Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

国立最蹴章 ここは京都勢にとっては鬼門か 星陵 4-0 京都橘 11th January 2014

2014-01-26 | 五輪 U-20, U-17
暖かな直射日光はまだこちらを射している。準決勝第二試合は始まったばかり。まだスタメンを確認しようとピッチとノートと専門紙をかわるがわる見回してる最中だった。
“あっ、あれっ、あ~っ”隣の I さんが声を上げた。その直後に歓声が上がる。 開始まだ2分半足らずだった。星陵FW仲谷君が先制ゴールを蹴りこんだ後だった。
“上手く真ん中で潰れて、左から決めましたね~。” I さんが解説する。 ゴールシーンを見ていなかった私は後方のスクリーンを振り返る。星陵右MF原田君からのアーリークロスに真ん中に走りこんだ森山君に橘のCB林君と清水君が引き寄せられる。しかしボールは更に左に流れ追いつこうとした倉本君の前に走りこんだ仲谷君が先に拾いそのままフリーで蹴りこんだシュートが橘ゴールに決まった。 左SBの倉本君、ショックが残らねば良いけど… と思った。
キックオフから原田君がそれまで2度ほどロングボールを蹴りこんでいた。 前日の練習で何度も橘のMFとDFの間にロングボールを放り込む練習をしていたらしい。 その成果が開始早々に出たのだった。
私は先制されても小屋松君を中心とした京都橘の攻撃陣が爆発するんじゃないかな~と期待はしていたけど。
この時はこの先制ゴールが試合を大きく左右するとは想像出来なかったんだなぁ~。


 
PK戦まで縺れ込んだ第一試合。全選手がまだピッチに居る間に星稜と京都橘の選手達がアップに出て来た。
準決勝進出4校の中で私がもっとも注目と言うよりも期待をいていたのが京都橘だ。昨年は優勝に“王手”を掛けながらPK負けを喫し1967年度山陽高校と同校優勝を果たした洛北高校以来の京都勢優勝の悲願はならなかった。エース小屋松君が残る今年は洛北高校と言うよりも1958年度、日本サッカーの重鎮、釜本邦茂を擁して単独優勝を果たした山城高校以来の快挙を目指す。
初戦はいきなり静岡の名門藤枝東高校と当たったが、林、赤澤両君のゴールで 2-0 で快勝。3回戦の那覇西高校戦では前半に中山君の2ゴールと小屋松君のゴールで3点を先取。後半那覇西、國吉君に2ゴールを許すも逃げ切り準々決勝の市立船橋戦に臨んだ。2年連続国立を狙う京都橘は、今年度のインターハイそして一昨年の選手権王者相手を圧倒。特にエースの小屋松君はさすがというパフォーマンスを見せ2ゴールを挙げチームを勝利に導いた。
地元と全校生の大歓声を受ける関東の雄である市立船橋を会心の試合運びで破ると言う関西人の私には非常に溜飲の下がる試合結果を残してくれた。そして今大会の選手権はベスト4に関東勢が残れなかった。



対戦相手の星稜高校はくしくも昨年の選手権準決勝戦で優勝した鵬翔高校に終了9分前で勝ち越しゴールを挙げながらその2分後に同点ゴールを喫しPK戦で苦杯を喫した。 要するに前年優勝した鵬翔高校に国立で敗れた高校同士が決勝進出を掛けての対戦という事になったのだった。





市立船橋戦を80分間交替選手無で戦い来た橘は同じイレブンがスタメンに並んだ。そして準々決勝戦ではPK戦の末GK近藤君の神憑り的な3連続PKストップで勝ちあがった星稜も同じスタメンで準決勝戦に臨んだ。



橘はGK永井君、右SB倉本君 CB 林君、宮吉、中野のMFの両君とFW小屋松君が昨年決勝戦を経験したメンバー。星稜は MF 寺村君、CB寺田君、右SB森下君が鵬翔戦のスタメン。そしてGK近藤君が控えでベンチメンバーだった。



先制を許した橘であったが、時間はまだ十分にある上に市立船橋戦のパフォーマンスを思い起こせばそれが良いハンディになると勝手に楽観していた。
11分14秒、小屋松君が中野君に戻し再び前線で受けた小屋松君が放ったシュートは相手DFに当たりCKにそのCKから宮吉君がシュートを撃つがGK近藤君の正面に。
前半10分を過ぎるとようやく両校の応援席が埋まった。第一試合が押したからなぁ~。





