Mr.コンティのRising JAPAN

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国立最蹴章 ここは京都勢にとっては鬼門か 星陵 4-0 京都橘 11th January 2014

2014-01-26 | 五輪 U-20, U-17
暖かな直射日光はまだこちらを射している。準決勝第二試合は始まったばかり。まだスタメンを確認しようとピッチとノートと専門紙をかわるがわる見回してる最中だった。
“あっ、あれっ、あ~っ”隣の I さんが声を上げた。その直後に歓声が上がる。 開始まだ2分半足らずだった。星陵FW仲谷君が先制ゴールを蹴りこんだ後だった。
“上手く真ん中で潰れて、左から決めましたね~。” I さんが解説する。 ゴールシーンを見ていなかった私は後方のスクリーンを振り返る。星陵右MF原田君からのアーリークロスに真ん中に走りこんだ森山君に橘のCB林君と清水君が引き寄せられる。しかしボールは更に左に流れ追いつこうとした倉本君の前に走りこんだ仲谷君が先に拾いそのままフリーで蹴りこんだシュートが橘ゴールに決まった。 左SBの倉本君、ショックが残らねば良いけど… と思った。
キックオフから原田君がそれまで2度ほどロングボールを蹴りこんでいた。 前日の練習で何度も橘のMFとDFの間にロングボールを放り込む練習をしていたらしい。 その成果が開始早々に出たのだった。
私は先制されても小屋松君を中心とした京都橘の攻撃陣が爆発するんじゃないかな~と期待はしていたけど。
この時はこの先制ゴールが試合を大きく左右するとは想像出来なかったんだなぁ~。


 
PK戦まで縺れ込んだ第一試合。全選手がまだピッチに居る間に星稜と京都橘の選手達がアップに出て来た。
準決勝進出4校の中で私がもっとも注目と言うよりも期待をいていたのが京都橘だ。昨年は優勝に“王手”を掛けながらPK負けを喫し1967年度山陽高校と同校優勝を果たした洛北高校以来の京都勢優勝の悲願はならなかった。エース小屋松君が残る今年は洛北高校と言うよりも1958年度、日本サッカーの重鎮、釜本邦茂を擁して単独優勝を果たした山城高校以来の快挙を目指す。
初戦はいきなり静岡の名門藤枝東高校と当たったが、林、赤澤両君のゴールで 2-0 で快勝。3回戦の那覇西高校戦では前半に中山君の2ゴールと小屋松君のゴールで3点を先取。後半那覇西、國吉君に2ゴールを許すも逃げ切り準々決勝の市立船橋戦に臨んだ。2年連続国立を狙う京都橘は、今年度のインターハイそして一昨年の選手権王者相手を圧倒。特にエースの小屋松君はさすがというパフォーマンスを見せ2ゴールを挙げチームを勝利に導いた。
地元と全校生の大歓声を受ける関東の雄である市立船橋を会心の試合運びで破ると言う関西人の私には非常に溜飲の下がる試合結果を残してくれた。そして今大会の選手権はベスト4に関東勢が残れなかった。



対戦相手の星稜高校はくしくも昨年の選手権準決勝戦で優勝した鵬翔高校に終了9分前で勝ち越しゴールを挙げながらその2分後に同点ゴールを喫しPK戦で苦杯を喫した。 要するに前年優勝した鵬翔高校に国立で敗れた高校同士が決勝進出を掛けての対戦という事になったのだった。





市立船橋戦を80分間交替選手無で戦い来た橘は同じイレブンがスタメンに並んだ。そして準々決勝戦ではPK戦の末GK近藤君の神憑り的な3連続PKストップで勝ちあがった星稜も同じスタメンで準決勝戦に臨んだ。



橘はGK永井君、右SB倉本君 CB 林君、宮吉、中野のMFの両君とFW小屋松君が昨年決勝戦を経験したメンバー。星稜は MF 寺村君、CB寺田君、右SB森下君が鵬翔戦のスタメン。そしてGK近藤君が控えでベンチメンバーだった。



先制を許した橘であったが、時間はまだ十分にある上に市立船橋戦のパフォーマンスを思い起こせばそれが良いハンディになると勝手に楽観していた。
11分14秒、小屋松君が中野君に戻し再び前線で受けた小屋松君が放ったシュートは相手DFに当たりCKにそのCKから宮吉君がシュートを撃つがGK近藤君の正面に。
前半10分を過ぎるとようやく両校の応援席が埋まった。第一試合が押したからなぁ~。





