Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

See you in Gosford ……. ACL 川崎 2-1 Central Coast

2009-04-25 | Football Asia

電車の車窓からも等々力競技場の最寄駅、武蔵中原に近付けば近付くほど雨脚が強くなて来ている事が良く分かった。だが雨脚が強くなればアウェーの Central Coast Mariners に少しでも有利になる、チーム力は劣るがフィジカルに上回る Mariners がフロンターレに近づく事が出来る。試合内容が面白くなる…と思った。 

武蔵中原駅を降り、競技場に着くが更に雨脚は強くなる。向かうはもちろんビジター席側だ。 立見席では20人程度の黄色のユニフォームを着た人達が。早くも盛り上がっている。 “遠くからの御越しありがとうございます!!” と言う内容の場内アナウンスが響くと、更に彼らの気勢が上がった。

        

私も早速彼らの中に加わろうと“小道具”である ワールドカップ1974年大会の Socceroos のJonny Warren のレプリカを取り出して着る。するとすぐに何人かの Mariners サポ達が私の方に寄って来た。 
“そのシャツはどこで買ったんだ? Warren を誰だか知っているのか?” 
“勿論知っている。7年前に彼が書いた本を読んで以来彼のファンだ。前のワールドカップの前に亡くなって大変残念だ。このシャツはシドニーで見つけて買ったんだ。” “オーストラリアに来た事はあるのか?” 
“何度も行った。 A-League の試合も何回も観た。昨年の Grand Final の決勝戦も観戦した。”
そう言って当時の新聞を取り出した。すると更に多くの人達が寄って来た。みな大喜びだった。私も嬉しかった。 あの試合は審判が完全に Jets 側に着いていた、最後のプレーは間違いなくハンドだ。 GK のVukovic には気の毒だった…てな話をした。 そしてその新聞に大きく載っていた当時 Jets のエースストライカーだったJoel Griffiths を指差し “こいつは Shit だ !! “と言うサポーターもいた。 

一向に弱まる気配が無い雨脚の中、選手達が入場しキックオフを迎えた。 Mariners サポ達の殆どはもう“出来上っている” 前節ホームで 0-5 と惨敗した Mariners は下記の布陣を敷いた。

                  19 Simon Matthew
                    188cm/78kg
  
      8 Dean Heffernan  7 John Hutchison  23 Adam Kwansik
          186/81        179/78           179/76

          17 Matthew Osman     2 Gumprecht Andre
               183/75             177/75

   4 Bojic Predrag 18 Alexsander Wilkinson 16 Nigel Boogard 15 Andrew Clark
      180/75         187/85        188/88        180/74

              GK 20 Vukovic Daniel
                    187/96  

殆どの出場選手が180cm以上。 前節と比較すると出場停止だった Bojic Predrag と Simon Matthew をメンバーに入れ4人を替えて来た。 布陣も2トップから Simon のワントップにし2列目に3人並べ右サイドバックに Bojic が戻り前節はそこで起用された Heffernan が中盤に上がった。

ワントップの Simon は188cm の長身。昨シーズンは A-League 21試合に出場し11ゴールを挙げた。北京五輪ではサブメンバーだったが Archie Thompson が負傷し第三戦の Cote d’Ivoire 戦にベンチ入りを果たし73分から出場をした。 
3月5日、Canberra で行われたクウェートとの Asian Cup 予選ではスタメン出場をも果たした。前節の川崎戦では累積警告で出場停止だった。 2列目左サイドの Heffernan は2006/7 シーズンのみだが Budesliga の 1FC Nurnberg に在籍した経験を持つ。クウェート戦ではベンチ入りを果たしたが出場機会は無かった。 ボランチの Gumprecht は1992年から10年間 Bayer Leverkusen をはじめドイツ、イタリアの8つのクラブを渡り歩き、シンガポール S-League の Singapore Armed Forces でも1シーズンプレー。帰国後も NSL でプレーするなどの経歴がある36歳の大ベテラン。 左サイドバックの Bojic は 2001年FIFA U-17 メンバーにも選ばれた選手。
CBの2人は共に長身だ。 Willkinson は187cm 2001年 FIFA U-17, 2003年 FIFA U-20 のメンバー。 188cm の Boogard も 2003年 FIFA U-17 大会のメンバー。右サイドバックの Clark は180cm の36歳の大ベテラン。 
そしてGK がVukovic 。2005年にオランダで開催された FIFA U-20 ではメンバー入りするも正GK Adam Fedrici の影に隠れ日本戦を含めた3試合には出場機会はなかったものの北京五輪最終予選では6試合すべてにフル出場し出場権獲得に貢献。
しかし北京五輪の5か月前に行われた A-League Grand Final では終了直前に主審に手を出し謹慎処分を食らい、五輪もメンバーから外された。
その北京五輪でゴールを守ったのが Adam Fedrici と言う何とも皮肉な巡り合わせ。 オーストラリアでは Mark Schwarzer の後継者とも言われているが今年から始まった Asian Cup はインドネシア戦、クウェート戦共に Adelaide United の Galekovich にポジションを譲り、自身はベンチウォーマーに甘んじている。 今後も奮起に大いに期待したいところだ。
だがこの Vukovich をはじめ FW Simon そして Heffernan の中心選手に海外移籍の話がある事も事実だ…….

         

一方のフロンターレは前節CBだった伊藤が右サイドバックに回り村上が外れ井川が寺田とCBを組む事に。村上に替って井川が起用されたのは井川の方が身長が4cm 高いからかな? 私の注目はかつて愛する京都サンガでプレーした森勇介だった。 
        10 ジュニーニョ 174/67   9 鄭大世 181/80  

    11 ヴィトール 167/63              14 中村憲剛 175/67 

            29 谷口 182/73   18 横山 184/75  

   2 伊藤 183/74   13 寺田 189/80   4 井川182/75   19森 175/74

                 GK 1 川島 185/50

試合は開始早々、豪雨の中の重いピッチもなんのその、2分17秒には谷口のミドルが飛ぶなど川崎が攻め立てる。Mariners も3分11秒に Simon がチーム最初のシュートを放つが以降は防戦一方。5分、7分とヴィトールがサイドをえぐる。10分にはエリアの少し外から鄭が撃つがゴロのシュートは重いピッチにスピードは無くコースもGK正面。 11分には滑るピッチに足を取られた GK Vukovich が足を痛め、右腿にテーピングが施される。集中攻撃を浴びるのは避けられない。Vukovich の出来が試合を左右するので Mariners サポ達も不安か?

      

と思いきや殆どが紙コップを片手に気勢を上げている。 

18分にはジュニーニョが右に流れ上げたクロスからヴィトールがシュートを放つがクロスバーの上。 
Mariners はトップの Simon を残してほぼ全ての選手でゴール前を固める。ジュニーニョ、ヴィトールらの細かい切り返しにDF陣は翻弄され気味だ。21分43秒、久々に攻め上がった Mariners は右からのクロスに Simon がヘッドで合わせる。川崎サポーター席から悲鳴が上がったがノーゴール。 これは帰宅後テレビでチェックすると Simon のヘッドを川島が後逸したがボールはゴールラインを割れずに川島が掴んだシーンだった。雨が降っていなければこぼれ球はゴール内に転がりこんだか? 
Mariners サポの一人が向こう正面の掲示板を指差し “あそこにリプレーは映らないのか?”と訊いてきたが“リプレーは映し出されるが恐らくホームチームのクライマックスシーンだけだと思う。”と答えた。 雨は更に強くなってきて視界を遮る。その上スタンドがピッチレベルと変わらないので数少ない Mariners 攻撃時にこちらからは良く見えない。 だがその後、Mariners の攻撃機会は更に減り、さっきの Simon のヘッドが前半最後のチャンスだった。 
24分には中村憲剛が右サイドを突破しクロスを入れるがここは Wilkinson がクリアー。隣の Mariners サポに “あの14番はナカムラと言う名前で Celtic の Shunsuke Nakamura と同じ名前だがテクニックも同レベルだ。“と教えた。 
彼は中村俊輔の事はよく知っているらしく、また前節の試合も競技場で観戦し No.14 の印象をよく憶えているとのこと。あと No.9 が我々を苦しめたと言っていた。
No.9 は鄭大世。彼は North Korea の代表選手でこの前のワールドカップ予選にも出場したと教えると、なるほどと頷いた。
25分を過ぎるとサポーターの一団が拡声器で音楽を流し出し、そのリズムに乗って踊り出した。 自分の応援するチームが劣勢なのにこうして試合を楽しむ彼らに周りの人も注目し同様に Gosford からやって来た他のサポーター達もそれを見て微笑んでいる。 

      

30分にはエリアのすぐ外そしてゴール正面でFKを与える。川崎サポーター席からは “憲剛 Let’s Go !! “ の声援が飛ぶ。“彼らはなんと言っているんだ?”と訊かれたので “ Kengo Let’s Go と言っている。 中村憲剛はFKの能力も高いのでこう言うポジションで直接FK を得たら彼にゴールを狙うように suggestion する声援が必ず飛ぶ。“と教えた。 そのFKは壁の右をゴロで抜けてゴールラインを割ってしまった。そこに走りだすべくジュニーニョとのタイミングが合わなかったみたいだ。 すると踊っていた Mariners サポーター達からは大歓声が沸いた。 

      

私の周りのサポーター達は川崎の統制のとれたコールに感心していた。 そしてそれをリードするリズミカルな太鼓の音にも。 ”日本は昔から欧州のサッカーに影響されていた。サポーター達もテレビ等で観た欧州のコールや応援歌をアレンジしオリジナルの応援歌、そしてコールを創っている。“と言うと本当に感心していた。
”日本はいつ頃から欧州のサッカーをテレビで中継していた?“との問いに
”今ほどでもないけど70年代から欧州サッカーの試合を放映する番組があった。今は Cable TV やPay per Viewでほぼ毎日 Champions League や世界のサッカーが楽しめる。ワールドカップも日本が初出場をした 1998年大会のずっと前から生中継があり多くの試合を見れた。“と話すと羨ましいとみな言っていた。 
2007年に浦和 REDS が Sydney FC と ACL を戦った時に Sydney サポーター達は統制のとれた REDS サポーター達に感心していた。 ロスタイムの2分も過ぎようとした46分58秒、右サイドを突破したジュニーニョが上げたクロスはゴール前フリーのヴィトールに飛ぶ。完全にやられたと思った瞬間、ヴィトールのヘッドはゴールポストの左に外してくれた。頭を抱えるヴィトール。そしてホイッスルが鳴った。圧倒的に押されながらも前半は無失点に抑えたことからか Mariners サポーター達からは大きな歓声が上がった。 

ハーフタイムを利用して Match Day Program を買いに出かける。 そして帰って来た時には多くの川崎サポーター達がそこにやってきて Mariners サポーター達と記念写真を撮っている。日豪のサポーター入り乱れみな大喜び。子どもたちもやって来た。 

      

そして私はしばらく通訳の役目を買って出た。“どこから来たの?日本には何日いるの?オーストラリアからは何時間かかるの?どの選手が一番上手いの?” 間に入ってそんな質問を繋いであげた。 Mariners サポーター達も子供達に “君達はいくつだい?好きな選手は誰?どの選手が一番人気ある?”と問いかける。
ここに来た子供達はどんな英会話学校に通うよりもずっと役に立つ英語教育を受けたと思った。
後半が始まったが子供達の多くはまだ帰らない。すると開始30秒に川崎が先制ゴールを挙げる。開始早々攻めん込んだ川崎が左サイドでFKを得る。ゴール前に入ったクロスに鄭大世が飛び込む。GK Vukovich が反応良く一旦は弾き出したがこぼれた所をジュニーニョが押し込んだ。 まだ子供達と話している間の出来事だった。スクリーンにリプレーが映されたので先ほどスクリーンの事を尋ねた Mariners サポにスクリーンを指差し教える。 しかし彼が見たかったのはこう言うシーンじゃ無かった事は間違いない。  

だが後半の Mariners は攻勢に出て来る。特に右サイドの Heffernan が良い。1対1でも対等に渡り合えている。55分にはその Heffernan から絶妙のクロスが上がるがここは川島がパンチングで軌道を変える。もしコースが変わっていまかったら飛び込んだ Simon、 Hatchson のいずれかが触っていただろう。 
そして60分中盤でセカンドボールを拾った Clark が相手DFの裏にボールを出すとそこに走り込んだ Simon が伊藤を振り切り放ったシュートはGK川島を破りそのままゴールネットを揺さぶった。 ついに Mariners が川崎からゴールを奪った。サポーター達は大喜び。そしてサポーター達の“宴”にも拍車がかかる。

    

しかし気勢が上がるのはサポーター達だけではなくピッチ上の選手達もそうだった。ボランチの Gumprecht Osman が高い位置を取りだしたのでセカンドボールが拾える様になった。2列目の Heffernan が前線に良いロングボールを入れて来る。 そこに長身のSimon、 Hutchson らが飛び込んでくる。 
川崎は18日の大宮戦から中2日で試合をしているせいかやや動きが落ちて来たか?それとも前半は守って後半勝負との Mariners ベンチからの指示か。 67分には Klark からのクロスに Simon が寺田とせりながらヘッドを放つ。69分には右サイドの Gumprecht からのボールをSimon がヘッドで折り返したところに Kwansik がスライディングシュートを放つ。 

      

その後は審判も Mariners に味方する。70分に65分にヴィトールに替って投入されたレナーチョが右サイド突破を試みる。そこに Boijic がマークに入る。先に手を上げたのは Boijic だったがその手を振り払ったレナーチョのプレーにホイッスルが鳴り、思わず鄭が抗議に。プレー再開後、谷口が Simon のマークに入った所にまた笛が鳴り、その直後にも森が Boijic へのチャージをファールにとられる。この一連のジャッジに森が何か言ったか?イエローが出される。そのFKから Kwansnik が中に入れたころに Boogard が迫るがその前にGK川島がキャッチ。 前半とは打って変わっての Mariners の連続攻撃だった。子供達は“寺田と空中戦で競るなんてすごい。”と感嘆していた。

      

しかし次のゴールを挙げたのは川崎だった。 81分、ゴール前に上がったCKは一旦は跳ね返されたが谷口が拾って中に入れるとレナーチニョが頭で合わせて追加点を挙げた。 マークに入った Wilkinson と入ったばかりの Huke Shane が重なってしまった。 
しかし後半に入っての Mariners を見ると決して同点に追いつく可能性は充分にある。84分に Mariners ベンチは DF Clark を下げて3バックにし前節スタメン出場の 192cm の Macellister を入れ Simon と2トップを組ませる。 85分には Bojic からのクロスに Macellister が飛び込むがここは寺田がクリアー。 ロスタイムに入って Kwansik のクロスに再び Macellister が飛び込むが今度はキーパーチャージを取られた。何とか同点ゴールを。引き分けなら Mariners は次のラウンドに進む可能性がまだまだ残されるのだが……..