 
Iさんから指摘が入る。“小屋松君のワントップになっていないですか?” 目を凝らしてピッチ上を見ると小屋松君がワントップで宮吉君と中山君が2列目でボールを受けたり小屋松君に送ったりとしていた。 
だけどこれまで無失点の星稜DF陣もなかなかシュートを撃たせない。 小屋松君がボールを持つとすぐに誰かがマークに入る。4人の最終ラインが前後左右にうまく動いていた。そして攻撃に転じるときは一旦中に入れて橘のサイドラインを中に寄せてからまたタッチライン沿いに出して京都のサイド、特に宮吉君のいる左サイドを上手く突いていた。 その対策か20分過ぎからは小屋松君がトップ下に下がり中山君と宮吉君の2トップとなった。
だが21分15秒、アクシデントが橘を襲う。 中盤でハイボールをヘッドで競り合った宮吉君の後頭部に森下君の頭が入り、宮吉君がそのまま倒れて立ち上がれない。結局外に出さざるを得ない事に。 ここに来て愛するサンガの宮吉拓美の弟が離脱するのはちょっと厳しいなあと思った。 1人少なくなっても橘は24分小屋松君が起点となり藤村君、中野君を経由してCB二人のマークを受けながらも中山君に送りシュートを演出する。このショットはGK近藤君の正面に飛んだが、マークを受けてもこういうボールを出せるという小屋松君はさすがと思わされた。
そして27分頃に宮吉君がピッチにもどり小屋松君のワントップになったが30分になるとまた小屋松君と中山君の2トップになった。 グランパス入りが内定している小屋松君にボールが入るとマークがすぐに着く、しかし2人、3人と囲まれてもパスを出す。ただ受けた橘の選手もすぐに星稜のマークを受けるけど。
40分を過ぎると焦りからか橘は前線への縦パスが目立ちだすが反対に星稜DFに引っ掛かっていた。
それでも小屋松君にボールが渡ると何かが起きる。 42分34秒には小屋松君から右サイドを上がった倉本君に渡りシュートに持ち込むがGK近藤君がキャッチ。 43分21秒、カウンターから中央を小屋松君がドリブル突破で上がると最後は星稜ボランチ平田君がファールでストップ。そしてこのプレーに日比野主審からイエローカードが出された。 これで平田君は累積警告2枚目。 勝っても決勝戦は出られないことに。 だけど彼もこの試合の事しか考えていなかっただろうなぁ~と思った。
ロスタイムが1分と表示される。 46分には小屋松君が寺村君のマークを受けながらもスルーパスを中山君に送る。しかしここはCB上田君がマークに入りシュートは撃たせなかった。そして前半終了のホイッスルが鳴った。
この時点でも後半、京都橘の攻撃が爆発してくれることを期待していた予想もしていた。非常に安易に….?



メンバー交代がないまま後半のキックオフとなった。星稜MF寺村が左サイドから右サイドに回っていた。 宮吉君の上がったところを攻め込む方策か…. 47分23秒にはその寺村君がドリブルで上がるが宮吉君と小川君がマークに入る。
そして50分20秒、攻め込んだ星稜は右サイドからこの時は左サイドに戻っていた寺村君に送る。そしてマークに入った倉本君の脚に掛かり転倒すると日比野主審はホイッスルを鳴らしスポットを指した。 故意的では無かったけど寺村君の脚に掛かっていた。倉本君の表情が…. ここで得たPKを寺村君が右下に冷静に蹴り込みリードを広げた。 藤枝東戦ではPKをストップした永井君だったけどここは止められなかった。一瞬逆方向に動いてしまったのが痛かったか…..







だけどまだ時間は40分ある。橘の攻撃力からすればチャンスを充分あると思ったし攻撃陣の奮起も期待した。
55分橘ベンチが動く。宮吉君を下げて180㎝の赤澤君を投入する。藤枝東戦ではゴールを決めている。 昨年宮吉君はボランチでプレーしていた。どちらが得意なんだろう?卒業後は…愛するサンガに入ってくれたら良いんだけどなぁ…
赤澤君が投入されててからすぐの57分、左SB小川君から中山君にロングフィードが送られるがGK近藤君がエリア外に出てヘッドでクリアーそのこぼれ球を拾って中山君から赤澤君に送られシュート態勢に入るが藤田君がブロックして撃たせない。
57分59秒ロングフィードが前線に走り込んだ中野君に送られる。中野君が走り込むが再びマークに入った藤田君と交錯して転倒する。一緒悲鳴が沸くが日比野主審は笛を吹かない。
“吹いても良くなかったですか~。” “その方が試合は面白くなりますからねぇ~。”
後半は開始から小屋松君が2列目に下がっている。その小屋松君が61分にはドリブルで上がりヒールパスを中野君に送るがシュートは撃てない。 後半に入ってもボール支配率は橘の方が良いようだけど星稜DF陣もなかなかシュートを撃たせない。62分6秒には左サイドを中山君から小屋松君そして赤澤君に回り逆サイドの中野君に藤田君がマークに入る前に放ったシュートはGK近藤君がナイスセーブでCKに逃れる。 そのCKから小川君がヘッドで合わせるが寺田君がクリアーをしてCKに逃げた。 
橘の時間が続く中63分20秒、星稜FW仲谷君が右サイドをドリブルで上がって来るとマークに入る林君が追いつかない。
そしてライナーで入れられたクロスに走り込んだ原田君が小川君と清水君ともつれながら放ったシュートが橘ゴールに決まりリードは3ゴール差となった。
“このゴール大きいですね~。” “これで星稜はしっかり守って思い切ったカウンター攻撃が出来ますね。”
“残り30分で3点差ですか~。” “橘の時間だったんですけど~。”
橘DF陣は左SBの小川君が1年生で他の3人、CB清水君、林君そして右SB倉本君が2年生。 ちょっと星稜のスピードある一発の攻撃に後手を踏み過ぎていたか…そしてこのゴールで橘応援駅がすっかり静かになってしまった。
 “ こんな時こそ更に応援してあげないといけないんですけど。”
しかしピッチ上は星稜MFが下がり気味なのもあるけど橘の攻撃が再び展開される。 
64分35秒には小屋松君が仲谷君、寺村君に囲まれながらもドリブルで上がり平田君もかわして藤田君の前でミドルを放つ。68分21秒、今後は中野君がドリブルで上がり小屋松君の送りミドルシュートを導くがここもGK近藤君がナイスセーブでストップ。こぼれ球を藤田君のマークをかわして中野君が放ったショットは平田君がクリアーしCKに。
72分56秒には中山君がドリブルシュートに入るが今度は藤田君がマークに入りCKに。 73分26秒、小屋松君が平田君のマークを受けながらも左サイドから上げたクロスに上田君がヘッドを撃つがGK近藤君がキャッチ。 
3点目を献上してから小屋松君は2列目に下がり中野君や赤澤君が前に上がって来ていた。
せめて1点を返せば橘応援席も湧き上がるんだけど~とおもったけど75分、仲谷君からパスを受けた森下君が右サイドを上がり中に入れるとどんぴしゃのタイミングで中央に走り込んだ森山君がワントラップで清水君をかわして蹴り込んだシュートが
またも橘ゴールに突き刺さりこれで 4-0 になってしまった。