 
Iさんから指摘が入る。“小屋松君のワントップになっていないですか?” 目を凝らしてピッチ上を見ると小屋松君がワントップで宮吉君と中山君が2列目でボールを受けたり小屋松君に送ったりとしていた。 
だけどこれまで無失点の星稜DF陣もなかなかシュートを撃たせない。 小屋松君がボールを持つとすぐに誰かがマークに入る。4人の最終ラインが前後左右にうまく動いていた。そして攻撃に転じるときは一旦中に入れて橘のサイドラインを中に寄せてからまたタッチライン沿いに出して京都のサイド、特に宮吉君のいる左サイドを上手く突いていた。 その対策か20分過ぎからは小屋松君がトップ下に下がり中山君と宮吉君の2トップとなった。
だが21分15秒、アクシデントが橘を襲う。 中盤でハイボールをヘッドで競り合った宮吉君の後頭部に森下君の頭が入り、宮吉君がそのまま倒れて立ち上がれない。結局外に出さざるを得ない事に。 ここに来て愛するサンガの宮吉拓美の弟が離脱するのはちょっと厳しいなあと思った。 1人少なくなっても橘は24分小屋松君が起点となり藤村君、中野君を経由してCB二人のマークを受けながらも中山君に送りシュートを演出する。このショットはGK近藤君の正面に飛んだが、マークを受けてもこういうボールを出せるという小屋松君はさすがと思わされた。
そして27分頃に宮吉君がピッチにもどり小屋松君のワントップになったが30分になるとまた小屋松君と中山君の2トップになった。 グランパス入りが内定している小屋松君にボールが入るとマークがすぐに着く、しかし2人、3人と囲まれてもパスを出す。ただ受けた橘の選手もすぐに星稜のマークを受けるけど。
40分を過ぎると焦りからか橘は前線への縦パスが目立ちだすが反対に星稜DFに引っ掛かっていた。
それでも小屋松君にボールが渡ると何かが起きる。 42分34秒には小屋松君から右サイドを上がった倉本君に渡りシュートに持ち込むがGK近藤君がキャッチ。 43分21秒、カウンターから中央を小屋松君がドリブル突破で上がると最後は星稜ボランチ平田君がファールでストップ。そしてこのプレーに日比野主審からイエローカードが出された。 これで平田君は累積警告2枚目。 勝っても決勝戦は出られないことに。 だけど彼もこの試合の事しか考えていなかっただろうなぁ~と思った。
ロスタイムが1分と表示される。 46分には小屋松君が寺村君のマークを受けながらもスルーパスを中山君に送る。しかしここはCB上田君がマークに入りシュートは撃たせなかった。そして前半終了のホイッスルが鳴った。
この時点でも後半、京都橘の攻撃が爆発してくれることを期待していた予想もしていた。非常に安易に….?



メンバー交代がないまま後半のキックオフとなった。星稜MF寺村が左サイドから右サイドに回っていた。 宮吉君の上がったところを攻め込む方策か…. 47分23秒にはその寺村君がドリブルで上がるが宮吉君と小川君がマークに入る。
そして50分20秒、攻め込んだ星稜は右サイドからこの時は左サイドに戻っていた寺村君に送る。そしてマークに入った倉本君の脚に掛かり転倒すると日比野主審はホイッスルを鳴らしスポットを指した。 故意的では無かったけど寺村君の脚に掛かっていた。倉本君の表情が…. ここで得たPKを寺村君が右下に冷静に蹴り込みリードを広げた。 藤枝東戦ではPKをストップした永井君だったけどここは止められなかった。一瞬逆方向に動いてしまったのが痛かったか…..