3分あったロスタイムを過ぎてもスコアーは変わらず、ホームの川崎がACLベスト16 入りを決めた。 これで Mariners の決勝トーナメント進出はかなり苦しくなった。しかし 試合後も Mariners サポーター達の気勢は止まらず、子供達の多くがそれに追随していた。 私は何人もの人たちと握手や記念撮影そして抱擁を交わし、
“必ず Gosford に来てくれ。 そして今度はここで Mariners の試合を見よう。”とみんなに言われた。 そしていつまでも踊っている集団も......

    

雨脚はまだまだ激しいままだった。 

Gosford から来たサポーター達はみな試合には負けたけど日本での良い思い出を持って帰国をしてくれたと思う。そして日本にJ リーグと日本人持つ hospitality がある事をいつもまでも覚えてくれるだろう…….

           それにしても雨がよく降ったなぁ….  


前アジア王者に惜敗 遠いゴール 4.18 浦和 1-0 京都

2009-04-20 | 京都サンガ J-League
後半17分過ぎから京都もボールが繋がる様になって来た。 
後半開始早々から投入された豊田と林が良く機能している。同点ゴールの予感がしてきた66分相手ボールを奪い、角田が右サイドを上がった投入されたばかりの加藤に出す。 角田が中に戻すとそこに佐藤がスライディングで放ったシュートはGK都築を破るがクロスバーを激しく叩いてしまった。 
67分には加藤からボールを受けた渡邉大剛がドリブルで浦和ゴールに迫る。闘莉王、坪井をかわして放ったゴロのシュートは山田暢久が何とか触ってコーナーに。
触れなければ豊田が走り込んで押し込んだだろう。 
そのデイエゴの入れたCK 水本のヘッドが浦和ゴールに飛ぶが都築がはじきだした。まだ時間は20分以上ある。 今年のサンガは違う。必ず追い付くぞ。そして勝つぞ….そう思って声援を送ったのだが……

    

親子でのJリーグ観戦は6年ぶり。今回は女房抜きで父と息子の二人きり。さいたまスタジアムまで自転車で行く事に。 春の陽気、あぁ親子観戦。 また小さな夢が一つかなったなぁ……
しかし息子は”ビジターサポーター席”にはやや不満顔。なぜなら彼は敬虔な
” REDS Supporter “ 。 息子いわく、”もしREDSが得点してもそんな所じゃ喜べないよ….” 会社の後輩達は ”ずいぶんとかわいそうな事をしますね。ひどい父親だ。” だが息子にも会社の後輩達にも言わせて貰った。 今年のサンガは一味もふた味も違うんやぞぉぉぉぉ….. REDS のゴールシーンが保証されているわけではないんやぞぉぉぉ。  

今シーズンの日程発表があってから楽しみにしていたこの試合。昨年、愛するサンガは浦和のホームゲームは駒場競技場であった。ここさいたまスタジアムでの試合は2006年以来3年ぶり。 あの時はいい処なく0-3 で完敗であった。 昨年も4月26日の西京極での試合は 0-4 と完敗。しかし10月1日の駒場での試合は先制後、逆転されたが後半に追い付いて 2-2 で引き分けた。 
今年のサンガは開幕戦で神戸に 1-0 で勝利と幸先の良いスタート。以降、これまで3勝2敗で6位につけていた。3勝のうち、ガンバそして今季好調の新潟から勝利を収めるなど非常に期待できる内容。柳澤の長期離脱が発覚した直後に鹿島に 
1-2  で敗れたが試合内容は悪くなかった。 それだけにこの浦和戦は勝利の予感が大いにした。いや、勝者こそわが愛するサンガと信じて競技場に向かった。
サンガにこれだけ期待させられるなんて何年ぶりだろう.. 現アジア王者のガンバに勝ったのだから前のアジア王者も連続して征伐してくれるぞ!!と思ったのだけど…..

さいたまスタジアムに到着し入場門を探すがビジターは完全に隔離体制。 
おいおいサンガサポーターは野蛮じゃないぞ…… それに数もそんなには…..
だがスタジアム内に入ると私の予想をまず大きく裏切ってくれた。3年前の REDS 戦ではほんの一握りしかいなかった紫のユニフォーム達は、今回はビジターゾーンをかなり埋めてくれた。半分くらいは…. 予想の2倍は行っていた。 
入口から続く通路の下の地域はみな立ち上がるゾーン(本当はここで観戦したかったけど。) 座って見られる様に通路から3段ほど上の座席に腰掛けた。 
しかしスタメン発表が始まると前の人達も立ち上がったのでこちらも立ち上がらざるを得なかった….. ”座って観たいか?もう少し上の段に上がって観るか?” と息子に尋ねるが、彼は”ここで良い立って見られるし、よく見える。” 何て親孝行な息子だろう。 そういえば5年前アテネ五輪予選の試合観戦に二人で来た時は自由席の観客は皆立ち上がり、息子は椅子の上に立たねば試合が見られなかった。 
あれから成長したな、身長も中身も。 でもやっぱり競技場には立見席を造っておいてほしいものだ。
この日の京都のスタメン、フォーメーションは下記の通りだった。

                                            20 パウリーニョ 
                          10 ディエゴ
   
               16 安藤淳                              22 渡邉大剛 

                       7 佐藤勇人                     3 シジクレイ

          6 染谷悠太       14李正秀     4 水本裕貴     26角田誠

                                       GK 21 水谷雄一

     

2列目左には2年目、関西大学出身の安藤。 シジクレイがボランチに入り佐藤と組む。これは浦和の攻撃対策だろう。 新人の染谷が左サイドバックでこの日もスタメン。左右こなせる渡邉が中盤の右サイドに入っている。FWはパウリがワントップ気味でディエゴが下がり目。豊田陽平、林丈統はベンチスタート。ここに柳澤がいてくれれば本当に勝つチャンスは十分あると確信できたのだが……

ホームの浦和のスタメン、フォーメーションは下記の通りだった。

                                                 17 エジミウソン 
                                24原口 

              34 山田直輝                                   10ポンテ
                         
                        22 阿部                      13 鈴木
   
          3 細貝               4闘莉王        2坪井           6山田暢二 

                                              23都築 


田中達也が怪我の為エジミウソンと組む FW は高原ではなく17歳の原口元気。左サイドバックには三都主ではなく細貝が起用された。 息子の話だと原口のスタメンは予想通りだが左サイドは三都主だと思っていたらしい。

   
    

浦和のキックオフで始まった試合、開始早々から攻勢に出て来るのは赤いユニフォームの方。 44秒には右サイドからエジミウソンが1分10秒には原口が中央からそれぞれ突破してくる。 立ち上がりサンガはこの攻勢におされぎみだ。 6分30秒に、ようやく角田が渡邉からスルーパスを受けて右サイドから坪井と交錯しながらシュートに持ち込む。右サイドを角田、渡邉がどんどん崩してくれればサンガにゴールのチャンスも、と思った7分30秒、あっさりと先制ゴールを許してしまった。 
中央で原口からボールを受けたポンテがシジクレイがチェックに入る前に前線に浮き球を送るとDFラインの後ろに走り込もうとするエジミウソンにピタリと合う。李正秀 がマークにもどるがその前にGKの位置をしっかりと見たエジミウソンがループシュートをゴールに流し込んだ。大歓声が耳に心地悪く響く。絶対に欲しかったそして与えてはいけなかった先制点を奪われてしまった。 
更に浦和は9分3秒には右サイドを細貝が突破しクロスを上げる。これはゴールラインを割ってくれたが、9分36秒には李正秀が中央をドリブル突破試みた所を奪われ、ポンテに先制点と同じ様にDFラインの裏側に浮き球のボールを送られ走り込んだエジミウソンが再びゴールネットを揺らしたがその前にマークに入った染谷を突き飛ばした事でファールを取られノーゴールの判定。 胸をほっとなでおろす。
13分14秒にはポンテから原口に繋がれ、最後は山田直輝のスルーパスを受けたエジミウソンがドリブルシュートを試みるが今度は水本がタックルに入る。14分17秒には山田直輝が水本、李がマークに入る前にミドルを撃つがここは水本の正面。 

浦和はエジミウソン、原口、ポンテ、山田直輝がポジションチェンジを頻繁に行いマークをずらす。特にポンテが左右に動く。そして阿部がどんどん上がってきて押し上げる。 サンガは頼みのシジクレイがこのスピードに付いていけない。 ディエゴ、パウリーニョらの球離れが悪い。 普段は守備的MFの安藤が左サイドに回っているのでこちらサイドからの攻撃力が落ちる。従って浦和DF陣もマークをし易くなる。  
デイエゴがポジションを下げられるので前にボールが出ない。
23分には山田直輝、原口の二人でDFラインを突破されるが最後はGK水本がキャッチ。 劣勢の京都は25分にCKのチャンスを得る。水本、シジクレイ、李がゴール前に入って来る。水本の打点の高いヘッドはGK都築にキャッチされたが、何とかボールを前に出してセットプレーからチャンスを作れないか?と思わせるシーンだった。 

しかし浦和の攻勢は緩まない。 28分左サイドからポンテが真ん中に送るとそこには阿倍が。阿部は李のマークを外しミドルを放つが水本がファインセーブでコーナーに逃れた。 ポンテに容易にパスを出させたシジクレイのマークが甘かった。 それにしても阿部の動きはさすがだ。 攻撃時にはサポートを、京都ボールになるや素早くマークに入る。 こうなると京都は守備を固めて早いパウリーニョの早いドリブル突破等のカウンター狙いにするしかないか?? 31分にデイエゴから素晴らしいスルーがパウリーニョに渡るが得点には結び付かずこれが前半サンガサポーター達を沸かせた最後の攻撃となった。 
浦和は40分には波状攻撃を見せる。サンガはパウリーニョまで戻る。 44分、ポンテからボールを受けた阿倍が右サイドに走り込んだ山田暢久に出す。山田の入れたクロスは逆サイドに流れるがそこにいた山田直輝が中に折り返し原口が放ったショットは李の足にあたり大きく弾み細貝が押し込み浦和が追加点!!と思ったがその前に細貝のポジションがオフサイド。 原口のシュートが入っていれば得点だっただけに再び背筋がぞっとする。 あぁもう完全に力の差が….. と思うもノーゴールはノーゴール。早く1点を返してくれ….と切に思う。 
ロスタイムが1分と表示された直後、右サイドでボールを受けた安藤がマークに入った山田暢久を外し中に切れ込む…. さぁサンガのチャンスだ、と思うも山田は安藤の腿を蹴とばしてストップ。最低でもイエロー、そしてレッドが出てもおかしくない汚いプレーであったが注意だけ。 おいおいカードを出せよ!!子供がいる事も忘れて山田を怒鳴り散らす。もちろん聞こえていないだろうが。 安藤はピッチに出されて立てずにそのまま前半が終了した。 サンガの誰かが後半、山田暢久を同じ目にあわせてくれることを祈った。

前半の総括を息子にしてもらうと、“浦和のパスワークが素晴らしい。京都はパスがつながらない。 よく失点1で済んだと思う。”との事。印象に残った選手は?との問いには “原口と山田直輝” 阿部は?と訊くと満足そうに頷いていた。 阿部は彼の最もお気に入りの選手だ。

春の心地よい風がゆっくりと吹く。少し冷たいか?私はJリーグもJSL時代同様、秋開幕に賛成だが寒いのは苦手だしなぁ…. でもJSLはあの寒さでもよく観戦した。 
もう17年も前のこと、あの頃は若かったからなぁ….
それにしてもさすがはさいたまスタジアム。とても見やすい。横浜国際とは大違いだ。 オーストラリア戦のチケット代3分の1は返して欲しいくらいだ。 