4失点を喫した卒業後はロアッソ熊本入団が内定しているGK永井君の表情がちょっと。 こんなはずでは… と思うのは彼だけではない。私もだ…



あぁ~。先月サンガもここで 0-2 で惨敗を喫して昇格に失敗した。 今度は橘か~と思ってしまった~。
せめてここで橘のゴールが見たいなぁ、サンガが決められなかったゴールを橘が決めてくれないかなぁ~と願った。しかしゴールは生まれなかった。4点目が入った直後に寺村君が右サイドから放ったシュートが逆サイドのポストにボールひつつ外れていったシーンは見せられたけど。 終了間際に橘が得た好位置でのFKは外れたけど。

試合が終わってIさんとあの聖火台付近に行って記念写真を撮った。ここからはこういう風景になるのかぁ~と思った。



ピッチ上では京都橘と四日市中央工の3位の表彰式が始まった。 表彰式が終わって応援席へのあいさつを終えた小屋松君が泣き崩れた。
“最後にこらえきれられなかったんですね。” Iさんが呟いた。
昨年はFWにもう一人仙道君がいた。今シーズンは全て小屋松君が背負ったみたいだった。 

そして競技場を出た。星稜高校の大集団と遭遇した。みな嬉々としていた。あたりまえだけど。
I さんと私は前から行きたかった信濃町のペルーレストランに向かった。そしてご主人と70年代からの南米サッカーについて語り合った。
そしてレストランを出てIさんはご実家のある三島に向かわれた。 またこういう機会を作ることを約束して。

選手権が終わって2週間が経った。昨シーズン我々を沸かせた高校生たちは今はどうしているのだろう。 
そして小屋松君は来シーズングランパスでポジションをとれるだろうか。

みんなが有意義に過ごしている事を祈るよ。




国立最蹴章  “ピンチGKの意地”   富山第一 2-2 四日市中央 11th January 2014

2014-01-22 | 五輪 U-20, U-17

12月初旬。ニュージーランドの Christchurch に在住される I さんから連絡があった。年末から約1ヶ月に亘って休暇で帰省するので一緒に会いましょうとのお誘い。 Iさんとはお互いにサッカー狂で10年近くお付き合いをさせて頂いている。
丁度高校サッカーが行われているので改装前に国立競技場で準決勝戦を観戦する事となった。
私は関東地区に越してきてはや26年近くが経つが全国高校サッカーはまだ観戦した事がなかった。その理由は簡単。
寒いのが苦手だからと言うこと。サッカー好きが寒い時期がシーズンなのに寒さが苦手とは道理が合わないけど….
前売り券を購入し、当日は雨が降らないことを心から願った。
しかしそんな心配をよそに当日は快晴に恵まれた。試合開始約半時間前に千駄ヶ谷駅に到着したけど観戦に来られたのであろう多くの人が競技場に向かっていた。駅前のコンビには店外にまでレジを待つ人が並んでいた。 商品の補充はどうするのだろう?とも思ったけど。
競技場の前で I さんと約4ヶ月ぶりの再会。 南半球から来られて寒いでしょうってな話をしながら入り口に向かった。
チケット窓口は結構な人。前売り券を購入しておいて良かったなぁ~と….
プログラムを購入しゴール裏の席に陣取る。反対側は日陰になっているけどこちら側は冬日を一杯に浴びて暖かな観戦。
スタジアムの入りは半分程度。準決勝戦の方が2試合観戦できるし御得だと考えるのは私だけだろうか….
“国立は良いですね~。” Iさんが言う。国立観戦は初めてらしい。 私も関西から上京してからここに住み着くことを決めた理由の一つが東京の方が色々なスポーツイベントが楽しめると思ったからだ。
首都圏開催となった昭和51年度から選手権の決勝は国立競技場開催となったけど、Jリーグが始まるまでサッカーで国立が満員にまるのはトヨタカップと高校サッカーくらいだった。あの満員の国立はどんな雰囲気だろうと学生時代までテレビを見ながらよく思ったものだった。

ピッチで練習をしていた両校選手達が控え室に戻りいよいよピッチに入場してきた。両校応援団を始め歓声が上がる。
一昨年の覇者四日市中央工は準々決勝で大阪の履正社をロスタイムにCB後藤君の起死回生のゴールで追いつきその勢いのままPK戦を制して6回目の国立進出を果たした。そして、まずは2年振り4回目の決勝進出をそして今年こそ単独優勝を狙う。同点ゴールの後藤君は背番号25番。今回の三重県大会でようやくレギュラーを掴んだ苦労人だ。
四中工のスタメンを見ると右MFには準々決勝でスタメンだったMF木下君ではなく、その木下君に替わって投入された服部君がそのままスタメンに。 昨年は桐光学園に 2-4 で敗れまさかの初戦敗退となった。CB坂君がその試合のスタメンでトップの井出川君がベンチメンバーだった。



