹線で東京へ向かっています
お正月を国立で迎えられる喜びをかみしめながら。

もちろんゴール裏へ
2003の天皇杯ワッペン付きユニでいきます。

楽しみましようね!


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私も向かっております。 (コンティ)
2012-01-01 12:55:35
KAZE 様

私も緊張してきました。天皇杯に勝って初めて新年を迎えられる。こういう事を言えるのが幸せです。 国立競技場でお会いしましょう。
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