後半に入り京都はパウリーニョ、安藤を下げて豊田と林を投入して来た。安藤の足が心配だけど。これで前線は豊田、デイエゴの2トップに。 林は安藤のいた左サイドの2列目に入った。 そしてシジクレイの位置を高くとらせた。これでサンガが前線にボールの収まりどころが出来、我々の前にある浦和ゴールネットを揺らしてくれそうな気配を感じた。 
しかし決定機を掴むのは浦和だった。と言うよりも原口だった。54分にはポンテからライナーのボールを胸でワントラップした原口がアクロバティックにショットを放つがこれは至近距離にいた水谷がスーパーファインセーブで防ぐ。 更に57分中央から阿部、山田暢久とワンタッチで突破し山田直輝が触れて浮かせたところに原口が飛び込むがここも水谷がストップ。 58分には山田直輝のボールを中央で受けたポンテが戻したところを走り込んだ原口が角田のマークが入る前にミドルを放つがわずかにポストの左。 この際U-20と言わずに6月のワールドカップ予選で起用して欲しいくらいだ。 
その直後、大歓声に包まれて原口がベンチに下がり高原が入る。 息子は少し残念そうな顔。 もう少し原口を見たかっただろうに……

ここから京都が徐々に攻勢に出る。圧巻は豊田。空中戦では闘莉王に負けていない。さすが北京五輪で屈強なCB相手に堂々と渡り合っただけある。 そして林のサイド突破も顕著になって来た。63分にはこの試合既に3人目となる交替選手2年目の加藤弘堅がシジクレイに替って投入された。 加藤は中盤の右サイドに入りそこにいた渡邉は右サイドバックに。そして右サイドバックにいた角田がシジクレイのいたボランチのポジションに入った。浦和は足が止まったかあれほど支配していた中盤を徐々にサンガが支配し始めた。前半あれほど悩まされていた阿部の動きに角田、佐藤のボランチがしっかりと対応できるようになって来た。しかし決定的なラストパスを通させない。 坪井の読みは素晴らしい。浦和のDFラインを突破する事は容易では無かった。 82分にCKのチャンスを得る。 水本、李、と言った長身選手がエリア内に入る。 ゴール前に上がった所を都築と渡邉が交錯。キーパーチャージを取られた。 
    

ロスタイムが5分と表示される。まだまだ時間はある…….
しかしゴールが遠い。そして  主審の長い笛が鳴った。

   

これで対浦和戦はナビスコ杯を含めて9試合勝利から遠ざかったことに。 最後に勝ったのは2002年7月27日駒場で 3-1 で勝利した試合。 それ以来7年も勝ち試合がないのだ。しかし今日の試合を見る限り、サンガが戦力アップをしているのは間違いない。 

   

次こそは…….. 帰りは息子と自転車をこぎながらこの試合の事を話しながら帰った。 こう言う日が来るのも待っていたのだぞ…..

   


ACL2009 明暗分けた A-League 勢

2009-04-18 | Football Asia

 4月7,8の両日、 AFC Champions League の第三節がアジア各地で行われた。 2年前から私の注目のオーストラリア A-League 勢。
今大会は  “一昨シーズン” の Grand Finalist の Newcastle Jets と Central Cost Mariners が出場権を得ている。 しかしながら悲しいかな Salary Cap 制度のある A-League では 2008年2月の Grand Final を終えてから両チームの選手の殆どが移籍してしまい、Mariners は John Aloisi がSydney FCに移籍したり、Tony Vidmar が引退したりで Finalist に出場そしてベンチ入りを果たしただけのメンバーを入れても契約を更新しチームに残留した選手は10人、 Jets は11人。
昨シーズンは今年の2月末をもって終了し Mariners は何とか4位に入り Final Series に進出したが Jets は最下位に沈んだ。 
そしてこのACLの試合ではMariners は CB Alexander William , GK Daniel Vukovic の2人だけが、 Jets は DF Matthew Thompson, Adam D’Apuzzo, Tarek Elrich の3人だけが一昨シーズンの Grand Finalist のメンバー。現在 Jets の FW Sasho Petrovski は当時 Mariners のFWとしてプレーした。  しかし監督は Jets が Gary van Egmond, Mariners が Lawrie McKinna と共に当時のままだ。

先週行われた第3節では両チームとも J-League 勢と当たり結果は明暗を分けた。

8 April Nagoya Grampus Eight 1 – 1 Newcastle Jets

Newcastle Jets は強豪日本の Nagoya Grampus とアウェーゲームながら 1-1 で引き分け価値のある勝点1を獲得、 ACL の1次リーグ突破に向けて重要な前進を遂げた。 Jets は主力のイタリア人選手でかつて Parma, Bologna, Bari ,Lazio にも所属した Fabio Vingnaroli をふくらはぎの故障で欠く苦しい布陣。 Van Egmound 監督は早い時間に失点しない様に試合開始前に選手達に何度も説いた。しかし早い時間の失点したのは対戦相手の名古屋。前半9分に Mareko Jesic の強烈な右足のショットは楢崎が弾きポストに当たる。そのこぼれ球に詰めたTarek Elrich が押し込み先制ゴールを挙げた。

   
 
尚も Jets の攻勢は続き オランダ人選手の Donny de Groot そして Sasho Petrovski の素晴らしいアシストを受けた Elrich が連続して名古屋ゴールを襲う。 後半直後には Adam Griffiths のショットがやや横に外れる。50分にはこの日、大活躍の Elrich のショットを楢崎がストップ、更に Petrovski が楢崎と交錯しゴール前が無人になった所をDe Groot が決定的なシュートを放つが何とボールはポストを外れてしまった。
健闘を続けていた Jets だったがついに65分に Keiji Tamada のFK で同点に追いつかれた。 この日効果的な動きを見せていた Adam Griffiths がエリアの近く、ゴール正面でファールを犯しFKを献上。玉田が Jets ゴールに向けて蹴った弾道に GK Kennedy は一歩も動けなかった。

  

追い付かれてもJets は再び勝利を目指し Jesic がヘッドを放つがここは楢崎が好セーブ。 そして途中出場の Jobe Wheelhouse が88分のチャンスを逸し、試合は 1-1 のドローに終わった。
Jets の得点チャンスはほとんど前半に集中しており後半は守勢一方であったが試合に勝つチャンスもまだあった。Nagoya は試合のほとんどを支配し何とかこの日すぐれた出来の Jets 守備に一穴を開けようと喘いだ。Jets のDF Ljubo Milicevic, 若い Ben Kantarovski そして 中盤が Grampus の攻撃をせき止めていた、そしてGK Ben Kennedy が素晴らしい守備を披露した。
Jets は4人の選手にイエローカードが出され、 Adam Dapuzzo と Milcevic が次のホームでの名古屋戦は出場停止となった。 この勝点1でNewcastle Jets の勝点は4。首位を行く名古屋とは勝点1差。ACL1次リーグ前半の日程を終えてベスト16は十二分に射程距離内である。

この“健闘”に OUTSPOKEN (ずばずば物を言う。) Con Constantine オーナーは試合後、この“強豪”と勝点を分け合った事実を見て “ Newcastle Jets はAsia Champions League で勝つことが出来る”と信じ出した。
昨シーズン最下位に甘んじた Jets はこの ACL に向けて10人の選手を新たに加えた。そして“新装” された Jets が初めて臨んだ ACL 。初戦アウェーの北京国安戦では 0-2 と敗れたが続く蔚山現代をホームに迎えた第二戦は Petrovski の連続ゴールで2-0 と快勝。このアウェーでの名古屋戦が今後の ACL の見通しを立てる重要な試合だった。
試合後 Jets は ACLのタイトルを勝ち取れるチームかと言う質問に対して、
“ 昨夜の試合後、私はそう考える様になった。 Nagoya は私達をさらしものにし自分達の力を見せつけようとしたかった。しかし我々の Boy 達は素晴らしく、もう1,2点奪えても良かった。 Nagoya はこのグループではベストのチームだろう。しかし我々は恐れる必要はどこにもない。 もちろん彼らの”予算“は我々よりも多いだろう。しかし成功を常に買える訳では無い。 ACLには良い手ごたえをつかんでいる。 誰も予想だにしなかったA-League のタイトルを取った時と同じ感じがする。 我々はただ少しばかりの Lady Luck ( 幸運 ) を必要とするだけだ。 “

昨シーズン、その前のシーズンの A-League 王者から急転して League 最下位に終わった事に就いては、
“それはクラブの誰にも受け入れられなかった事だ。そして私にも。 しかし我々はそれを冷静に受け止め、次にいい方向に進む。それが我々が行った事だ。 我々は多くの選手を放出した。のぞむとのぞまざるとそれは起こる事だ。  Grand Final に勝った選手達にあらゆるところからオファーが来た。何人かの選手は当時の2倍半のサラリーを手にする事が。 あなたならどうする? 今我々は全く新しいチームとなった。雰囲気はまったく異なる。この試合でゴール前に置かざるを得なかった Ben Kennedy には10点満点を与えたい。 彼は地元出身の選手だ。監督の Gary van Egmond に就いては彼は Grand Final から昨シーズンまでの過程から多くを学んだだろう。今や彼は再び最下位に沈まない様に努力できるだろう。彼はかつてよりの上手くやるだろう。“ 

Jest のゴールは昨シーズンはワールドカップで第3GKとして Socceroos のメンバーであった Ante Covic が守っており Ben Kennedy は昨シーズンA-League では出場すらなかった。ファインセーブを連発した Kennedy に Constantine もご満悦の様子。
だが昨シーズンまでチームの中心選手だったJoel Griffiths の事となるとトーンが少し変わってくる。 現在 Griffiths はレンタル移籍でチームにはいないがその移籍先が ACL で同じリーグとなった北京国安。ACL初戦では先述したとおり 0-2 で敗れたが Griffiths は北京国安のメンバーとしてプレーした。5月6日の ACL 第5節ではホームにこの北京国安を迎えるが契約ではこの試合に Griffiths はプレー出来ない事になっているらしい。
“ もし Joel がプレーしたいのであれば彼を止めようとする私は何なんだろう? ここに条項がある事は知っている。しかしクラブは彼にプレッシャーをかける事は確かだ。もし彼がプレーするならば私は悲しい。 それは Jets サポーター達に間違ったメッセージを送る事となる。 しかしまだ何も決まっていない、どうなるか見なければならない。”

Newcastle Jets は次節はホームで名古屋グランパス、北京国安と連戦。 そして最終節はアウェーで蔚山現代戦。昨シーズンの Adelaide United に続いて1次リーグを勝ち抜けるだろうか…….

名古屋グランパス    (JPN) 3 1 2 0 4 2   2 5
北京国安         (CHN) 3 1 1 1 2 1   1 4
ニューカッスル・ジェッツ(AUS) 3 1 1 1 3 3   0 4
蔚山現代                   (KOR) 3 1 0 2 2 5 -3 3 

   
  
Central Coast Mariners 0-5 Kawasaki Frontale

Kawasaki Frontale はオーストラリアを訪れ、どのチームよりも精密な準備を施し次のラウンドに進出する事をほぼ確実にし オーストラリアを後にした。 
オーストラリアに姿を現した Frontale は Central Coast に対し ACL 戦で 5-0 と言う勝利を加え 9419人の観客に唖然とさせるパフォーマンスによって畏敬の念をうたせた。24時間前に アウェーで Nagoya Grampus と死闘の末 1-1 のドローを演じた湾岸を通した対面の Newcastle をホームとするJets との違いを“知覚的に”見せつけられた。 
Mariners の Lawrie McKinna 監督は自分のチームのパフォーマンスを“過去最低のもの”と表現する一方で対戦相手を“凝視するに値するチーム”と認めた。

“ Frontale は我々が対戦した中で最も小さな攻撃陣と中盤で形成されていたが、彼らの動き、タイミングは目を見張るものがあり、過去に対戦したチームの中でも最高のチームだった。 しかし我々は不用意にボールを失い過ぎたがそれは相手が偉大なだけではなかった。我々が悪すぎたこともあった。” 
と述べフロンターレの様なテクニックにたけたチームと対戦するには緊張感と貫録にかけたとも語った。
“彼らは随所でワンツーを見せた。 それは我々が改善すべき重要な点である。”

それに対して勝利を収めた Frontale の Takashi Sekizuka 監督は 5-0 としながらも Mariners にリターンマッチに向けての“起爆剤”を与えない。
“ 私が予想した事は大変厳しかった。 我々は充分に準備を行い、その過程でかれらのフィジカルの強さと能力を充分に印象付けられた だから我々は組織的に戦う事をこころがけ彼らの利点を無害にしようとした。”

それでも先制のチャンスは Mariners が掴み Nik Mrdja が放ったフリーのヘッドは GK 川島の正面を突いた。そして8分に鄭大世が先制ゴールを挙げ、22分には谷口、37分にジュニーニョが決めて前半で3点差をつけた。後半開始早々にも中村憲剛が決めて70分にはレナーチョが息の根を止める5点目を挙げた。
Mariners GK Vukovic もなす術がなかった。 そしてこの日 Gosford に集った地元サポーター達はどういう思いで帰途に着いたのだろう…….