本音は大阪代表をここで見たかったんだけど….
そして78回大会以来の国立進出を果たした富山第一高校は2回戦、3回戦と 0-0 でPK戦の末に勝利を掴んだ後の準々決勝の日章学園戦は 4-0 の快勝。MF斎君に替わり出場停止中だった川縁君がスタメンに。 
昨年は1回戦で作陽高校にPK戦で敗れたが今年は既に2回PK勝を果たしている。 トップ下の大塚君は昨年もレギュラー。トップの渡辺君、ボランチの川縁君そしてGK高橋君が昨年はベンチ入りメンバー。

 

四中工のキックオフで始まった試合。開始51秒に富山ボランチ細木君が左サイドを上がり竹澤君に戻し中に入れるがオフサイドに。そして7分45秒、四中工MF小林君がミドルを放つとGK高橋君がナイスセーブで防ぐ。 その後のCKにCB坂君が飛び込むがここもGK高橋君がキャッチ。
立ち上がり四中工が主導権を握るかな?と思うが以降は向こう側の四中工ゴール近くで試合が展開されたが16分6秒にはまたも小林君がドリブルで持ち込み、城山君、西村君をかわして川縁君がマークに入る前にミドルを放つ。小林君はG大阪の出身で今大会は準々決勝まで2ゴールを決めていた。
開始から富山が攻め込めば四中工DFが上手くラインを上げてオフサイドを取っており開始18分で3回もオフサイドがあった。
富山の応援席がこちらから見ると手前に陣取っているので彼らの声援が良く聞こえる。
“とや~まだいいちっっ !! “ という声援が”うらぁ~われっず!!“に聞こえた。
四中工は男子校なのでセットプレーになると男子生徒独特の声量でのコールが聞こえる。
しかしオフサイドを取られても富山の方が攻める時間が続いた。 
そして21分11秒、川縁君からのスルーに抜け出した西村君がシュートに持ち込むが再びGK高田君がナイスセーブでCKに逃れる。そのCKを細木君がショートコーナーで西村君に送り、中央の野沢君にクロスが上がるが野沢君の頭に当たらずマークに入った坂君に当たりこぼれた所を拾ったCB藤井君が四中工ゴールに蹴りこみ優勢だった富山が先制した。
ゴールを決めた藤井君はそれまで守備面でしっかりと四中工の攻撃を抑えており、セットプレーで上がって来て今度は得点を決めた。

先制した富山は更に攻勢に出る。28分52秒には中盤からのスルーパスにFW渡辺君が完全にフリーで抜け出しGK高田君と1対1になるがエリア外で高田君と交錯した渡辺君が転倒。主審はすかさずカードを出すがそれはイエローカードだった。
“一発レッドでもおかしくなかったですねぇ~。”Iさんと意見は一致していた。 “プロならレッドじゃないですか….”
PKではなかったが危ない位置でのFKを献上した。このFKを富山はトリックプレーを使い野沢君が強烈なショットを放つ。しかしここはGK高田君が左に倒れこむナイスセーブでストップ。2年生の高田君はこれで大会2枚目のイエローで勝っても決勝戦は出場できない。だけど今はこの試合の事しか考えていなかっただろう。 
32分には四中工に次のトラブルが起こる。空中戦で大塚君と競ったCB後藤君が倒れて起き上がれない。 大塚君の後頭部に眼底部を激しく打ち付けた様だ。後藤君がピッチ外に運び出される。四中工ベンチ前にアップをしていた栗田君が呼ばれる。CBを欠いた四中工はMF服部君を暫定的にDFラインに入れる。34分には左からのクロスに大塚君が飛び込むがGK高田君が競り合いながらストップし追加点を許さない。そして拍手に向かえられて後藤君がピッチに戻ってきた。
人数が揃ったせいか今度は徐々に四中工が押し返す。両サイドからワンタッチパスでボールを繋ぐシーンが目立ち始めた。
そして42分右サイドの良い位置でFKのチャンスを掴む。さっきは富山がトリックプレーを見せたけど今度はどうなるか…と注目する。
大辻君と中田君の両サイドバックがボールの後ろに立つ。そして中田君が蹴った弾道はゴール右上隅に突き刺さり四中工が試合を振り出しに戻した。 
GK高橋君は最初にフェイクに入った大辻君の動きに一瞬右側に動き反対方向に飛んでくる弾道に反応できなかった。しかしそれを差し引いても素晴らしいFKだった。





“すごいFKでしたね。” “準々決勝までなら今はハーフタイムでしたね。45分ハーフの明暗ですか…”
同点になり四中工ベンチは後藤君をベンチに下げ栗田君を投入した。
“やっぱり、あの25番やれないですか….” ベンチに下がった後藤君が悔し泣きに暮れるのがこちらからも解った。

ロスタイムの2分間も過ぎ 1-1 のまま前半が終わった。両軍控え室に戻るときに主将同士が言葉を交わしていた。
どんな話をしたのかな……



両チームメンバー変更無しに後半が始まった。 まだ日は高く、日向で暖かかったけど直射日光がこちらを照らし向こう側のゴール前にボールが運ばれると手のひらで日よけを作らねばならなかった。 後半はどちらがより多く相手ゴール前にボールを運ぶだろう。開始直後は両チーム右サイドからの攻撃が目立った。
52分9秒、渡辺君が坂君のマークを振り切り中田君がマークに入る前に放ったシュートはGK高田君がキャッチ。53分25秒には西村君が坂君をかわしてシュートに持ち込むがまたも高田君がナイスセーブでストップ。ベンチには一昨年の準優勝時には1年生ながら控えGKでベンチ入りし昨年は2年生で選手権に出場した3年生の中村君がいた。決勝戦では高田君が出場停止になるが何とか先輩の中村君に出場機会をと思っていたのではないかな。
だが富山が追加点を決める。 56分25秒、今度は左サイドを野沢君がドリブルで上がりCBをひきつけながら中央に送る。そのこぼれダマを正面で拾った細木君が四中工ゴールに押し込み再びリードを奪った。 マークに入った大辻君が一瞬逆の方に体重がかかり細木君にシュートチャンスを与えてしまった。