だけどまだ時間は40分ある。橘の攻撃力からすればチャンスを充分あると思ったし攻撃陣の奮起も期待した。
55分橘ベンチが動く。宮吉君を下げて180㎝の赤澤君を投入する。藤枝東戦ではゴールを決めている。 昨年宮吉君はボランチでプレーしていた。どちらが得意なんだろう?卒業後は…愛するサンガに入ってくれたら良いんだけどなぁ…
赤澤君が投入されててからすぐの57分、左SB小川君から中山君にロングフィードが送られるがGK近藤君がエリア外に出てヘッドでクリアーそのこぼれ球を拾って中山君から赤澤君に送られシュート態勢に入るが藤田君がブロックして撃たせない。
57分59秒ロングフィードが前線に走り込んだ中野君に送られる。中野君が走り込むが再びマークに入った藤田君と交錯して転倒する。一緒悲鳴が沸くが日比野主審は笛を吹かない。
“吹いても良くなかったですか~。” “その方が試合は面白くなりますからねぇ~。”
後半は開始から小屋松君が2列目に下がっている。その小屋松君が61分にはドリブルで上がりヒールパスを中野君に送るがシュートは撃てない。 後半に入ってもボール支配率は橘の方が良いようだけど星稜DF陣もなかなかシュートを撃たせない。62分6秒には左サイドを中山君から小屋松君そして赤澤君に回り逆サイドの中野君に藤田君がマークに入る前に放ったシュートはGK近藤君がナイスセーブでCKに逃れる。 そのCKから小川君がヘッドで合わせるが寺田君がクリアーをしてCKに逃げた。 
橘の時間が続く中63分20秒、星稜FW仲谷君が右サイドをドリブルで上がって来るとマークに入る林君が追いつかない。
そしてライナーで入れられたクロスに走り込んだ原田君が小川君と清水君ともつれながら放ったシュートが橘ゴールに決まりリードは3ゴール差となった。
“このゴール大きいですね~。” “これで星稜はしっかり守って思い切ったカウンター攻撃が出来ますね。”
“残り30分で3点差ですか~。” “橘の時間だったんですけど~。”
橘DF陣は左SBの小川君が1年生で他の3人、CB清水君、林君そして右SB倉本君が2年生。 ちょっと星稜のスピードある一発の攻撃に後手を踏み過ぎていたか…そしてこのゴールで橘応援駅がすっかり静かになってしまった。
 “ こんな時こそ更に応援してあげないといけないんですけど。”
しかしピッチ上は星稜MFが下がり気味なのもあるけど橘の攻撃が再び展開される。 
64分35秒には小屋松君が仲谷君、寺村君に囲まれながらもドリブルで上がり平田君もかわして藤田君の前でミドルを放つ。68分21秒、今後は中野君がドリブルで上がり小屋松君の送りミドルシュートを導くがここもGK近藤君がナイスセーブでストップ。こぼれ球を藤田君のマークをかわして中野君が放ったショットは平田君がクリアーしCKに。
72分56秒には中山君がドリブルシュートに入るが今度は藤田君がマークに入りCKに。 73分26秒、小屋松君が平田君のマークを受けながらも左サイドから上げたクロスに上田君がヘッドを撃つがGK近藤君がキャッチ。 
3点目を献上してから小屋松君は2列目に下がり中野君や赤澤君が前に上がって来ていた。
せめて1点を返せば橘応援席も湧き上がるんだけど~とおもったけど75分、仲谷君からパスを受けた森下君が右サイドを上がり中に入れるとどんぴしゃのタイミングで中央に走り込んだ森山君がワントラップで清水君をかわして蹴り込んだシュートが
またも橘ゴールに突き刺さりこれで 4-0 になってしまった。







4失点を喫した卒業後はロアッソ熊本入団が内定しているGK永井君の表情がちょっと。 こんなはずでは… と思うのは彼だけではない。私もだ…



あぁ~。先月サンガもここで 0-2 で惨敗を喫して昇格に失敗した。 今度は橘か~と思ってしまった~。
せめてここで橘のゴールが見たいなぁ、サンガが決められなかったゴールを橘が決めてくれないかなぁ~と願った。しかしゴールは生まれなかった。4点目が入った直後に寺村君が右サイドから放ったシュートが逆サイドのポストにボールひつつ外れていったシーンは見せられたけど。 終了間際に橘が得た好位置でのFKは外れたけど。

試合が終わってIさんとあの聖火台付近に行って記念写真を撮った。ここからはこういう風景になるのかぁ~と思った。



ピッチ上では京都橘と四日市中央工の3位の表彰式が始まった。 表彰式が終わって応援席へのあいさつを終えた小屋松君が泣き崩れた。
“最後にこらえきれられなかったんですね。” Iさんが呟いた。
昨年はFWにもう一人仙道君がいた。今シーズンは全て小屋松君が背負ったみたいだった。 

そして競技場を出た。星稜高校の大集団と遭遇した。みな嬉々としていた。あたりまえだけど。
I さんと私は前から行きたかった信濃町のペルーレストランに向かった。そしてご主人と70年代からの南米サッカーについて語り合った。
そしてレストランを出てIさんはご実家のある三島に向かわれた。 またこういう機会を作ることを約束して。

選手権が終わって2週間が経った。昨シーズン我々を沸かせた高校生たちは今はどうしているのだろう。 
そして小屋松君は来シーズングランパスでポジションをとれるだろうか。

みんなが有意義に過ごしている事を祈るよ。





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2 コメント

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ちちです。コメント遅れました。 (ちち)
2014-03-26 23:24:36
Mrコンティさま。
お久しぶりです。記事拝見いたしました。正直こんな結果になるとは思ってませんでした。
コンティさんのおっしゃる通り、必ずひっくり返るものだと思っていました。
いやぁ・・・なんか燃え尽きてしまって(笑)自分のブログの更新も出来ずじまいでした(^^ゞ

最蹴章の国立、是非とも行きたかったのですが、今年は娘の成人式がありどうしても無理でした。

いつも通りの素晴らしい記事、写真感動いたしました。
高校サッカーは新人戦も終わり、インターハイに向けて新メンバーで頑張っていますね。

またお邪魔します。
これからも高校サッカーの記事楽しみにしています。
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新年度を迎えて (Mr.コンティ)
2014-05-05 00:47:11
ちち様

コメントありがとうございました。
返事が遅くなり申し訳ございません。
京都はもうすぐ総体を迎えるのでしょうか?
そしてインターハイ京都大会が始まり・・・・
すぐに選手権のシーズンが来るのですね。
また色々アップしていきますのでよろしくお願いいたします。
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