   

この敗戦に Mariners の出資者 Peter Turnbull は怒りの矛先を Socceroos 監督の Pim Verbeek に向ける。 
Mariners はつい最近まで代表の左サイドを担う Scott Chipperfield と契約締結の一歩手前まで来ていた。それは地元サポーターのみならず A-League 関係者を大いに期待させるものであった。しかし最終的に Chipperfield は“もう1シーズン FC Basel でプレーする。”事を決意。 多くの関係者達を落胆させた。 

“ Socceroos は選手達を故国に帰還させない様にしている。そして有望な A-League の選手達は次々に海外に目を向ける。これは Mariners の Vice President としての立場で話しているのではない。” 
そして FFA に代表チーム監督に一言言って貰う様に依頼するか?との問いには“ No Comment “ と答えた。しかし Chipperfield に就いてとなると

“ 彼は Newcastle, North Queensland とも話をしていた。そして我々を含めた A-League のチームの何れかと契約を締結するものと思われていた。 4月1日のウズベキスタン戦の合宿前までオーストラリアに帰国する意思を固めていた。しかし代表チームの合宿に参加した途端に欧州にもう1年留まる事を決意した。それは Pim の言った事に耳を傾けたからだ。 Chippefiled は帰国しようとしていた、そしてそうしなかった。 だから私は Jason Culina を尊敬する。 かれはまだキャリアーの中でピークにあり、代表でも中心選手でありながら A-League 入りを決めた。 彼はこれまでの傾向に反して帰国を決意した。それは A-League を信じているからだ。 それは素晴らしいストーリーだ。” 

確かに Verbeek 監督はワールドカップに向けて欧州でプレーする事を大いに奨励している。 A-League と比較すると欧州シーンは絶対的な違いがある事は誰にでもわかっていることなのだけど。 3月5日に A-League 選抜でキャンベラシティーで臨んだクウェートとの Asian Cup 予選では 0-1 で敗れているだけに…..

“この日の敗戦(対川崎戦)で、 J-League がいかに素晴らしいかを証明した。そして FFA を含めたすべての人達が A-League もここまでのレベルになる事を熱望する必要がある。 しかし我々には深刻な問題がある。 A-League での試合内容を向上させるでもなく、FFA の senior employee ( Pim Verbeek ) が Socceroos 達が A-League でプレーする事を奨励しない上に A-League の有望選手達に A-League に留まらずに欧州行きを奨励するこのこの環境の中でどうするのだろう? もし我々が日本のチームに 5-0 で敗れたらどうやって物事をよく出来るのだろう? もし Socceroos 選手が戻ってこなければ、我々のベストプレーヤーをとどめる事を出来なければ? FFA に雇われているある人物は A-League を弱めるコメントを続け、 J-League のみならず中国超級、 K-League との競合も弱めており今や Majour League Soccer でさえ我々の選手達を物色し始めている。“ 

   

Turnbull 氏のみならず、 North Queensland Fury, Gold Coast United そして Perth Glory のオーナー達も公の場で同じ様なコメントを発している。
今の Mariners のメンバーの中でも GK Danny Vukovic そして Matt Simon , Dean Hefferman らの海外移籍が現実視されており、特に Matt Simon は アメリカ MLS  Colorado Rapids への移籍がほぼ決まっているとか…..

Mariners は次節はアウェーでフロンターレ戦、そして5月5日は浦項スティーラーズとアウェー。最終節は天津泰達をホームに迎える。 ホームゲームは1試合しか残っていない。ちょっと勝ち抜くには厳しくなって来た。

川崎フロンターレ    (JPN) 3 2 1 0 7 1   6  7
浦項スティーラース (KOR) 3 1 2 0 2 1   1  5
セントラルコーストマリナーズ(AUS) 3 0 2 1 2 7 -5  2
天津泰達              (CHN) 3 0 1 2 2 4 -2  1

    

最後に言わせてもらおう。footballist 4月22号の31ページのコラムを執筆した”ジャーナリスト”氏に。 Newcastle Jets が A-League を制したのは昨シーズンではなく”一昨シーズン。”そして先月の Asian Cup 予選でのクウェート戦で MathewThompson はフル出場するものの Nikolai Topor-Stanley とTarek Elrich がベンチにおり出場はありませんでしたが、今回のワールドカップ予選に出場した選手は DF のNikolai Topor-Stanley くらいで最終予選での出場者はおりません。

購読料をとるのであればきちっと正確に。


 


ようやく振り返る WBC 宿敵倒してさぁ準決勝戦 !! 日本 6-2 韓国

2009-04-13 | World Baseball Classic

4点リードの最終回。 代打李晋映の打球を片岡がさばき今大会の対韓国戦を2勝2敗とした。

日本が3者凡退に終わった直後の1回裏韓国の攻撃、この日初めてスタメンマスクをかぶる阿部慎之助は外角主体の配球。それは初先発と言うよりも今季初実戦の内海の立ち上がりを気遣ってか? それとも慣れないボールに内海がコントロール出来なかったか? 

先頭打者の鄭根宇にセンター前安打を喫し、続く李容圭に送りバントを決められ、3番金賢泌にエンタイトルツーベースを打たれ先制を許す。この間わずか6球。 さらに続く今大会対日本戦本塁打を含む4安打2四球の4番李泰均を歩かせ、一昨日の韓国戦同様立ち上がりに失点を重ねるのでは??外角主体の阿部―内海の愛するジャイアンツバッテリーの立ち上がりが…と心配された。

  
   

しかし5番李大浩には強気の攻めでサードゴロ併殺打に討ち取った。昨年の北京五輪では本塁打を打たれた“残像”があるのか、今大会はこの試合の前まで対日本戦無安打ではあるが本塁打を警戒して敬遠を含む5四球を許していた。 

2試合連続韓国に先制を許した日本だがその直後の2回表、すぐに追い付く。昨シーズンは本塁打14本を放っているが .日本プロ野球史上右打者最高打率の .378 で首位打者となった横浜ベイスターズの強打者内川が1号同点ホームランを放った。初球、2球目、外角のボール球インコースを上手く打ってのスタンドインであった。第2ラウンド最初の本塁打を放った内川。昨季両リーグ最高の得点圏打率 .449 、14本塁打67打点とは言え長距離打者の印象ではない内川の本塁打は意外であった。しかし、今考えてみれば彼が昨年北京五輪に選ばれなかった方がもっと以外か??

韓国先発はヒーローズ所属の左腕投手の張洹三。2006年のアジア大会、北京五輪アジア予選、世界最終予選と続けて代表入りし、北京五輪では先発したオランダ戦では、8回を散発4安打、無四球で0点に抑え、完封勝ち(8回コールド)。中国戦でも好投し、格下相手とはいえトータルで12回1/3を無失点に抑えた。
昨シーズンは12勝8敗そしてシーズンオフ、思わぬ形で注目を浴びる。それは、三星(サムソン)へ30億ウォン(約3億9,000万円)での金銭トレードが発表されたからだ。その金額は張ウォン三の昨季の年俸、8,000万ウォン(約1,040万円)の37・5倍にもなる高額。これは、球団を維持するため、大金を手にしたいヒーローズと、左腕エースが欲しい三星の利害が一致したものだった。しかし、この移籍話にKBO(韓国野球委員会)が待ったをかける。ヒーローズは消滅した球団に代わって発足した経緯から、トレードにはKBOの承認が必要で韓国球界は、球団維持のため大物選手を「人身売買」し挙句は消滅という過去もあり、結局、このトレードはご破算となったが、これで張の評価は一気に上がったらしい。
今大会はこれまで東京ラウンドで日本がコールド勝ちした試合に3番手として登板し 2回 1/3 を投げ中島に2塁打を打たれるなど3失点を喫した。

   

同点に追いついた日本は、続く村田は初球の外角低めを逆らわずに右中間にはじき返す。岩村は 1-2 から打ってショートゴロ、第2ラウンド崔延がワンバウンドの送球、1塁手金泰均が取れずに1死1,3塁とする。 阿部は三振に終わるも9番片岡が初球外角高めのストレートをライトに打ち上げた打球が右翼手李容圭の前に落ち幸運な逆転打となった。
前の韓国戦と異なりこの試合は日本にもツキが回ってきたが、村田の打球をファンブルした中堅手の李宅根、そして崔延、金泰均といった内野手の失策はこれまでの韓国らしからぬところだった。 前の韓国戦では立ち上がりの連続失策で先制を許した日本守備陣であったが、この日は逆転直後の2回裏1死で頭部に死球を受けた李容圭の代走李鐘旭を1塁に置き3番金賢泌がフルカウントからチェンジアップをライト方向に叩きた打球を1塁手村田が軽快にさばき李鐘旭を2塁に封殺する。村田の動き、村田からのワンバウンドの送球を走者と交錯しそうになりながら上手く受け取った中島の動きが光った。
そして続く3番、昨シーズン115試合31本塁打92打点の李泰均に対し日本ベンチは内海からオリックスの小松にスイッチ。バッテリーは今大会対日本戦本塁打を含む4安打2四球の李泰均に対し変化球で攻め最後は大きなカーブで見逃しの三振をとり無得点で切り抜けた。 このイニングに失点しなかったのは大きかった。 
そして2番手小松の巧投が光った。2回 2/3 を李大浩の四球1つに抑え無安打5三振に抑えた。 ただジャイアンツファンとしては内海の中途半端なピッチング内容は少し気になるところ。 上原が抜けジャイアンツでもそして日本代表でも投手陣の中心となってほしいのだけど….

    

こうなると早く追加点が欲しい展開。 しかし3回表2死2塁の好機、内川のフルカウントからの6球目、センター前に抜けようかという強烈な当たりも、セカンド鄭根宇のファインプレーで阻まれる。7回には先頭打者の阿倍が 2-1 からチェンジアップを中堅前に弾き返し出塁。続く片岡はバント失敗もあり 2-0 と追い込まれるがファールで粘り9球目の高めのカーブを選んで1塁に歩き無死1,2塁と絶好のチャンスを迎える。しかし韓国3番手李在雨は後続のイチローをセンターフライに、そして中島を併殺打に打ち取り追加点を阻んだ。さすが昨シーズン中継ぎだけで11勝3セーブを稼いだ右腕投手だ。
6回途中から登板していた3番手の田中将大は7回先頭打者の李机浩に 0-2 からストレートを打ち返されセンター後方に飛び込む同点打を打たれた。

   

   

ペトコパークは右中間が 400 ft 左中間は 401ft センター後方は 396 ft 。変化球でストライクが入らずストレートを投じた所を狙い打たれた。続く李宅根には 2-2 からサードに大きく弾むゴロを打つ。3塁の深いところで掴んだ片岡の送球はわずかにそれて李宅根を塁に残した。 片岡は本来三塁手では無いにもかかわらず好守を見せてきただけに、ここは片岡を責め難い。
3番手投手の田中将大は登板直後から韓国の誇る長距離砲、李泰均、李大浩を変化球で連続三振に打ち取っていただけに李机浩に変化球で入ってストレートを打たれた。

    

2回に逆転してから5回を除く毎回走者を出していたが追加点の好機を逃し続けたツケがここに回ってくるのかと不安にさせられる展開であった。
ここで韓国ベンチはメンバーの中で唯一のメジャー選手秋信守を代打に送れば日本ベンチは田中を下げて左キラーのジャイアンツの左腕投手山口をマウンドに送った。 山口は初球変化球後の2球目をインコースにストレートを投じ秋信守のバットをへし折るシュートゴロ併殺打に打ち取った。山口は東京ラウンドの韓国戦では李宅根に四球を与えただけで降板しただけに準決勝戦以降に向けて、またペナントレースに向けて自信が回復しただろう。日本ベンチは続く右打者の朴基赫を迎え、山口に替えて西武ライオンズの涌井を投入。 涌井は期待に応えて朴基赫を低めのスラーダーで三振に討取り後続を断った。 山口、涌井の見事なリレーだった。特に本来先発投手の涌井には難しい場面でのワンポイントリリーフだったが見事に責任を果たした。涌井は昨シーズンクライマックスシリーズでMVPに輝いたが北京五輪では出来も今一つ。シーズン成績も北京五輪での離脱はあったが10勝11敗でチーム内の勝星数では帆足(11勝6敗)、山岸(12勝4敗)に次いで3番目。しかし今回のWBCでは西武投手陣のなかからただ一人選出された意地を見せた。

それにしても金寅植韓国代表監督は併殺に倒れた秋信守の不振というよりも“体調不良”には頭が痛いだろう。前回は李承、朴賛浩ら“海外組”がチームを引っ張っていただけに…….