再び四中工はリードを許したとはいえまだまだ時間は残っている。選手交替も含めてどのようにして同点ゴールを模索するのだろうと思っていると次に選手交替を行ったのはリードしていた富山だった。68分 163cmの左SB竹澤君を下げて176cm の菅田君を投入した。 まだ少し早いけど相手のロングボール対策かな…ってな話をIさんと交わした。
72分四中工は攻め込まれながらもシュートは撃たせず一本のライナーの縦パスが前線に送られる。そこに走りこんだ井出川君がドリブルで富山ゴールに迫ると富山DF,MF陣は全く彼を捉えられない。井出川君がそのまま放ったドリブルシュートが富山ゴールネットを揺らし四中工があっさりと同点に追いついた。







見事な一本のパスそして見事な高速ドリブルだった。
“ビルドアップや構築の方策なんていらないですね。1本の縦パスとドリブル突破だっていうお手本ですね。” I さんはこう振り返った。 今、日本代表と言うか日本人の指導者に必要なのはこの発想も持つことだろうなぁと思わせられた。
同点に追いついた四中工ベンチは2年生MF加藤君を下げて2年生の舘君を入れる。舘君は昨年1年生ながら60分から途中出場をした実績がある。
そして同点に追いつかれた富山ベンチは74分2人目の交替選手。3年生の高浪君を2年生の西村君に替わって投入する。3年生が入ってよかったなぁ~と思う一方で高浪君のドリブルに思わずおっと思わされる。
だが終盤に来て攻勢に出るのは追いついた四中工。 81分、坂君からボランチの森島君に渡り細木君のマークを受けながらも舘君に送ると村上君のマークをうまくかわしてシュートに持ち込むがポストの右に外れる。 82分25秒にはまたも坂君から森島君に渡りマークに入った野沢君のチャージがファールとなりFKとなる。そして前半同様大辻君がダミーとなり中田君の直接狙ったFKが僅かにクロスバーを越える。 85分にはクリアーボールを拾った森島君がオーバーラップした大辻君に送り入れたクロスに井出川君が藤井君と競りながら飛び込むがここはGK高橋君がキャッチ。 
四中工は森島君と小林君のドリブルが冴える。ボランチから後ろの押し上げも早いせいかこぼれダマをことごとく拾い続ける。
PK戦になっても準々決勝の履正社戦でPK戦を経験したばかりの四中工の方が有利かなと思った。時計は90分を迎えようとするとIさんが “ アップしていたGKが呼ばれましたね。””準決勝は延長戦無しですか?” “そうだと思いますよ。PK戦要員のGKですかねぇ”
そして90分42秒、何ともいえない歓声の中3年生GKの田子君がピッチに入った。公式戦は初めての起用らしい。



“PK戦の前に1回ボールを触った方が良いんですけど。” “それが強烈なシュートだったら可愛そうですね。”
92分13秒、富山ゴールマウスに入れられたロブを田子君は無難にキャッチしたけどその1分後のゴールキックはそのまま中田君に渡ってしまいロングシュートを撃たれた。ゴール枠は捉えられなかったけど中田君は当たっていたからなぁ….
そしてホイッスルが鳴り国立競技場では20回目の、準決勝としては16回目のPK戦に突入となった。
思えば初めてPK戦という言葉を覚えたのは小学校の時の全国高校サッカーのこの四中工の試合だった。相手は当時の競合校、神戸高校だった。 そして四中工がPK勝ちを収めた。
“昔はPK戦じゃなくて抽選が行われたんですよ。主将同士がじゃんけんして勝った方が2通ある封筒のどちからを選んで..”
公式では引き分けとなるサッカーのPK戦だけど、いつみてもどきどきすますねぇ~….

先行の富山も後攻の四中工も最初の2人ずつは無難に決めた。そして富山第一3人目の野沢君も左下隅に決める。
“富一のGKは2人とも蹴る方向の読みが当たっていますね。”とIさんが言う。そして3人目中田君のPKを見事に左下に飛んで弾き出した。



 “良いFK蹴っていたんですけどねぇ~。それがあだになりましたか….” さすがI さん、言われるまで気付かなかった。 富山は4人目渡辺君が決め、外せば終わりの四中工4人目村澤君は右上に決めた。 そして富山5人目の細木君は中央に蹴りこみ激戦に終止符を打った。




“GK、ちょっと動くのが早すぎましたか….” おもわずこう言ってしまった。だけど蹴ってから飛べというのは妥当なアドヴァイスではないだろう….
富山第一が富山県というよりも北信越勢では初めて決勝進出を決めた。 あの柳澤を擁しても出来なかったのだけど。
GK田子君はこのPK戦で一躍ヒーローに。 結局決勝戦は出場機会が無かったので国立というよりも公式戦に出場時間は数分だったけど人々の記憶に残る数分だった。卒業後はサッカーを続けるのかな….
敗れた四日市中央工はまたも単独優勝に手が届かなかった。しかしこの試合のスタメン5人が1,2年生。新チームも楽しみではないかな。
両チームの選手が挨拶を兼ねて場内を一周する。勝者と敗者。明暗は痛いくらいに対照的だ。
“富一のGKだけこちらのバックスタンドの前で一礼しましたね。” I さんが教えてくれた。あれだけ喜びを爆発させながらもう次の試合に向けて冷静になってるんじゃないですか….と口にした。

まだ両チームの選手が残っているのだけど次の試合の選手達がピッチに入ってきた。
“おいおいもう入ってくるのか?”“放送時間が押しているからでしょうね。” 
そして四中工の3位の表彰は第二試合終了後に行いますとの場内アナウンスが。
“すぐに帰してもらえないの?ちょっとかわいそうだねぇ~。” 
まだ暖かい陽射しが残っている。この陽射しは両チームの選手に何年かしたら違った思いでよみがえるんだろうなぁ~と思いながら次の試合開始を待つことにした…..