8回表、韓国ベンチは4番手呉昇桓を投入する。前回のWBC,北京五輪そしてドーハのアジア大会にも選ばれた右腕投手だ。昨シーズンは39セーブを挙げて3年連続セーブ王になった。 57回 2/3 を投げて51個の三振を取った。しかしここは“適所”ではなかったせいか先頭の青木にセーフティーバントを決められ、続く城島には何と代打の稲葉が送られ 1-3 からライト前に打ち返す。エンドランがかかっており青木は3塁に進んだ。そして続く内川には左打者の小笠原が代打として送られた。ここで呉昇桓は降板し左腕の金廣鉉が登板。韓国ベンチとしても金廣鉉の復調無くしてWBCの優勝は難しいと思うところだろう。しかし日本ベンチも小笠原の打棒復帰(特に原監督は)には必至だ。 小笠原はそれまで対韓国戦8打数1安打4三振と不振だったがここは左腕、金廣鉉の外角低めのスライダーを膝を折ってライトに打ち返す勝ち越し打。1塁ベース上での喜びようが印象的だった。

  

更に続く途中出場の亀井が送り、岩村の2点タイムリーを呼ぶ。これでこの試合は決まったと言えた。北京五輪では日本キラーであった金廣鉉はこの試合もスライダー、ストレートをそれぞれタイムリー打され2失点。今大会初スタメンで北京五輪ではマスクをかぶった姜眠鍋はベンチに下がっておりベテラン朴勍完がマスクをかぶっていた。それも今大会不振に関係あるか? 東京ラウンドでは全く不振だった岩村は第2ラウンドで完全に復調。この試合は初めて7番で起用され2安打、アメリカラウンドで12打数6安打となっている。こうなればあとはイチローの完全復調が待たれる。前日のキューバ戦では最後の2打席で連続安打を放ったがこの試合ではなかなか韓国投手陣から最初の打席では 1-0 からストレートをレフトフライ、2打席目は2回2死1,3塁から初球を打ってファーストゴロ。第3打席は4回2死2,3塁から2番手李承浩に変化球で揺さぶられながら 2-2 からストレートを打ち返すもあとひと伸び足らずライトフライとブレーキになっていた。しかし最終打席は右腕投手の林泰勲の内角カーブを振り抜き右中間を破る2塁打を放ち青木のタイムリー打でダメ押しのホームを踏んだ。 これで次のアメリカ戦で完全復調してくれればよいのだけど。 

  
    

韓国最終回の攻撃は藤川が抑えて今大会の韓国戦の連敗を2で止めた。藤川が三振を一つも取れなかったのが気にかかるが…..

これで今大会の日韓対決は2勝2敗となったが共に準決勝進出を決めた後の試合で韓国側は “勝負にこだわらなかった”という内容の報道が多かった。 もし韓国が勝っていたらどういう報道をしたのだろう….. こうなれば準決勝に勝って決勝でもう一度韓国に勝って対戦成績を3勝2敗として終えてほしい…. そう強く思った。 

  

ただ途中で負傷した村田が心配になった。 横浜ファンはもっと不安だろうなぁ..... 

  
    


ようやく振り返る WBC あぁ日米決戦 日本 9-4 アメリカ

2009-04-12 | World Baseball Classic

3月21日。Doger Stadium で行われた準決勝戦。韓国がベネズエラの “お株を奪う” 秋信守、金泰均の本塁打を含む長打攻勢で2回を終わって 7-0 と大量リード。
3月14日 Round 2 Game 1 オランダ戦で7回1失点と好投した Mariners の Carlos Silva は先頭打者の李容圭を歩かせ次打者鄭根宇 は打ち取ったからに見えたが右翼手の Bob Kelly Abreu が落球。以降大量失点を招いてしまった。 
エラーをした Abreu は昨シーズンまで New York Yankees に所属し、今シーズンから Angels に移籍するが今大会のメンバー28人中22人が MLB 選手。大会前は優勝候補だったけど韓国の前に決勝進出は阻まれた。 
金寅植監督としては不振だった秋信守に一発が出た事を喜んでいたことだろう。 これでもう一度韓国と対戦する可能性が決まった。勿論日本が準決勝戦の日米対決を制すればの話だが。

小学校の時 “読書週間” が毎年あり学校の図書館にある本を読んで読書感想文を書くことが義務付けられた。 私を含めて男の子達はとにかく“偉人伝”の棚にある“ベーブ・ルース” が “ルー・ゲーリック” の伝記を争って借りようとした。退屈な本を“読まされないように。” 
残念ながら私はそれらの伝記の感想文を書くことが出来なかったが、期間外には読むことが出来た。本の解説の部分に当時来日した大リーグ選抜チームのメンバーが紹介されていた。そしていつの日かこういった日米対決が見られないかなぁ…と想像をした。

1971年、愛するジャイアンツが7連覇を達成したシーズンオフ。ボルティモアオリオールズの来日と主力選手が紹介された。 

“さぁ日米決戦だ。王や長島がホームランやヒットを打ってくれるぞ。堀内、高橋一三がアメリカのバッターを抑えてくれる。” 

そういうシーンを想像しわくわくした。しかし蓋を開ければ後楽園球場での開幕戦でジャイアンツは 4-8 で敗れ、以降も当時の主力選手、Bロビンソン、F. ロビンソンそしてパウエルらが日本の投手陣をガンガン打ち込み。堀内、高橋ばかりか日本選抜チームの先発として登板した江夏も打たれた。 ある試合で一度堀内が好投したのを覚えている…
投手陣ではジム=パーマー、マイク=クウェイヤーら20勝投手を4人擁したらしく、そのローテーションの前に日本打者の打球の飛距離、勢いがアメリカの選手とまったく違った。そんな中、ミスタージャイアンツ、長島が攻守にハッスルしていたのを覚えている。 アールウィーバー監督時代の全盛期にあったオリオールズは18試合中、12勝2敗4分と強さを見せつけて帰国した。 その来日メンバーに後にジャイアンツに入団したデーヴ=ジョンソンがいたらしいが覚えていなかった。 

あぁやはり日米決戦なんて….

とひどくがっかりした。

その3年後、今度は New York Mets が来日した。 Orioles の強さを覚えていたので “またぼろ負けだろうなぁ。”と思っていた。 
しかしこのシリーズ、私の神様、王貞治が絶好調。初戦は逆転満塁本塁打をかっ飛ばしたのを覚えている。 さらに以降の試合ではチャンスで王様が打席に立つと捕手が立ち上がり1塁に敬遠をする。それが1度や2度では無かった。
時差等のコンディション不良もあったのだろうが開幕当初は日本側の連戦連勝。結局、終盤は Mets が底力を見せ勝ち越しを決めたが、3年前の Orioles 戦とは比較にならない健闘を見せてくれた。
そしてこの日米野球のもう一つの楽しみはこのシーズンオフに引退を表明したばかりの長島茂雄の最後の現役雄姿だったけど、代打出場が多く“スタメンでガンガン使ってくれればいいのに….” と思った。 でもそれは無理なお願いだったのかなぁ….

以降1978年には Cincinnati Reds, 1981年には Kansas City Royals が来日。その間 1979年に American League と National League の選抜軍が来日し何試合か行い、“連合チーム”が日本選抜チームと2試合行った。1勝1敗だった。1敗後の第2戦では当時阪急ブレーブスの内野手だった島谷が 0-2 とリードされた終盤代打逆転3ランを放ち“歴史的な勝利”を挙げた。 
しかしもう高校生になっていた自分は昔ほど“嬉しい!!” とは思わなかった。 
その後何度かメジャーリーグ選抜チームが来日しているが、日本選抜チームとほぼ互角の試合が続いた。ただ彼らもプライドを見せる年もあり 1986 ( 6勝1敗 ) 1992 ( 6勝1敗1分), 1998 年 (6勝2敗)は日本選抜を圧倒した。おそらく何人かの日本選手側も “シーズンオフに真剣勝負なんて…” と思っていただろう。

2006年にスタートした World base Ball Classic 、ついに野球の World Cup が始まった….と期待した。確かに日本、韓国そしてキューバを含む中南米諸国は大いにハッスルするが肝心のアメリカ側はどうもこの大会を“シーズン前の招待試合。”程度しか考えていないみたいだ。 
それは大会ルールの設定に見られる。 まず日本側が主張した球数制限撤廃案に対しては第1ラウンドは70球、第2ラウンドは85球、準決、決勝は100球と前大会よる5球ずつ増やされだけに留まり、WBC公認球に就いては北京五輪でも使用された “ミズノ150”と呼ばれる IBAF (国際野球連盟)公認球でなくコスタリカ製のMLB公式球が今大会も採用されたがそれは”参加選手の半数以上が MLB の選手であるから。“と言う 滅茶苦茶な理由から。 
そしてもっと不可解なのが主審。 第2ラウンド、即ち舞台がアメリカ大陸に移されて以降球審は全てアメリカ人。理由は”半数以上がメジャーリーガーでメジャーのストライクゾーンに慣れているから。“との事。とても国際大会とは思われない理由からのルール設定だ。 
その背景には大会を運営がメジャーリーグとメジャーリーグ選手会が50% ずつ出資して設立された WBCI によるもので出場チームの交通費、滞在費そして賞金を提供しているからだ。しかしこの大会は30%以上を賄う読売グループを筆頭とするジャパンマネーのスポンサー無くして開催できないと言う事実、大会開催、運営を見ても日本がここでも国際社会でおなじみの “ ATM 役 “ を押しつけられていると言う事実を忘れてはならない。

前回、ボブ・デービットソンによって負けさせられたそのリベンジを果たすべく準決勝戦。日本の先発松坂がプレーボール後の初球を振りかぶる。先頭打者、Baltimore Orioles の Brian Robert は全く打つそぶりをなく見送り、2球目、真ん中に入ったストレートを一閃すると打球はセンター後方に向かって延び福留の頭の上を越えてスタンドに入ってしまった。

  

前大会はイチローの本塁打で始まった日米対決。今度はアメリカ側の先頭打者本塁打で幕が開けた。松坂は前大会の決勝戦のキューバ戦でも初回先頭打者本塁打を浴びた。 昨シーズンの B. Robert は155試合に出場し .296 ,9本塁打 57打点。40盗塁で長距離打者のイメージは低かった。しかし昨シーズンは松坂に対して .500 以上の戦績を残したらしい。 松坂の昨シーズン18勝を挙げた松坂は 167.2 回を投げて 2.90 被本塁打は12本だった。

先頭打者本塁打に私はアメリカ野球のすごさを見せつけられるのでは….と思った。続く注目の対決 Yankees のJeter は内野ゴロに討ち取り、後続を抑えたがストレート思う様に走らず変化球のコントロールにやや苦しんでいる様に見えた。 それでも今シーズンから Washington Nationals に移籍し昨シーズンCincinnati Reds で32本塁打を放った Adam Dun を見逃し三振に打ち取った変化球は見事であった。

アメリカの先発は MLB 通算 129勝 Astros の Oswald Roy 。昨シーズンは 208.2 回を投げて 17勝 10敗 防御率3.54 。 シドニー五輪では金メダルを勝ち取ったアメリカチームのメンバーだった。 Oswald はイチロー、中島、青木の3者を凡退させる上々の立ち上がり。昨シーズンは奪三振 165 与四死球 47 まだ3月なので剛速球を投げるというよりもテンポ良く投げ込んでいた。

    


一方松坂は2回に入ってもボールは先行する。 McCan ( Atlanta Braves ) を歩かせDeRosa ( Chicago Cubs →Cleveland Indians ) には 0-3 まで追い込まれレフトへあわやという大飛球を打たれた。何とか無失点に切り抜けたが最初の2回で35球を要した。
初回は3者凡退に倒れた日本打線だが2回に同点に追い付く。先頭打者の稲葉が選んで出塁した後小笠原が 2-3 から低めのストレートをレフトへ流し打ちそしてヒットエンドランが成功し無死1,3塁のチャンスに福留が倒れた次の城島がライトに犠牲フライを打ち上げ稲葉が同点のホームを踏んだ。 昨シーズン与四死球47とコントロールには定評のあった Oswald だったがこの回はボールストライクがはっきりしておりストレートでしかストライクを取れないので3ボールからのストレートを日本打線に狙い打たれた。

   
  
だが松坂は3回も調子が上がらない。 Robert, Jeter を討ち取った2死から2007年シーズンMVPのRollins ( Philadelphia Phillies ) に 2-2 からファールで2球粘られた後の7球目、甘く入ったカットボールを左中間に打ち返された。そして次打者4番 David Wright ( New York Mets ) の初球に盗塁成功。昨シーズン47盗塁の健脚を見せる。 そして Wright は 2-3 からの8球目の外角スライダーをライトフェンス直撃の2塁打を放ち、 Rolling が追加点のホームを踏む。その前のきわどい球をボールと判定されたのが痛かった。 Wight は昨シーズン160試合に出場し .302 33本塁打 124打点。 Mets の大スター。1塁が空いたので歩かせる手もあったが続く Adam も昨シーズンは32本塁打なのでそうそう歩かせられなかったのだろう。そして Adam は敬遠気味に歩かせ、続く Braun Ryan ( Milwaukee Brewers ) との勝負となった。151試合出場 37本塁打106打点 .333 のBraun に対して松坂は 1-3 まで追い込まれたが最後は外角ストレートで空振り三振に打ち取り失点を1に抑えた。2死無走者からの失点はやはり痛かったか….がこの回だけで松坂は30球を投げた。

         

    