国立最蹴章 今年も劇的な… 富山第一 3-2 星陵 13th January 2014

2014-01-18 | 五輪 U-20, U-17
時計の針は78分。スコアーは星陵が 2-0 でリードしている。初優勝、改装に入る前の国立競技場で最後に優勝を果たすまであと10数分だった。 数分前に2点目を上げた2年生の森山君に替わって投入された3年生の長谷川君がドリブルで富山ゴール前に迫る。このままシュートに持ち込むかな、と思ったところにCBの村上君がマークに入る。そして両者は交錯したかのように転倒をした。山本主審が駆け寄る。ここでPKを与えられたら星陵の優勝は確実だ。 しかしイエローカードを取り出した山本主審は長谷川君のシュミレーションを取った。 この瞬間富山県民を始め富山第一関係者は背筋にどっと冷や汗をかいただろう。
早く1点を返したい富山だが星陵DF陣の戻りが早いのでなかなか崩してのシュートに持ち込めない。 後半も40分を回った。高校サッカー魔の5分に入った。 星陵ベンチは主将の寺村君をベンチに下げる。主将としては最後までピッチに居たかったかも知れないけど、替わって入ったのが3年生の稲垣君。 準決勝に続いて国立のピッチに立ててよかったなぁと思った。 
その直後、左SBの竹澤君からロングフィードが送られる。そこには交替出場の村井君が。そして中央に送りまたも交替出場選手、高浪君に渡ると寺田君のマークをかわして放ったショットがGK近藤君を破って星陵ゴールネットにこの試合初めて突き刺さった。




 
喜ぶ間も惜しむ富山イレブンはボールをセットしポジションに着く。 そして再開された試合は富山の波状攻撃が続く。
奇跡が起こるか?いや星陵も必死だ。大きく蹴りだせ。トップに繋いでドリブルで上がって貰え…と呟く。
90分を過ぎる。ロスタイムが3分と表示された。両チームにとっては微妙な長さだ。 
そして91分59秒、スローインを受けた大塚君が渡辺君に送る。DF3人に囲まれながら渡辺君は川縁君に戻す。そして左サイドを上がってきた竹澤君に送る。 竹澤君がドリブルでPA内に切れ込むところに森下君がマークに入る。そのタックルが竹澤君の足元に入ったか竹澤君が転倒すると山本主審はホイッスルを吹きペナルティースポットを指す。 森下君が天を仰いで立ち上がれない。そこに2年生の原田君が駆け寄り先輩の森下君に手を貸す。 そして倒された竹澤君が声を掛ける。この両君は小中学校時代は同じチームでボールを蹴った仲らしい。



主将の大塚君がボールをセットする。歓声が国立競技場に渦巻く。富山第一の大塚監督はライン際で膝を着いてこの状況を見守る。監督の息子でもある大塚君、大変な重圧だろうなぁと思うも落ち着いてゴール左隅に蹴りこみ土壇場で試合は振り出しに戻った。





僅か5分余りで連続失点を喫したGK近藤君の表情が印象的だった。 
そしてタイムアップのホイッスル。富一にとっては歓喜の、星陵にとっては悪夢の同点劇だった。
こうなったら追いついた者の有利と言われるが、富山は追いつく為に守備的選手を下げたので防御は手薄になるはずだ。
星陵にも充分にチャンスがと思った。それにあと20分も国立でプレー出来るんだから….と思った。





富山のキックオフで始まった後半。92分23秒、ロングフィードを受けた長谷川君に村上君と川縁君がマークに入る。そしてこぼれたところを山本君が飛び込んでヘッドを放つがポストの右に外れていく。原田君が詰めたのだが届かなかった。
痛恨のPKを献上した山本君の決死の表情に思わず胸が熱くなる。



97分には星陵藤田君が放ったロングシュートがクロスバーを叩く。追いつかれた星陵がその悪夢を振り払っていると思った。
その直後に星陵上田君が川縁君を倒してファールを取られるがすぐに上田君は手を差し出して川縁君を起こす。そして富山の大塚君も上田君に声を掛ける。激戦の中にも“高校生らしい”シーンが見られて微笑ましく思う。
延長前半終了間際にも星陵長谷川君が左サイドを上がり原田君を経由して中に入れ、長谷川君と藤井君が競りながら飛び込むもここはGK高橋君がキャッチ。追い付かれた星陵が前半はやや攻勢だった。
延長後半に入ると注目の富山第一控えGK田子君がアップを始める。PK戦を見据えるとなれば交替枠は田子君の為に残しておかねばならない。だから延長前半の富山は体力を温存したのかな?と勘ぐった。
105分星陵ベンチは最後の交替選手川森君を投入する。 下がったのは75分に入った長谷川君。 30分足らずでのベンチ後退となった。だけど30分間プレーした国立は良い思い出になるはずだ。川森君は2列目に入ったのかな….
107分57秒。大塚君から細木君に送られるがその前にクリアー。そのこぼれ球を拾った城山君が撃つが前川君に当たりコースが変わる。そして細木君が拾う前に鈴木君がサイドに出してクリアーした。
大塚監督はベンチ前で田子君に声を掛けている。このプレーが終わったら投入かな….
そして城山君が助走を取りロングスローを入れるとボールは高浪君と藤田君の間を抜けて村井君の脚元に。左足から放った村井君の渾身のシュートは星稜ゴールに決まり遂に富山第一がリードを奪った。
狂喜乱舞の富山ベンチ。対照的な星稜ベンチ。河崎監督そして主将の寺村君の表情が。