しかしこの日の日本打線は好調だった。4回裏稲葉、小笠原の連打で掴んだチャンス、福留が 1-1 から引っ張った内野ゴロを Roberts がはじき稲葉が同点のホームを踏むと続く城島がこの日2つ目の犠牲フライをライトに打ち上げ試合をひっくり返した。城島は 0-3 から次の球を思い切り振りファールとなったがその積極的なバッティングが犠打を呼んだ。この日の Doger Stadium はライト方向の打球が良く伸びた。それを狙った外角低めの球をうまく運んだ外野フライだった。尚も続く岩村が初球を引っ張りライト方向に打ち返した打球は Adam の頭上を襲う3塁打。小笠原が追加点のホームを踏み、続く川崎は緩いカーブをひきつけライトに打ち返し岩村を還して あっという間にスコアーを 6-2 とした。  

   
この回のOswald はストレートのスピードが鈍り、変化球ではストライクにならずのピッチング内容。更に青木が 0-3 から右中間にはじき返す2塁打を放ち更に1点を加えるなど日本打線が 0-3 からもバットを出す積極的なバッティングにアメリカバッテリーもかなり戸惑い模様。 日本に6点目が入ったところで先発 Oswald はマウンドを降り2番手に Pittsburg Pirates の Jhon Grabow がマウンドに上がった。

     

時折アメリカの Johnson 監督が映し出される。 
現役時代は読売ジャイアンツで2シーズンプレーをした。マスコミは彼の事を
“ポスト長嶋の期待に応えられなかったジョン損”と表現するが、これは完全には正しくない。 
1975年長嶋ジャイアンツの1年目にデーヴ=ジョンソンは入団するのだが、それはシーズンの途中から。元々2塁手でシーズン43本と言う2塁手としては年間最多本塁打の MLB 記録を持っていた。しかし彼が起用されたポジションは三塁手。ここは前年から“ポスト長嶋”として期待されていた富田のポジションだったが、このシーズンの富田はさっぱり打てず打率は1割台で代わりにジョンソンが “あてがわれた。” 慣れない守備にジョンソンのバットも快音はなかなか聞かれず、連続三振の記録を樹立したり、打率が1割以下に落ち込んだ時に、ジョンソンに替って送られた代打の大北が逆転本塁打を放つなどマイナスイメージばかりが目立つシーズンであった。
ジャイアンツも最下位に沈みまさに“ジョン損”な1年であった。

しかし翌シーズン張本、が富田、高橋一三らとトレードでジャイアンツに入団。高田が左翼から三塁にコンバートされ、ジョンソンは“得意な”2塁手に戻った。2年目のジョンソンは打撃も好調でしばしばファインプレーを見せ攻守にわたってチームに貢献。長嶋ジャイアンツはシーズン最後の広島戦で優勝を決めたがその試合でもジョンソンはホームランを放った。1年目は 91試合に出場し .197 13本塁打 38打点 71三振だったのが2年目は 108試合 .275 26本塁打 74打点 62三振であった。 
オロナミンCのCFにも起用され“ボク、ジョンソン…” と言う台詞は当時のジャイアンツファンには微笑ましく響いた。
しかし阪急との日本シリーズではジョンソンは全く活躍出来なかった。初戦、第二戦と連敗のジャイアンツの中でジョンソンも2試合連続で4打数0安打2三振。ついに第三戦はスタメンを外れジャイアンツも3連敗。第4戦にジョンソンはスタメンに復帰するものの4打席1死球2三振無安打。チームは勝ったが以降ジョンソンのスタメンは無くシリーズ13打数6三振無安打に終わり、シリーズ終了後再びジャイアンツのユニフォームを着る事は無かった。原因は起用法と複数契約を希望するジョンソン側との折り合いがつかなかった事と記憶している。 
確かに日本シリーズの起用法は少し不運でもあった。このシリーズは2番サード高田も不振で第5戦までで15打数2安打。1番柴田が好調で3番張本、4番王につなげる為に他の2番打者が必要となった。 高田に替る三塁手はおらず適任な2番打者として土井正三が浮上してきた、事実ジョンソンに替ってスタメン起用された第三戦で試合には敗れたが土井は1安打1打点。 そして第5戦以降は11打数3安打。ジョンソンに替って結果を残した。

帰国後はNew York Mets を World Series 優勝に導くなど指導者としても成功を収め、MLB選抜チームの監督として“凱旋来日”を果たした。 その時の日本マスコミの手のひらを返したような対応は滑稽であった。その後北京五輪代表監督として星野ジャパンを破り銅メダルを勝ち取ったがこの WBC は少し気の毒であった。

   

日本が2月、韓国が1月に始動したのに対し、アメリカチームは3月になってようやく選手達が“練習”を始めた。それは所属先のチームからの“強い要望”だったらしい。また選手選考も各球団から横やりが入る等昨シーズン39セーブの San Francisco Giants のリリーフエース Joe Nathan, 30セーブのAngels の Brian Fuentes らが相次いではいり辞退。 
大会に入っても Boston Red Sox のDustin Pedroia ( 157試合 .326 17本塁打 83打点 ) Atlanta Braves の Chipper Jones ( 128試合 22本塁打 74打点 .364 は昨シーズン National League の首位打者 ) Boston Red Sox の Kevin Youkilis ( 145試合 .312 29本塁打 115打点 ) らが故障で離脱。
しかも国民から絶大な声援があった訳でもなく、球団経営者達は過敏な反応を示しクレームを付けまくる。 それでも故障を抱えながら必死に戦う David Wright や Ryan Braun そして2大会連続で大会に参加した Derek Jeter を見ると試合終盤は彼らに心の中で拍手を送った。8回には Braun, McCan の2塁打で2点を返し意地を見せたがその裏に Diter のエラーやイチロー、中島の安打で3点を追加した日本に最後はダルビッシュにしめられ決勝戦に辿り着く事が出来なかった。

日本は2大会連続で韓国の待つ決勝進出が決まった。 しかし私はまだまだ日米間の野球に大きな実力差があると“信じている”。 
もしシーズン中に今年選ばれる“オールスター”チームと対戦すれば世界中の代表チームを一蹴してしまうのではと思う。例えそれが日本でも韓国でもキューバでも。 真の日米対決…..私が元気なうちに実現する事を願う。


ようやく振り返る World Base Ball Classic 決勝戦 日本 5-3 韓国

2009-04-08 | World Baseball Classic
熱戦 激戦 粘戦  宿敵倒して日本連覇

1点リードの9回裏。この回からマウンドに上ったダルビッシュ有は先頭打者の代打鄭根宇をスライダーで三振に打ち取ったが、続く金賢洙をストレートの四球、そして金泰均も歩かせた。日本投手陣が今大会金泰均に与えた4個目の四球だ。
初戦で松坂が2ラン本塁打を打たれており、また準決勝のベネズエラ戦でも本塁打を放っているせいか金泰均には外角中心の配球だ。この試合はこれまで無安打だったがこの打席はスライダーが外に外れて歩かせた。

そして韓国チーム唯一の MLB 選手秋信守を迎える。5回には岩隈からセンター越えにソロホームランを打っている。しかしここはスライダーがうまくコントロールされ三振。大会連覇まであと一人となり打席に李机浩を迎える。前の打席では岩隈から2塁打を放ちホームを踏んでいる。 李机浩は昨シーズン韓国リーグでは19本塁打77打点。今大会はここまで対日本戦14打数4安打、Round 2 Game 6 では田中将大から本塁打を打ち、Round 2 Game 4 ではダメ押しの押し出し四球を岩田から選んでいる。なんだか“ラッキーボーイ的要素を持った” 嫌な選手だった。
日本バッテリーは初球 130km のスライダーで入り2球目は内角に150 km のストレートでストライクを取った。前の打席では岩隈のスライダーを打ち返している。スライダーかストレートか。ダルビッシュがこの試合投じた 21 球目のスライダーは甘く内側に入り、李机浩は渾身のスイングで打ち返し三遊間を破る。 金賢洙の代走の2塁走者 李鐘旭が駆け抜け同点ホームを踏んだ。 李机浩の一撃も見事だったが代走を送った金寅植監督の起用も見事。北京五輪の準決勝戦で李大浩の代走として起用された鄭根宇が代打李鎮万のタイムリーで同点ホームを駆け抜けた事を思い出した。 
あぁ藤川はどうした、涌井を続投させても良かったか….. 9回表のチャンスに追加点が入っておれば….. 韓国ベンチ、韓国応援団が大騒ぎのなか高永がボックスに入る。ダルビッシュは続投だ。 高永とてここでサヨナラを打てば日本が3回に先制点のきっかけとなった失策と5回同点後2塁で狭殺された借りが帳消し出来る。
しかし日本バッテリーは150kmを越えるストレートを3球続け 2-0 からの1球ファールの後の4球目、スライダーを空振りさせ逆転は阻み決勝戦は延長戦に持ち込まれた。 土壇場で追いつかれたのは痛かったが韓国も3,4番に代走を送って勝負をかけたイニング。このまま延長にもつれ込めば総力戦では日本が有利になると思った。 

  

10回表の日本の攻撃、先頭打者の内川が 2-1 から右翼方向に打ち返し出塁を果たし、続く稲葉が初球を送りバントを決め岩村を迎える。東京ラウンドでは不振であったがアメリカに来てから準決勝を終えて14打数7安打。この試合では7回に韓国2番手鄭現旭から犠打を打ち追加点の3点目をもたらした。この打席ではレフトに流し打ち1,3塁とし川崎が代打に送られる。しかしここはマウンド上のヤクルト所属のリリーフエース、林昌勇が踏ん張り初球を内野フライに打ち取る。見逃せばボールではなかったか?? 
だが次に迎えたのは世界のイチロー。この試合はこれまで3安打。 バッテリーが勝負に出るかが見どころ。初球を147kmのストレートを投げ込みここは勝負。 続く2球目に岩村が2塁に走るがバッテリーは無警戒。ここで1塁が空くも次の一投は 149km のストレートをアウトハイに。イチローの打った打球は3塁側スタンドに入る。ここは勝負と決めたか? 2-2 からの8球目、それまでストレートで押していたバッテリーが選んだ球種はスライダー。それが高く入った。イチローのバットがその甘い球をセンターに打ち返し2者を迎え入れた。 日本列島が歓喜に沸いた瞬間だ。
でもバッテリーはどうしてイチローとの勝負に出たのだろう?? 9回からベテラン朴勍完から若い姜鍋に替ったのも影響したか?? 
イチローには最高の場面が巡ってきて最高の結果を出す。正に千両役者のひと振りだった。 そして韓国にはもう追い付く力は残っていないとも確信できた。 

 

緊張の日韓対決。球技の世界一決定戦を日韓で争うなんてこれまであっただろうか…。一足先に韓国が決勝進出を決めた時に、実にいやな予感がした。 80年代に入りスポーツ界において韓国の台頭は非常に顕著になり “サッカー以外は韓国に勝てる”といった概念が次第に薄れて来るようになった。貧困の70年代を経て1980年代に入り経済状態が向上したことが最大の要因と思う。
そして1981年のIOC Congress で名古屋を抑えてソウルが1988年の五輪開催都市に選ばれスポーツの強化が始まった。強化の過程はアジア大会、五輪のメダル数に顕著に表れるようになった。 1982年ニューデリーで開催されたアジア大会、日本は中国に金メダルの数で抜かれてしまいスポーツ界での“アジアの盟主”の座を明け渡した。2年後ロス五輪の前、当時学生だった私は韓国からの留学生達が
“日本はスポーツが強い国です。韓国はこれまで五輪で金メダルを2つしかとった事がありません。”と話してくれた。
私は“でもソウル五輪が近いからこれから韓国も強くなりますよ。”と応えたのを覚えている。本音は日本サッカーにもっと韓国といい勝負をして欲しいと言う事だったけど…..
ロス五輪でのメダル数こそ日本は韓国を上回ったが(日本:金10 銀8 銅14 韓国:金6 銀6 銅7 )1986年ソウルで開催されたアジア大会では金メダル数で韓国の後塵を拝するようになり以降は下記の通り、ソウル五輪以降完全に日韓の立場は逆転した。
ソウル      日本:金4 銀3 銅7  
         韓国:金12 銀10 銅11  

バルセロナ   日本:金3   銀8 銅11 
         韓国:金12 銀5 銅12  

アトランタ      日本:金3 銀 6  銅 5  
         韓国:金7 銀15 銅 5  

シドニー      日本:金5 銀 8  銅 5  
         韓国:金8 銀10 銅10 

アテネ五輪で5大会ぶりに日本がようやくメダル数で上回る事が出来た
(日本:金16 銀9 銅12韓国:金9 銀12 銅9 ) しかし昨年の北京五輪ではまたも韓国がメダル数で上回っている。 ( 日本:金9 銀6 銅10 韓国:金13 銀10 銅8 )
そんな中でも野球だけは絶対に日本が優位と思い続けていたが第一回 WBC では2敗を喫し、北京五輪でも韓国は金メダル、日本は4位で韓国戦2連敗。ソフトボールを五輪に戻してラグビー、アメリカンフットボールを種目採用してくれないと永遠に韓国にメダル数で勝てないのではないか?と本気で考えた。 

   