それでもロスタイムは1分ある。 もう1度ドラマは…. 富山ベンチは最後の交代選手、GK田子君ではなく平君が投入される。3年生の平君、国立のピッチに立てて良かったなぁ…  星稜はCB寺田君が前線に上がるが、111分16秒。主審の試合終了を告げるホイッスルが鳴り響いた。 

あぁ~今年も終わったなぁ~。

 

現行の国立競技場では最後となる全国高校サッカー選手権大会の決勝戦は初の北陸勢同士の対戦となった。というよりも北陸の代表校が決勝戦に決勝戦に進出するのも初めて。最近ではどこの代表校が決勝進出しても昨年の様に雪で順延されたり雨が降ったりといった天候でなくいいコンディションでやらせてあげたいと思うようになってきた。
今年、気温は8.6度であったが快晴の下でキックオフとなった。 

富山第一は1回戦小峯総監督率いる長崎総科大付属を相手に西村君のゴールで先制するも26分には村上君が退場となり残り54分を10人で戦うことに。だが2点を追加し 3-0 とし安全圏と思われたが連続失点を喫し1人少ないながらも何とか逃げ切った。
2回戦では4人の選手が警告を受けながら熊本国府を大塚君のゴールで 1-0 で降し、3回戦の市立浦和戦ではCBに村上君が戻り25分までで3ゴールを挙げ主導権を握るも長崎総科大付属戦同様に連続失点を許す。更に地元の大声援を受けた市立浦和が攻勢に出るも試合も1点差で逃げ切った。
準々決勝戦では川縁君が累積警告で出場できず2回戦で村上君の代わりにCBに入った斎君がボランチに入った。
この試合も攻撃陣は好調で前半を 1-0 で折り返すも後半は3ゴールを日章学園ゴールに叩きこみ今度は守備陣も失点を許さず 4-0 で今大会初めて快勝を納めた。 そして準決勝の四日市中央工戦は2度のリードもその度に追い付かれる展開。PK戦ではスペシャリストのGK田子君の活躍で勝利をものにし2002年、2006年ワールドカップで5試合FWとしてスタメン出場をした柳沢を擁した第73回大会でもベスト16止まりだった富山第一が決勝に駒を進めた。



一方、2回戦から登場の星稜は初戦奈良の一条高校に 5-0 と圧勝。しかし3回戦玉野光南、準々決勝、修徳戦共に 80分間で0-0 後のPK戦を制し国立に駒を進めた。 修徳戦ではGK近藤君が3連続PKをストップし勝利の立役者に。
そして準決勝、連続決勝進出を目指す小屋松君を擁する京都橘を下馬評とは異なり 4-0 で圧勝。本田圭祐時代にも果たせなかった決勝進出を決めた。



富山第一は準決勝戦と同じスタメン。星陵は橘戦で警告を受けて累積警告の為に出場停止となった平田君に替わって鈴木君がボランチに入った以外は同じメンバー。その鈴木君も橘戦は74分から途中出場だった。

佐藤主審のホイッスル後に富山第一のキックオフで始まった決勝戦、序盤は富山が主導権を握る。3分、5分にはFKのチャンスを得る。5試合で13得点中6得点を挙げた富山のセットプレーは脅威だ。9分には星稜仲谷君がスピードに乗ったドリブルで上がって来るが最後はCB村上君がマークに入りシュートは撃たせなかった。それから再び富山が攻勢を続ける。
スタンドからは“星稜ここでかっ飛ばせよ!!”との声援が良く聞こえてくる。観戦した準決勝戦では気付かなかったけどチアーガールに混じり男子選手がセンターに入り共に振付をしてスタンドを盛り上げていたらしいが彼は背番号68番2年生ボランチの奥田聖也君。今年4月に前十字靭帯が断裂し半年間プレー出来ず、今大会は応援団長に回ったらしい。なかなか出来る事ではない。 来年は怪我を完治させて今度はさいたまスタジアムのピッチに立って欲しいものだ。
大会後は彼の雄姿が YOU TUBE にアップされ“チア兄貴”と称され人気者になっているらしい。




だがピッチ上は富山が押す展開が続く。19分には竹澤君のスルーパスを受けた野沢君がシュートを放つがGK近藤君がストップ。 20分31秒には野沢君が今度は中央に送り渡辺君がヘッドを撃つがここはポストの右に外れる。 21分には渡辺君が星稜ゴール前にドリブルで持ち込むが次から次へと星稜DF陣が粘り強くマークに入りシュートは許さない。22分には野沢君がシュートに持ち込むが森下君がブロック。25分、FK のチャンスから波状攻撃を見せ、29分には上田君が西村君へのチャージがファール、イエローとなり得たFKから野沢君が上田君のマークの前に放ったショットは僅かにクロスバーを越える。
主導権は握られても今大会4試合無失点の星稜DF陣の守備の固さが勝っていた。