韓国の先発はこの大会日本キラーとなった奉重根。今大会登板は日本戦のみで 10 回1/3 被安打6無失点。意外だったのは奪三振が3。しかし四死球も3。快速球で討ち取るタイプに思えたが数字だけを見るとそうでもないようだ。 99年前ハルピン駅で伊藤博文を暗殺した日本ではテロリスト、韓国では英雄である安重根にあやかり韓国マスコミは“義士”の“称号”を与えている。朝鮮日報紙ではイチローの“イ”を伊藤博文の“伊”に例えて両者を比較している。 
そしてベネズエラ戦ではDHだった秋信守が5番右翼手でスタメン。李大浩はスタメンを外れ、なぜか守備の良い李普映がDHで2番に入った。そして2塁にはベネズエラ戦で先発だった鄭根宇に替って高永がスタメンで7番に入った。 
李大浩は北京五輪でこそ日本戦で和田から本塁打を放ったが、その後は北京五輪でもWBCでも日本戦は日本投手陣が警戒し過ぎてか無安打に抑えるも9四球を与えていた。
高永は北京五輪での日本戦にも出場しGG佐藤の落球をさそうレフトフライを打ち上げ準決勝のベネズエラ戦では途中出場だが2塁打を放つなどした。所属先の斗山では2年連続全試合に出場しているその堅実さが買われたか?
日本を破った3月17日 Round 2 Game 4 のスタメンと比較すると打順、守備位置の違いはあるが高永と鄭根宇が入れ替わっただけであった。

    

一方の日本は先発が岩隈。キューバ戦から中4日のマウンド。奉重根義士が中5日。その1日が気になった。アメリカ戦と比較すると、打線は奉安根義士からは今大会通算3安打している4番に城島が入り、緊急招集された栗原が7番DHでスタメン。福留が外れ外野は左から内川、青木、イチロー。そして9番サードには川崎に替って片岡が入った。

緊張のプレーボール。イチローがボックスに入る。奉重根義士からは今大会5打数0安打。 韓国戦は前の試合まで18打数5安打であったが日本が大勝した東京 Round の試合以降は13打数2安打であった。奉重根義士の初球はスライダーが外れボール。続くスライダーもボール。3球目にストレートでストライクを取った次のスライダーもボール。 1-3 となりストレートでストライクを取りにきた高めのボールをイチローはセンターに弾きかえしイチローは東京での韓国戦以来の先頭打者ヒットを放った。
しかし打球は詰まり気味でクリーンヒットでは無かった。続く中島が手堅く送る。初回からバントでランナーを送るあたり “世界選手権決勝戦” の雰囲気が伝わる。
奉重根義士は変化球の切れとコントロールがいまいち。特に苦手城島には9球を要し、 2-0 から粘られ歩かせてしまった。2-2 からの8球目のインコースのきわどいところをボールと判定された。 2死1,2塁のピンチは続く小笠原をセカンドゴロに打ち取り無失点で切り抜けたが この回だけで28球を要した。奉重根義士は2回にも2死から岩村を歩かせ片岡にライト前に運ばれピンチを招くと続くイチローに対する初球がボールとなったとことで韓国ベンチは早くもヤンサンウ投手コーチがマウンドに走った。 金寅植監督としても奉重根義士の出来によって勝敗が大きく左右されるので心配な表情が何度か映し出される。 イチローを今度は抑えこの回も無失点に抑えたが最初の2回で球数は51を数えた。

一方の岩隈はストレート、変化球のキレそして低めのコントロールが良く、初回先頭打者の“うるさ型”の李容圭を低めのストレートで見逃し三振に打ち取る上場の出だし。 初回を10球で3者凡退で終え立ち上がりの3イニングを30球9人で片づけた。 

   

こうなると先制点が欲しいところ。3回、先頭打者の中島が内野安打で出塁する。 0-1 から外角のチェンジアップが初めてストライクとなり奉重根義士の調子が戻りそうなところでの内野安打は大きかった。更に続く 青木の1-0 からインコースストレートを叩いた打球を名手高永が弾き無死1,2塁で城島を迎える 。城島はバントを試みるが 2-1 となり4球目を叩き3塁ゴロ。青木が2塁で封殺されるが微妙なタイミングであった。しかし続く小笠原が 1-1 から外角に逃げる変化球を引っ張ると打球は1,2塁間を破り中島が先制のホームを踏んだ。前打者の城島が1塁に残り1塁手金泰均がベースに着いていたので塁間が広がっておりその間を打球が抜けてくれた。
小笠原は Round 2 Game 4 でも奉重根義士からチーム初安打を放っていた。

 

尚も続く内川がライトに打ち返し1死満塁と奉重根義士を攻め立てる。内川は昨シーズン左打者に .439 と打ち込んだサウスポーキラー。しかし今大会は奉重根義士からは併殺を含む4打数0安打だった。続く緊急招集された栗原のバットに追加点の期待がかかる。 2-1 からきわどい外角ストレートを見たが 2-2 からの6球目警戒していたチェンジアップが外角低めに落ちた所をひっかけ併殺に倒れた。マウンドを降りる奉重根義士がガッツボーズを見せる。日本打線は奉重根義士に立ち上がり3イニングスで5安打を浴びせた。1点しか奪えなかったが74球を投げさせた。特に2ストライクから粘って何球か投げさせたことが大きかった。 
奉重根義士は3回こそ3者凡退に切って取ったが、4回は先頭の中島を歩かせ続く青木にライト前に打ち返され、しかもエンドランがかかっていたので無死1,3塁となったところでマウンドを降りた。94球を投げていた。ここで韓国ベンチは三星ライオンズ所属、昨シーズン53試合登板10勝4敗の右投の鄭現旭を2番手のマウンドに送った。今大会はこれで5試合目の登板。準決勝のベネズエラ戦も 1回 1/3 を無失点。東京 Round で日本が敗れた試合も奉重根義士に続いて2番手で登場し 1回 2/3 を無失点。大会通算はここまで 6回 2/3 無失点であった。
鄭現旭は城島を外角スライダーで三振、続く小笠原にもストレートで三振に打ち取り捕手の朴勍完が2塁に投げる。スタートを切っていた青木のタイミングはセーフだったがオーバーランをしてしまった。慌てて戻ったが高永のタッチが早かったとの事。しかしリプレーで見ると高永はベースにタッチをしており青木の体には触れていなかった。封殺プレーじゃなかったのだけど……. 青木のアピールも空しく最悪の結果となった。

5回まで6安打、3回を除く毎回走者を2塁まで進めながらまだ1点。いやな流れの5回裏。韓国が同点に追い付く。韓国唯一の MLB 選手、先頭打者の秋信守が岩隈の50球目の低めの変化球を“しばき上げる”様に掬いあげて打った打球はセンター後方に飛びさっき2塁塁上で刺されたばかりの青木の頭の上を越えてスタンドに入ってしまった。 球場の韓国人から大歓声が沸き上がる。大会3本目の安打が2試合連続の本塁打。前の打席で三振に討ち取った低めの変化球を狙ったか? 好機をものに出来なかった事を思い出させる1発だったが打った秋信守も流石 MLB 選手。昨シーズンは Cleveland Indians で160試合出場し17本塁打94打点 の成績を残した。 韓国この試合2本目の安打が本塁打。日本も松井秀樹が万全の状態で合流してくれたら….日本は長距離砲不足だと思った。
  
   

岩隈は続く李机浩が 2-3 まで粘られるもフォークで三振に打ち取ったあと続く高永にもインコースに入ったスライダーを捕らえられる。打球は内川の左を破ろうという長打コース。しかし今度は日本にスーパープレーが生まれる。内川はスライディングで打球をキャッチしすぐさま立ち上がり2塁に矢のような送球で高永を刺した。 もし内野手の内川でなく“本職”である外野手であったら基本通りに回り込んで打球を処理し、生まれなかったであろうファインプレーであった。前回は李普映のファインプレーが日本の勝利を阻止したが今大会は内川が試合を“決める”プレーを見せた。

それにしてもこの日のRon Kulpa 2塁塁審は試合を盛り上げてくれる。青木が3回に2塁で封殺されたシーン、5回に盗塁を試みた場面、そしてこの2塁塁上でのクロスプレー。全て微妙な判定だった。
しかし岩隈は前の回も金泰均に大きなあたりを打たれるなど打球の飛距離が伸びて来たのが気になった。 こうなると次の1点、そして継投が大切になって来る。
7回表、先頭打者の片岡が初球を引っ張りレフト前に弾き返し出塁すると続くイチローの2球目にスタートを切り今大会4つ目の盗塁を決めた。 そして次の投球をイチローは絶妙のバントヒットを3塁前に決め無死1,3塁とした。ここで迎えたのは中島。 0-1 からのストレートを引っ張りレフト前に打ち返し片岡を迎え入れリードを奪い返した。 続く青木は 0-1 からやや高めの球を捕えるがその大飛球は右翼手秋信守が後走よくフェンス直前で掴み、続く城島は三塁ゴロ併殺打に打ち取られた。だが1塁に駆け抜けた城島のタイミングは微妙であった。
日本は逆転したが後続が断たれてリードは1点に留まった。だが次の9回表にも小笠原三振後、内川がライト前安打で出塁すると韓国ベンチは鄭現旭に替えて3番手柳賢振をマウンドに送る。柳賢振は今大会代表監督を務める金寅植氏が監督をするハンファイーグルス所属。北京五輪の決勝戦のキューバ戦では先発して8回 1/3を2失点に抑える好投を見せた。今大会は先発登板は無くワンポイント的な中継ぎを担っていたが、2番手鄭現旭を引っ張りすぎなかったか?この回頭から柳を出せなかったか? 柳賢振は最初の打者、代打の稲葉に2塁打を打たれ続く岩村に犠牲フライを打たれ追加点を許した。この時点で日本の大会2連覇が大きく近づいたと思った。 7回1失点の岩隈は球数が84球。少しストレートのスピードが鈍り高めに浮き、変化球が低く外れるのが気になったが8回はまだ投げれる。 
先頭打者の李机浩には 0-1 から高く入った所をライトに持って行かれる2塁打を打たれた。続く高永は内野ゴロに打ち取り2塁走者の李机浩が3塁に進む。そして韓国ベンチは李大浩が代打に送られたが、接戦中で捕手の朴勍完を下げたその打順の巡りあわせは日本に幸運であった。李大浩は初球の変化球を掬いあげるように打ち返す。最後はフェンスの数メートル前で青木がジャンプして掴むがそれが犠牲フライとなり李机浩がホームを踏んだ。 
しかしまだ日本がリードをしている。そして走者が無くなった。そこで岩隈は安心したのか次の朴基赫を歩かせ球数が97を数えた事もあり今大会4試合に登板しまだ安打を許していない左腕の杉内にマウンドを譲った。 
日本ベンチは拍手で好投の岩隈を選手、首脳陣が拍手で迎えた。杉内は相対する李容圭をレフトライナーに討取り日本1点リードで最終回を迎えた。 

韓国ベンチは4番手にリリーフエースの林昌勇を送る。本当ならリードした場面で投入したかっただろうが。日本は先頭打者のイチローが初球を捕えフェンス直撃の2塁打を放つ。イチローが今大会韓国相手に見せた初めての“一発”だった。もう少し上に上がればスタンドに入り試合を決められたのに…. と思った。しかしこのチャンスに次打者の中島の強烈な当たりが高永が今度はファインプレーで押さえるなど“粘りの守り”でリードを広げさせてもらえなかった。 
そして9回裏、マウンドに杉内が上がったところで左打者の李普映に替って右打者の鄭根宇が代打に送られた事から3番手にダルビッシュがマウンドに送られた。 
藤川は調子が悪いのか?..とにかく先頭打者はあるかさないでくれよ…. と思った。

それにしても久々に見た “手に汗握る熱戦。” であった。前回、韓国のマスコミはありもしない “イチロー発言”で国威掲揚を大いに煽ったが、今回はそういう報道は少なかった。 ( 中島のスライディングを除いて )
 
     

感動するシーンもあった。試合前の優勝トロフィー返還のセレモニー後前回の代表監督を務めた王貞治氏が日韓の両選手と握手をしたのだが脳梗塞を患い足の不自由な金寅植韓国代表監督はダッグアウト前から動けなかった。すると王監督は監督チームのコーチの促しに快く応じ、金監督の元に歩み寄り抱擁を交わした。 涙が出そうになった。

更に勝ったから言う訳ではないががっぷり四つ、横綱同士が全勝で千秋楽の最後の取り組みを迎えた大一番の様な試合内容を演じてくれた日本、韓国の選手、コーチ達に感謝だ。 本当に感謝だ。 

閉塞感漂う日本の社会を大いに盛り上げてくれた選手達に本当に敬意を表します。 

  

エースの “一蹴り” 南アに大きく前進

2009-04-05 | FIFA World Cup

日本のキックオフで始まった後半、遠藤からボールを受けた内田が前にフィードする。それを Mohamed Marzooq がヘッドで跳ね返すが落下点には長谷部が、その長谷部が前に出したボールは一旦 Yusuf Salmeen の足もとに入るが、俊輔、長谷部そして達也が一斉に囲み、最後は長谷部が玉田に出す。すると玉田は中にドリブルで切れ込みだす。前には大久保が張り出すが大久保はそのままゴール中央方向にドリブルで切れ込む。そこに Marzooq が後ろからチェックに入り玉田が倒れてホイッスルが鳴る。ゴール正面でのFKを貰った。まだ開始33秒だ。このチャンスを“逃すまいと”観客席の私はデジカメを、隣席の息子は携帯を取り出す。
セットしたボールの後ろには俊輔と遠藤が立つ。そして俊輔が蹴ると見せかけ遠藤に出し位置をずらしボールを止めた所を俊輔が左足を振り抜くとボールはそのままGK Sayed Jaafar のいっぱいに伸ばした左手の先に飛びバーレーンゴールの右上隅に吸い込まれていった。 
周りの観客が一斉に立ち上がり球技場全体に大歓声が沸き起こる。久々に俊輔が直接FKをゴールに蹴り込む所を拝む事が出来た。 “喜びを終えた”俊輔がしきりに唇に手をあてていた。後でテレビを見たら唇を切っていた。 そして私達のシャッターチャンスは…… ピントがずれていた…

    


3月28日、私が1年で一番好きな月がこの弥生、3月。ぽかぽか陽気で全てを温かい空気で包みだしてくれるあの雰囲気はいくつになってもいいものだが、今年はもう4月がそこまで来ていると言うのにこの寒さ。確かに3月中旬は春の陽気を楽しめたけど…… まぁ気温が低い方が対戦相手のバーレーンに不利になることからこの日ばかりはこの寒さは歓迎せねばならないだろう…..と息子と二人でさいたまスタジアム2002 に出かけた。
今回とれたチケットはカテゴリー3。これまでここでは“常にカテゴリー1”で観戦していただけにピッチが遠く感じる。しかし息子は“選手の全体の動きが見られるから良い。”と言ってくれた。おいおいなかなか玄人的な考えじゃないか…. 確かにオーストラリア戦を観戦した横浜国際はカテゴリー1なのに少し見づらい部分もあった。
ここさいたまスタジアムもゴール裏は両方とも日本のサポーター達で満員だ。しかし試合と共に一斉に立ち上がるから私はそれが好きでは無い。本場欧州だと立見席があって“騒ぎたい”サポーター達はそこに集まり、子供連れなど座って観戦したい人達はゆっくりシートに座れるようになっているのだ。
着席するとすぐに両チームのスタメンが発表になった。サプライズはバーレ-ンのDF Mohamed Marzooq が入っていたこと。 もう招集されないと思っていたのだけど…..

日本代表は前節オーストラリア戦とほぼ同じ。GKには楢崎が“復活”し MFは大久保がスタメンに。選手達が入場し両国の国家が流れる。バーレーンはテープで、そして君が代は地元さいたま市立海老沼小学校の児童達の合唱だが、前節のオーストラリア戦もそうであった。これから芸能人に歌わせないで子供達の合唱で行くべきだと思う。そうでないと日本代表の試合が安っぽく見える。Jリーグ発足前、明石家さんまさん以外、芸能関係者の誰がサッカーに関心をもっただろう???

    

そして選手がピッチに散らばってキックオフを迎えるが、バーレーンがなかなかポジションにつかない。78年のワールドカップで地元アルゼンチンが特に欧州相手に見せた手だ。ようやくバーレーンのキックオフで始まったこの試合のフォーメーションは下記の通りだった。

                 7 Jaycee John

14 Salman Isa         4 Abdulla Fatadi      15 Abdulla Ismaeel Omar

        13 Abdulrahman          10 Yusuf Salmeen

12 Mubarak Asish 3 Mohamed Marzooq 16 Sayed M. Adnan 7 Mohamed Hubail.

                   GK 1 Sayed Jaafar

DFラインは4バック。 Marzooq が入り左サイドバックにモロッコからの帰化人 M. Aaish が入った。それ以外は前節ウズベキスタン戦と同じメンバー。 
ただ3日後にホームでカタール戦を迎えるだけに累積警告等を見ながらの選手起用、試合運びとなると思った。 


          

日本代表は下記の通り。

            ⑪ 玉田

⑯大久保      ⑨達也       ⑩俊輔 

    ⑦遠藤          ⑰長谷部 

⑮長友   ④闘莉王   ②中澤   ⑥内田 

            GK①楢崎

勝点で3位以下に圧倒的に差を付けている日本。そして3位を確保するためには勝点を失いたくないバーレーン。共に引き分けても満足な結果を得られる試合だけにどういう駆け引きをしながら試合を進めるのだろうと思ったが立ち上がり、日本がバーレーンゴールに迫るシーンが続いた。開始58秒に玉田からボールを受けた大久保からの浮き球に達也が走り込む。バウンドを利用して Marzooq をかわしてゴールに迫るがここは Aaishi がマーク。1分35秒には大久保が左サイドをドリブルで抜けてスルーパスを送るがそこから先にはつながらなかった。2分34秒には中央から俊輔がPA内に浮玉を送るが CB M.Adnan がヘッドでクリアー。3分23秒には右サイドから俊輔が中に入れ、真ん中にでき来た大久保がダイレクトで右サイドにいた達也に。Aaish を振り切り M.Adnan がマークに入り前に達也が放ったショットは惜しくもクロスバーの右に外れた。前節同様最初の決定機は日本だった。
序盤から日本攻撃陣の前線の動きが流動的なのでバーレーンのDF陣はマークに付き難かっただろう。俊輔が中に入った時、大久保が上がった時は玉田がそのポジションに入り、達也は左右に動き早い時間から闘莉王が上がって来る。それでもボランチのY. Salmeen , Abdulrahman らが長谷部、遠藤に厳しくマークに入り、2列目両サイドの I. Omar, S. Isa がDFラインに吸収されない位置に張り中盤にプレスをかけようとしていた。
7分54秒、大久保が S. Isa からボールを奪い突破をはかろうとしたところを Y. Salmeen に倒されて得たFKを俊輔が中に入れる。闘莉王と中澤が飛び込むも Marzooq が何とかクリアー。ここも惜しいチャンスであった。闘莉王の額の傷は大丈夫かな……
24分には遠藤のCKから中澤が Marzooq に競り勝ち放ったヘッドがバーレーンゴールに飛ぶが M. Hubail がヘッドでクリアー。親子で思わず天を仰いだシーンだった。

バーレーンはボールを得ると両サイド奥深くに蹴り込み J. John、A. Fatadi が 走り込み何とか日本ゴールの近くでスローインを貰おうとする様に見えた。そしてFKを得るとなかなか蹴らなかったがそれは選手達が日本ゴール前に入るのを待つ為でもあった。14分11秒には達也からボールを奪ったM. Hubail からボールを受けた Fatadi がドリブルシュートを放つ。ボールはポストの左に外れて行ったが身体能力の高さを見せたシーンであった。しかしバーレーンのチャンスは Fatadi, I.Omar そして J. John のアフリカ人帰化選手の個人技頼りか….それでも1対1では日本はほとんど負けておらず、取られたら取り換えすと言う好守の切り替えが早いのでそうそう得点のチャンスはないだろうと予想できた。 そのせいか?25分過ぎからバーレーンは日本ボールになるとボランチの一人、特に Y.Salmeen がDFラインにはいり(左右のサイド)5バックに。そして日本のゴール前へのパスはことごとくその“守備網”にかかりシュートに持ち込めなくなる。こうなるとゴール前に人を集めワンタッチでボールをまわし最後は抜け出したいところだった。28分にそういう攻撃を見せたが最後は達也を Marzooq がブロック。 この時にもう1人、2人 味方が近くにおればと言うシーンであった。 
セットプレー時、特にCKではバーレーンDF陣の高さが目立つようにもなって来た。 42分には闘莉王のインターセプトを受けた俊輔が前線に送り M.Adna を振り切った玉田が走り込むが Marzooq に阻まれる。この様に相手の裏を狙う攻撃をしDFラインを下げさせなるなどの手を打たないと日本も得点チャンスは見えてこなくなるとも思った。 ロスタイムの無かった前半は圧倒的に支配しながら無得点に終わった。
こう言う展開はこの予選でさえ何度もみたパターンでもあった。
“最後のガードが固い” 息子の一言がこの日のバーレーンの印象を集約しているとおもう。

ハーフタイムが終わりに近づき選手達がピッチに出て来るが、バーレーン選手は審判が揃っているのになかなか出てこない。相手の選手交代をこれで先に見てそして自軍選手にアドヴァイスを送った試合運びを決められる。これもアルゼンチンが良くやった作戦だ。 
両チーム共に同じメンバーだった。 バーレーンにしてみれば思った通りの試合展開。それだけに日本は先制点が欲しいところであった。

中村俊輔のFKで先制した日本。帰宅してビデオで確認したが Marzooq の背中に当たってコースが変わって吸い込まれたもの。試合終了後のインタビューでもその事があるのか満足そうな感じではなかった。それとも前半終盤からマークがきつくて上手くプレー出来なかったことを思い出してか…..
日本に先制点が入った事でバーレーンは出てこざるを得なくなる、日本はあと2点失わない限り勝点は確保できる。そう考えれば日本は思い切った攻撃が出来てこの後更に得点チャンスが出て来ると期待した。
しかしその後の最初のチャンスはバーレーン。 52分47秒右サイドを俊輔からボールを奪った Fatadi が粘って長友を振り切り突破し右タッチライン沿いを疾走する Omar に出すと、中に入れられたボールは一旦中澤がクリアーするも Fatadi の正面へ、そのままダイレクトで撃たれたショットはまたも中澤の正面に飛び事なきを得る。そのクリアーを Fatadi が拾い今度は左サイドで繋いで最後は Salmeen が遠藤に倒され FK を献上すると, PA内に長身の M. Adnan, Marzooq が入って来る。M. Aaishi が入れたFKはそのまま楢崎が抑えたがFKは長身選手のいるバーレーンにもチャンス。1月の Asian Cup 予選ではそこから決勝点を奪われた。

だがその後は日本の攻勢が続く。54分6秒には右サイドから遠藤のクロスに内田がフリーで抜け出すがトラップがやや大きくGK S. Jaffar の正面に。54分24秒に玉田が中央をドリブルで突破し前線の大久保にスルーパスを送るがここは M. Adnan に読まれていた。57分50秒にはカウンターに転じたバーレーン MF Salman Isa のドリブルを奪いすぐさま右前方のスペースに入れると走り込んだ達也がそのままドリブルシュート。観客が一斉に立ち上がるが GK S.Jaffar がコーナーに逃れ、場内に溜息が洩れる。 64分4秒にもバーレーンCKのチャンスからカウンターに転じた日本が俊輔からボールを受けた玉田が Omar を振り切りドリブル突破、Aaish, Salman Isa, H. Hubail そして Marzooq をひきつけ右サイドに走り込んだ内田に渡すがフリーの内田の狙い澄ましたショットはクロスバーを強烈に叩いてしまった。昨年6月には同じさいたまスタジアムで同じバーレーン相手に幸運なゴールを決めたがここは運が無かった。

1点のビハインドを追ってもバーレーンは54分以降はあまりリスクを負って出て来る様子やフォーメーションの変更は見られず、70分過ぎになってようやく Fatadi, J.John そして Salma Isa がトップに並ぶ3トップを形成する様になったが、中盤との間があいてしまい帰って日本の中盤がボールを持てるようになった。75分にバーレーンベンチはIsmaeel Omar を下げて Abdulla Abdi Omar Yaser を投入したが Omar Yaesr は前節のウズベキスタン戦がワールドカップ予選初登場であった。 この O. Yaser が比較的 Abdulrahman と共に最前線と近い位置に張る様になったのでボールが回る様になった。もっと早くこうすればよかったと思ったが恐らく3日後のカタール戦の為に戦力を温存したいのと累積警告を心配してのことだろう。既に O. Yaseer は前の試合でイエローを受けている。
終了直前に FW Ismaeel Hasan が投入されたが彼も既に警告を1枚受けた選手で、カタール戦の為に温存されていたのかもしれない。 そしてそのカタール戦では  M. Aaish のゴールで 1-0 で勝利を収めた。 

    

一方の日本は76分に長谷部が下がってガンバ大阪の橋本が最初に投入された。後で知ったが長谷部は膝を痛めたらしいが周りからはやや不満の声が。どうやら REDS サポーター達がガンバの選手の投入に不満らしい。しかも下がったのが元 REDS の長谷部だからだ。 その後玉田、達也が下がり拍手を持って松井、岡崎が投入された。達也が下がる時に何故かイエローが出された。遅延行為と言う事らしいがこれはちょっと….???? 3人目の選手交替が告げられると息子は少し残念そうな様子。彼の好きな阿部がこの日も起用されなかったからだ。大丈夫、いつか必ず必要な試合がくるよ…..

ロスタイム3分を過ぎて、タイムアップのホイッスル。 大歓声と言うよりも安堵の歓声が上がった。 これでワールドカップ進出に向けて大きく前進。 Man of the Match には中村俊輔が選ばれた。 ホームゲームでは3試合連続の選出だがこの試合が最も適切な選出だろう。

    

3月下旬にはWBCの優勝。そして日本のワールドカップ勝利と我々を元気付けるアスリート達の活躍が続いた。これからも我々をもっともっと元気づけるニュースを運んでほしいものだ。

息子よ次は横浜か….. ちょっと遠いけど一緒にくるかい? あぁ学校があるか……