そして32分久々富山ゴール前に迫った星稜は大きくバウンドしたボールをコントロールしようとした原田君の脇腹にマークに入った村上君の脚が入ってしまい原田君が倒れて起き上がれない。 佐藤主審はホイッスルを吹きすぐにスポットを指し村上君にイエローカードを出す。 ただスタンドは倒れた原田君の方に関心が行った様で星稜応援団もこのPK獲得を喜ぶと言う空気では無かった様だった。
だけどこのPKを主将の寺村君が左隅に決めやや劣勢だった星稜が先制ゴールを挙げた。 寺村君は今大会3ゴール目だったけどすべてがPKだった。 なんだかレンセンブリンクみたいだなぁ…と思った。(関係ないか?)
この試合最初のシュートが先制ゴールになるとは準決勝の良い流れを星稜が引き継いでいると思った。
40分を過ぎた時間に前半はどんなドラマがあるかと思っていたら先制された富山の野沢君が42分に惜しいミドルを放ち、続いて星稜の仲谷君と寺村君が連続してシュートを放ったが得点には至らず星稜リードのまま前半が終わった。



ハーフタイムの間、テレビでは1976年度大会から首都圏開催になり国立競技場が夢の舞台となった過去の大会の名場面を流していた。 当初は関東勢が強く、対抗できたのは静岡県勢と島原商や国見といった小峯先生の指導のかかった高校と四日市中央工くらいだった。 最近は選手権が高校生世代の最高の大会ではなくなってきているらしい。 実際に大会期間中はウクライナでU-18の大会が行われてクラブチームの選手で構成された日本 U-18 が優勝したらしい。
それでも選手権は私を含めて多くの人を惹きつける大会には変わらない。

両チーム選手交替無で始まった後半は46分スローインから繋いだボールを受けた富山ボランチ川縁君のシュートで始まった。川縁君は中学2年の時に母親を火事で亡くしたらしい。 お母さんはその雄姿を見たかったと思う。
後半の最初のシュートを許した星稜だったけど以降は星稜が優勢に試合を進めた。 48分には原田君が竹澤君と村上君のマークをかわしてシュートに持ち込み、49分には寺村君がドリブルで富山ゴール前に迫り城山君に倒されるがノーホイッスル。星稜は鈴木君と前川君の両ボランチが前半から前後の動きが早く攻守に、特に守備にからんでいた。そのせいか後半は立ち上がりから星稜はパスをよく繋いでいた。
1点ビハインドの富山は縦に中にと繋ぐシーンが多くなる。もっと両サイドを広く使えば、と思った。 52分に竹澤君が左サイドをオーバーラップで上がり野沢君からのパスを受け入れたクロスが西村君のヘッドを導いた様に。
60分この試合の最初の交替選手、富山の高浪君が西村君に替わって投入される。準決勝戦に続いて今大会4試合目の途中出場だ。高速ドリブルが持ち味らしい。 65分には右サイドをドリブルで上がり逆サイドの野沢君に振り竹澤君に送るとヒールで野沢君に戻し中の川縁君に。川縁君は相手DFに囲まれながらもドリブルシュートに持ち込むが惜しくもゴールには至らなかった。サイドをワイドに使うとこういうチャンスも生まれるのかと思われた展開だった。
その直後にもCKのクリアーを拾った竹澤君がボランチ細木君に送りクロスが入る。大塚君と渡辺君が飛び込むがここは誰にも当たらなかった。 67分には渡辺君がドリブルで上がるがここはフォローが無かった。 
ピッチをワイドに使い出した富山が次のゴールに近いかなと思いだした70分大塚君からのパスをインターセプトした上田君が富山PAの左側に流れた仲谷君に送る。そして仲谷君が折り返すと中央から走り込んだ森山君がぴたりとヘッドで合わせて星稜の2点目を決めた。 ちょっと川縁君のマークが後手に回ったみたいで充分に競り合えなかったみたいだった。
それにしても2年生FW森山君は京都橘戦に続いての国立連続ゴール。 来年以降も楽しみな選手だ。
そして75分、森山君がベンチに下がり3年生の179㎝長谷川君が投入される。 守りに移るにはまだ早いかなと思ったけど、下がったのが2年生なので妥当かもしれないなぁと思った。そして投入されたのが3年生だし….
あと15分で2点リード。 1997年9月28日のワールドカップ予選の日韓戦で呂比須が下がり逆転負けを喫したけど、あれは73分だったけどあの時は1点差。 この試合は2点差。多分国立初登場の長身の長谷川君をトップに残してロングボールを入れるのかなと思った。そしてこの時点ではあんなドラマがあるとは想像できなかった。

 

大会が終わり3年生達はどうしているだろう。富山第一の優勝は高円宮杯プレミアリーグ勢の初戴冠という事で高体連関係者達の間で話題になっているらしい。 “格上”のJリーグU-18を相手にする時は守備を固めてカウンター狙いになる傾向があり、またリーグ戦とトーナメント戦では戦い方も異なるらしい。
しかしワールドカップは出場国が拡大され世界の戦いはベスト16が出そろってからと言われている。そしてベスト16からはトーナメントで行われる。まぁ日本はまだまだそこに出られるかどうかの線上だけど。 世界の列強は1次リーグとトーナメント戦以降の戦い方が使い分けられるのだろうなぁ…..

同級生は夏休み前に引退するか2学期も続けて選手権都道府県大会に臨むか悩んでいた。
最近の大学受験は推薦制度が多様化しているのでその門は確実に拡がっている。 だから思い切り“部活”に打ち込める今の高校生が羨ましくもある。 

まぁ俺も随分と歳をとったという事か….. 来年はさいたまスタジアム2002 まで出て行こうかな。家から近いし。寒すぎない事を今から祈っておこう。